越田 謙治郎議員が質問(決算審査・公安委員会)を実施

決算特別委員会 [ 10月15日(月)公安委員会・越田議員 ]

1 暴力団排除条例の成果と課題について

質問の第1は、「暴力団排除条例の成果と課題」について、3点お伺いします。

(1) 1年間の取組成果について

1点目は、「1年間の取組成果」についてです。
暴力団排除条例は、平成22年10月に成立し平成23年4月より施行されました。
この条例は「暴力団による不当な影響を排除し、もって安全で安心な県民生活の確保に資すること」を目的としており、その目的を達成するために、第5条では県民の責務を定めるなど、「警察」対「暴力団」という構図から、社会全体で暴力団を排除するという、大きな変化を促すものとなっています。
暴力団を排除し、安全で安心な生活を確保するということは、県民共通の願いであり、私たち一人ひとりの力によって、民主的な社会を守っていくという意識が何よりも大切だと感じています。同条例の施行により、すべての県民や事業者などが暴力団と関係をもったり取引をしたりしてはならないという自覚を持ち、そのことが社会の中で徹底されれば、暴力団の壊滅に向けての大きな力になると考えます。
全国の状況を見ても、昨年10月1日に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行されたことにより、全都道府県において暴力団排除に関する条例が施行され、暴力団組織に対する全国的な包囲網が整いました。
このような中、本県には、国内最大である指定暴力団六代目山口組が神戸市灘区に総本部を置いており、本県警察による暴力団排除へ向けた取組は、全国的にも注目を浴びているものと考えます。
この点、条例施行初年度であった平成23年度は、本県警察の暴力団排除へ向けた強い決意を内外に示し、企業や県民の方々の自覚を促す上で重要な1年だったと考えています。
警察をはじめ、県民や事業者、関係機関など、社会全体が一体となって暴力団排除を進められるかどうか、暴力団に対する「社会の包囲網」を強固なものにしていけるかどうかが、今まさに問われているのではないでしょうか。
そこでまず、暴力団排除条例施行後1年が経過しましたが、これまでの具体的な取組とその成果についてお聞かせください。

(2) 県民の安全確保について

2点目は、「県民の安全確保」についてです。
県民が一丸となって暴力団排除に取り組むためには、何より県民が悩む前に相談できる相談体制の充実や、さらには万が一にも身に危険が及ばないような安全対策が必要と考えます。
特に、暴力団排除活動に積極的に取り組んでいる県民の方々の安全を確実に確保する対策は、重要かつ喫緊の課題だと考えます。
例えば、福岡県では、暴力団追放運動を行っている自治会長の自宅に銃弾が撃ち込まれる事件や、暴力団排除を進めている大手建設会社の事務所で暴力団員とみられる男が拳銃を発砲し、社員にけがをさせるといった事件が続発しており、このような事件が、県民の意識に影響を与え、暴力団排除の取組が萎縮してしまうのではないかと、私は危惧しています。
社会全体で暴力団排除を進めていくためには、こうした排除に取り組む人々や企業を警察が守り、保護することの徹底が不可欠であるとともに、こうした事件について、警察が犯人を逮捕し、事件を解決することが是非必要だと考えます。
本県警察としても、「県民の安全は我々がしっかり確保するから、暴力団排除に向けて、一緒に取り組んでほしい」という強いメッセージが必要かと考えます。
そこで、県民の安全確保に向けた取組の現状についてご説明いただくとともに、本県警察としての強い決意をお聞かせ下さい。

