池畑浩太朗議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2010年10月7日(木)

1 財政指標に対する評価について

(1) 将来負担比率の評価について

 平成19年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、財政の健全性が判断される指標の一つとして将来負担比率がしめされました。
 これは、地方公共団体の一般会計等の地方債や将来支払っていく可能性のある負債等の現時点での残高を指標化し、将来の財政を圧迫する可能性の度合いを示すものであります。
 兵庫県は、震災復興のために多くの起債を行っており、平成21年度決算でも366.4%と全国ワースト1で、前年度と比較して6.3ポイント上昇しております。新行革プランのフレームの平成21年度予測の388.3%よりは低くなっているもの、依然高い水準にあります。
 そこで、21年度決算における将来負担比率の結果に対する財政運営上の評価についてお伺いします。

(2) 将来負担比率の今後悪化しない抑制策について

 また、新行革プランでは、歳出見直し効果がでるまでの間、財源対策として退職手当債や行革推進債を活用していきますが、これらは交付税措置がない分、将来負担比率を押し上げる要因となることから、今後の悪化も予想されます。
 そこで、次年度以降、悪化が見込まれる実質公債費比率の抑制策についてどのように取り組むのか方針を伺います。

2 公社改革等について

 平成19年に地方自治体の財政健全化に関する指標として、将来負担比率が公表されたことにより、兵庫みどり公社、兵庫県道路公社、土地開発公社、住宅供給公社といった団体に対する県の損失補償額、負債額等の将来負担が多額にのぼることがクローズアップされており、これらの莫大な債務の軽減が必要となっております。
 特に、兵庫みどり公社の分収造林事業については、表面上は資産・負債の収支がとれているように見えますが、現時点でも、木材の販売価格がかなり低下していることから、現時点での資産評価をすれば既に大赤字であり、平成90年度に収支を均衡する計画を立てておりますが、壮大で、無責任とも言える計画であることから、抜本的な対策が必要と考えます。
 そこで、最近の公社等を巡る動きと絡めて以下の質問を行います。

(1) 滋賀県造林公社の特定調停の影響等について

 まずはじめは、滋賀県造林公社の特定調停の影響等についてお伺いします。
 滋賀県造林公社は、兵庫みどり公社と同様の分収造林事業を行っている公社ですが、近畿の水がめである琵琶湖を守る森林を管理することから、淀川下流の本県をはじめとする8公共団体が出資、資金を貸し付けております。
 分収造林事業は、伐採できるまで自主財源がないことから、公社運営に関する経費を借金でまかない、将来の伐採収益で返済する計画を立てていましたが、木材価格の大幅な下落・低迷などにより、借入金が膨らみ、債務残高は360億円を超えました。
 このため、滋賀県造林公社は、平成19年11月に借入先である農林漁業金融公庫、滋賀県及び下流8団体に対して裁判所を通じて、債務の免除を要請する特別調停を申し立てました。しかし、滋賀県は農林漁業金融公庫と公社が返済できない場合は、県が支払いを負担する損失補償契約を結んでいたことから、公社の債務についての農林漁業金融公庫から一括に返済を求められました。その後、協議の結果、滋賀県がその債務を42年間に分割で支払うとこととなっております。
 そこで、滋賀県造林公社から債務免除等を求められた場合、本県ではどのような影響があるのか。また、特定調停発表以降、金融機関から分収造林事業を行う公社への貸付が厳しくなったと聞いておりますが、兵庫みどり公社の運営等に対してどのような影響があったのかお伺いします。

(2) 財産評価の今後について

 滋賀県造林公社の特定調停申し立ての中で、公社の資産については、約368億円と貸借対照表に計上されておりますが、資産を査定した結果、資産は最大で見積もっても約122億円と約1/3の評価額しかないとされております。
 兵庫みどり公社の分収造林事業の資産についても、取得時の価格を記載しておりますが、実勢価格はもっと低いと思われます。
 そこで、兵庫みどり公社の資産については、適切な資産評価を行い、その上で今後のあり方についての検討が必要と考えますがご所見をお伺いします。

(3) 公社等の解散等について

 総務省では、2013年までの5年間に限り公社の解散か業務廃止を条件に「第3セクター等改革推進債」を認めるなど、公社の見直しを推進しております。県としても、みどり公社などの重い金利負担を考えれば、債務の処理は急務となります。
このような中、茨城県では、債務超過に陥っている「県住宅供給公社」を「第三セクター等改革推進債」380億円を活用して公社を破産させることとし、先月28日、水戸地方裁判所に対して破産手続き開始の申立が行われ受理された旨の報道がなされたところです。
「第三セクター等改革推進債」は、このような公社の解散などに活用できるものですが、発行可能期間が平成25年度までとなっており、茨城県は解散を前倒しする方針を決め、先月22日の県議会で、同債の起債を含めた解散関連議案が可決されたことから、破産手続きを開始したと聞いております。
兵庫県でもそのような手法も検討の一つと考えますが、第三セクター等改革推進債の活用も含め、公社等の解散等について当局の所見をお伺いします。

(4) 4公社の負債額等の削減方法について

 いずれにしても、県の将来負担比率に影響を与える兵庫みどり公社、兵庫県道路公社、土地開発公社、住宅供給公社の4公社の莫大な債務の軽減が必要であります。
 そこで、将来負担比率に影響のある4公社の債務額等の縮減についてどのように取り組んでいくのか方針を伺います。

3 人事委員会勧告と給与削減について

 平成20年の新行革プラン策定以降、給与については、これまでの人事委員会勧告を踏まえた対応と新行革プランに定める給与の抑制措置を講じてきたところであります。昨年度は、人事委員会勧告による給与の引き下げや県独自の給与カットにより前年度に比べ人件費が323億円減少したことから、県税収入が大幅に減ったにも関らず、収支的には黒字を確保しております。
 人事委員会勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、公務員に対して適正な給与を確保するものであり、能率的な行政運営を維持するものであることから、人事委員会勧告の趣旨を尊重するべきであります。
 しかしながら、現在の人事委員会勧告では、民間と公務員の給与格差について、自治体が抑制措置をとっているにもかかわらず、減額される前の給与と比較して、民間より高いと報告しており、実態とはかけ離れたものとなっており、公務員に対して適正な給与を確保するものとなっていません。
 平成22年度の人事委員会勧告についてまもなく提示されますが、人事院勧告でも民間との格差によって、平均年間給与9.4万円、1.5%の引き下げを勧告していることから、兵庫県の人事委員会勧告についても、引き下げ勧告が予想されます。
 しかしながら、兵庫県については、給与の抑制措置に加え、本年も予想される人事委員会のマイナス勧告が続けば、職員のモチベーションに支障を来たすことは明白であり、今回の給与の見直しにあたっては、人事委員会の勧告は尊重するものの、これ以上職員の士気を損なうことのないようにするべきであります。
 そこで、人事委員会勧告については尊重するものの、給与の最終決定は、県当局にあることから、職員の理解を得るためにも、何らかの措置を講じる必要があると考えますが、ご所見を伺います。

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