2013年度当初予算編成に対する申し入れ

2013年度当初予算編成に対する申し入れ事項

Ⅰ 「地域主権社会」の実現に向けて

1 地域の自主性及び自立性の向上

(1) 県内分権の推進

① 市町への財政負担や事務負担が生じる県の事業を行う際に、予め市町の意見を反映させるため常設機関としての「政策協議の場」を設置すること。

② 県独自の県内分権を進めるため、平成24年度に設置された「権限移譲検討会議」において、移譲事務交付金の増額など財源も含めた移譲を進めること。

(2) 「関西広域連合」による取り組みの強化

① 「関西広域連合」の設立趣旨を踏まえ、国出先機関の関西広域連合への移管の実現に向けて、国に対しさらなる働きかけを行うとともに、丸ごと移管を見据え、市町意見が反映できる仕組みを構築すること。

2 行財政構造改革の推進

(1) 行財政構造改革の推進

① 事務事業の見直しに当たっては、一律の削減ではなく「選択」と「集中」の観点から、取り組むこと。とりわけ、県民生活に直結する医療・福祉・教育などに関しては慎重に対応すること。

② 部局間の連携の促進、県と市町との役割分担を明確にすることで効率的な行政サービスを提供すること。

③ 職員定数が抑制される中、行政サービスの低下を招かないため、一人ひとりの能力の向上と適切な人員配置に取り組み、効率的な執行体制を確保するとともに、あらゆる角度から無駄を廃止するなどの業務改善を行うこと。

④ 補助金や委託料についても精査を行うなど、横断的な歳出削減に取り組むこと。
⑤ 総合的な政策機能と調整機能を強化するため、政策監を再度設置すること。

(2) 定員・給与等について

① 職員の生活実態を考慮し、歳出削減の手段として安易に人件費の削減に頼らないこと。また、給与削減が続いていることから、職員のモチベーションを上げるための施策の展開や人事制度の構築を進めること。

(3) 県民局のあり方の精査

① 県民局のあり方については、県と市町との役割をさらに精査し、県民局が果たす役割を十分明確にした上で、再々編も視野に入れ検討すること。

② 地域の夢推進事業が地域の活性化に寄与するために、人材育成やNPO団体との連携強化のためのソフト面での予算を充実するとともに、地元市町との二重行政にならないように県の役割を明確にすること。

(4) 公的施設・県有施設における運営等の改善

① 人口減少を前提とした中長期的な視点で、施設の保有量を検証し、総合的な整備計画を策定すること。

② 公的施設の管理運営については原則として公募により指定管理者を選定するとともに、指定管理期間の長期化を検討するなど、経営の安定性にも配慮した制度運用の改善に努めること。

(5) 投資事業の改革

① 投資事業を行うに当たっては、「つくる」「つかう」「こわす」といった、施設のライフサイクルコストに加え、施設建設等で発生した県債の利子など将来世代に渡って可能性のある負担額の総額を明らかにすること。

(6) 公社等外郭団体の改革

① 公社等外郭団体のあり方についてなど、存在意義や事業の必要性そのものをゼロベースで見直すこと。

② 公社外郭団体に派遣する県職員OBの登用に関しては、県民感情に配慮し、最低限にとどめること。

③ 公社等外郭団体については、監査委員の監査対象とならない団体であったとしても、出資者として監査体制の強化や、十分な情報の開示、透明性の確保と効率的な運営を求めていくこと。

3 参画と協働の推進による「新しい公共」の実現

 (1) NPO法人に対する財政強化に向けた支援

① 地方税法37条の2第3号に規定されている地方税の減免対象法人の範囲を定める条例(いわゆる3号指定条例)を早急に制定すること。

Ⅱ 「健康福祉社会」の実現に向けて

1 健康づくり対策の推進

(1) 県民の健康づくりの推進

① 特定健康診査実施率70%、特定保健指導実施率45%を実現するために、市町国保加入者(とりわけ40,50歳代)に対して、検診の必要性などを啓発するとともに、受診しやすい環境整備に取り組むこと。

(2) 食の安全確保と食育の推進

① 食育を健康づくりの重要な要素と位置づけ、市町の食育基本計画策定を支援するとともに、その取り組みが一過性のものとならないように、市町とともにフォローアップ体制を構築すること。

