永富 正彦議員が質問(決算審査・産業労働部)を実施

決算特別委員会 [ 10月15日(月)産業労働部・永富議員 ]

1 本県経済の現状と活性化について

質問の第1は、「本県経済の現状と活性化」について、3点お伺いします。

(1) 活性化へ向けた課題認識と取組の成果について

1点目は、「活性化に向けた課題認識と取組の成果」についてです。
昨年3月に発生した東日本大震災は、その被害規模が甚大であっただけでなく、サプライチェーンの寸断や電力供給の制約、原子力災害等を通じて、被災地域以外の広い範囲で大きな経済的ダメージを及ぼしました。
その結果、リーマンショック後の急速な景気悪化からようやく持ち直しつつあった我が国経済は再び大きな打撃を受け、景気全体に弱い動きが目立つようになりました。その後も、ギリシャの債務問題に端を発する昨年夏の欧州政府債務危機、また昨年秋のタイの洪水被害など、我が国経済に大きな影響を与える出来事が数多く発生しましたが、今年に入ってから、ようやく復興需要等に支えられた内需主導の上向きの動きをはじめ、全体として上向きの動きが見られるようになりました。
本県経済についても、依然として力強さに欠け、厳しい状況が続いている中、県においては、その時々の社会経済情勢の変化に的確に対応するとともに、より長期的な視点に立って10~20年先を見通し、本県のあるべき産業構造を実現するため、経済・雇用分野での県政運営の基本的な考え方及び具体的施策の方向を示す「ひょうご経済・雇用活性化プログラム(平成23~25年度)」を昨年4月に策定し、本県における経済・雇用の活性化を目指し、様々な取組を推進しておられます。
そこで、まず、本県経済の活性化を図る上で、どのような課題認識のもとで、昨年度はどのような取組を行い、その成果はどうであったのか、同プログラムの内容にも触れつつ、ご説明ください。

(2) 本県のものづくりを支える中小企業への支援について

2点目は、「本県のものづくりを支える中小企業への支援」についてです。
近年、我が国のものづくり産業は、厳しい試練に直面しております。家電各社は、テレビの不振で過去最大の赤字を計上し、自動車各社も世界最大の中国市場で欧米メーカーに出遅れているなど、長引く円高が逆風となり、これまで我が国の経済発展を支えてきたものづくり産業が、軒並み総崩れという深刻な状況に陥っております。加えて、日本政府による尖閣諸島の国有化後の反日感情の高まり、不買運動も長期化する様相であります。
経済産業省がとりまとめた2012年版ものづくり白書では、「国際的な構造変化に直面する我が国ものづくり産業」と題して、我が国のものづくり産業は技術では優るものの、事業展開で諸外国に後れを取り、技術優位性のある製品分野であっても、軒並み世界市場でのシェアを急速に落とし、十分な利益の確保が困難になっていると分析しています。
このような状況を見れば、我が国が「ものづくり大国・技術立国」として今後も持続的な成長を続けるためには、産学官や地域等が連携・協力して、これまで地域で育まれて来た伝統の技や匠の技を集積・伝承し、我が国の技術優位性をしっかりと確保するとともに、国際的な構造変化に対応できるよう、事業の効率化と対応力の強化を図っていくことが重要です。
しかし、我が国また本県においても、ものづくりを支えている企業には中小規模の企業が多く、優れた技術や商品を持ちながらも、販売面や事業面で苦労していながら、自力で営業力やマーケティング力を増強していくのが困難な企業も数多くあるものと思います。本県経済全体の活性化は、このような、ものづくりを支える中小企業の活性化なくしては実現しないと言っても過言ではないと考えます。
そこで、様々な経営課題を抱える中小企業を総合的に支援するため、県としてどのような支援や取組を行っているのか、その成果を含め、ご説明ください。

(3) ものづくり人材の育成・確保について

3点目は、「ものづくり人材の育成・確保」についてです。
ものづくり産業の活性化を図るためには、先に述べたように、国際間競争に打ち勝つことができるような事業の効率化、競争力強化を図っていく一方で、ものづくり人材の育成・確保に積極的に取り組んでいくことも重要なポイントだと考えます。
この点、定年退職等により、昨今、知の塊ともいえるベテラン人材が、ものづくりの現場からどんどん離れて行っています。韓国や中国企業がこうした人材を好待遇で雇用する動きも強まっており、ものづくり産業からの国際的な人材流出も深刻な問題となっております。
その一方で、ものづくりが好きという若者が非常に少なくなっていることも気がかりです。長期的な視点に立って、我が国のものづくり産業の持続的発展を目指す上で、自分の手を動かしてつくることへの興味や、自らものを作り出すことへの喜びを小さいうちから学ばせていく必要があるのではないでしょうか。
この点、本県においては、ものづくりに係る総合的・体系的な人材育成拠点として「県立ものづくり大学校」の教育研修施設が昨年4月に供用開始されました。
そこで、同大学校において、ものづくり人材の育成・確保にどのように取り組んでいるのか、また、その成果について、ご説明ください。

