竹内 英明議員が代表質問を実施

 

第315回兵庫県議会 代表質問(平成24年12月7日)

                    質 問 者:竹内 英明 議員
                    発言方式:一問一答

1 国と地方のあり方について

(1)国の出先機関の特定広域連合への移管について

11月21日に公表された自民党政権公約(案)の中に「(民主党が進める)国の出先機関の特定広域連合への移管は断固反対」「道州制基本法を早期に制定し、その後、5年以内に道州制の導入を目指します」と井戸知事の目指す方向性と違う政策が掲げられました。
後段の道州制はともかく、前段の国の出先機関改革については、関西広域連合全体で強力に推進してきたものであり、特定広域連合への移管という具体策にようやくたどり着き、国会提出を控えていた政策であります。
京都府、滋賀県の両知事をはじめ、大阪市の市長らも強く反発していますが、公党の公約であり、特に『断固反対』という表現は、かなり強い否定であります。
関西広域連合として、11月27日に自由民主党総裁に対して
(以下、当日判断)「いかなる政党であろうと地方分権を進める見地に立てば、これは中央集権的行政に固執する勢力を容認することとなり、ようやく一歩を踏み出そうとしている分権改革の流れを断ち切るだけでなく、中央集権の強化につながり、極めて遺憾である。よって、政権公約の当該部分を撤回するとともに、国の出先機関の事務・権限の関西広域連合への移管を積極的に進められるよう強く求める」という(以上)
撤回の申し入れをされましたが、報道によりますと、対応した甘利明政調会長は修正に難色を示したとのことであります。その後、公表された総合政策集では「民主党が進める国の出先機関の特定広域連合への移管には反対し、地方出先機関の広域災害対応力の一層の強化を図るとともに、国と地方のあり方と道州制の議論を整理します。」と「断固反対」が「反対」に改められたようです。しかし、いずれにしろ反対です。知事はこの「国の出先機関の特定広域連合への移管」という政策を「改革の試金石」として位置づけてこられました。このことに対して改めてどのように考えておられるのかお伺いします。

(2)社会保障と税の一体改革が本県財政に与える影響と消費税について

社会保障と税の一体改革法が成立しました。誰しも増税を喜ぶ人はいません。しかし、先月発表された国の983兆円という過去最高の借金や先進国の中で最も少子高齢化が進むという人口構成等を考えれば、事業仕分け等による既存事業の歳出の見直しだけでは財源は足りず、いずれ何らかの形で国民の皆さんに負担のお願いをしなければ財政はもたなかったということも事実でしょう。
一方、この間、社会保障の財源となる消費税について、国と地方の配分、つまり地方消費税の比率や地方交付税の割合などについて、法制化された「国と地方の協議の場」等を通じて、その配分を地方に求める要請等がなされてきました。結果として、全体の消費税率が10%となる平成28年度以降は、地方消費税分が現在の1%分から2.2%と倍増、交付税部分が現在1.18%の配分が1.52%と地方への配分は増加することになりました。
地方消費税は現行の1%配分でも県分は年間約500億円(半額を市町交付済)ですが、消費税率が10%となるとこれが2.2倍になり、1100 億円と年600億の増となります。一方で、法人関係税が消費低迷により落ち込むことも考えられます。また、本県の場合、地方交付税の交付団体であり、臨時財政対策債も発行しているため、地方消費税が増加しても、その全額がそのまま増収となるものではありませんし、岡山県などの自治体は既に「地方消費税引上げに伴う増収に見合った地方一般財源総額の確保を図ること」を国に対して要望していますが、地方財政計画全体がどうなるかを考慮しなければ、その影響を見極めるのは難しい面があります。
富山県の試算では、交付団体全体では地方消費税は1.2%分1兆3100億円増収となりますが、臨時財政対策債が5,300億円の減少となることで差し引き7800億円の歳入増となるものの、歳出の社会保障関係費の増加を同額の7800億円と見込み、不交付団体にとっては地方消費税の増税は全て社会保障関係費の増で吸収されてしまうとの試算もあります。
いずれにしろ、予定どおり消費税の増税等が実施されるとすれば、本県の歳入増となることはほぼ間違いないと思いますが、知事は、社会保障と税の一体改革に伴う消費税増税が本県財政に与える影響をどのように考えておられるのかお伺いします。
また、消費税の全てを地方税とし、その一部を地方共有税として地方自治体に財政調整機能を含めて委ね、国の地方交付税制度を廃止するという選択肢もあります。財政状況は自治体間で大きく異なりますが、自治体同士の話し合いで消費税の配分を決定していくことがはたしてできるのか。私たちは地方交付税制度を評価し、その充実を求めてきたものですが、地方税制に詳しい知事は、地方共有税を導入し、財政調整権限を自治体に委ねて地方交付税制度を廃止することについてはどのような考えをお持ちでしょうか、併せてお伺いします。

