盛 耕三議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

決算特別委員会 [ 10月10日(水)財政状況・盛議員 ]

1 県債残高の推移について

質問の第1は、「県債残高の推移」について、2点お伺いします。

(1) 県債残高増加の原因について

1点目は、「県債残高増加の原因」についてです。
平成23年度の行財政構造改革推進方策実施状況報告書によれば、昨年3月に策定された第2次行革プランに基づき、着実に行財政構造改革の取組を推進してきた結果、平成23年度における主な財政指標については、平成30年度までの財政運営を見越してその中間目標(H23~25年度)として設定された数値を、いずれも達成しています。
しかしながら、本県財政が大きく好転したものではなく、いまだ多額の収支不足が、平成29年度まで見込まれており、この収支不足に対しては、財源対策として、今しばらく、いわゆる退職手当債や行革推進債の発行、県債管理基金の活用で対応せざるを得ない状況にあり、引き続き、行財政構造改革の着実な推進が必要だと思われます。
さて、県債残高全体の合計額について過去10年間の経年変化を見れば、平成14年度の27,716億円に対し、昨年度は38,050億円と約1.37倍となっております。
このうち、通常債は平成18年度以降に減少傾向、減収補填債の残高はほぼ同じで推移しておりますが、財源対策債については、平成14年度の770億円に対し昨年度は4,942億円と約6.42倍、臨時財政対策債に至っては、平成14年度の625億円に対し昨年度は8,276億円と、実に約13.2倍にも達している状況にあります。
このように、過去10年間における県債残高の増加の主たる要因は、財源対策債及び臨時財政対策債の大幅な増加によるところが大きいと言えます。
そこで、まず、過去10年間において、財源対策債及び臨時財政対策債が大幅に増加した原因について、当局のご所見をお伺いします。

(2) 県債残高の減額対策について

2点目は、「県債残高の減額対策」についてです。
昨年度の県債残高の合計額が、10年前の約1.37倍となっており、この10年間、残高は毎年、増加傾向にあり、少ない時で約900億円、多い時であれば約1600億円の増加が見られます。
その増加の原因の一つが臨時財政対策債の増加であることは、先ほど申し上げたとおりですが、知事は、平成23年度予算案の記者発表において、「臨時財政対策債の発行が増えていますが、これは100%交付税措置されるため、財政悪化の原因にはならないと考えています」という主旨のご発言をされております。
しかしながら、そもそも県債は、一般家庭で言うところの借金に当たるものであります。たとえ将来的に補填される見込みがあるものが含まれているとは言え、健全な家計運営、財政運営を行う視点からは、借金、つまり県債の残高は少ない方が好ましいのは当然であり、その減額へ向けて不断の努力が必要であることは、これまでから本会議や委員会の場において、繰り返し指摘されているとおりです。
とするならば、臨時財政対策債の減額へ向けて国に必要な働きかけを行うなど、県としてしっかり取り組んでいく必要があるものと考えます。
また、一方で、財源対策債の増加も、県債残高の増加を招く要因となっており、県財政における収支不足額を如何に減らし、財源対策債の増加を抑制していくかも大きな課題です。
そこで、今後、これらの課題解決へ向け、どのような対策を取って行かれるのか、改めて、当局のご所見をお伺いします。

2 収入未済額の改善について

質問の第2は、「収入未済額の改善」についてです。
今定例会に提出された監査報告書によれば、健全な財政運営の実現へ向け、収入促進対策として、多額に上る各種の収入未済額の改善が求められております。
昨年度決算の一般会計における収入未済額の合計は約228億円であり、調定額全体の1.1%にも上っています。近年、金額・割合ともに減少してきてはおりますが、まだまだ多額である状況には変わりありません。
そこで、以下、その改善について、3点お伺いします。

