黒田一美議員が質問(予算審査・財政状況)を実施

予算特別委員会質問(教育委員会)

平成25年3月5日(火)

1 地方公務員の人件費引き下げを意図した地方交付税の削減について

最初の質問は、「地方公務員の人件費引き下げを意図した地方交付税の削減」についてです。

我が国は、明治政府による近代国家成立の後、中央にほとんどの行政事務権限を集中させる中央集権体制により発展してきました。第二次大戦後、新憲法が地方自治の保障を成文化し、地方自治法や地方財政法といった基本法が作成され、地方自治の制度的枠組みが整えられましたが、現実には、多くの機関委任事務の存在や、「三割自治」と言われる税財政面での弱さもあり、地方自治体が自主性を発揮出来る余地は極めて限定されていました。

確かに、国全体が一丸となって高度経済成長を目指している時期には、こうした中央主導の行政体制が効率よく機能したかも知れませんが、高度成長期が終わり、近年の社会の成熟化に伴い、全国一律の基準による行政投資や事務執行はかえって非効率を招き、様々な不都合も生じて来ています。

このような中、地域の行政は、地域の住民が自ら決定し、その責任も自らが負うという「地方分権の推進」は全国的な大きな流れとなっており、特に生活に直接関わる分野においては、まさに今、地方自治体の独自性が問われています。

井戸知事も、今定例議会開会日の提案説明において、「兵庫の自立」としてその重要性について言及されております。

このように、地方分権社会においては、地方自治体の存在意義が問われる訳ですが、その行政執行を担うのは地方公務員、すなわち、今ここにいらっしゃる方々を含めた県職員の皆様であり、地方分権の取組が成功するか否かは、皆様のお力にかかっていると言っても過言ではなく、地方公務員が担うべき役割はますます重要なものとなっております。

ところが、政府は、平成25年1月24日の閣議決定「公務員の給与改定に関する取扱いについて」において、東日本大震災に係る国家公務員の給与一時引き下げ措置を踏まえ、地方公務員の給与についても同様の措置を求めて来ました。これを受けて、平成25年度の地方財政対策において、国は一方的に全国で8,504億円もの地方公務員給与費を削減する方針を定め、地方交付税を大幅に削減することとした結果、本県においても205億円もの交付税が削減される見込みとなりました。

しかし、そもそも地方公務員の給与は、公平・中立な知見を踏まえつつ、議会や住民の意思に基づき地方自らが自主的に決定すべきものであり、このような国の一方的なやり方に対しては、多くの知事、首長から批判が高まっています。

全国知事会、さらには地方六団体からも、「地方は給与の独自削減や人員削減を行うなど、既に国を上回る不断の行財政構造改革に取り組んでいる」、「国から一方的に給与削減を強制することなく、地方において自主的かつ適切な対応が図られるよう、地方交付税総額の確保に十分配慮すべきである」といった要望書も政府に出されています。

井戸知事も先日の提案説明において触れておられましたが、まず最初に、今回の地方公務員給与費の削減に係る国の一方的な対応について、県として、どのように認識しているのか、改めて当局のご所見をお伺いします。

 

2 地方公務員給与費の削減に対する代替措置について

質問の第2は、「地方公務員給与費の削減に対する代替措置」についてです。

全国8,504億円の地方公務員給与費の削減に対して、全国の多くの自治体から批判の声が集まる中、政府は、平成25年度の地方財政対策において、その代替措置として、地方公務員給与について、本年7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提に、防災・減災事業や地域活性化等の緊急課題に対応するための事業枠として、地方公務員の給与削減額に見合う全国8,523億円に上る歳出の特別枠を盛り込んでおります。

本県においても、平成25年度当初予算記者発表資料によれば、本県における地方公務員給与費削減額205億円に対し、この代替措置の配分金額の見込みは、①全国防災事業費(地方負担分・東日本大震災分)20億円、②緊急防災・減災事業費(起債)96億円、③地域の元気づくり事業費(基準財政需要額)87億円の計203億円とされております。

ただ、この度の平成25年度当初予算案では、合計127億円しか計上されておらず、地方財政対策において、給与削減に見合う歳出の特別枠を措置するとされながら、本県における給与費の引き下げ額205億円に見合った代替措置となっていないと思われますが、その事情についてお伺いするとともに、そもそも、国がかかる代替措置を採ることの是非自体について、県としてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いします。

 

3 職員給与削減に係る本県の今後の対応方針について

最後の質問は、「職員給与削減に係る本県の今後の対応方針」についてです。

今年の1月16日に、井戸知事名で国に対してなされた「地方税財政に関する緊急提言」において、県は、①地方はこれまでから徹底した行革を行い、独自の給与削減や人員削減により、既に国の臨時的な給与削減に相当する措置を実施していること(職員給は、この10 年間で国は3.5%減に対し、地方は21.3%減)、②地域手当等を加味すると国家公務員給与は地方公務員給与を上回ること(本県試算による給与水準比較:国100に対し地方99.4)を理由に、「人事委員会制度に基づき、地方が主体的に給与を決定できるよう地方公務員人件費の所要額を確保する」ことを求めておられます。

本県においても、先日の知事の提案説明にもありましたように、阪神・淡路大震災からの創造的復興に取り組む中で、平成11年度に「行財政構造改革推進方策」を策定して以来、数回に渡るプランの見直しを行い、県民や職員の皆様のご協力の下、これまで行財政構造改革の取組を着実に進めて来ましたが、その中で、定員・給与についても、国に先行して既に削減を実施している実状があります。

にも関わらず、本県を含め、このような地方自治体自らの努力と実情をまったく無視した国の一方的な関与により地方公務員の給与削減を求め、今回のような地方交付税の削減と、地方の実態に合わない、活用できない代替措置を行うことは、地方分権に反し、地方交付税の補助金化を招き地方の固有財源という地方交付税の性格自体を否定することとなるばかりか、中央集権を強めることにもつながりかねず、時代の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。

そこで、25年度当初予算においては、国家公務員の給与削減にあわせた地方公務員の給与削減要請については、今後の課題とし、これに対応した予算計上は行っていないとされておりますが、本県の今後の対応方針についてお伺いします。

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