永富 正彦議員が質問(決算審査・県土整備部)を実施

決算特別委員会 [ 10月17日(水)県土整備部・永富議員 ]

1 市街化調整区域内における土地の有効活用について

質問の第1は、「市街化調整区域内における土地の有効活用」について、2点お伺いします。

(1) 開発許可の弾力的運用について

1点目は、「開発許可の弾力的運用」についてです。
迅速かつ効率的に公共投資を進めることのできる中央集権体制は、明治維新以降の富国強兵、殖産興業の国策の下での西洋に追いつけ追い越せという右肩上がりの時代や、第2次世界大戦後の早期復興を果たしてきた高度経済成長期においては、大変有効に機能しました。
しかし、現在の成熟社会において、中央集権体制は、反対に各地域が抱える個別の事情を踏まえたきめ細かな政策の展開を阻害し、地方を疲弊させる要因ともなっています。
このような中、近年、国は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる活気に満ちた地域社会をつくることを目指す「地域主権改革」に取り組んでおります。この改革では、より住民に身近な基礎自治体への権限移譲を進めるとともに、これまで国が一律に決定し自治体に義務付けてきた基準・施策等を、条例の制定等により、自治体が自ら決定し実施できるように改める取組も進められており、こうした大きな改革への流れは、まさに、それぞれの地域に住まう住民の方々自身が求めておられるものだと思います。
さて、まちづくりの分野においては、このような地域主権改革の動きが本格化する以前から、住民が主体となったまちづくりの必要性が指摘されるなど、地方分権や住民自治の意識の高まりが見られ、こうした動きを踏まえ都市計画法が改正され、平成13年5月に施行されました。
この改正都市計画法により、都道府県の条例で定めれば、市街化調整区域内であっても、一定の開発行為や建築行為を行うことを可能とすることができるよう制度改正が行われました。
これを受けて、本県でも、都市計画法施行条例を制定し、開発指定区域制度や特別指定区域制度等により、市街化調整区域における開発許可について地方分権時代に相応しい地域の実情に即した弾力的な運用を行なうとともに、開発許可に係る基準の明確化、手続の迅速化等に取り組んでおられます。
そこでまず、同条例に基づく特別指定区域制度について、指定に至るまでの具体的な手続をご説明頂くとともに、昨年度中の指定実績についてご説明ください。

(2) より一層の弾力化について

2点目は、「より一層の弾力化」についてです。
私の地元、稲美町の推計人口を見るに、都市計画法が施行された昭和44年6月当時には約20,300人でしたが、本年9月1日時点では約31,000人と、40年余りの間に約1.5倍に増加しました。一方、近隣の播磨町の推計人口について見れば、同じく約12,200人が約33,800人と、約2.8倍にも増加しております。
二つの町の面積(本年9月1日時点)を比べれば、稲美町が約35.0平方キロメートルに対して播磨町は埋立地を除けば約6.2平方キロメートルと、稲美町が播磨町の約5.6倍もの面積を有するにも関わらず、昭和44年以降の人口増加率は播磨町の方が約2倍、本年9月1日時点の推計人口も播磨町の方が多くなっております。
確かに、海岸部と内陸部の違いや、交通利便性の影響もあるものと思いますが、私は、それよりも、稲美町の大部分が市街化調整区域に指定されていることが大きな影響を与えているのではないかと考えております。
すなわち、播磨町の総面積9.09平方キロメートルのうち市街化調整区域とされているのは、わずか0.66平方キロメートル、約7.3%に過ぎません。一方、稲美町では総面積34.96平方キロメートルのうち、31.7平方キロメートル、約90.7%もの土地が市街化調整区域であり、このことが同町におけるまちづくりや人口動態に大きな負の影響を与えているであろうことは想像に難くありません。
この点、先ほど申し上げた「特別指定区域制度」は、こうした市街化調整区域における課題に対応するため創設されたものですが、ご答弁にもあったとおり、その指定を受けるまでには非常に手間ひまがかかる上に、現状の追認程度でしかなく、残念ながら、地域住民の方々のニーズに十分に対応できるものとは言えません。
こうした現状を考えれば、同制度がより使い易いものとなるよう一層の工夫、改善に努める一方で、そもそも市街化調整区域内における開発行為に係る規制緩和や法改正を国に求めるなど、県として地域の実情や住民ニーズに沿って、より柔軟に対応し弾力的な運用が行えるよう取り組んでいくべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2 都市計画道路網の見直しについて