② 生涯に渡って健全な食習慣が維持できるよう「スローフード」運動を全県展開すること。

③ 生産者・事業者が食の品質管理を徹底するため、兵庫県版HACCP認定制度のさらなる拡充を行うとともに、消費者から誤解を受けない食品表示のあり方について、事業者と行政、消費者団体等と検討を行うこと。

2 地域医療の確保

(1) 地域医療の確保

① 地域の医療連携を推進するため、二次保健医療圏域を単位とした医療機関の適切な役割分担、相互連携を進めること。とりわけ、県内における救急体制の格差解消に向け取り組むこと。

② かかりつけ医の普及・定着を基本に、医療機関が効率的に機能するシステムの構築に取り組むこと。

③ 産科医の負担を軽減するため、助産師の確保対策の充実と院内・院外を問わず助産院の設置支援に取り組むこと。

④ 小児科、産科、麻酔科などの診療科偏在及び地域偏在の解消を図るため、就労環境の整備やへき地医の養成などに積極的に取り組むこと。

(2) 県立病院の円滑な運営

① 適切な公的負担の下で、自立した経営が確保できるよう、医療資源の有効活用や職員の経営意識の向上及び計画的な経営改善に取り組むこと。

② インシデント・医療ミス、医療事故の発生予防に向けて、医療安全対策に取り組むこと。

3 高齢者福祉・介護の充実

(1) 介護サービス基盤の充実

① 市町介護保険計画に24時間訪問介護が実施されるよう働きかけるとともに、ケアプラン作成時における医療職、ケアマネージャーとの連携を促進、地域医療と介護事業の連携強化など、多様な課題を抱える市町並びに事業者への支援、相談体制を充実すること。

② 介護人材を確保するため、介護職員の処遇改善やキャリアアップへの支援策を講じること。特に、介護従事者の内で前期高齢者に対するキャリアアップに取り組むこと。

(2) 認知症対策の推進

① 認知症高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、認知症疾患医療センターの拡充、認知症サポート医の養成、かかりつけ医の対応能力向上などの地域医療体制を早急に構築すること。

② 若年性認知症について、課題の検証及び職場や地域社会における理解促進の支援を図ること。

4 障がい者福祉の充実

(1) 就労・社会参加支援の充実

① 精神障がい者が社会的入院から退院し、地域での生活をスタートするためにも、ピアサポーターの活用を図ること。また、地域毎に関係団体の支援も得てピアサポーターの育成を図ること。

② 障がい者就労定着サポーターの養成及び活動の場の拡充を図ること。

③ 障がい者の就労については、福祉的就労から一般就労への移行に対応するため、福祉関係機関やハローワーク、企業との連携を図りながら、障がい者の特性や希望に応じた職業訓練、職業指導に積極的に取り組むこと。

④ 県の物品調達等において、障がい者就労事業所への発注や障がい者雇用、障がい者就労事務所等へ仕事を発注している企業等への優遇措置を行うこと。

(2) 職場適応援助者(ジョブコーチ)のさらなる養成

① 障がい者の就労機会の増大及びその定着に向けて、職場適応援助者のさらなる養成を図ること。

5 少子対策の総合的な推進

(1) 総合的な少子対策の推進

① 企業との協力によるワークライフバランスの促進、子育て世代の経済的負担軽減、市町における子育て支援策への支援など、総合的な少子対策を展開すること。

(2) 多様なニーズに合わせた保育サービスの展開

① NPOや民間事業者が空き教室や空きテナントを利用して、保育を提供できるよう環境整備を図ること。

② 保育所の待機児童解消や保護者ニーズに応じた保育サービスを展開できるよう、学童保育の充実や「認定こども園」の設置促進、病児・病後児保育、24時間保育などを支援すること。

(3) 妊娠、出産に対する支援の充実

① 不妊症・不育症に対する経済的負担の軽減に向けた支援のさらなる充実を図ること。

6 自殺対策の推進

(1) 総合的な自殺対策の推進

① 「平成28年度までに県内自殺者を1,000人以下に減少させる」目標を達成するため年次計画を策定し、相談体制の充実、精神科医療の適切な受診環境の整備など、実効ある対策を推進すること。

