岸口 実議員が代表質問を実施

平成25年2月 第317回定例県議会 代表質問要旨案

 

質 問 日 : 平成25年2月25日

質 問 者 : 岸口 実 幹事長

質問形式 : 分割方式

 

 

1 兵庫県政の今後の展望について

最初の質問は、「兵庫県政の今後の展望」について、2点お尋ねします。

 

(1) これまでの県政運営に係る知事の自己評価と今後の地方の将来像について

1問目は、「これまでの県政運営に係る知事の自己評価と今後の地方の将来像」についてです。

井戸知事におかれては、3期目の締め括りの年を迎えられました。これまで自然災害等への備えをはじめ、経済・雇用対策や高齢化対策の推進、第2次行革プランの推進、関西広域連合への取組など、県民生活にとり喫緊の課題から中・長期に亘る課題まで、幅広い分野で県民生活の向上に向けた取組を続けておられます。

わが会派では所属議員全員が参加し、知事の今期のこれらの取組について評価・検証を行っている最中であり、本日の答弁も踏まえて結果を取り纏め、後日、知事へお伝えしたいと思います。

さて、昨年末の衆議院総選挙で再び政権が交代しました。国と地方の関係が大きく見直されます。前政権では、地域主権改革一括法による義務付け・枠付けの見直し、「地域自主戦略交付金」の創設など、地方の裁量を広く認めた分権型社会の構築を目指し、国出先機関の移管に向けた関連法案の閣議決定にまで至りました。しかしながら新政権では、道州制基本法の早期制定や「ひも付き補助金」の復活、国から地方への交付税を盾に地方公務員の給与を国家公務員に準じて引き下げるよう求めるなど、まさに上意下達の中央集権体制そのものです。これまで分権型社会の構築を目指し取り組んできた関西広域連合の今後のあり方が問われるとともに、地方分権分野の事務を担い他府県をリードしてきた本県の存在意義が、今まさに問われています。地方分権が、政権交代の度に、政権の政治的な思惑に振り回されることを繰り返してはなりません。

このような中、県では、国主導による中央集権型道州制となる懸念があることから、来年度に研究会を立ち上げ、当事者としての地方から今後の広域行政体制のあるべき姿を発信していくための検討を進めることとされており、関西広域連合長でもある知事の実績とリーダーシップに期待したいと考えます。

そこで、3期目のこれまでの3年半にわたる県政運営を振り返り、ご自身としてその成果をどのように評価されているのか、また、今後の課題、中でも特に、自立した分権型社会の将来像をどのように描き、その実現に向けどう取り組んで行かれるのか、知事のご所見をお伺いします。

 

(2) 第2次行革プランの見直しについて

2点目は、「第2次行革プランの見直し」についてです。

寺島実郎日本総研理事長監修の「日本でいちばんいい県 都道府県別幸福度ランキング」によると総合ランキング全国1位は長野県で、わが兵庫県は22位、分野別では文化分野が3位と好成績ながら基本指標は46位のワースト2でした。あくまでこれは一つの見方で一喜一憂するものではないことを申し添えますが、人口増加率、県民所得、投票率、食料自給率などからなる基本指標には、本県の評価をもっとも下げる要因となった財政健全度が含まれています。

この財政健全化への取組として、県では平成20年度に、同年度~30年度までの間の改革の内容を定めた新行革プランを策定しました。平成22年度にはこの新行革プランの総点検を踏まえ、第2次行革プランを策定し、来年度にはその見直しを行うことになっています。

第2次行革プランには、歳出対策として人件費、行政経費、投資的経費の見直しにより効果額を積み上げることとなっています。人件費や行政経費については、目標額に対しおおむねの効果が上がっていますし、また投資事業についても2月補正で公共投資679億円(一般会計ベース)に加え261億円の公共施設整備基金が創設され、少なくとも26年度までは予算執行面で余裕が生まれます。

しかし、その一方で、借換債の平準化対策の影響により、実質公債費比率の減少が見られるものの、財務体質自体や一般会計の54%を義務的経費が占める硬直化した財政構造そのものが改善された訳でなく、また、来年度当初予算案とともに示された平成30年度までの財政フレームによれば、変更後の財政フレームで予定する財源対策を行った後もなお残る各年度の不足額の1/2、435億円を要調整額として、国に解消を求めていかなければならない現状を考えれば、引き続き行財政構造改革に真摯に取り組んでいく必要があることは言うまでもありません。

