黒田一美議員が質問(予算審査・企業庁)を実施

予算特別委員会質問(企業庁)

平成25年3月12日(火)

1 企業庁メガソーラープロジェクトについて

最初の質問は、「企業庁メガソーラープロジェクト」について、2点お伺いします。

今、地球温暖化は、21世紀における最も深刻な問題であり、その抑止に取り組むことは、我々人類の将来の生存と繁栄にとって重要な、全人類的な課題です。アメリカのアル・ゴア元副大統領が、「地球環境を守るため、彼ほど行動し力強く声をあげた科学者はいない」とその功績と行動力を称えるジェイムズ・ハンセン氏は、その著書「地球温暖化との闘い すべては未来の子どもたちのために」の中で、私達の子供、子孫のために、この地球を守る取組を進めていくことの大切さを訴えています。

この点、平成9年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)では、気候変動枠組条約に関する議定書、いわゆる京都議定書が採択されました。我が国も同議定書の締約国として、これまで温室効果ガスの排出量削減に取り組んできました。

このような中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受けて、我が国のエネルギー・環境政策は根本からの転換を余儀なくされました。それまでの原子力発電所に大きく依存してきたエネルギー政策を見直すとともに、多様なエネルギー源の確保と普及拡大が喫緊の課題となっています。

このような状況を踏まえ、国においては、同年7月、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」を施行し、固定価格買取制度による再生可能エネルギーの普及拡大を後押ししております。

本県においても、同年8月に設置された企画県民部エネルギー対策室や農政環境部温暖化対策課等を中心に、地球温暖化対策や新エネルギーの導入促進に取り組んでおられます。

企業庁においても、平成25年度の取組として、今年度から取り組んでいるメガソーラープロジェクトを拡充実施するとして、約74億円の予算を計上されています。

しかし、公営企業を運営し収益を上げていくことを目指す企業庁において、一見すれば必要なコストに比べなかなか収益にはつながりにくいと思われる同プロジェクトに取り組まれることに、私は少なからず違和感を持っております。

そこで、企業庁が自らの保有資産を活用し、メガソーラープロジェクトに取り組むこととなったそもそものきっかけと同プロジェクトが目指す目的についてお尋ねするとともに、今後のメガソーラー施設の整備計画についてお伺い致します。

 

 

2 県民福祉向上へ向けた企業庁資産の有効活用について

質問の第2は「県民福祉向上へ向けた企業庁資産の有効活用」についてです。

企業庁は、戦前の昭和7年に飾磨港修築工事のため、飾磨工営所の設置を皮切りとし、播州工業用水供給事業、戦後、昭和32年の引原ダム完成等々を前史とし、昭和41年、工業用水道運営事業に地方公営企業法の全部適用を行い、企業局が設置され、昭和49年4月に企業庁に改組されました。

その後、姫路白浜・妻鹿地区臨海土地造成事業、西播磨新都市開発等々の事業を進めるなど、高度経済成長期における兵庫県の発展に大きく寄与して来ました。

しかし、経済成長期も終息し、社会の価値観も大きく変わった今、企業庁の新たな展開が求められています。

私は、14年前、県議会議員になって初めて予算の説明を受けた時、淡路の佐野運動公園の計画を知りました。当初、「淡路は他に多くの土地があるにも関わらず、どうして多額の予算をかけて海を埋め立て、野球場やグラウンドを整備するのか」と不思議に思いました。

もともとは原油備蓄基地を主体とした工業用地などを目的として埋立地を造成しましたが、その後、経済状況の変化により企業誘致が困難になったため、有効活用を図るとして運動公園とされたものであると知り、当時は、目測を誤った企業庁を批判する他の多くの方と同様に、私も批判的な思いを持ちました。

しかし、今はどうでしょうか。立派な野球場やサッカーにも使える多目的グラウンド6面が揃っている公園は、県下にも他にはありません。2002年のFIFAワールドカップの際には、ベッカムをはじめとするイングランドチームのキャンプ地として活用され、そのことは現在でも地元の誇りだと聞いております。

また、県内外を問わず、多くのスポーツイベントでも活用されている上、来年4月から予定されている明石海峡大橋の通行料軽減がなされれば、ますます活用される機会は増え、淡路地域の活性化にも、今以上に寄与するものと思います。

このような事例を見れば、私は、高度経済成長期に企業庁が購入した用地を、現時点では売却できない、活用できない負の資産と見るのではなく、今の時代に合った積極的にプラス活用できる可能性を秘めた土地と捉える、発想の転換が必要だと考えます。

例えば、宝塚新都市についても、「今の経済情勢では新都市開発は困難であるから、自然や緑を残す土地として、活用しないままに置いておこう」とマイナス思考で考えるのではなく、「都市近郊での自然保護エリアとして、もっと県民が緑や自然に親しめる活用を考えよう」とプラス方向の積極的な発想で取り組んでいくべきだと思います。例えば、関係部局や宝塚市、地元とも連携・協力して、宝塚新都市の用地を活用し、「緑のエリアゾーン」「緑に親しむ公園」として、県民のために活用していくのも一つだと考えます。

昨年9月の平成23年度決算特別委員会の部局審査の際、企業庁の存在意義を問う質問に対し、高井公営企業管理者は、「公営企業の原則は公共性と経済性の両立とよく言われますが、これは単に二つ並んでいるものではなく、経済性は少なくとも守りながら、最終的に目指すべきは公共の福祉の増進にあると私は考えています」と力強く答弁されましたが、私もまったく同感であります。

そこで、先ほどお尋ねしたメガソーラープロジェクトのような取組も含め、企業庁が持つ資産のうち、当面、その活用が見込まれない用地については、根本的に発想を転換し、県民福祉の向上のために積極活用していくことを是非とも検討して頂きたいと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

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