小池ひろのり議員が質問(決算審査・教育委員会)を実施

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年10月18日(月)

1 学校現場のクレーマー対策について

 私は、只今開催中の県議会本会議で“学校現場の活性化について”を取り上げました。全体的に前向きな回答を伺いましたが、特にクレーマー対策では、現場の声が県教委に十分に届いていないと判断し、再質問をしました。残念ながらお聞きしたい回答を得ることが出来ませんでした。
 そこで、学校現場におけるクレーマー対策について、教育委員会や教育事務所に設置されている学校支援チームが、どのような人員体制で取り組まれ、学校との連絡を常日頃どのように取り組み、さらにクレーマーに対して学校に代わってどの程度対応し、解決してこられたのか、それに対する学校側の評価はどうなのか、といったことについて、具体的な実績をお示し頂きたいと思います。

2 学校現場における教育効果の向上について

(1) 学級規模の現状について

 この決算委員会では、少人数学級に焦点を当て質問させて頂きます。
 文部科学省はこの度、30年ぶりに40人学級を見直し、30人~35人を基軸とした少人数学級の実現に向けた新たな教職員定数改善計画を策定しました。しかしながら、この計画は平成23年度から30年度までの8カ年計画という長いスパンで行われることとなっていることから、必ずしも迅速かつ十分な計画とはいえない状況にあります。
 私は、7年前の平成15年に、県会議員に初当選させて頂き、高校・大学の35年間の教師経験から、現場の声を中心に取り上げ、少人数学級の必要性を訴え続けてまいりました。
 そして翌、平成16年4月から、小学校1年生の35人学級が実現し、以来、毎年、上級学年に波及し、現在は小学校4年生まで35人学級になりました。
 そこで、まず現状の規模に至るまでの検討背景や経緯についてお伺いします。               

(2) 少人数学級の推進について

 我が兵庫県においては、これまで県の取り組みとして、小学校4年生までの35人学級を実現する等、精一杯良くやってきたと思われている方々も多いと思います。
 しかしながら、現状では、1学級40人が基本となっていることから、例えば公立高校でも、上は東京大学を目指す生徒から、下は筆記体のアルファベットが書けない生徒まで、大幅な学力格差があるクラスで、40人の生徒を相手に、効果的な一斉授業の展開は神業と言えます!
 今から25年程前の私が教鞭をとっていた時期に、個性に合った授業なんていうのは、その時ですら学習能力に大幅な格差があったことから、極めて困難な状況でした。そこで、私たちは、高校英語の授業でスリーオンツーを導入していました。すなわち2クラスを能力別に3つのクラスに分け、少人数化を図り、少しでも分かりやすい授業を目指しました。
 もちろん制度上、認められていませんでしたので、増えた1クラス分は、教師の持ち時間にプラスされ、他の教科に迷惑を掛けないように、英語科の教師の負担増で乗り切っていました。このような現状を知っている人なら、40人学級なんて、とんでもないというのが実感です。その40人学級が未だに続いているというのが現状です。このような状況で、個性にあった授業とか、学力向上を願う方が無理だというのが真実です。
 1学級当たりの児童生徒数は、OECD平均で小学校21.4人、中学校23.4人に対し、日本はそれぞれ28.1人、33.0人で、31人以上の学級に在籍する児童生徒数の割合は、小学校で54%、中学校で82%という現状です。諸外国の実態を調べるほど、日本の教育支援の貧困さに驚きさえ覚えます。
 何事も教育が基本です。10年後、20年後の日本の発展と、安心・安全な日本を願い、少人数学級を積極的に推進すべきと考えます。予算が厳しいことを承知の上、学校関係者として声を大にして、敢えて少人数学級推進を主張しなくてはならないと思います。
 私達の年代では、親が子を餓死させるなんて考えられないことであり、子が親を殺すような余りにも悲惨な事件が、最近多すぎる社会になってしまったと思います。子供の時に、しっかり“日本の心”や優しさを教え、学ぶことが楽しいと感じられるような教育環境作りが必須であると考えます。
 そのために、ここにおられる皆さんにご理解して頂き、まず少人数学級を全学年に広げていくべきだと思う訳ですが、当局のお考えをお伺いします。

