三戸政和議員が質問(決算審査・企画県民部1)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2011年10月11日(火)

 民主党県民連合、三戸政和でございます。
 本日、人生初の決算特別委員会の質問に立たせて頂いております。
 初当選から、はや半年が過ぎようとしておりますが、選挙の際に、有権者の皆さまに訴えてきた想い、若さと、初々しさをいつまでも忘れず、頑張って参りますので、どうぞよろしくお願い致します。
 初回ですので、この半年間の県政に対する雑感から質問に移って参りたいと思います。
 これまで県の事業について、色々と教えて頂きました。
 素朴な疑問として、費用対効果を確認させて頂く意図で、突き詰めて質問をすると、これは、地域活性のための、文化推進のための、安心安全の、命の重さの、という、形容詞で煙に巻かれる事が、多くありました。
 私の前職は、投資会社ですので、形容詞や推量を交えて、プレゼンをする事は許されませんでした。そこにお金を投じる以上、合理的に説明する事が出来ない、計数管理の出来ないということはありえなかった訳です。
 そういった点で、私の前職と県政は、真逆の場所であると感じておりますが、それはそれで、納得理由もあります。
 行政というのは、必ずしも、絶対的な事ばかりをするのではなく、将来を見据えて、目に見えない、計り知れないものに投資していくということは理解しております。
 教育などはその際たるものでしょう。
 また、東日本大震災の被災を現場で見た時に、命の重さを費用対効果で考えることは出来ないと体感致しました。
 ただ、県民の皆さんは、経済環境が悪化する中でも、身を削りながら納税をしている訳で、それが、どのようにどう使われたのか、その効果はどういったものだったのかというものを明確に説明する義務が我々にはあると思っております。
 そのためにも、可能な限り、論理的で、県民の納得がいくご説明を頂ければと思います。

1 県民交流広場について

 では、初めに、県民交流広場について、4点お尋ねします。

(1) これまでの取組と成果及び、その評価について

 まず、「これまでの取組と成果及び、その評価」についてです。
 この事業は、平成16、17年度のモデル事業から始まり、22年度末で新規採択が終了しましたが、県民一人ひとりが、身近な地域を舞台に、多彩な分野で地域づくり活動等に取り組めるよう、法人県民税の超過課税を活用して、進めてこられた事業です。
 私も、これまでの予算、決算特別委員会の議事録により、各議員の皆さんがご質問されている内容を拝見しましたが、22年度末で新規採択が終了ということから、検証データも出ている事と思いますので、事業総括的に質問をさせて頂きたいと思います。
まずは、これまでの取組と成果及び、事業の評価について、当局のご所見をお伺いします。

(2) 事業採択時の選定プロセス等について

 次に、「事業採択時の選定プロセス等」について伺います。
 各団体が、事業プランを出してきた際に、これを採択するにあたり、どういうプロセスに沿って決定されたのかが、非常に気になります。
 と言いますのは、私の地元でも、同事業が採択され、オープニングセレモニーにも参加させて頂きました。参加された皆さんは、非常に生き生きとして、地元の発展につながっていくのであろうと期待出来るものでした。
 しかし一方で、同じ地元の30代-40代から聞こえてくるのは、「あの事業は、年配者の人たちだけでやっているものでしょ」という、傍観的なつぶやきでした。
 少し寂しい県民アンケートが手元にあるのですが、「地域の異なる世代との人と付き合いがある人の割合」という指標(美しい兵庫指標)で、本事業が本格的に始まった平成18年には48.8%だったのが、平成22年には36.5%に下がっております。つまり、本事業を行っている最中に、地域での世代間交流が出来ているという意識が、12.3%も下がっているのです。
 こういった助成金を地域に渡す場合には、声の大きな人だけに助成をするのではなく、地域の多数が納得いく形で助成をしていくことで、地域間の摩擦を起こす事無く活性化させていく必要があるかと思います。
 事業採択のプロセスと、その地域の合意形成の平均的な期間、これに対する県の考え方や、支援はどのようなものでしたでしょうか。
 また、小学校区に1つという区割りで、助成を行っておりますが、その区内で摩擦が生じた際に、例えば、助成金を分割しなくてはいけなかった等の事例は、ありましたでしょうか。
 あったとすれば、それぞれ、地域間での摩擦が生じなかったのかが心配です。
 事業の申請を上げていない校区もあったとのことですが、その理由は何だったのでしょうか。把握されている範囲で結構ですので、その辺りの数字と、状況、見解をご説明ください。