② うつや引きこもり問題について、学校、地域、関係機関等との連携など、総合的な対策に取り組むこと。

7 児童虐待防止対策・DV防止対策・要保護児童対策の推進

(1) 児童虐待防止対策の推進

① 各学校において、主幹教諭や人権教育担当教員などを中心として早期に発見できる体制整備を行うこと。

(2) DV・家庭内暴力対策の推進

① 相談体制の強化や被害者へのサポート体制の確立、加害者への教育の充実や民間施設も含めた被害者保護施設の整備促進など各市町におけるDV対策基本計画策定、支援センター設置への働きかけを強化すること。

(3) 社会的養護の充実

① 親からの虐待などにより家庭で生活できない子どもたちの受け皿の充実に向け、人材の確保・育成など専門的なケア体制の整備や児童養護施設の小規模化など、きめ細かな支援が行える環境整備を進めること。

② 社会的養護のもとで成長した子どもの就職支援環境の充実を図り、成人後の孤立化を防ぐ居場所づくりにも配慮すること。

③ 里親となる家庭と子どもとのマッチングがスムーズに図られるよう、家庭養護促進協会と緊密に連携し、きめ細かなサポートを行うこと。

Ⅲ 「子どもが輝く社会」の実現に向けて

1 児童生徒の発達段階に応じた教育環境の充実

(1) 発達段階に応じた教育環境づくりの推進

① 少人数学級の着実な推進などにより、読み・書き・計算をはじめとする基礎・基本の学力の確実な定着や、一人ひとりの個性・能力を伸ばすことなど、児童生徒の発達段階に応じた教育環境づくりを推進すること。

② 学校図書館教育を司る専任の司書教諭の配置を進めるとともに、資料や図書の活用、読書の楽しみを学ぶ学校図書館教育の現状把握・検証を進めること。

(2) 「生きる力」を育む教育の充実

① 「自然学校」や「トライやる・ウィーク」等の成果の検証を行い、児童生徒の発達段階に応じた一貫した体験教育や、金銭・ITなど、実生活に直結した教育を推進すること。

② 「兵庫県環境学習環境教育基本方針」に基づき、幼児期、学齢期などライフステージに応じた環境学習・教育を推進すること。

(3) いじめや問題行動、不登校等に対応する施策の充実

① 地域ぐるみでいじめの早期発見や解決にあたることができるように、学校、行政、PTA、地域のネットワーク構築を推進すること。

② 「ひょうごっ子いじめ相談24時間ホットライン」での相談事業と子ども家庭センターとの連携を強化し、いじめへの適切な対策を講じること。また、学校では対応できない場合においては、警察や弁護士との連携を図ること。

③ 教師が児童生徒と向き合う時間を確保するため、教員の加配や不要な業務の見直し等に取り組むこと。

④ 学校管理職特別研修や主幹教諭実習等を通じて、教職員やスクールカウンセラーの対応力・生徒指導の充実を図ること。

⑤ 不登校児童・生徒の解消については、相談・指導体制、児童生徒・保護者支援、体験活動の充実など総合的な取り組みを着実に推進すること。

⑥ 子供が自ら死を選ばないよう、自殺予防教育に取り組むこと。

⑦ 性的マイノリティなどの多様な人権課題に対し、教職員やスクールカウンセラー等の対応力を強化すること。

(4) 学校における総合的な食育の推進

① 学校給食を食育の一環として位置づけ、栄養教諭を県内全校に配置し、総合的な食育を推進すること。

(5) 安全・安心な学校づくりの推進

① 通学時による交通事故を最大限減少させるため、警察、道路管理者、地域住民一体となって、安全対策を実施するとともに、当該箇所に関する地域への周知徹底を図ること。

② 県立学校施設における老朽化対策や耐震化の推進と合わせて、市町立学校施設の耐震化促進を支援すること。

(6) 教職員の勤務環境の改善

① 多忙化している教職員の勤務実態を踏まえ、勤務時間の適正化やメンタルヘルスケアをはじめとする教職員への支援体制を充実するとともに、業務・研修のあり方を見直すなど勤務環境の改善を図ること。

2 特別支援教育の充実

(1) 長期的視点に立った特別支援教育の展開

① 特別支援教育を受けた生徒が、卒業後一般就労できるよう労働局、企業との連携のもと、キャリア教育を充実すること。とりわけ、ICTを積極的に活用すること。

② 特別支援教育について、LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障がいに対する県民の理解を深めるために、学校行事の地域への開放や地域行事への児童生徒の参加を促進すること。