(3)社会福祉法人に関する事務の受託について

第2次地域主権改革一括法の施行に伴い、都道府県から一般市に移譲される権限に「社会福祉法人の指導監督権限」があります。
10月11日付の神戸新聞を見て驚きました。「社会福祉法人の監査 市に権限移譲のはずが…逆戻り? 21市、県に事務委託」。専門人材を確保しにくい市の事情を考慮し、『県が提案した』とありました。
「社会福祉法人の指導監督権限」が市に移譲される一方、法人が運営する施設の指導監督権限は引き続き県が担うこととなっており、指導監督は法人・施設ともに一元的に担うことが望ましいことなどから、市が人的体制を整備するまでの間、自ら実施する4市を除き21市については、引き続き県が事務委託を受ける方向という説明を受けました。
市がこれまで担当していなかった法人の指導監督という事務で経験を積んで行く中で、いずれ施設についての権限も移譲していくと考えるならば、国のこの措置は理解できますし、県の立場に立てば、指導監督は法人・施設ともに一元的に担うことが効率的だと考えること、これも理解できます。卵が先か鶏が先かのような話です。しかし、市によっては仕事が増えるだけで事務の移譲は不要と考えているところもあります。これでは地方分権は進みません。
市がやりたくないからといって県が受け続ければ、「法人監督すら受けられない、できない体制の市がある」という国側の評価になり、分権自体が難しいのではないかという結論になりかねません。県にとっては指導監督事務が市に移譲されれば、それまでその事務を担当してきた県職員の処遇も含めて考えなければなりません。簡単な話ではありませんが、そうした苦労の末、地域主権改革をやろうという方向性で兵庫県は国に対して強く権限移譲を求めてきたのではないのでしょうか。
本県では、平成11年に事務処理特例条例を制定するなど、これまでから市町への権限移譲に取り組み、24年度には「県から市町への権限移譲検討会議」を設置するなど、積極的に市町への権限移譲を進めようとしてきました。地域主権改革やこれまでの地方分権については、国の取り組みの成果というよりも、むしろこれまで国に対して権限移譲を強く働きかけてきた地方自治体及び地方議会が勝ち取った大きな成果であります。
今回、疑問に思うのは法律上、市が行うこととされた事務を県が引き続き担うことを「県が提案した」という点であります。先の出先機関改革の話でも触れましたが、こうした事例で地域主権改革の方向性に疑問符がうたれないように、法人の負担や行政効率の面を考慮しても、法律どおり市に委ねるべきが分権改革の方向性ではないでしょうか。現実に市側と合意していますので、今から変更できるものではありませんが、県の権限移譲の方向性について明確にしていただきたくお伺いします。

2 兵庫県財政の今後について

(1)平成 25年度に起債許可団体から協議団体へ移行する可能性について

平成23年度の決算に占める借金返済の割合を示した実質公債費比率(単年度)が16.6%となり1年間で19.8%から3.2ポイントも低下しました。今年2月に修正した第2次行革プランにおける財政フレームでは、23年度単年度の実質公債費比率を20.0%と想定していましたから、その比較では3.4ポイントも改善したことになります。その大きな要因は、県債管理基金の積立不足分のペナルティ分が22年度に5.1%あったものが4.3ポイントも下がって、0.8%となったことです。
実際の県債管理基金の積立不足は2782億円(不足率53.1%)と依然大きいままですが、ペナルティの算定は県債の元金償還額と前年度の積立不足率を掛けて計算することから、積立不足率が大きく改善されなくても、県債の元金償還額が大きく減少したことで、制度上、ペナルティも大きく改善されています。これは制度上の問題点であります。
23年度は県債の借換による借金を当初の財政フレームより前倒しすることで(平準化)、実質的な借金返済つまり償還を先送りした形となったため、ペナルティの算定において有利になったということです。
先の決算特別委員会の上野議員の総括質問に対して知事は「実質公債費比率などはかなり下回った水準で決算をうつことができました 」と答弁されていましたが、全国の都道府県間の位置でも制度スタート時の全国ワースト2から4位となっています。
また、平成23年度から25年度までの3カ年でみますと借換債の平準化によって当初比約1650億円の県債償還の減少と1206億円(486+720)の基金増額が見込まれています。今年3月に議決した最新の財政フレーム上25年度の実質公債費比率は20.8%と見込んでいますが、フレームの歳入・歳出見込みを前提に試算すれば、24・25年度も23年度同様、現在の財政フレームよりかなり低くなることが見込まれることから、3カ年平均で18%を切るのではないでしょうか。実質公債費比率が18%を切ると起債についての総務大臣の許可団体ではなくなるということになります。平成25年度には実質公債費比率が18%未満になり、起債許可団体から協議団体へ移行するという見込みについてお伺いします。

