越田 謙治郎議員が質問(決算審査・教育委員会)を実施

決算特別委員会 [ 10月18日(木)教育委員会・越田議員 ]

1 いじめ対策について

質問の第1は、「いじめ対策」について、2点お伺いします。

(1) 昨年度の状況と対応について

1点目は、「昨年度の状況と対応」についてです。
「いじめ対策」については、今定例会の代表・一般質問においても、各会派の議員から、繰り返しその取組についての質疑が行われました。
これらに対して、教育長は「いじめは人権問題で決して許されることではない」と答弁されております。また、いじめを早期発見する力をつけていくために、「いじめ対応マニュアル」を改定するということです。
さて、子どもへのいじめの問題が話題になってから、様々なことを考えさせられています。
「いじめを撲滅する」ということは、キャッチフレーズとしては正しいことですし、できることであれば、そのような方向で進んでいきたい。しかしながら、現実を見たときに、そのような社会が実現するまでには非常に高い壁があり、長い時間がかかるものと考えます。
私は、高い理想を掲げ、その実現へ向けて努力することも大切ですが、それと同時に、今ある現実を真摯に受け止め、そのうえでの対策を練っていくことも、今の子供たちを守るために必要なことであると考えています。
さて、文部科学省の「平成23年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果によると、昨年度の県下の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で374件、中学校で481件、高校で103件、特別支援学校で11件、全体で969件となっています。
これを児童生徒1000人当たりの件数で見ると、小学校では全国平均の4分の1、同じく中学校では約3分の1、高校では2分の1となっており、常識的な印象からすると信じがたい数字であり、認知できていないものが多数あるのではないかと、私は危惧しています。そもそも、調査対象となる県下の公立学校が1,360校であることを考えると、いじめを認知できていない公立学校があるという、少し信じられないような結果ではないでしょうか。
そこで、同調査の際にいじめの認知件数ゼロと報告した学校が、本県内でどの程度の割合で存在するのか明らかにするとともに、本県におけるいじめの現状をどのように捉え、どのように対応しているのか、県教育委員会としてのご所見をお伺いします。

(2) いじめを重大化させないための取組について

2点目は、「いじめを重大化させないための取組」についてです。
いじめがゼロにならないことを前提としたうえで、これらの被害者に対して重大な被害をいかに防いでいくのかということが大きな問題です。
「いじめは重大な人権問題」ということですが、大津市の事件の報道や多くのいじめ事象で見られるように、もはや人権問題と言って済むことではなく、大きな犯罪行為であるということを加害者に認識させることが必要ではないかということです。
殴る、蹴るという行為があった場合には傷害罪や暴行罪、物を取ったり、壊したりした場合には窃盗罪や器物損壊罪として処罰される恐れがあります。その他、名誉棄損罪、侮辱罪、強要罪、脅迫罪、恐喝罪など、単なるいじめとして済まされないものがあるのは間違いありません。
もちろん、いじめのすべてが犯罪行為ということまでは申し上げませんが、実際にこのような悪質な事例が存在しているのが現実です。
学校においては、仮にこのような事例が起きたとしても、教育上の配慮から、警察への通報が行われることは稀であり、逆に被害者の方が不登校になるもしくは泣き寝入りするということが大部分ではないでしょうか?
実際に、先ほどの文部科学省の調査結果によると、いじめられた児童生徒が、緊急避難として欠席している事案が26件ある一方で、いじめた児童生徒が退学、転学、停学、出席停止とされたものはほとんどなく、自宅学習・自宅謹慎とされた事案が53件報告されているだけです。
私は、重大ないじめへの対策として、県教育委員会として毅然とした対応をする一方、警察との連携を促進するべきだと考えます。単なる人権問題として取り組むのではなく、社会秩序の問題、ルール違反の問題、さらにはルール違反をした場合、ペナルティがあるという毅然とした態度で取り組む必要があると考えています。
そこで、この点について、教育委員会のご所見をお聞かせ下さい。