(3) 地域住民の満足度について

 次に、「地域住民の満足度」について伺います。
 十分な合意形成の下で同事業が進められているのであれば、基本的には、その地域、少なくとも、事業主体が、同事業に満足をしないはずはないと思うのですが、頂いたアンケートでは、県民交流広場で地域が活性化したかと、事業主体に質問すると、85%が活性化につながったと回答しておりますが、逆に言えば、残りの15%は、不満足だったとも考えられます。
 より厳密には、地域の合意形成を行った事業主体が納得していないということは、その地域に住む人にまでアンケートを拡大すれば、活性化に繋がっていると感じている人が少ないのではないかと心配になりますが、地域住民の満足度について、どのように評価しているのかお伺いします。
 事業主体のみだけではなく、そこに住む地域の皆さんに、サンプリング形式でも結構ですので、アンケートを取ってみて、今回の事業評価を行う予定は無いのかも含め、ご答弁ください。

(4) 今後の事業継続方針について

 続きまして、「今後の事業継続方針」について伺います。
 民主党は、バラマキ政治と揶揄されており、民主党議員の一人としては、不本意に思っているのですが、地域に均等に助成していくという資金提供の場合、バラマキ、ハコモノと呼ばれないように気をつけなくてはいけません。
 そう考えますと、平成22年度末で72億34百万円を使い647地区で実施した本事業についても、本来の趣旨通り、その場が有効的に、かつ、継続的に利用されていく必要があります。
 この事業は、採択から5年すれば活動費が出なくなりますが、各広場は、どういった形で、今後の事業、利用継続を図っていくのでしょうか。
 手元のアンケート結果を見ますと、県に対する主な意見として、回答項目のトップに、5年後の助成制度の継続、新たな事業の創設、31%とあります。
 また、今後の活動資金の調達方法について、という質問に対しても、回答項目の1番に、助成金の活用や他事業との共催47%、とあり、半分程度の事業主体が助成金を期待しております。
 地域交流の起爆剤としての取っ掛かりを県が推進し、あとは、自助努力で地域活性が進んでいくというのが当初の目的だったかと思うのですが、実際の事業主体から出てくる要望は、助成金を継続して欲しいということです。
 こうした現実を踏まえ、この事業がバラマキと言われないように、継続性を確立していく必要があろうかと思うのですが、当局のご所見をお聞かせ下さい。

 これまでの活用施設一覧を見ますと、新温泉町の旧町立幼稚舎、篠山市の中立舎、また私の地元にある花井邸などは、地域に根ざした文化の継続性を地域で保持していこうというコンセプトが感じられる施設かと思います。
 しかし、647施設ある中の、562施設は、公民館や地区集会所等の改修にあてられているようです。
 この現状を見ていると、「助成金がもらえるらしいよ。じゃあ、公民館に調理場でも作ってもらおうか」という「使うための」助成と言う気がしてきます。
 91%もの非常に高い割合で事業採択をされている状況もそうですが、本格的事業開始から5年間の最初の4年間の実施件数が年間平均121件で、平均実施率が16.1%となっているのですが、準備期間も入れると7年の期間があったのにも関わらず、最後の1年間の駆け込み実施件数が、231件で、全体の30%を占めている事を見ると、助成金消化の駆け込み需要に見えてなりません。
 企業のCSRという言葉が流行ってきて、企業は直接やらないから、行政が税金で集めてやってやろう、というトップダウン的な発想が先にきて、事業計画が立てられ、それにあてはまる地域は素晴らしい結果を残せるのですが、上手く使う事が出来ない先は、とりあえず使ってしまうという構図が見え隠れしてしまいます。
 行革の厳しい財政状況の中、職員の皆さんの給与を削減してまで、県政の推進にご努力されておりますし、少しでも効率的な予算執行が求められます。
 不用な予算であれば、辞めるという英断をしなくてはいけませんし、助成金の使われ方も、行革レベルの精査をする必要があると思います。
 また、地域交流の活性手段というのは、トップダウンではなく、ボトムアップで生まれてくるものが本来のものでしょうし、そういうニーズに対してだけ助成すれば良かった気もします。
 画一的に、助成するのではなく、そういった税金の使い方こそが、公平な使い方だとも思います。今回は、超過課税という税金の性質もありますから、普段以上に論理的で精緻な事業評価を期待したいと思います。