(2)新たな「将来負担比率」の目標設定について

しかし、一方で、将来世代が標準財政規模の何%を負担しなければならないという「将来負担比率」は、行革のスタートした平成19年度の決算時に361.7%でありましたが、23年度は351.7%でほとんど改善されておりません。当面のフロー指標は改善されていますが、将来負担比率は全国ワーストを続けています。財政運営の目標として、震災影響を除く将来負担比率の目標設定はあるものの、震災分を含んだ全体の「将来負担比率」の目標設定がありません。しっかり将来世代への負担を減らすという点で震災の影響も含んだ「将来負担比率」の目標設定を新行革プランの総点検にあわせて導入すべきだと思いますがいかがでしょうか。

3 教育の機会均等について

学力の国際比較(PISA調査)における日本の学習到達度は、かつて国際的にトップクラスでありましたが、ゆとり教育などの影響もあって平成18年調査時までは低下傾向となっていました。国では、子どもたち一人ひとりに応じたきめ細かで質の高い学習指導を行うために、23年に、30年ぶりに40人学級を見直す法改正を実施し、段階的な少人数学級を実現するとともに(もちろん本県は国に先立ち独自に少人数教育を実施してきたことは皆さんご存知のとおりで高く評価するところです)、ゆとり教育を見直し、授業の内容を質量ともに増加させた新学習指導要領を24年度から本格実施しています。
また、PISA調査では、特に学力の低位層が増加していることや親の所得と学力の相関も見られることもわかってきました。学校教育法等では「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市町村は、必要な援助を与えなければならない」とされ、具体にはノートや問題集などの学用品費、修学旅行費、給食費などを支給することとなっており、子どもに必要な教育の機会を与えることやその環境を整備することは公の責務となっています。
昨今、生活保護のことが話題になっていますが、県内の生活保護受給比率は高い自治体でも3%台ですが、県内の自治体の公立の小中児童生徒数のうち就学援助を受けている比率を調べると、23年5月1日現在で、尼崎市の26.9%、神戸市の23.5%、明石市の20.8%。3割近い比率の児童生徒が就学援助を受けている自治体があることに驚きました。一方、比率の低い自治体ではたつの市3.4%、太子町4.5%、香美町の5.1%。県全体の平均は17.3%となっています。10年前の平成13年度の県平均が12.2%でありましたから5.1ポイント悪化しています。この数値は生活保護法の定める要保護者と準要保護者の世帯の子どもを合わせたものですが、準要保護者の就学援助については、市町による援助条件の差もあるようです。いずれにしましても親の収入等により受けられる教育環境の差を少しでも少なくしなければならないと考えます。
ところで、高校について欧米の先進諸国では日本の高校にあたる後期の中等教育の無償はある意味で当然であり、学びたい人が家庭の事情で学べないというのは不幸であります。OECDの調査では、日本のGDP国内総生産に占める公の小中高の学校教育費の割合は2.5%となっています。これは加盟32ヵ国中30位と最低レベルであります。この調査は平成20年のものなので、同22年度からスタートした「公立高校授業料無償化」「私立高等学校等就学支援金」、義務教育の少人数学級を含めると幾分かは改善されると思いますが、日本のような資源のない国が世界の中で生きていくとき、教育は国の要諦であります。
そこで、「県立高校授業料の無償化」ですが、これについて導入時から現場の声を含めてどのような評価をされているのでしょうか。また、授業料の無償化が導入されましたが、依然として経済的な事情により就学が困難な家庭もあると聞いています。こうした経済的な面も含めて、高等学校の教育の機会均等を確保するうえで、県としてどのような取り組みをされているかお伺いします。