2 若者の雇用対策の推進について

質問の第2は、「若者の雇用対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 本県における若者雇用をめぐる状況について

1点目は、「本県における若者雇用をめぐる状況」についてです。
政府が本年3月19日に開催した「経済界や労働界の代表や教育関係者との雇用戦略対話(第7回)」において、内閣府が示した資料によれば、大卒・高卒の就職率は、9割超という水準にあるものの、現実には若者雇用をめぐる実態が非常に厳しいものであることを表す数字が示されました。
すなわち、同資料では、平成22年春に大学や専門学校を卒業した学生約85万人のうち、卒業後すぐに就職しているのは56万9,000人となっているところ、近年の若年層の離職率が上昇している傾向にあることから、これらの就職者のうちおよそ19万9,000人が、就職後3年以内に早期離職しているとされており、定着率の悪さも見られます。
また、卒業時に就職しなかった人やアルバイトなど一時的な仕事に就いた人は14万人、大学等を中途退学している人が6万7,000人とされており、これらに先ほどの早期離職者を含めると、学校から雇用へと円滑に接続できず、安定的な仕事に継続的に就いていない若年者はおよそ40万6,000人、全体の52%にも上ると推計されております。
更に高卒で進学しなかった人に絞れば一層厳しい状況にあり、卒業後進学をしなかった35万人のうち安定的な仕事に継続的に就いたのはおよそ11万1,000人に過ぎず、残りの23万9,000人、およそ68%もの人が安定的な仕事に就いていないと推計されております。
実際には、卒業後に時間をおいてから就職したり、一旦離職してもすぐに再就職したりというケースもあり、これらの推計だけを見て判断することは早計だと思いますが、いずれにしろ非常にショッキングな数字であり、若者の雇用問題の解決は急務であると考えます。
そこでまず、県内の昨年度末の新規学卒者に係る就職率の状況を含め、本県における昨今の若者雇用をめぐる状況について、県としてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 若者の正規雇用確保へ向けた支援について

2点目は、「若者の正規雇用確保へ向けた支援」についてです。
先ほども述べたとおり、昨今の若者雇用をめぐる状況は非常に厳しいものがあり、政府においても、本年6月、労働界、産業界、教育界、有識者と連名で、自ら職業人生を切り拓ける骨太な若者への育ちを社会全体で支援することを定めた「若者雇用戦略」について合意し、必要な施策を着実に推進するとともに、その実施状況を検証することとされました。
本県においても、同戦略に示された内容を十分に勘案しながら、国をはじめとする関係諸方面と連携・協力しながら、若者雇用対策に取り組んで行かれることと思いますが、私は、同戦略が定める具体的施策の方向性の中でも、特に重要になってくるのは、本人の希望に関わらず非正規雇用を余儀なくされている、いわゆる不本意非正規の若者を、いかにして正規雇用へつなげていくかという点であると考えます。
かつて日本でスタンダードとなっていたはずの終身雇用「卒業したら正社員として定年まで働く」という安定した雇用モデルは、近年、どんどん少なくなっているのが現実です。
しかし、私は、これまでの雇用慣習や日本人の気質を考えれば、正規雇用こそが、雇用者のやる気をもっとも引き出し、成果を生むことにつながり、ひいては我が国の経済活性化にも資するものと考えます。欧米人が自ら積極的にチャレンジすることに「安心」を感じるのに対し、日本人は、逆に「安心」があるからこそ自ら積極的にチャレンジしようとするのではないでしょうか。
だからと言って、私は、非正規雇用の形態を否定する訳ではありませんし、多様な働き方があっても良いと考えます。
ただ、先ほど申し上げたような、本人の希望に関わらず非正規雇用を余儀なくされている方々に対しては、行政として、しっかりと正規雇用の確保へ向け、支援を行っていくべきです。
そこで、県として、いわゆる不本意非正規の方々を正規雇用へとつなげていくため、どのような支援を行っているのか、その成果を含め、ご説明ください。

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