三戸政和議員が質問(決算審査・産業労働部)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月13日(木)

 先日の企画県民部での質問は、生意気にも厳しい質問、要望をさせて頂きました。
 前回は、予算を可能な限り減少させるべきだという視点での質問で、当局の皆さんには、少し不快な質問、要望であったかと思います。
 しかし、私も冷徹な人間で、とにかくカットしろという発想を持っているのではなく、むしろ、一歩踏み込んで、事業を拡大して欲しいと期待する視点も持っております。本日は、「選択と集中」を基本に据えつつ、事業を推進する視点で、質問、要望させて頂きます。

1 職業能力開発の推進について

 まず、「職業能力開発の推進」について、2点お尋ねします。

(1) 職業能力開発施設における就職率等について

 まず、「職業能力開発施設における就職率等」についてです。
 国の職業能力開発促進法を踏まえ、兵庫県でも第8次兵庫県職業能力開発計画に基づき、「強みを生かし、元気なひょうごを支える人づくり」に向けて、5つの公共職業能力開発施設において、新規学卒者、離転職者、障害者などの求職者に対する職業能力開発を行なって来ました。
 この点、平成22年度における各学科や各コース全体の平均就職率を見れば、但馬技術大学校が95.8%、神戸高等技術専門学院が73.3%、姫路高等技術専門学院が82.8%となっております。
 厚生労働省発表の平成22年度大学等卒業者の就職状況調査にある、これらの施設と類似する専修学校の平均就職率が86.1%であることと比べますと、神戸で12.8%マイナス、姫路で3.3%マイナスとなっております。
 また、未修了者、つまり退校者が、姫路では9.0%であるのに対し、但馬は、23.6%となっておりますので、一見すれば、但馬の就職率が高いようにも見えますが、入学者数に対する就職者数では、数値は変わりません。
 そこで、平成22年度におけるこれらの各施設の平均就職率及び退校率の状況に対して、どのように評価、分析をされているのか、但馬だけ199千円の授業料をとって、他の2施設は無料とされている理由を含め、お伺いします。
加えて、各施設の修了生の就職定着状況について、どの程度まで把握しているのかも含めご説明をお願いします。

 この大学校という事業は、非常に重要なコンセプトであると思っております。「手に職がない。職があれば雇用機会に巡り会えたのに。」といった人たちに、手に職をつけてもらう。民間の専門学校に行けば数十万という金額がかかるが、税金でカバーしながら労働者の裾野を広げていくということは、非常に重要な施策です。
 しかし、そのような場を作ったら、それで行政の仕事が終わりというのではなく、そこに競争原理が働かない分、その品質を高め、維持する努力を民間以上にしなくてはいけません。また、授業を受ける方々にも、税金を投入している事に緊張感を持って頂く仕組みを考えて頂く必要があろうかと思います。
 中途退学をした場合や、就職できる機会があったのに就職という選択をしなかった場合であるとか、就職後に1年程度で辞めてしまった場合には、授業料相当額をある程度負担してもらうなどが考えられるかと思います。
 同時に、学校の運営も、民間に劣らない緊張感を持つような仕組みを整えるべくお尋ねしたような数値の分析が必要かと思います。

(2) 民間企業との協業について

 次に「民間企業との協業」についてです。
 私の地元には、ものづくり系の大企業が多くあります。ある会社を視察させて頂いた時に、自社の工場内で、ものづくりの学校を運営しており、技能五輪で、全国で優秀な成績をおさめておられました。
 こういう点をみても、ものづくりの基礎技術を教えるという事は、非常に重要だと思うのですが、このような民間企業と協業する事によって、最先端の技術指導を受けたり、あるいは寄付講座のようなものを開設してもらうことで、大学校の運営コストを軽減させたりするといった取組はされているのでしょうか。
 姫路に新設されたものづくり大学校は、約42億円の総工費をかけて作られておりますが、実は民間企業との協業を考えて行けば、既に使わなくなった工場施設を安く購入出来た可能性や、あるいは貸してもらえる可能性等もあったのではないかと思います。また、このような形で民間企業との接点を持っていけば、その企業への就職も可能となり、就職率も上昇していく道が拓けていくのではないでしょうか。
 そこで、こうした民間企業との協業や交流の推進について、県としてどのように認識しどのように取り組んでおられるのか、その実績を含め、お伺いします。

 非常に重要なコンセプトの事業だけに、長く続いて欲しいと願います。そのためには、厳しい財政状況の中、品質の維持が重要となりますので、知恵を絞りながらの事業運営を要望します。