4 観光振興に係る大河ドラマ平清盛の効果と『軍師官兵衛』(黒田官兵衛)への期待について

先ごろV6の岡田准一さん主演で平成26年の放送決定が決まったのはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」です。軍師官兵衛というのは戦国時代の武将 黒田官兵衛のことであります。私の地元姫路市では姫路城生まれということで、今回の放送決定について大変大きなニュースとして取り上げられました。官兵衛は姫路に生まれ、後に織田信長や豊臣秀吉の家臣・軍師として、また、九州は福岡藩黒田家藩祖として活躍しますが、兵庫県との関わりは実は姫路だけではありません。
①官兵衛の妻・幸圓(こうえん)は加古川・志方城主・櫛橋氏の出身であり、
②西脇市の荘厳寺(しょうごんじ)では黒田家系図が見つかり官兵衛の出生地を西脇市黒田庄町とする説もでて、
③三木市では、三木城主 別所長治との戦い。兵糧攻めで有名。
④伊丹市の有岡城では、荒木村重に捕らえられ、1年以上牢に幽閉されたり、
⑤宍粟市では、初めて1万石の大名となったともいわれ、
⑥佐用町では、上月城攻めに際して、戦国時代を代表する秀吉のもうひとりの軍師 竹中半兵衛と共に戦い
⑦朝来市では日本のマチュピチュとも呼ばれる竹田城を攻め、生野銀山を支配下に置き、南は淡路島にわたり、
⑧南あわじ市の志知城を攻め、拠点としたり
⑨神戸では、有馬温泉へ赴き、湯治のため過ごしたとの記録が残っています。
ざっとあげただけでも県内の多くのところで活躍しています。
現在の大河ドラマ「平清盛」の放映に伴う兵庫県内経済への波及効果を昨年8月に日本銀行神戸支店が発表しましたが経済効果は150 億円。効果額の150億円は、県内総生産(2010年・名目)の0.08%、県内観光消費額(2009年度)の1.3%に相当するものとされていました。
そこで、「平清盛」の放映によって本県観光にどのような効果があったものと考えておられるのか、また、「軍師官兵衛」の放送決定後、ゆかりのある自治体、例えば姫路市では副市長を本部長とした13人体制の庁内プロジェクトチームを設置すると共に、姫路商工会議所、観光関連団体などと(仮称)ひめじ官兵衛プロジェクト推進協議会を設立する予定と聞いていますが、こうした取り組みに対する補助金等の支援をはじめ、あいたい兵庫キャンペーンなど、あらゆる機会を通じての積極的PRが必要と考えますが、県としてどのような支援策を考えているのか、併せてお伺いします。

5 議会改革の行政としての受けとめ

県議会では、昨年6月に「議会改革等調査検討委員会」を設置し、さらなる議会機能の充実・強化や活性化、県民に開かれた議会に向けた方策等の検討を重ねてきました。
  その成果として、県民に対し、議会の基本理念を明らかにするとともに、議会の役割や運営原則、議員の責務や役割などの議会に関する基本的な事項を定める「兵庫県議会基本条例」を、今年3月に全会一致で可決しました。また、議会改革等調査検討委員会が取りまとめた「議会機能の充実・強化及び議会活性化に関する事項」及び「議会基本条例に関する事項」に関する最終報告書に基づき、今年度から7つの常任委員会が、調査及び審査能力、政策立案機能をより高めるため、それぞれの所管事項の中から特定テーマを選定し、自主的に調査研究に取り組んでいるほか、管内調査の中で県民との意見交換会も実施しています。
そこで、本県議会によるこうした議会改革の取り組みや本会議での一問一答方式の導入、それに伴う対面式議場など、実際の変更点について知事はどういった点に気付かれ、またどんな感想をお持ちでしょうか。
また、さまざまな議会改革の議論の中で、知事の反問権についての議論もしました。通年制を導入するなど議会改革に取り組んでいる長崎県議会などいくつかの県議会では知事に反問権を付与し、同県議会、宮城県では実際に反問権が行使されたとのことです。本県議会では議論の結果、反問権については明記を見送りましたし、最終的に議会の権限に属することではありますが、直接の当事者の意見を聞いたことがありません。反問権について考えがありましたら併せてお答えください。
 

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