③ 真のインクルーシブ教育を実現するため少なくとも旧学区内に一つずつ設置することを目標に、普通高校内に特別支援学校の分教室を拡大し、障がいの有無に関わらず、共に学び合う環境の整備を行うこと。

3 特色ある高等学校教育の展開

(1) 学びたいことが学べる魅力ある学校づくりの推進

① 個性を尊重する多様で柔軟な高等学校教育を推進するため、学校の創意工夫を生かした特色ある取り組みや、学びたいことが学べる魅力ある学校づくりのための施策を積極的に展開すること。

② 近年、生徒が急増している定時制・通信制高校について、多様化する生徒に対応するため、現状に即した高校づくりを進めること。

③ 高等学校全日制普通科の新通学区域の導入が円滑に進むよう、先進事例を十分研究し、通学交通費の大幅な負担増など懸念される課題の解消に向けて取り組むこと。

④ 児童養護施設の入所児童の進路について、自立するためにも学びたい教育選択ができるよう、教育・福祉の支援を充実すること。

4 県立大学の自律的かつ効率的な運営

(1) 時代にふさわしい県立大学の展開

① 2013年度の公立大学法人化後も、旧3県立大学が有した伝統と強みを継承しつつ、時代にふさわしい県立大学のブランド力、知名度の向上を図ること。

Ⅳ 「危機管理型社会」の実現に向けて

1 危機管理体制の充実

(1) 防災・減災対策

① 防災会議への女性の参画を促進し、女性の視点を踏まえた対策を図るとともに、災害弱者の視点を盛り込むこと。

② 発生が懸念される南海トラフ巨大地震や山崎断層帯地震等の地震をはじめ、津波、洪水、土砂崩れ、高潮等の自然災害に備える基盤整備やシステム構築のほか、災害対応にかかる広域連携などを進め、「減災」の観点から、ハード整備・ソフト対策が一体となった防災体制の確立に取り組むこと。

③ 河川においては、ゲリラ豪雨等による水害に備え、計画的な掘削作業を行うこと。

(2) 計画停電時等の危機管理対策等の推進

① 計画停電が行われた際の影響に関し明確な把握を行い、各想定シナリオを作成し、同シナリオを県民に発信することで、適切な理解を促すこと。とりわけ、社会的弱者に対しては、生活や健康状態に影響が出ないよう、きめ細やかな対策を講ずること。

2 治安の向上

(1) 犯罪の抑止と徹底検挙

① 犯罪のハイテク化や国際化など社会の変化や、犯罪の性質の変化に柔軟に対応するため、警察組織・人員の効率的な運用や初動捜査体制の整備など、捜査力・執行力の充実・強化を図ること。とりわけ、警察定員の不足に関しては、早急に解消を図ること。

② 「暴力団排除条例」の適切な運用による暴力団等による組織犯罪への対策を強化し、銃器や薬物の密輸・密売の防止を推進すること。

③ 経済事犯やサイバー犯罪など県民の身近で発生する生活経済事犯の予防に向け、取締りの強化や関係機関との密接な連携による普及啓発活動を実施すること。

④ 再犯率の高い性犯罪については、抑止力のある防止条例の制定を検討するなど、再犯防止に向けた取り組みに注力すること。

(2) 総合的な交通安全対策の推進

① 飲酒運転や悪質な駐停車違反の取締り、暴走族の検挙、さらには、最近急増している自転車による事故の防止などに重点的に取り組むこと。

(3) 信頼される警察行政の推進

① 取調べの可視化による警察行政の透明性の確保を進めること。

② 警察における厳正な監察の実施など、自浄機能の強化を図り、信頼される警察行政の推進に取り組むこと。

③ 女性警察官の増員も進む中、女性が働きやすい環境整備を進めること。

(4) 犯罪被害者対策の充実

① 被害者支援の相談室の充実や犯罪被害者等早期援助団体への運営支援を充実し、犯罪被害者等の精神的負担並びに経済的負担を軽減すること。

② 性犯罪被害者は、精神的ダメージが大きく、回復に向けた支援が必要であるとともに、裁判等においてプライバシーが侵害される不安が大きいことから、総合的な支援を行うこと。