ただ、肝心なことは、これらの行革プランはあくまで財政上における数値の是正に過ぎないことです。プラン推進のため県民の皆様に多くの負担をお願いしています。だからこそ行革プランを推進し財務体質を強くすることが、ひいては県民サービスの量・質の向上につながらなくてはなりません。

そこで、来年度、第2次行革プランを見直しするにあたって、今回の見直しにより県民生活がどのように向上するのか、将来へどのようにつながるのかを県民に対して、明確に示す必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

2 今後の社会基盤整備の進め方について

質問の第2は「今後の社会基盤整備の進め方」についてです。

東洋大学の根本祐二教授は、その著書の中で、わが国における社会基盤を更新するための投資額は、今後50年間で総額330兆円と推定されること、アメリカでは既に社会インフラの崩壊が始まっており、わが国でも一つの自治体で一つの橋が危険にさらされていることなどを述べておられます。現実に、私の地元でも、一昨年、国道2号にかかる橋のたもとが陥没する事故が発生しました。

また、昨年度の国土交通白書では、20年後には道路橋梁、河川管理施設、港湾岸壁の過半数が建設後50年以上を経過し急速に老朽化が進むとされています。このまま従来どおりの維持管理・更新を行った場合、投資総額を上回るとの推計もあります。

本県においても、今後10年程で橋梁、排水機場等の約4割から6割が耐用年数を迎え、修繕を行わず一律に更新する場合、30年後の維持・更新費は、現在の約3倍程度と試算されますが、仮に施設の長寿命化に計画的に取り組めば、これを2倍程度に抑えられます。

この点、今後、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定し、計画的・効率的な老朽化対策に取り組むとともに、津波防災インフラ整備5箇年計画に基づき、防災・減災対策にも迅速かつ着実、積極的に取り組んで行かなければならない中、私は、いくつかの懸念を感じております。

1点目は、予算執行の自由度への懸念です。今年度の社会基盤整備事業費1,566億4,200万円のうち、維持・更新費は311億9,700万円と19.9%を占めますが、仮にこれが2倍に抑えられるとしても約40%となり、今後、新規投資は抑制され、予算執行の自由度が下がるのではないでしょうか。

2点目は執行力の確保です。近年、約1,000億円程度の繰越が常態化しています。加えて、今回の2月補正では、多額の公共事業費や公共施設整備基金の積み増し等が予算化され、例年以上に事業量は膨大なものとなっております。このような中、積算、発注等の契約事務の遅延や受注業者の人手不足など、現場が対応しきれないという事態が起きる虞はないのでしょうか。

3点目は市町との連携の必要性です。先日、わが会派で長崎県の橋梁長寿命化修繕計画について調査した際、補修マニュアルや独自の歩掛の作成など、様々な配慮をしながら進めているとお聞きしました。中でも、市町管理の橋梁は県管理の数倍に上り、老朽施設の増加に対応する市町職員の技術力向上が課題であるとのことでしたが、橋梁に限らず、本県でも同様の課題があるのではないでしょうか。

そこで、県として、これらの点をはじめ様々な課題があることを踏まえた上で、今後、どのように社会基盤整備を進めて行こうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

 

 

3 救急医療体制の充実について

質問の第3は「救急医療体制の充実」についてです。

ここ10年足らずの間に地域医療を取り巻く環境は大きく変化しましたが、特に平成16年の新医師臨床研修制度の導入により、医局制度が崩壊し、医師の科目偏在と過疎地域での医師不足、病院崩壊・地域医療の崩壊へと負の連鎖が続きました。県内でも平成16年~20年にかけて医師数は県全体で6.4%増加しているものの、北播磨・但馬・丹波・淡路での医師不足が顕在化し、姫路市でも、吐血し救急を要請した男性が18の医療機関で搬送を拒否され死亡する事件が発生するなど、地域医療崩壊を象徴する事件が起きました。

これに対し、県では、様々な施策を展開し医師の量的確保や地域・特定診療科の偏在への対応を進めるとともに、救急医療の最後の砦となる第3次救急医療体制の整備にも取り組み、地域医療体制の構築を進めています。

一方で、昨年11月消防庁より出された「平成24年版救急・救助の現況」によると、平成23年の救急車の出動件数は前年比24万3,973件増の570万7,655件あり、搬送人員も20万3,192人増の518万2,729人と過去最高を記録しております。5.5秒に1回の割合で救急隊が出動し、国民の25人に1人が搬送されていることになります。

県内においても、平成23年の転院搬送を除く救急搬送人員数は前年から7,184人増え20万358人となり、3次救急医療施設への搬送割合は7.2%から8.7%へ、重症以上の人数は14,929人から15,265人へと増えています。