質問の第2は、「都市計画道路網の見直し」について、2点お伺いします。

(1) 昨年度における取組と実績について

1点目は、「昨年度における取組と実績」についてです。
都市計画法によれば、都市計画とは、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」と定義されているように、いわば国土や県土を利活用していく上でのグランドデザインを描くものであり、これを立案し、実現していくには、非常に長い時間が必要となります。
しかしその一方で、現実の社会状況は急速に、かつ絶えず変化するものであることから、たとえ十分に検討して立案された計画であっても、ある程度期間が経過した後にも、様々な経緯や事情により実現に至っていないものについては、新たな視点を加えて、その計画を見直さざるを得ないものも出てくるものと思います。
中でも、都市計画道路については、昭和40年代頃までに将来的な必要性を見込んで計画されていながら、その後、現在に至るまで、40年余りの長きを経ても事業化に至っていないものが多く存在しています。仮に、何らかの事情により長期間にわたって事業が実施できない計画であっても、引き続きその実現へ向け努力すべきものも多いとは思いますが、中には、社会情勢の変化等を踏まえた見直しを行う方が望ましいものもあるものと思います。
近年、このような視点に立った都市計画道路の見直しが全国的に進む中、本県においても、平成22年度に作成された「都市計画道路網見直しガイドライン」に基づき、市町とともに必要な手続を進めて来られました。
そこでまず、昨年度における取組と実績についてお伺いします。

(2) 地元意見を踏まえた取組の推進について

2点目は、「地元意見を踏まえた取組の推進」についてです。
昨年度からの見直し作業を経て、この度、補助幹線街路に関する県の検証結果が取りまとめられたことは先ほどご答弁頂いたとおりですが、この検証結果は、今後、市町による検証結果を踏まえて廃止等見直しの対象区間を確定し、来年度から順次都市計画変更手続に着手する予定と聞いております。
一方、主要幹線街路及び都市幹線街路についても、同様に検証を行い、来年度中を目途に廃止等の見直しの対象区間を確定する予定と聞いております。
この点、たとえ未着手と言えども、都市計画道路に関しては、長期にわたり建築制限がかけ続けられてきたことや、現行の計画線を前提とした土地利用が既に行われている場合もあるのが現実であり、その見直しが地域の方々に及ぼす影響は非常に大きいと言えます。
このようなことを考えれば、廃止等見直しの対象区間の検討・確定にあたっては、地元市町や地域住民の意向を十分に聴取、尊重するとともに、見直し後に生じるであろう地域における諸課題への対応策等も見据えながら、地域の合意形成のもと、参画と協働により、取組を進めて行くべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 加古川市神野用地の有効活用について

質問の第3は、「加古川市神野用地の有効活用」についてです。
加古川市の神野用地は、JR加古川駅の北東約4キロメートルに位置する32ヘクタール余りの土地であり、平成21年11月に、県立加古川医療センターが開院するとともに、隣接して東播磨南北道路のランプが開設されました。
しかし、地区全体32ヘクタール余りのうち、4.2ヘクタールが病院用地として、また2ヘクタールが道路用地として活用されているのみであり、残りの26ヘクタール余りは、いまだ未利用のままであり、一見して空き地と言えるような状態で放置されている場所も広く存在します。
自主財源の確保の一環として、未利用地の売却益を充当すべきとの議論もありますが、神野用地における未利用地の評価額は、総額で約40~60億円と聞いており、仮にこれらが一斉に売却できたとしても、本県における年間の一般会計の予算が2兆円規模であることから考えれば、微々たるものであると私は考えます。
とするならば、自主財源を少しでも確保するために一斉売却するというような安易な方法を採るのではなく、これらの土地を地域のために有効活用する知恵を出し合って工夫を行うことによってこそ、県民の財産を守り、その福祉向上に資するものと考えます。
この点、県においては、この神野用地の有効活用を目指し、県立加古川医療センターを核とした健康拠点づくりを計画的に進めるため、外部有識者等から成る検討委員会を設置、昨年1月に土地利用構想を策定、公表されました。
そこで、同構想に基づき、昨年度中にどのような検討、取組が進められたのか、また、これを踏まえて、今後、どのような土地活用を図って行こうとされているのか、当局のご所見をお伺いします。

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