3 防災副首都の関西誘致

(1) 首都機能のバックアップ体制の構築

① 兵庫県が主体となり、行政・警察・消防・医療機関などの県域を越えた広範囲なネットワークの構築と危機管理体制の充実により、防災副首都設置が具体化した場合の有力候補となるよう、機能充実に取り組んでいくこと。

② わが国全体の危機管理能力を向上させるため、首都圏における非常事態に備えた首都機能のバックアップを行う仕組みを早急に構築するため、関西を国土・防災・有事に関する法律や計画等に位置づけ、首都代替機能の設置促進に向け、具体化していくことを強く国に求めること。

③ 企業の本社機能の関西誘致についてもより積極的に進めること。

Ⅴ 「産業活力社会」の実現に向けて

1 産業活性化対策の推進

(1) 活力ある兵庫の産業の構築

① 産業集積条例の活用等により、国内外の優れた企業、研究所の誘致に取り組むなど、産官学連携や地域活性化総合特区の活用を図りながら、地場産業の活性化、雇用創出を推進すること。とりわけ、「京」や「SACLA」など世界有数の施設の活用により、研究機関やすそ野の広い企業誘致に取り組み、ものづくり産業に続く、新しい産業の育成に努めること。

② 日本最大級のバイオメディカルクラスターをアジア最大級へと育成するため、神戸市と一体となり、産官学連携や企業誘致、規制緩和によるクラスター競争力の向上に努めること。

(2) 中小企業の自立と地域経済・雇用の活性化の推進

① 地域商店街のシャッター通り解消のため、個々の地域調整ではなく、事業主や住民らによるエリアマネジメント導入を推進するとともに、若者・高齢者・障がい者等の就労支援に努めること。

② よりすそ野の広いスモールビジネスの創業・育成支援を行い、若者やシニアの起業創出を促進すること。

③ 後継者不足に悩む、中小企業の円滑な事業継承ができるよう、適切な支援策を講じること。

(3) ものづくりを支える人材の育成

① 「ものづくり大学校」の活用やソフト事業(未来の匠、ひょうごの技体験講座等)を確実に実施し、学校教育段階から職業生活の各段階に応じた総合的・体系的な人材育成の仕組みを構築すること。

(4) 海外事務所を活用した経済活動の展開

① きめの細やかな情報提供やマッチングに努め、海外事務所の存在価値を証明する具体的な成果を挙げること。

2 雇用就業対策の推進

(1) セーフティネットの構築

① 雇用維持、労働法令遵守について、政労使の四者会議をもっと有効に使うこと。特に、近年多くなっている女性M字型雇用解消のため、働き続けられる環境を整備すること。

② 雇用維持や労働法令の遵守などについて、関連団体と連携の上、より積極的に企業に働きかけること。

③ 離職者が切れ目なく次の職場を見つけることができるように、雇用のマッチングや正規雇用に対しての支援を行うこと。

④ 厳しい雇用情勢に的確かつ迅速に対応していくため、離職に伴って住む場所を失った人たちの住宅確保や生活資金・能力開発資金の貸し付け等の離職者支援制度の拡充に積極的に取り組むこと。

(2) ワークライフバランスの推進

① 中小企業が取り組みやすい、実態に応じた支援制度を拡充すること。

② 社会で子育てを支援する体制を構築するため、育児休業やフレックスタイム制度設定の支援、事業所・マンション内のこども園や託児所の設置・運営を支援すること。

③ 進捗を把握する主要指標として、年次有給休暇消化率を設定し、政府目標70%を達成するまで適切な対応を行うこと。

④ ひょうご仕事と生活センターについては、四者合意を踏まえ、ワンストップサポートの事業体としての継続を前提とすること。

(3) 雇用対策の充実

① 離職者の就業能力を高めるため、企業ニーズや社会ニーズを的確にとらえた機動的・効果的な職業訓練の実施を進めること。とりわけ、若年層の失業保険受給率が上昇していることから、就業支援と求人ニーズに合致した職業訓練の開発を行うこと。