2 芸術文化センター運営費について

 次に、企画県民部の予算執行において、重要施策体系表の区分けの仕方で55本ある事業区分けの中で、4番目に大きな予算を使っている芸術文化センター運営費について、2点お伺いします。

(1) センターと県との関係及び、センターの財政収支について

 まず最初に、兵庫県立芸術文化センターと兵庫県の関係について、お金の流れと人の流れを中心に、その概要をご説明ください。
 あわせて、同センターの平成22年度の財政収支の状況について簡単にご説明をお願いします。

(2) センターの予算管理について

 次に「センターの予算管理」についてお伺いします。
 3千万円の収支プラスという事で、黒字ではありますが、県からの支出が、14.4億円入っておりますので、センター単独で見た時には、14.1億円の赤字事業ということになります。
 そもそも、平成19年度から22年度までのセンターの収支状況(経営状況)を見れば、事業収入や県費支出等を総合した収入総額は32~34億円であるにも関わらず、収支差額は21年度の2億2千万円を除けば、概ね3~5千万円で推移しており、事業収入を上げる努力をしているのか疑問が残ります。県費を使える範囲で使って、わずか数千万円の黒字を維持すれば足りると考えているのではないかとさえ思われます。
 また、企画県民部の歳入歳出決算報告書によれば、12億円の予算額に対して、2月補正で870万円、当初予算額に対して0.7%の減額補正となっています。
 この点、企画県民部のそれぞれの事業における当初予算額に対する2月補正での減額補正額の平均割合は2.3%であり、センターの3倍以上もの割合となっていることを考えれば、センターが事業を実施するにあたり、より一層の費用節約に努力するよう、県として、しっかり管理すべきではないでしょうか。
 そこで、県として、芸術文化センターが事業を実施するにあたって、より一層の事業収入確保と費用節約に努めるべきとの観点から、その予算管理をどのように行っておられるのか、お伺いします。

 この場は、枝葉末節について追求していくにはそぐわないと思いますが、行革の中、様々なところでコスト削減がなされており、高い費用対効果を要求されている状況の中で、芸術という目には見えない効果に対して聖域を定め、ザル勘定の予算執行になってはいないかと懸念しております。
 予算規模も決して小さな数値ではないですし、扱う金額が大きくなれば、人間不思議なものでザル勘定になる傾向にあります。
 私も前職の投資会社時代、5千万円の投資案件には、社内の目が厳しいのに、20億円の投資案件はすんなりと通ったりと不思議な経験がよくありました。人間、身近な数字であれば、精査が出来ますが、金額が大きくなるとエイヤーとなってしまいます。
 更に前職時代の話ばかりで恐縮ですが、ブロードウェイのミュージカルに対するプロジェクトファイナンスに投資をした事があります。
 そのミュージカルは、資金調達に苦労して、上演開始にたどり着けない危機が何回もあり、その度に、プロデューサーが資金集めに駆けずり回っていました。
 ブロードウェイは、ご存知の通り、世界で一番シビヤなところで、十数億と集めて、開演に持っていっても、客が入らなければ、1週間も待たずに、劇場側から立ち退きを要求されます。お陰さまで、私の投資PJは、ロングヒットで、未だ上映中です。
 彼らは、お金を集めるのに苦労し、お客を集めるのに苦労して、針のむしろの上で芸術という商いをマネジメントしているからこそ、世界で一番のミュージカル文化を継承出来ている訳です。
 私は、芸術振興に関する予算をそこまで厳しくする必要性は感じませんが、淘汰される環境にあっても生き残れる価値があってこそ文化とも言える訳で、甘やかした予算を与える事で、むしろ、文化の振興を止めてしまう可能性もある訳です。

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