3 充実した教育環境づくりについて

 兵庫県の財政は、平成21年度決算ベースで実質公債比率は20.7%で、全国ワースト2位、将来負担比率は366.4%で全国ワースト1位と、大変厳しい状態だということは、私も十分承知しています。そこで、これまで以上に予算の編成と事業執行にあっては、選択と集中に配慮した対応が不可欠になってきています。
 このような厳しい財政状況の中、教育予算についても、相当割合のカットも止む得ない、学校現場も我慢をして当然と思われている方もいるのではないでしょうか! 実際、日本全体の教育予算を見てみると、ここ10数年来、据え置き、もしくは削減されてきた部署が多かったことと思います。教育関係者も厳しい状況を考えると、現場にとって重要であっても、あまり要望なども出さず、我慢をして、与えられた予算の中で頑張ってきたと言えます。  
 今まで、皆さん「教育は大切だ」と言われてきましたが、日本では、ここ30年教育が置き去りになってきたと言わざるを得ません。OECDが発表したデータによると、2007年度における日本の教育予算は、OECD諸国の中で極めて低く、対GDPに占める割合で、各国平均が4.9%に対し、日本は3.3%と、データのある加盟28カ国の中で最下位でした。
 さらに、世界に目を向けると、日本と比較して経済・文化面などで発展途上にあるとみられている国々でも、教育には大変力が入れられています。
 先日、民主党会派で視察したインドのムンバイのような大都市では、経済格差が大きく、路上生活をしている人々が50%以上いるそうです。「家庭が貧しく朝食を食べていない子供も多く、元気がない」という学校側の悩みに答える形で、全インドの公立校では、無料の給食が、10 年ほど前から1~4年生に実施されるようになり、その結果「学習効果が上がるようになった」という実例も伺いました。
 「出来れば、子どもには教育を受けさせたい」という親心に加え、学校に行けば給食が出ることもあり、路上生活から学校に通う児童も多く、特にこの10年間で就学率も80%を超えるという向上ぶりを示しております。そんな貧しい生活レベルの中にあっても、教育予算を削るのではなく、国の発展を願い、教育の向上に力を入れていると伺いました。
 小学校の授業内容では、毎日英語の授業が全学年に設けられ、将来性を見込んでの英語教育に対する意識は、日本より遙かに高いものがあると実感させられました。
 もちろん経済発展の面でも、教育は不可分です。アラブ首長国連邦のドバイも、まず教育に力を入れました。これからドバイを担うと思われるトップクラスの人たちを国費で海外留学させ、経済学を勉強し帰国した人を中心に、あの砂漠の中に、世界経済を引っ張る都市“ドバイ”を作ったのは有名な話です。
 フィンランド等では、幼稚園から大学院まで授業料は無料、さらに奨学金が与えられるという教育の支援体制が徹底されており、20人以下学級や複数担任制など羨ましい限りでした。PISAの統計で教育水準が、世界最高であるのが当然であると、自信を持って言い切る教師の目が輝いていました。教育の落ちこぼれ、社会の落ちこぼれを出さないことで、犯罪の抑止に繋げ、警察官の増員を図るのではなく、教育に先行投資することで、安心・安全な社会づくりに繋げていると説明をしてくれました。
 スウエーデンでは、教育は未来を担う若者を育てるための先行投資だと言っています。どの国でも教育に力を入れるのはそのためです。「国家百年の計、教育にあり」文字通り、日本も教育予算を増額し、教育にもっと力を注ぐべきと考えます。
 昨年8月に民主党政権が誕生し、本年度の文科省予算が対前年度比5.9%増、文教予算は8.1%増で、過去30年間の最高の伸びを実現するという、大きな変革を実現させました。
 県としても先に申し上げた少人数学級の推進はもとより、充実した教育環境づくりに向けた予算確保と事業の推進が必須だと考えます。繰り返し申し上げますが、厳しい予算の中でも、“教育が基本である”という観点から、教育委員会として現場の声をしっかりと反映させた、教育環境づくりの向上について、取り組んでいくにあたり、今後の決意をお伺いしたいと思います。

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