② 女性就労の促進について、出産、育児による不利益が生じないよう、企業に対する働きかけを強化するとともに、相談体制を充実させること。

(4) 障がい者雇用の促進

① 2013年引き上げ予定の雇用率を、負担能力の高い大企業・地方教育団体・教育委員会を中心に早期に達成すべく、取り組みを行うこと。

② 2013年度からの法定雇用率引き上げの機会を捉え、企業に対して制度の普及・啓発や先進事例の紹介、採用後のサポートや特例子会社設立への支援等を行い、企業の雇用に対する不安感を払拭させる取り組みを推進すること。

(5) 非正規雇用の待遇改善

① 2012年10月施行の労働者派遣法の改正に、企業が適切に対応しているかを把握し、是正に取り組むこと。

② 正規雇用と非正規雇用の均等待遇・均衡処遇の実現に向け、賃金のみならず、教育訓練機会の均等についても、公的教育訓練機関と企業内教育訓練との連携により取り組むこと。

3 観光振興

(1) ひょうごのツーリズムの振興

① 兵庫県内の多彩な地域資源を十分に生かした「魅力ある観光地づくり」を進めること。また、コンテンツツーリズムやスポーツツーリズムなどニューツーリズムの振興を通じて、兵庫の新しい観光資源の開発に努めること。

② 大型観光交流キャンペーンの企画にあたっては、過去の企画の費用対効果を十分に検証し、旅行会社等とタイアップしながら、効果の高いものとなるよう努力すること。

③ 中国や韓国をはじめとする東アジアからの観光客への観光プロモーションを促進すると同時に、リスク分散の観点から、さらにプロモーションエリアを拡大すること。

④ 県内経済の活性化や雇用の創出につながる“観光事業の起業”に対する支援を拡充すること。

Ⅵ 「環境循環型社会」の実現に向けて

1 実効性あるエネルギー政策の推進

(1) 省エネルギー・節電の推進

① 県自らの節電への取り組みについては、卓上型LED照明の導入や県施設の省エネビル化や改修、エコスタイルの取り組み、冷暖房温度の適正化などに留まらず、さらなる省エネにつながる方策を積極的かつ恒常的に模索し、取り組むこと。

② 家庭や企業に対する節電行動の推進については、各種広報媒体による呼びかけのほか、節電につながる設備・システム等への投資に対する支援を行うこと。

(2) 再生可能エネルギーの積極的な導入について

① 太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、小水力のみならず、地熱や波力・潮力などの新たな再生可能エネルギーの実用化に向けて、さらなる研究を進めること。

② 再生可能エネルギーの発電拠点として、長期間使用していない県有未利用地や企業庁の未分譲地を積極的に活用すること。

2 地域温暖化対策等の推進

(1) 産業部門における温室効果ガスの排出抑制

① エネルギー大量消費事業者(大規模事業所のうち温室効果ガスの県内排出量約40%を占めている上位30事業者 等)に対する「排出抑制計画」の進捗状況を随時チェックし、場合によっては現地調査を行うなど、産業部門における温室効果ガスの排出抑制を積極的に進めること。

(2) 地域環境負荷の低減

① 「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」の総量削減基本方針に基づく平成27年度の環境基準達成に向けて、着実な取り組みを進めること。

② 工場及び事業場における事業活動、並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる騒音や、航空機・自動車の騒音などについて必要な規制を行うとともに、その許容限度を定めるなど、生活環境を保全し、県民の健康の保護に資するよう取り組みを進めること。