こうした中、兵庫県民間病院協会の会長は、地域の救急医療の状況を考える場合、「重症以上の傷病者で病院交渉回数が4回以上の事案の割合」「重症以上の傷病者で救急車現場滞在時間30分以上の事案の割合」という二つの指標が重要であると仰っておられますが、県内での前者の割合は1,017件6.7%、後者の割合は886件5.8%で、いずれも全国の平均値を上回り、全国ワースト10に入る厳しい結果となっています。

個々の医療圏では、阪神北・南地域が最も厳しい状況にあり、特に市町ごとで大きなばらつきが見られ、近隣市町相互の連携を図り、この状況を早急に改善すべきです。

先日、常任委員会の調査で伺った県立西宮病院でも、救命救急センター指定後、3次に加え2次救急患者搬送依頼用ホットラインを増設し対応していますが、3次救命救急を守るため年間約1,000件の搬送を断らざるを得ないと聞きました。

そこで、現在、保健医療計画の改定作業が進められていますが、県民の命の最後の砦となる3次救命救急体制を維持するためにも、県として積極的に各市町間における広域連携体制の構築を進め、阪神北・南地域をはじめ県下における2次救急体制の強化に速やかに取り組むべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

4 障がい者の法定雇用率達成に向けた取組について

質問の第4は「障がい者の法定雇用率達成に向けた取組」についてです。

先日、健康福祉常任委員会の管内調査で、社会福祉法人ホーム塩屋の役員の方々と「知的障がい者への自立支援」をテーマに意見交換させて頂きました。「障がい者の自立には色々な形がある」「仕事を通して生きる喜びを学び、仕事をやり遂げた自信が自立へ繋がる」という理事長のお言葉が印象に残っています。障がいの有無を問わず仕事を持つことは豊かな人生を送る為には欠かせません。

さて、県下の障がい者は平成23年現在約30万9千人で、その1/3の11万5千人が18歳以上65歳未満の方と推計されます。仮にこれらの年齢の方のすべてが就労可能とするならば、昨年6月1日現在、県下で雇用されている障がい者は約1万1,400人と全体のわずか1割に止まっており、就業を希望する一人でも多くの障がい者の方々の働く場の確保を続けなければなりません。

このような中、法令改正により、この4月に法定雇用率が1.8%から2.0%へ引き上げられますが、県下の民間企業における障がい者雇用率は昨年6月1日時点で1.79%と、僅かですが法定雇用率に届いていないのが実状です。

これを企業規模別に見れば、常用雇用労働者数が100人以上の企業の50%以上が法定雇用率を達成しているのに対し、56~100人未満の企業では48.3%と半数が未達成となっており、規模の小さな企業における雇用をより一層促進していく必要があります。

特に4月からは、障がい者を雇用しなければならない事業主の範囲がこれまでの常用雇用労働者数56人以上から50人以上へと拡大されます。これにより、対象となる県下の企業数及び常用雇用労働者数は約3,000社、約65万人と推計され、単純に計算した場合、法定雇用率2.0%を達成するには、昨年6月1日時点に比べ、更に約1,600人の障がい者の雇用を確保しなければならないことを考えれば、今回範囲が広げられる小規模企業への支援は喫緊の課題です。

産業別に見れば、不動産・物品賃貸、金融・保険、教育・学習支援等では全国に比べ本県の雇用率が下回っており、これらの分野における対策も重要です。

県では、これまでから種々の関連施策を工夫するとともに、今年度には特例子会社制度の積極活用を進める企業への支援や、兵庫県雇用開発協会に専任コーディネーターを配置し、初めて障害者を雇用する中小企業を対象に、各種相談や研修も行うなど、法定雇用率達成へ向けた取組を強化されています。また平成27年4月には、常用雇用労働者数100人超200人以下の事業所が障害者雇用納付金制度の対象となることから、取り組みを加速させる契機としなければなりません。

そこで、より一層の雇用促進と法定雇用率の達成を目指し、これまでの取組の成果を踏まえ、更に個々の企業の規模や業種・業態などに応じた個別ピンポイントの施策も展開していくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

5 農協への指導強化と農家の競争力強化について

質問の第5は「農協への指導強化と農家の競争力強化」についてです。

政権交代により来年度から「農業者戸別所得補償制度」について一部施策の組換えが行われます。まずは現場での混乱が生じないよう担当部局の適切なご対応をお願い致します。

さて、昨年、神戸ビーフの輸出が開始されました。安定した供給と採算の確保にまでは至らないようですが、明るい兆しが見え始めています。海外戦略は今後の農業を占う重要なテーマであり、中でもTPPの議論は、先の衆議院選挙において争点の一つとなりました。全国の農業団体の会長からはTPPへの対応を選挙支援の判断材料にするとの発言もありましたが、世界的な規模で貿易自由化の流れが加速していることを認識しなければなりません。