(3) 脱退した元暴力団員への支援体制について

3点目は、「脱退した元暴力団員への支援体制」についてです。
暴力団排除に取り組むためには、入り口の段階で「暴力団に入らせない」ということ、「暴力団に対し社会全体で対処していくこと」とともに、「暴力団からいかに脱退させるか」ということが重要であると認識しています。
とりわけ、暴力団から脱会した方は、「元暴力団員」ということで、その後の就職などにも大きな影響があるため、その後の生活が苦しいとお聞きします。暴力団に入ったことはともかくとして、そこから脱退して社会の一員として、新たな生活をスタートしようとしている方がいるのであれば、そこに手を差し伸べ自立を促していくことが、社会にとっても、県民生活の安全にとっても重要なことだと考えています。
私たちの社会にとって、暴力団が減る、構成員が減少することは重要なことですが、最終的な目的は、あくまでも社会全体の治安を確保、維持することであり、県民が安全で安心な暮らしを続けることができるようにすることです。
脱退した構成員への対応に関しては、県警本部においても、従来からも取り組んでいると考えますが、今後、暴力団排除の取組が成功していくと、脱退した構成員への支援の取組は、より一層、その重要性を増してくるものと考えます。
そこで、脱退した元暴力団員への支援の取組の現状と課題、今後の方向性についてお聞きします。

<2 被疑者取調べ監督制度を活用した適正な取調べを担保するための取組について/h4>                          質問の第2は、「被疑者取調べ監督制度を活用した適正な取調べを担保するための取組」についてです。
県民の安全な生活を確保するために、警察が果たす役割が大きいのは言うまでもありません。しかし、警察がその警察力を十分に発揮するためには、県民からの信頼を得るということが何よりも必要です。やはり警察にある強力な権限の源泉、正当性の根拠は、県民の大きな支持によるべきだと考えます。
さて、県民の方々が警察への信頼を失われる一つの大きな問題といえば、やはり冤罪の問題だと考えます。幸いなことに、兵庫県では問題になるような大きな事件はありませんが、全国でたびたび冤罪事件は起こっており、その原因としては、自白に偏重した取調べがあったということが、しばしば指摘をされています。
万が一、冤罪の被害者となった場合、その方が受ける負の影響は計り知れず、仮に、その後、冤罪だと判明した場合であっても、その権利回復には膨大な時間と多大な費用が必要となるばかりか、その方が受けられた精神的苦痛についてはその回復は不可能と言っても過言ではありません。
このような現状を踏まえ、私たち、民主党としてはこれまでから取調べの全面可視化を求めてまいりました。この点、確かに、警察庁の主導のもと、全国の警察において、取調べの録音や録画など、可視化へ向けた動きは少しずつ前進してはおりますが、我々が求めている全面可視化は、いまだ実現しておりません。
ただ、現場を預かる本県警察として、冤罪の発生を防ぐためにできることは何かということを考えたときに、今ある枠組みである「被疑者取調べ監督制度」を十分に活用して、取調べの適正化を担保していくということが必要だと考えます。
そこで、本県における「被疑者取調べ監督制度」の現状を含め、適正な取調べを担保するための取組状況についてお聞かせください。

3 東日本大震災の被災地支援で得た経験・教訓の検証と活用について

質問の第3は、「東日本大震災の被災地支援で得た経験・教訓の検証と活用」についてです。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、未曽有の大災害となり、多くの人命が失われました。
本県警察では、震災発生後、わずか49分で広域緊急援助隊を出発させるなどの緊急対応を行ったほか、今月1日時点で、延べ39,420人の隊員が被災地の支援を行っています。
私は、このような現場の皆さんのご労苦に心から感謝を申し上げるとともに、現場に派遣された隊員の皆さんだけではなく、それをサポートしている隊員の皆さんや、隊員が少なくなった中で通常業務を行っていただいている皆さんの頑張りの成果でもあることを付け加えて申し上げたいと思います。
さて、東日本大震災は、地震、津波、原子力災害という複合災害であり、被災地の至るところで、予め想定できていなかった事象が多数発生したことが明らかになりました。
確かに、阪神・淡路大震災の被災地である本県における防災対策は、他の自治体に比べ、非常に先進的な取組をしてきたところではあります。
しかし、阪神・淡路大震災から、既に17年以上がたち、さらには、この8月に、国からその被害想定が公表された南海トラフ地震の可能性も高まる中、本県警察としても、被災地へ派遣された隊員の方々が現地で得て来られた経験や教訓を活かして、あらためてあらゆる角度から、大規模災害発生時を想定した本県警察の防災対策を見直さなければならないと考えます。
そこで、東日本大震災被災地へ派遣した隊員の経験と教訓について、本県警察としてどのように評価・検証し、今後の大規模災害対策への本県の取組に活用していくのか、当局のご所見をお伺いします。

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