③ ディーゼル自動車への排出ガス低減装置装着助成事業や、低公害車への切り替え促進などを継続的に進めること。

④ 第3次環境基本計画における予防原則に基づき、法規制の対象となっていない有害化学物質について調査研究を進め、実態把握と排出抑制に向けた取り組みを進めること。

⑤ 大気や騒音の環境基準を達成していない地域を中心とした交通公害対策をはじめ、地域的な環境問題の解決を図ること。

3 農林水産業の活性化

(1) 安全・安心・良質な農林水産物の安定供給の実現

① 消費者が安心して農林水産物を選択できるよう、ひょうご安心ブランド農産物の生産・消費拡大を図ること。

② 農薬の適正使用に関してはさらなる安全使用に取り組むとともに、農薬管理指導士の認定についても引き続き推進すること。

③ 食品表示の適正化を図るため、生産者に対する監視・指導体制の整備等に取り組むこと。

④ 生産履歴の記帳やトレーサビリティシステム、農業生産工程管理手法(GAP)の一層の導入促進を図ること。

⑤ アレルギー疾患の子どもが増加傾向にある中、環境創造型農業推進計画に基づき、有機農法への支援拡大を図ること。

(2) 食と農への理解促進と食品リサイクルの推進

① 食と農への理解促進を図るため、住民・消費者・特に子どもを対象とした農業体験活動・食体験活動や、生産者と消費者の交流活動など多様な機会を提供すること。

② 米をはじめ、野菜、大豆などの県産農林水産物について、学校、老人福祉施設、病院などの給食への導入を促進するため、学校関係者や市町教育委員会、関係団体との前向きな協議を続けること。

③ 兵庫楽農生活センターの学習・交流機能を十分に活用し、市民農園の一層の利用促進や、幅広い世代の楽農生活実践への支援に努めること。

④ エコフィードデータベースを活用し、需要者(飼料メーカー等)と供給者(食品メーカー等)のマッチングを図り、食資源の有効活用を推進すること。

⑤ 「兵庫県バイオマス総合利用計画」に基づき、肥料化・飼料化はもとより、新しいエネルギー源、生分解性プラスチック等の新素材原料などの活用を進めることにより、「廃棄物ゼロ」をめざす「農のゼロエミッション」を推進すること。

(3) 6 次産業化の推進

① 「ブランド指導相談室」を中心に、専門家を6次産業化プランナーとして派遣し、生産から加工、流通まで一貫した取り組みに必要な技術支援や人材育成を進めること。

② 農林水産業・農山漁村等から排出される有機性廃棄物等を、再生可能な生物由来の有機性資源(バイオマス)として捉え、肥・飼料化、熱源等のエネルギー化等の新素材化など多様で多段階な利活用を産業横断的、地域一体的な取り組みとして総合的に進めること。

(4) 農水産物ブランド戦略の推進

① 県産の農水産物の中からブランドとしてふさわしい品目の選定や品質の改善、新品種の開発を進め、ブランド商品としての優位性(魅力)を明らかにして、生産から流通、販売までの一連のブランド戦略を確立すること。

② 地域団体商標をさらに増加させ、効果的な宣伝活動によって日本全国の主要都市や海外への販路拡大を積極的に推進すること。

(5) 担い手対策の推進

① 農業高校を在籍・卒業した生徒、とりわけ女生徒の就農の選択肢を充実するため支援すること。
② 農林漁業・農山漁村の担い手対策として、効率的・安定的な農業経営体の育成や集落営農の組織化、農地集積の推進に取り組み、経営規模拡大への取り組みを支援すること。

③ 農業者の高齢化が加速することを踏まえ、新規就農者の育成・確保に取り組み、就農前研修や就農給付金の交付など、円滑な就農と早期の経営確立の促進を図ること。併せて、就農支援センター機能の充実・強化によるきめ細やかな支援を図ること。

④ 規制緩和された改正農地法に基づく企業の農業参入について、農地のマッチングのほか、生産性向上のための技術支援・指導を適切に行うこと。

4 総合的な農山漁村振興対策の推進

(1) 農地・農業用水の保全

① 農地や農業用水は、農業生産の基盤としてだけでなく、水源涵養等の公益的機能を有しており、これらの機能を維持する観点から、農地、農業用の水路、井堰、ため池等の整備・保全等の取り組みに対して支援を行うこと。

② 整備した優良農地を適切に確保するため、土地の利用関係を適切に調整すること。

③ 公共事業実施に当たって、優良農地を安易に転用することのないよう取り組むこと。

④ ため池での水難死亡事故を受けての未管理ため池の点検作業を加速し、危険度のレベルに応じて優先順位をつけて早急に対策を講じること。

(2) 総合的な農山漁村活性化対策の推進

① 農林漁村における就業機会の拡大、後継者対策に取り組むこと。

② 都市から地方への移住、都市と地方の交流の促進、集落の維持・活性化を推進すること。とりわけ、県内の多様な風土を活かしたアグリツーリズムの機運醸成を図ること。

③ 従来型の集落活性化のみにとどまらず、地域住民の判断として集落の発展的な移転・統合を選択肢の一つとして可能とする地域のあり方を検討すること。

Ⅶ 「快適で潤いのある社会」の実現に向けて

1 社会資本ストックの有効活用

(1) 着実かつ戦略的な社会資本ストックの維持・更新の推進

① 社会資本ストックの維持・更新を着実かつ戦略的に進めていくため、民間の資金、経営能力、技術能力を活用した仕組み・手法を積極的に取り入れること。また、効果的な維持補修を実現するために、市町と協働して日々の手入れが施される仕組みを構築すること。

