徳安淳子議員が質問(決算審査・農政環境部)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (農政環境部)
2011年10月14日(金)

1 環境保全等の取組について

 質問の第1は「環境保全等の取組」についてです。
 環境問題は、我が国のみならず、この地球に住む全人類にとって喫緊の課題であり、本県としても、国の動向を踏まえ、引き続きしっかりと関連施策を進めていかなくてはなりません。
 そこで、以下、2点お伺いします。

(1) 大気環境汚染対策の効果について

 まず、「大気環境汚染対策の効果」について伺います。
 大気汚染の主な原因としては、工場などが生産活動を行う際に、汚染物質を排出する場合と、物流や人流など自動車等の使用によって汚染物質が排出される場合の二つがあります。
 昔、大阪から阪神間の大気汚染は、1960年代前後から70年代の高度経済成長期にかけてピークとなりました。その頃は小学校の教室の窓を開けたままにしておくと、工場のばい煙によるすすが机上に積もり、まるで砂に字を書くように、そこに文字が書けた時代でもあり、人々の健康よりも、社会全体の経済成長が優先される時代でした。
 しかし、水俣病やイタイイタイ病、四日市喘息といった公害病が発生し、国民の健康被害が社会的に大きく取り上げられ、国民への公害問題への関心が高まる中、ようやく1967年に公害対策基本法が制定されました。その後も、関連法令が整備、適正に運用され、工場・事業所など多岐にわたる汚染物質の発生源に対する総合的な対策に取り組まれてきた結果、いまだ十分とは言えませんが、かなり改善されてきました。
 その一方で、こうした公害型の大気汚染に代わり、大都市を中心に次第に大きな問題となってきたのが、自動車、特にディーゼル車から排出される二酸化窒素(NO2)及び浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染です。これらの物質は、呼吸器に望ましくない影響を与えるとされ、発がん性のおそれを含む国民の健康への悪影響が懸念されています。
 国道43号沿線の大気汚染問題に係る尼崎公害訴訟も記憶に新しい本県としても、引き続きしっかりと対策を講じる必要があるものと考えます。
 そこで、平成22年度に、自動車環境等対策事業として、約14億2,400万円の予算を充てて取組を進めておられるようですが、具体的にどのような対策に取り組み、どの程度の効果につながったのか、お伺いします。

(2) 環境学習の推進をはじめとする意識啓発について

 次に、「環境学習の推進をはじめとする意識啓発」について伺います。
 1960年代までは、公害問題は大都市を中心とする特定地域における問題でしたが、その後、世界各地で大規模な開発と工業化が進むに連れ、例えば国境を越えた酸性雨被害など、最早、特定地域における問題と言えない状況となりました。
 様々な経済活動による自然破壊や、豊かで快適な生活を送るための大量のエネルギー・資源の消費、これに伴う多量の廃棄物の発生など、人々の活動が拡大するにつれ、熱帯雨林の減少やオゾン層破壊、地球温暖化問題など、地球規模での環境問題が顕在化し、我々人類全体の生存に関わる喫緊の課題となっています。
 この3月に発生した東日本大震災は、地震や津波によるがれき等の災害廃棄物の処理、流出した有害物質や原発事故で外部放出された放射性物質による環境汚染など、被災地を中心に環境面でも甚大な被害を及ぼしました。
 大震災以降、原発事故による水や土壌の汚染についての関心や、節電をキーワードとした省エネ意識など、国民の環境意識が高まっていますが、現実には、もっと大きな意識・価値観の変化が見られるのではないでしょうか。
 阪神・淡路大震災の時も同様でしたが、今回の大震災で私たちは、経済成長や効率化の中で忘れかけていた人と人とのつながりや地域のきずなの重要性を改めて認識したのではないかと思います。
 また、人が抗えない自然の脅威というものを目の当たりにし、「人と人とのつながりや絆の大切さ。それぞれの地域にあった自然との共存のあり方」ということにも、目を向けるようになったことと思います。
 これを機にあらためて、県民一人ひとりが、これまでのライフスタイルがどれほど環境に悪影響を与えているかを再認識するとともに、真摯、謙虚な気持ちで環境について学び、責任ある行動を行うよう、県として、より一層、その意識啓発や機会提供に努めていくべきと考えます。
 そこで、平成22年度における環境部局の総予算は約98億5600万円(決算ベース)となりますが、これらを活用して、県民の意識啓発や広報のためにどのような取組を行い、どのような効果につながったのか、お伺いします。

2 県民生活と食をつなぐ仕組みについて

 質問の第2は「県民生活と食をつなぐ仕組み」についてです。
 日々、安全で安心な食生活を送ることは、心身の健康につながります。食事内容と健康とは密接な関係にありますが、近年、バランスのとれた食生活を送っている人が少ないことは残念です。アンバランスな食事は、体調を崩し様々な病気の原因ともなり、ひいては医療費の増大にもつながります。
 未病という言葉がありますが、主に乳製品、動物性油脂、穀類等から成り、食物繊維含量の少ない欧米型の食事と異なり、多種多様な食素材を組み合わせ、蒸す、焼く、揚げる等の各種の調理法を用いる日本型の食事は、生活習慣病をはじめ、各種の病気を予防する上で、大きな効果があると言われており、世界的に見ても、非常にバランス良い食生活であると言えます。
 そこで、以下、2点お伺いします。