県内の平成22年の販売農家の平均年齢は全国平均を2歳上回る67.8歳となっており、高齢化が進行しております。また、耕作放棄地や休耕田の増加など農地は10年間で3,900ha、甲子園球場約1000個分も減少しており、産地の衰退を食い止め、産業としての農業への転換が急務です。

このような中、県では平成24年3月「ひょうご農林水産ビジョン2020」を策定し、農家の競争力強化や他産地との差別化など、農林漁業者、農協、事業者等と連携した施策展開を図っています。

これに対し、昨年9月議会では、わが会派の池畑浩太朗議員が、このような農協と連携した農業モデルが硬直化しているのではないかとの懸念から、「県の農協に対する指導・監督の現状と評価、今後の取組方向」について質問したところですし、常任委員会の管内調査でも、県内の農協を調査しましたが、法令の規定や総会での決定によるものと承知はしていますが、多額の内部留保金を有していることなど、組織や事業の運営方法を見直した方が良いのではないかと考えられる事例も見受けられるところです。

これまで、わが会派では宮崎県の農業生産法人「新福青果」や千葉県の農事組合法人「和郷園」、山口県の「(株)秋川牧園」や佐賀県の野菜直売所「マッちゃん」など多くの事例を調査してきました。これらの調査先に共通するのはこれまでの農家・生産者の概念を越え、独自で農薬・肥料を管理した生産を行い、消費者と生産者のニーズの把握や出口対策・流通経路の確立などを行うなど、まさに企業経営そのものだという点です。産業としてうまく回転すれば後継者もどんどん出てくるとも言われています。

そこで、より競争力ある農家を構築するため、農協の本来の役割である営農指導、技術支援をはじめ、肥料や必要な資材の共同購入などの経済事業において組合員ニーズを十分反映させるよう、今後の組織のあり方なども含め、今一度、農協への指導を強化するとともに、県施策の推進にあたって、多様な民間企業や先進的な農家等の事業能力を積極的に活用していくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

6 通学区域変更に伴う課題について

質問の第6は、「通学区域変更に伴う課題」についてです。

県では、高校改革の一環として平成12年から2次にわたり「県立高等学校教育改革実施計画」を策定し、学びたいことが学べる学校づくりを進めています。平成21年度から25年度までの第2次計画の下、16学区中12学区へ複数志願選抜制度の導入拡大が図られました。あわせて「県高等学校通学区域検討委員会」での検討を経て、一昨年11月、高校進学の選択肢確保と魅力ある高校づくりの更なる推進・発展を目的として、現行の16学区から5学区への再編と県下全学区への複数志願選抜制度導入を要旨とする最終報告が纏められました。

同最終報告では、この度の全県での通学区域の再編はおよそ半世紀振りとなることや一部学区では選抜制度を変更し間もないことから、遠距離通学等による負担の増加、志願の偏り、受験競争の激化、選抜制度変更による混乱などの課題が述べられています。県ではこれをもとに、昨年1月、新通学区域に係る基本方針を示すとともに、学区再編後の選抜制度の改善などの諸準備を進め、昨年12月に新通学区域に係る公立高等学校入学者選抜の改善について決定・公表されたところです。

高校選びは人生設計を考える上で重要な社会への第一歩です。高校で知り合った友は生涯の友となり、学校生活は人生の宝ともなります。より夢のかなえられる選択ができるようにしなければなりません。

そこで、制度変更にあたって、以下2点についてお尋ねします。

 

(1) 学区拡大に伴う生徒・保護者・進路指導担当教員間における情報共有について

1点目は、「学区拡大に伴う生徒・保護者・進路指導担当教員間における情報共有」についてです。

私の地元の明石学区では、全日制普通科高校における入学者選抜については、現在、複数志願選抜制度が導入されており、生徒が自分の学力、学校の特色・難易度などを見定め5校の中から選択しています。生徒・進路指導担当教員はもとより、保護者もこれまでに多くの情報を蓄積しており、通学の負担等も十分に考慮しながら志望校を決定しています。

今回の学区拡大に伴い、明石、加印、北播の3つの学区が新第3学区24校に、また阪神間と丹有の5つの学区が新第2学区34校に再編され学校数、通学エリアとも急激に拡大します。

