黒田一美議員が質問(予算審査・病院局)を実施

予算特別委員会質問(病院局)

平成25年3月5日(火)

1 “病院局”10年の成果と課題について

最初の質問は、「“病院局”10年の成果と課題」についてです。

公立病院は、①民間病院等では十分な対応が困難な高度専門・特殊医療、②保健医療行政との連携による政策医療、③2次保健医療圏域における医療提供の中核的機能、④医療水準の向上を図るための教育研修機能等を担っており、地域における基幹的な公的医療機関として、地域医療の確保のため重要な役割を果たしています。

しかし、近年、多くの公立病院において、損益収支をはじめとする経営状況が悪化するとともに、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や医療提供体制の維持が極めて厳しい状況になっております。

このような中、経営責任の明確化、病院の自主性・自立性の拡大、職員の経営参画意識の向上による抜本的な経営改革と医療サービスの向上を目指し、全国の地方自治体や公立病院において、地方公営企業法の財務適用から全部適用に移行する動きが加速していることは、皆さんご存知のとおりだと思います。

本県においても、平成14年2月に取りまとめた「兵庫県立病院の今後の在り方について(基本方針)」において、県立病院が目指すべき方向として、高度専門医療、特殊医療といった県立病院が担うべき医療の充実、医療サービスの向上の二つに加え、「自立的・効率的な運営体制の確立」を掲げ、その具体的な検討方向性として、地方公営企業法の全部適用を示しました。

その後、この方向性を踏まえた関係条例の改正、制定、整備を行い、平成14年4月1日に施行、本県病院事業への地方公営企業法の全部適用を実施するとともに、組織・事業の総合管理体制を確立し、病院構造改革への機動的な対応や県民ニーズへの総合的な対応を図るため、病院事業管理者及び病院局を設置しました。

この点、地方公営企業法を全部適用するメリットとしては、「経営責任の明確化」「機動性、迅速性の発揮」「自立性の拡大」「職員の経営意識向上」「業績に応じた給与体系の導入」や、これらによる「患者サービスの向上」が挙げられる一方で、デメリットとして、「人事・会計部門の負担増大」「経営状況が悪化した場合の給料減少への不安」などが指摘されています。

ただ、医師や看護師をはじめとする医療関係者の人材不足が叫ばれるようになってから久しく、未だこのような根本的な課題の解決がなされていない中で、単に枠組のみを変えたとしても、どの程度の効果が上げられるのかには疑問があります。

そこでまず、地方公営企業法の全部適用を実施し、病院局の組織を設置してから10年が経過し、これまでの取組の成果をどのように評価しているのか、また、これを踏まえて、今後、どのような課題があると認識しているのか、当局のご所見をお伺い致します。

 

 

2 県民福祉向上に向けた県立病院の役割について

質問の第2は「県民福祉向上に向けた県立病院の役割」についてです。

県は、平成25年度の病院事業における基本方針として、病院事業を取り巻く環境変化に対応しつつ、当面する課題の解決を図り、引き続き病院事業の基本理念に基づく運営を行い、県民から信頼され安心できる県立病院づくりを推進するため、「病院構造改革推進方策〔改訂版〕」及び「県立病院改革プラン〔改定版〕」に基づき、「より良質な医療の提供」「安心してかかれる県立病院の実現」「自立した経営の確保」「安定した医療提供体制の確立」を進めることとされています。

この点、県を挙げて行財政構造改革に取り組む中、確かに独立採算による経営健全化は大切な課題ではありますが、地方公営企業法の全部適用を契機に、その部分ばかりがクローズアップされている印象が否めません。そもそも、県立病院は、民間病院では採算面の問題から対応しづらい小児・救急医療や高度専門・特殊医療、へき地医療等の政策医療を担うという重要な役割を持っています。このことを考えれば、県民福祉の向上のため、より良質な医療を提供し、安心してかかれる県立病院を実現していくためには、事業の採算性ばかりを強調することは適切なこととは言えないと考えます。

県立病院として、「自立した経営の確保」を目指し、経営改善をはじめ病院事業全般にわたる構造改革に取り組む一方で、このような自らの存在意義をしっかりと認識し、県民の命と健康を守るため、他の病院の模範となり、県内における医療水準を高めるよう、日々取り組んでいくことが必要です。

