大塚たかひろ議員が質問(予算審査・教育委員会)を実施

予算特別委員会質問(教育委員会)

平成25年3月13日(水)

1 学校給食における地場産物の活用促進について

(1)学校給食における地場産物活用促進事業について

平成17年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」においては、地産地消の推進が重要政策課題の1つとして位置付けられるとともに、同年6月に制定された「食育基本法」で、食育の推進方策の1つとして学校給食における地産地消の促進が掲げられた。それを受ける形で「地産地消」の推進と、健全な食生活を実践することができる人間を育てることを目的とする「食育」の推進が全国的な運動として展開されている。

本県においても、平成20年度の実績は品目ベースで見れば約3割近くの県内産物を活用しているところである。

学校給食の地場産物活用においては、決まった食数を短時間で調理しなければならない現場をはじめ、生産者、行政、保護者も食材の一括安定供給、価格、規格などの課題も抱えるが、次のようなメリットがあるといわれている。

⑴ 地域で採れる豊かで新鮮な農水産物等を学校給食の食材料として取り入れることにより、児童・生徒に正しい食材の知識や食べ物の大切さや、それを育む自然の素晴らしさを学ぶ機会になる。⑵ 児童・生徒が、郷土を愛する心、生産者に対する感謝の心を育む良い機会となり、学校給食を通じて地域の農業・漁業や歴史・文化・風習を学習するという教育的効果などの期待ができる。

そのような効果が期待され、また地域の子供たちの健康や安全は地域の大人たちが責任を持つという観点からも、学校給食における地場産物活用をさらに進めていくべきと考える。そこで、学校給食への地場産物の活用促進や地場産物を活用した食育を促進する新規事業「学校給食における地場産物活用促進事業」はこれまでの取り組みとはどう違うのか伺う。

 

(2)関係部局等との連携について

来年度、農政環境部局においては、学校給食における県産農林水産物の利用を促進するため、県内連絡体制の整備やコーディネーターによる県産農林水産物の県産県消に向けた市町への個別支援などを行う「学校給食県産県消マッチング事業」や、学校給食に関する食育体験学習等の取り組みを支援する「県産県消レベルアップ事業」を実施する。

そこで、教育委員会として農政環境部局でのそういった取り組みや各市町の教育委員会が取り組んできた食育と連携をどう取っていくのか伺う。

 

 

2 高校生ふるさと貢献活動について

以前私が「地域・郷土を愛する心の教育の推進について」という質問の中で、「たとえ生まれ故郷を一時期離れようとも、いつか生まれ育った地域に何か恩返しをしたいという思い、自分がお世話になった地域にいつかお返しをしようという気持ち、その地域に生きる次の世代につないでいこうという気持は大切ではないだろうか?

学校教育の中で、トライやる・ウィークなど地域の働く人とふれあうことを経験する体験活動があるが、さらにもう一歩進んで、地域に根ざして働く人の体験を聞き、考え方、生き方を学ぶというカリキュラムがあってもいいのではないか。ゆくゆくは地域に生き地域社会を背負って立つ人づくりにつながるような、地域・郷土を愛する心の教育に積極的に取り組んでいくべきではないか」と申し上げた。

その問いに対し、大西教育長から「自分が生まれ、育まれた地域との心のつながりを確立し、地域・郷土を愛する心をもつことが、心豊かに成長し、人間形成をしていく上でも、非常に大切である。ひょうご教育創造プランにおいても、「ふるさとを愛し、互いに支え合い協力しながら明日の兵庫を切り拓いていく人」を目指すべき人間像として位置づけ、地域の人々と手を携え、兵庫の発展に貢献する力を培う取組を進めてきている。」と答弁された。

知事は予算等提案説明の中であえて「高校生ふるさと貢献活動」について取り上げ、「豊かな心を育む教育の推進」に特に取り組んでいかれると表明されました。生まれ育った地域・郷土への愛着・誇りを醸成するためには、社会全体・地域全体で育て、その取り組みを継続していくという意識が重要と考える。

県では、既に小学校で地域の環境について学ぶ「環境体験事業」、中学校で地域のさまざまな活動を体験する「トライやる・ウィーク」を実施されている。これらの取り組みを、来年度、高校生を対象とした「高校生ふるさと貢献活動」にどのようにつなげ、発達段階に応じた地域・郷土への愛着・誇りを醸成していくのか伺う。

 

3 高等学校での日本史の必修について

(1)副読本「世界と日本」の作成状況等について

国際社会に生きる自覚と多様な文化を尊重できる態度や資質を育てるため、日本の伝統文化等の学習活動を目的とした教材「日本の文化」を平成18年度に作成し、全県での取り組みを進めていると聞いている。そこで、現在、教材「日本の文化」を活用した授業等は何校程度で取り組まれているのか。

また、以前何人かの議員から、そういう質問をしており、それに対して、世界史の中で日本史を対比しながら学ぶことができる「世界と日本」という副読本を24年度から2年かけて作成するとの答弁だったが、約1年経ちどういう状況か。

 

(2)日本史の必修化について

教材「日本の文化」を活用することで、日本史を必修させることの補完をしようとする試みは理解するし、教材「日本の文化」も見せてもらったが、読み物としてはいいものであり、関係された先生方の努力には敬意を表する。

しかし、やはり本筋の日本史をすべての高校生にきちんと学習させるという意味からすると、取ってかわることはできないと考える。

文科省の学習指導要領をみると、高校での「地理歴史」は2科目あり、1科目は世界史で必修となっており、もう1科目は日本史か地理かの選択制である。つまり、現行の学習指導要領では、高校に入って日本史を学ばないまま卒業する生徒があるということであり、本県ではその割合は約4分の1と聞いている。

平成21年3月の学習指導要領の改訂でも、日本史を必修とすべきだという議論が検討課題に上がったが、小学校と中学校の社会科では日本の歴史を中心に学習することを踏まえ、高校では世界史を必修とするという学習指導要領が再び決定された。

東京都では、日本人としての意識を高めるため、高校生に日本史を継続して学ばせることが重要であるという考え方に基づき、平成21年度に『日本史必修化検討委員会』を立ち上げ、独自の日本史必修化を表明。日本史科目の教科書を作成し、教育委員会ホームページにテキスト案を掲載して都民からの意見を求め、施行実施のために協力校の在学生や関係教員などに配布、学校現場の意見も求めるという過程を経て、平成24年度、都立高校で全面実施がスタートするとともに、独自の日本史科目「江戸から東京へ」を設置した。

また、これに先立ち横浜市では全ての市立高校で全国初の日本史の必修化を22年度から実施、また、全ての神奈川県立高校でも25年度からの実施を決定している。

以前、私が「地域・郷土を愛する心の教育の推進について」質問させてもらった中で、大西教育長から「グローバル社会であるからこそ、地域や郷土の伝統・文化を基盤とすることが重要であると考えており、これを基盤として世界に雄飛できる人材を育成する一方で、少子高齢化、都市集中化が進む中、地域社会の活力を高めることが求められている。地域の担い手となる人材の育成をめざした教育を進めていきたい。」という答弁をいただいた。

まさにこの観点は、グローバル化が拡大する中で自分たちのアイデンティティーをしっかり理解するために、先人の思い、考えを感じ、国や地域の文化、伝統を知り、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを育むということに通ずると考える。今の時代こそ、日本史を体系的に学ぶことは必要。国の指導として日本史の必修化を図ってほしかったが、それは次回に譲るとして、県としては、制度の中で裁量があり、重要性を認識されているのであれば、環境を整えて、日本史の必修化の導入に向けて取り組んで行くべきと考えるが所見を伺う。

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