2 新産業の育成について

 次に、「新産業の育成」について、2点お伺いします。

(1) ひょうご産業活性化ファンドの成果及び評価について

 まず、「ひょうご産業活性化ファンドの成果及び評価」についてです。
 新産業の育成という考えの下、平成17年度及び18年度以降、ひょうご産業活性化センターにおいて、ひょうご産業活性化第1号ファンド、第2号ファンドというファンドに基づき、中小・ベンチャー企業の資金調達を支援するための投資事業が進められております。これらのファンドは、2つ合算での総額が15億円で、内、活性化センターからのファンド拠出が約12.6億円という数字となっておりますが、これら2つのファンドについては、既に投資実行が終わっております。
 そこで、当初の重点投資対象として掲げた大学発ベンチャーや、次世代成長産業への投資が現実に図られたのか、また、新産業の創造を図る事が出来たのかなどを中心に、これらのファンド事業の成果及び、これに対する当局の評価についてお伺いします。

(2) 投資後の株式売却益の状況等について

 次に、「投資後の株式売却益の状況等」についてです。
 ただいまのご答弁にもありましたとおり、成果のひとつとして、県内企業に約14億円の売上が増加し、雇用数が109名増加したとのご説明がありました。
 しかし、ファンド合算での全体のサイズが15億円で、内、活性化センターからのファンドへの拠出が12.6億円あることを考えますと、雇用増加数一人当たり11百万円も使った事になりますし、県内企業の売上増加金額よりファンド金額の方が大きい状態となっております。
 勿論、企業が大きく成長して、当初の投資時に取得した株式の売却益が出れば問題ないのですが、これまでの投資先を見ておりますと、それほど期待出来る感じではない気がします。
 そこで、実際に取得株式を売却出来た実績とその売却損益、既存投資先の引当後の簿価について、具体的にご説明をお願いします。
 加えて、運用期間が10年あるファンドであるにも関わらず、第2号ファンドの投資状況として、平成23年の1月から3月の3ヶ月の間に、第2号ファンド全体の20%にあたる2億円が計5社に投資実行されており、内、4社は再投資となっております。また、第2号ファンドだけ運用主体がセンターになっておりますが、その理由についても、あわせてお伺いします。

 ここで、私は、本事業を税金の無駄遣いだと断じたい訳ではなく、そもそも行政がベンチャー投資をすることに無理があるということです。
 ベンチャー投資は、私の専門ですが、千三つの世界です。日本にある大手VCでも、この景況感の中、また、新興市場が冷めきっている中、売却益が出るようなファンド運用は、殆ど出来ていません。また、ひょうご産業活性化ファンドのそれぞれ個別の投資金額や、投資タイミングを見ていますと、民間のVCと同じような投資スタンスをとっており、行政がやる意味を見出し難い状況です。中途半端にやるのであれば、やらない方がましです。
 私の考えは、むしろ割り切って、助成金のような発想で投資していくのが良いと思っております。
 今、この業界で何が求められているかと言いますと、広く薄く、創業時に投資してくれる投資家です。これは、ファンド運用実績のみを追求しなくてはいけない民間では、リスクが高すぎてなかなか出来難い事ですし、融資という性質では難しい状況です。何人雇用が増えたとか、売上高が増えたとかよりも、どれだけの人を起業させることが出来たか、どれだけの投資先が売上を稼ぐ事が出来るようになったのかなど、新しい成果目標で運用してく方が、痒いところに手が届く、行政にしか出来ないファンドになります。
 シリコンバレーなどでは、学生に1年間の食事代とオフィスを提供する程度の投資を100人にする、みたいなファンドが出来てきています。勿論、バラマキになりやすいので、ビジネスプランの精査や、投資後のメンテナンスは重要となりますが。
 本事業は、予算もそんなに大きくない事業なのですが、ここで私が言いたかったのは、先ほどのアイディアを検討して頂きたいという業界人としての意見と、加えて、流行に乗るのはやめましょう、ということです。
 第1号ファンドが立ち上がったのが、ライブドアなどが有名になってきたベンチャーブームの時です。第2号ファンドは、ライブドアショックが終わって、リーマンショックになる前のベンチャー投資が復活した頃です。どの事業でも同じだと思いますが、民間で流行っているからやるのではなく、行政としての立ち位置はどうあるべきで、どうすれば民間に出来ない事ができるのかということを突き詰めて欲しいと思っております。

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