② 「長く使う」にあたり、費用対効果が低いものについては、「こわす」ことも視野に入れた取り組みを行うこと。

2 総合的な交通施策の推進

(1) 地域課題に対応した交通政策の推進

① 「ひょうご21世紀交通ビジョン」を実現するため、公共交通の利用促進、交通安全対策、交通事故防止、交通量の削減、高齢者の移動性確保など、地域課題や政策と関連づけた総合的な交通政策を推進すること。

② 県民の移動権を保障する観点から、自家用車と公共の交通機関のベストミックスを進めるため、多方面から意見聴取すること。

3 都市の再生

(1) 都市機能の適正立地の推進

① 人口減少社会の到来を見据え、持続可能なコンパクトな都市の実現を図るとともに、地域の特性に応じた活力のある都市づくりを推進すること。

② 「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例」に基づく大規模集客施設の適正な立地を効率的に推進し、地域社会の健全な発展を図ること。

(2) 都市緑化・緑地保全の推進

① 県民まちなみ緑化事業の全県展開や、県立都市公園をはじめとする県民の憩いの場の整備・運営を通じて、緑あふれる美しいまちづくりを推進すること。また、まちなみ緑化事業については、維持するためのサポート部分も強化すること。

4 安心して暮らせるまちづくりの推進

(1) バリアフリー・ユニバーサルデザインのまちづくり

① すべての県民の社会参加を促進する視点から、福祉施策や交通施策といった個別対応ではなく、総合的にユニバーサル社会実現のための体制を整備すること。

② 利用者の視点から、公共・民間施設を問わず、バリアフリー対応可項目だけでなく、不可項目についても広く告知するよう促し、より安心して社会参加ができる環境を整えること。

(2) 生活安心住宅の確保

① 安全かつ安心できる持続可能な住生活が確保されるよう、長期優良住宅の普及促進をはじめ、「省エネ化」「バリアフリー化」「耐震化」をはじめとする既存住宅の活用・改修については、地球環境への配慮から、リノベーションも積極的に推進すること。

② 公営住宅は重要な「セーフティネット」であることを踏まえ、中長期的な視点で県営住宅の整備を進めるとともに、新婚・子育て世帯の入居を促進するなど、県営住宅のコミュニティのあり方にも配慮した管理運営を推進すること。

Ⅷ 「こころ豊かな共生社会」の実現に向けて

1 人権尊重の行政と教育の推進

(1) あらゆる差別の撤廃に向けた行政の推進

① 障がい者、被差別部落関係者、在日外国人、性的マイノリティ等への差別撤廃に向けた行政を推進すること。とりわけ、人権教育及び啓発に関する総合推進指針に性的マイノリティを守るべき人権として記載し、具体的な施策を打ち出すこと。

② 今後5年間の人権啓発施策の基礎資料となる「人権に関する県民意識調査」を実施するとともに、人権擁護推進懇話会等に多様な人権問題に関係する団体や有識者を参画させること。

③ 「戸籍謄本等第三者取得に対する本人通知制度」の県内実施を進めるため、県民への制度周知に取り組むとともに、実施を検討している市町を支援すること。

④ 地域の人権啓発センターとして隣保館の運営充実を図るとともに、地域に開かれたコミュニティセンターとしての整備を促進すること。

2 男女共同参画社会の実現

(1) 「新ひょうご男女共同参画プラン21」の推進

① 各部局が実施している、男女共同参画社会実現へ向けての諸施策の検証、課題について共有し、県政策としての底上げができるよう施策充実を図ること。

3 国際交流の推進

(1) 外国人県民にも暮らしやすい地域づくりの推進

① 外国人県民が日本人と同様に能力が発揮できるよう、生活面、教育面など外国人県民が抱える課題解決に向けた取り組みを進めること。

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