2 学校現場における自殺予防対策について

質問の第2は、「学校現場における自殺予防対策」について、2点お伺いします。

(1) 児童・生徒への自殺予防教育について

1点目は、「児童・生徒への自殺予防教育」についてです。
大津市のいじめを原因とした自殺が発生して以降、「いじめ」「自殺」という言葉を聞かない日はなくなりました。また、本県においても、私の地元である川西市の県立高校の2年生男子が、自宅で自ら命を絶つという痛ましい事件が起きています。
この件に関しては、今定例会における一般質問等でも触れられました。教育長からも謝罪の言葉やいじめ問題に対する再発防止への強い決意をいただきましたので、この場では個別の事例に関して、具体的に触れることは致しません。
しかしながら、子ども達が自ら命を絶つという状況は、ニュースで報道されなかったとしても、連日どこかで発生しています。
実際に、兵庫県内の自殺者の数は、昨年度1,300人を超えており、その2.5%が20歳未満の若者とされています。
もちろん、いじめだけが自殺の要因ではなく、いじめ以外の人間関係や学業の問題などが想定されていますし、その原因は必ずしも一つだけではありません。
ただ、どのような状況であったとしても、自ら命を絶つという不幸なできごとをなくしていくため、いじめの未然防止に取り組むことはもちろん、学校現場における自殺予防へ向けた教育が必要だと考えています。
単に「命が大切だから」という繰り返し教えるだけでは不十分です。いざという時に、本人が自殺を思い止まるような日頃の関わりや指導が必要であることはもちろんですが、本人が思い止まるためには、周りの友人達の役割も重要になってきます。すなわち、自殺につながる前兆として、どのような言動がSOSのサインとして見られるのかを子ども達に理解させること、そして、何よりもその後にどう対応すれば良いのかを教えることで救える命があると考えます。
そこで、本県における児童生徒の自殺数の状況、またこれに対する当局の認識についてお伺いするとともに、今後、児童・生徒への自殺予防教育にどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 関係機関と連携した検証について

2点目は、「関係機関と連携した検証」についてです。
さて、毎年不幸にも多くの若者が自ら命をたっています。先ほどの質問でも述べさせていただいたことと同じ趣旨にはなりますが、自殺はゼロにしたい。しかしながら、現時点においてそれを実現するためには、まだまだ大きな壁があり、長い道のりが必要だと考えています。
そのうえで、私達は、子ども達が自ら命を絶つということに、本当に真摯に向き合ってきたのかということを考えざるを得ません。
川西市の事案では、県教育委員会からのアドバイスにより、「不慮の事故と発表したい」と学校長が遺族の方に述べたと大きく報道されました。
また、先日、報道でもありましたが、昨年12月に自殺した中学生の事例を、県教育委員会と相談の上、文部科学省の「問題行動調査」に報告をしていなかったという事実が明らかになりました。
私は、遺族の方が「公表してほしくない」と仰る場合にまで、無理に発表するということは、遺族の方の心情や子どものプライバシーの観点から望ましくないことは十分に承知をしています。
しかし、遺族の心情、子どものプライバシーに配慮することと、その事実から目を背けるということとは大きな違いがあると考えています。
私は、このような対応方針は、国から指導されているものかと考えて調べてみましたが、文部科学省の「緊急対応の手引き」の中には、『遺族が事故死として扱うと言われればそれを尊重しますが、学校が“嘘をつく”と子どもや保護者の信頼を失いかねませんから、「家族からは○○と聞いています」という表現に留めるなど工夫してください』とされています。
にも関わらず、県教育委員会が一連の報道にあるような対応を行ったとするならば、私はここに自殺という辛い現実を直視していない体質があるように思えてなりません。
遺族の理解、亡くなった子どものプライバシーは当然守らなければなりませんが、一人の不幸な出来事を無駄にせず、将来へ向けた課題を明らかにするためにも、少なくとも県教育委員会として、知事部局や警察本部をはじめ関係機関とも連携し、「どうすれば自殺を防ぐことができたのか」ということを検証すべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

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