(1) 日本型食生活の普及について

 まず、「日本型食生活の普及」についてです。
 日本型食生活と呼ばれる我が国の伝統的な食生活は、米を主食に、春夏秋冬の四季に応じた水産物や農産物など多種多様な副食から構成され、江戸時代半ば頃に成立したと言われています。かつては、タンパク質不足と塩分過剰摂取が問題とされていましたが、経済成長とともに栄養状態が改善され、栄養バランスに優れた健康食として欧米諸国からも注目を浴びるようになって来ました。
 30年ほど前のヨーロッパと日米共同研究の例によると、心筋梗塞による死亡率は1位フィンランド、2位アメリカ、3位オランダの順で高く、日本は上位国と比べて7分の1の死亡率にとどまっていたそうですが、近年、日本の献立や食生活が欧米化するに連れ、エネルギーや脂質の摂り過ぎによる生活習慣病が増加しております。
 心臓病が死亡原因のベスト3に入るなど、我が国における死亡原因の6割を生活習慣病に起因し、関連する医療費は医療費全体の3分の1を占めると言われております。
 こうした現状や、年々、医療費の増加が大きな問題とされている状況を見れば、生活習慣病の増加に歯止めをかけ、これ以上の医療費の増加を防ぐためにも、改めて伝統的な健康食である日本型食生活の良さを見直し、積極的にその普及に努めていくことが必要だと考えます。ひいては、この取組が、近年伸び悩んでいる米の消費量を増加に転じさせることにもつながるのではないでしょうか。
 そこで、平成22年度にごはんを中心とした日本型食生活の普及として、約4千万円を充てて取組を進めておられますが、どのような取組を行い、どのような効果につながったのか、お伺いします。

(2) 卸売市場の機能強化について

 次に、「卸売市場の機能強化」についてです。
 従来から、卸売市場は生鮮食料品等を国民へ円滑かつ安定的に供給するための基幹的インフラとして重要な役割を担ってきましたが、近年、生産者と直接取引を行う大型商業店の進出や、調理済み食品や外食を好むなど消費者ニーズが多様化する中、卸売市場を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっています。
 各地の市場で、市場経由率の低下や取扱数量の減少、卸売業者、仲卸業者の経営悪化などが見られ、市場内の店舗は激減、今や存在意義まで問われつつある状況です。
 しかし、東日本大震災では、ヘリを用いた卸売市場間の生鮮食料品輸送を行い、被災地の支援に大きな役割を果たしたと聞いており、今後、有事に備え事前に必要な対策を取っておくことで、万一の際の県民の生鮮食料品不足の不安も解消できるなど、災害時の活躍が期待できると思われます。
 そこで、平成22年度に、約950万円の予算により卸売市場関係事業に取り組まれているようであるが、県内市場が88ケ所あるところ、そのような少額の予算でどの程度、卸売市場の機能強化につながったのか、その状況をお伺いします。

3 農業の後継者確保対策について

 質問の第3は「農業の後継者確保対策」についてです。
 農業の後継者不足の問題については、ずいぶん以前から懸念されてきましたが、昨今の少子・高齢化の進行により、ますます若者の農業離れが加速してきた感があります。
 日本の縮図といわれる兵庫県においては、豊かな自然に恵まれたこの県土を有効に活用し県内総生産を確保して行くため、また食料自給率を上げて行くためにも、農業を絶やすことはできず、県を挙げて行財政構造改革の取組を進めている中ではありますが、新規就農者の育成などを通じた農業の後継者確保へ向け、積極的に取り組んでいくべきだと思います。
 農業を巡るこうした課題は、郡部だけの問題ではありません。都市部においても、例えば尼崎では、まだ入居率が高い頃は、資産運用で田畑の農地転用等を行ってマンションを建設し、マンション経営に転じた農家も見られましたが、現在は、不況などで入居者が確保できず、こうした転身は困難です。
 かと言って、農業を継続するにも後継者不足で、先祖代々守り続けてきた田畑を簡単に手放したくない気持や、他人に継がせることの感情面での抵抗等もあり、高齢になってもやむなく続けざるを得ない状況に、多くの農家が頭を悩ませています。
 このような、農業の後継者を巡る問題には、個々の農家の複雑な事情等も絡んでくるため、単純に行政が介入できるか難しい点もあると思いますが、本県における農業の持続的発展を図るためには、何もせずに手をこまぬいている訳にも行きません。
 そこで、平成22年度に、農業の後継者不足問題を解消するために、どのような施策に取り組み、どのような効果をあげているのか、行革の取組の中での過去3年間における関連予算額(決算ベース)の推移も含め、お伺いします。

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