そこで、平成25年度事業の基本方針のうち、「より良質な医療の提供」「安心してかかれる県立病院の実現」「安定した医療提供体制の確立」の3分野について、主にどのような取組を進め、県民福祉の向上に努めていくこととしているのか、当局のご所見をお伺いします。

 

 

3 新たに建替整備等が進む各県立病院について

質問の第3は、「新たに建替整備等が進む各県立病院」についてです。

近年における疾病構造や医療ニーズの変化による医療機能の充実の必要性や、施設の老朽化や狭隘化に伴う診療機能や医療連携、事業運営の面での新たな課題が顕在化してきたこと等を踏まえ、現在、県内においては、三つの県立病院の建替整備と、光風病院における新たな専門病棟の整備が進められております。

まず、淡路圏域においては、昭和31年に診療を開始した県立淡路病院について、「淡路圏域の中核的病院として、高度専門医療や政策医療を提供するとともに、圏域の医療機関と連携しながら地域医療を確保する」ことをコンセプトに、平成25年5月の供用開始を目指し、整備が進められております。

また、阪神南圏域においては、「マグネット・ホスピタルの機能を有する阪神地域の総合的な基幹病院として、良質かつ適切な医療を提供することにより、県民の安全と安心の確保に貢献するとともに、医学の発展に寄与する」ことを基本理念として、平成27年の開院を目指し、尼崎・塚口の両県立病院を統合再編による尼崎総合医療センター(仮称)の整備が推進されています。

更に、神戸圏域においては、開院後40年余りを経過したこども病院について、「小児医療、周産期医療の総合施設として、母とこどもの高度専門医療の提供を通じて、親と地域社会と一体になってこどもたちの健やかな成長を目指す」ことを基本理念に、移転整備が進められております。

加えて、光風病院においては、近年、増大する児童思春期の精神疾患患者に対応していくため、平成25年3月の外来開設に向け、県内唯一の専門病棟を新たに整備しております。

これら四つの県立病院については、いずれも疾病構造や医療ニーズの変化に的確に対応し、最新の設備や医療サービスを兼ね備えた病院となるものと思われ、私のみならず、多くの県民の方々がおおいに期待されていることと思います。

ただ、それぞれの役割が大きい故に、例えば、淡路医療センター(仮称)の開院前に看護師がたくさん退職し、看護師不足が生じているとの新聞報道がなされるなど、今後、建替整備等を進めるに当たっては、様々な障害や予期せぬ出来事の発生が予想されます。

しかし、いかなる課題や障害が生じようとも、病院局の皆様におかれては、県民福祉の向上のために最大限の努力を払い、是非とも本県における地域医療体制の維持・充実に努めて頂きたいと思います。

そこで、以上の点を踏まえ、以下2点についてお伺いします。

 

(1) 看護師の確保対策について

まず、1点目は「看護師の確保対策」についてです。

先ほど述べた四つの病院の整備にあたって、より良質な医療を提供し、安心してかかれる県立病院を実現するためには、最新の施設や医療設備の整備も重要ですが、その一方で、医師や看護師、専門技師などの人材面における充実・確保を図ることも大きな課題であります。

その中でも特に、看護師不足が大きな課題となっており、先ほども触れた淡路医療センター(仮称)に加え、移転整備中の尼崎総合医療センター(仮称)やこども病院においても、新病院では診療機能がより強化されるため、現病院よりも多くの看護師が必要になるなど、今後、より一層の看護師確保が必要となっています。

そこで、これらの病院を含め、県立病院における看護師の確保対策にどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。

 

(2) 各病院の役割等について

最後の質問は、「各病院の役割等」についてです。

病院局の皆様におかれては、本県における地域医療体制の維持・充実と県民福祉の向上に日々取り組んでおられ、先ほど申し上げた四つの病院についても、気概を持って、その整備を進めて頂いていることと思います。

そこで、これら四つの病院について、それぞれがどのような役割、診療機能を担うこととなるのか改めてお伺いするとともに、これらの整備に向けた意気込みをお伺いします。

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