(1) 県税に係る収入未済について

1点目は、「県税に係る収入未済」についてです。
平成23年度の本県の決算状況によれば、県税における収入未済額は、前年度より約23億3,500万円減少し、約198億8,100万円となっており、このうち、滞納繰越額は約142億4,500万円となっています。
滞納額に占めるウェイトの高い、個人住民税(県民税及び市町民税)については、整理回収チームの活躍や市町と連携した取組が功を奏しており、一定の効果を上げているものと承知をしており、私も評価をしております。私が住んでおります相生市においても、徴収対策室を立ち上げた際に平成18年度から3年間、県から派遣をしていただき前年度の市税徴収率が87.7%に対し平成20年度には5.6ポイント改善しています。また今年度は整理回収チームに入っていただき、効果を上げ喜んでいると市職員から聞いております。
しかしながら、個人住民税に比べ、他の諸税については、どのような取組をされているのでしょうか。
例えば、不動産取得税や自動車税などは、平成23年度決算における調定額に対する収入未済額の割合が、不動産取得税は法定徴収猶予分除きで9.2%、自動車税は3.6%と高くなっておりますが、これらについての県による税収確保の取組が、今ひとつ県民の方々に十分に理解されていないように思います。
この点、過去10年間の調定額に対する収入未済額の割合の推移を見れば、不動産取得税については、法定徴収猶予分除きで、平成14年度の14.9%から昨年度は9.2%となっておりますが、一方、自動車税については、この10年間、3%台後半から5%台前半を推移しており、更なる努力が望まれます。
いずれにしろ、税の公平性という観点から考えれば、県民の方々の理解を得ながら、収入未済額を限りなくゼロに近づけていく努力が必要だと思います。
そこで、個人住民税、不動産取得税、自動車税の三つについて、23年度における収入未済額の改善へ向け、例えば調定額に対する割合などの数値的目標を含め、具体的にどのような改善目標を定めて、どのように取り組み、その成果はどうであったのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 悪質滞納者対策について

2点目は、「悪質滞納者対策」についてです。
そもそも、住民の方々に税負担を頂くにあたっては、各々の分に応じた税を負担頂くことにより、個人では出来ないこと、あるいは弱さを担っている方々への援助といったサービスの実施を行政に委ねることで、お互いの住みやすさなどを求めていくという税の公平性の理念がベースに置かれなければなりません。
この点、昨今の厳しい社会経済情勢下で、支払いたくても支払えない方や、支払猶予を受けざるを得ない方もおられることと思います。
しかし、その一方で、税を負担する能力、資力があるにもかかわらず、意図的に支払いを免れようとする者も少なからずおり、毎年、こうした悪質滞納者による収納未済も一定量発生し、このような悪質な事案に対応するための人件費をはじめ、行政としては余計な金額の支出を強いられているのも事実です。
本来、税の公平性の理念のもと、真面目に負担されている大部分の方々からすれば、こうした悪質滞納者の滞納行為は許されるべきものではなく、県としても、必要に応じて、市町をはじめ関係諸方面の協力を積極的に求め、強力かつ実効性のある対策にしっかりと取り組んでいくべきであると考えます。
例えば、神奈川県の小田原市では、10年以上前に、悪質な市税滞納者については、市公報誌や掲示板にその氏名を公表したり、23項目にわたる行政サービスの提供を停止する条例を制定・施行し、一定の成果を上げていると聞いております。
そこで、このようなより実効性が高いと考えられる対策の導入も含め、県として、今後、どのように悪質滞納者対策に取り組んで行くのか、当局のご所見をお伺いします。

3 社会教育関係施設における使用料確保について

質問の第3は、「社会教育関係施設における使用料確保」についてです。
歳入全体のうち自主財源について、平成14年度からの経年変化を見ると、歳入総額の数字にはほとんど変化がありませんが、自主財源総額は、平成14年度以降、平成19年度に向けて概ね増加、その後減少の傾向にあり、昨年度においては、平成14年度に対し1.14倍となっています。
県税が概ね同じような増減傾向を示しており、他の項目の変化も総じて考えますと、県税による影響が大きいものと考えられます。
さて、自主財源に含まれる各項目を見た場合、自助努力によって歳入を増やすことが可能と言えるものは、県税や財産収入、諸収入の一部など限られておりますが、自主財源を少しでも増やそうと思えば、ここを頑張るしかないのは、皆さんご承知の通りです。
その中でも、使用料収入について見れば、県立美術館や歴史博物館、人と自然の博物館など、社会教育関係施設の使用料収入が、過去10年の間に約30~50%の減収となっており、使用料収入を確保するための取組を積極的に進めた上での結果であるのか、私は疑問に感じます。
使用料収入の確保に真剣に取り組むのであれば、例えば、施設によっては、集客容量から回転率を求め、そこから割り出した一日の利用率を設定することで、営業目標を立てて、戦略的に取り組んでいくことも可能ではないかと考えます。
そこで、23年度中の自主財源としての使用料の確保について、これらの施設ではどのような取組を行い、また、その成果はどうであったのか、代表的な事例を具体的に示しながら、ご説明ください。

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