これにより、確かに選択の幅は広がりますが、新学区全体を見据え志望校を選択・決定するために必要な情報の確保・蓄積はこれからであり、スムーズに志望校を決定できるのか懸念されます。とりわけ進路指導に影響を与える教員が日常業務に忙殺される状況下では、十分な進路指導を期待するのは困難だと思われます。

そこで、スムーズな志望校決定のため、県教育委員会として、生徒・保護者・進路指導担当教員間における情報共有をどのように図っていくのかお尋ねします。

 

(2) 第1志望加算点について

2点目は、「第1志望加算点」についてです。

昨年12月に発表された「新通学区域に係る公立高等学校入学者選抜の改善」において、複数志願選抜制度の県下全学区への導入に際し、これまで弊害が多いとされて来たその他校希望が新通学区域では廃止されることとなりました。これにより進学を保障するセイフティネットの効果が薄れ、第1・第2志望決定はより慎重を期すことになりますが、その動向を大きく左右するのが第1志望加算点です。

ある塾のホームページでは、実際の合否判定の際に学力検査の点数は0.5倍換算されることから、「加算点は入試本番の2倍の価値がある得点、実際に第2志望に合格するのは大変難しく第1志望合格90%に対し第2志望合格5~10%とかなり低い。」と紹介されています。

特に、第1志望加算点が大きい学区では、第2志望を選択しようとしても、その合格をより確実なものとするためにはより慎重に選択して志望校を変更するなど、本来の希望とは全く違う学校を志望せざるを得なくなるケースも生まれます。また第1志望と第2志望の合格者では入学後も実力差があるように思います。

これまで教育委員会は、複数志願選抜制度導入前の制度の違いによって受験者の平均点が異なり、その差によって学区ごとの第1志望加算点の設定も異なると説明しており、例えば、これから1つの学区となる第3学区内でも明石学区は15点、北播学区では35点と大きく異なっています。

そこで、受験動向を大きく左右する第1志望加算点について来年度中に見直しを行うとされていますが、これまでの制度・教育風土などが大きく違う学区を統合するにあたり、県教育委員会として、どのような基本方針で臨むのかお尋ねします。

 

 

7 警察官の不祥事根絶等へ向けた取組について

最後の質問は、「警察官の不祥事根絶等へ向けた取組」について、2点お伺いします。

 

(1) 警察官の綱紀粛正について

まず1点目は、「警察官の綱紀粛正」についてです。

本県における昨年の刑法犯認知件数は75,651件と、ピークであった平成14年の164,445件に比べ、大幅に減少しています。

これまでの様々な取組の成果と評価するものの、殺人などの重要凶悪犯罪をはじめ、空き巣・ひったくりなどの街頭犯罪、高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐欺やサイバー犯罪などが連日のように新聞やテレビで報道されています。引き続き、徹底した検挙と発生抑制に向けた取組をお願い致します。

さて、昨年12月、尼崎の連続変死事件の容疑者が県警本部内の留置場で自殺する事案が発生しました。先月検証報告書がまとめられましたが、二度とこのような事案が起こらないよう反省すべきところを反省し、改めるべきところをしっかり改めて頂きたく思います。

あわせて残念なことに警察官の不祥事が急増しています。生田署の巡査長が万引き容疑者を暴行、県警本部の警部補が万引き、セクハラで巡査部長戒告、情報漏洩の疑いで警部補ら4人送検、姫路署での供述調書改ざん容疑、社署での調書捏造事件など、ここ数か月の事案だけでもこれだけあります。つい先日も、捜査資料紛失により、計6人の警察官が本部長注意等の処分を受けたとの報道がありました。

過去の懲戒処分件数をみると平成20年は9件9人、21年は13件13人、22年は12件13人、23年は18件18人、24年は20件27人と、ここ5年で倍増しているほか、昨年の27人中10人が停職処分となるなど懲戒対象となった行為の質も劣化しています。

このような中、警察庁では非違事案防止対策委員会を設置し、警察官としての資質の不適格者の採用をどう防ぐかについての検討を行い、採用試験にポリグラフ検査を導入する案が出たとの報道もありましたが、そのようなことを真剣に議論しているのかと思うと、身命を賭して住民の安全・安心を守るべきはずの警察は一体どうなってしまったのだろうとの思いを禁じ得ません。

そこで兵庫県警察本部長就任にあたり、綱紀の粛正と県民の信頼回復にどう取り組むのか、本部長の決意のほどをお尋ねします。

 

(2) 警察官のメンタルケアについて

2点目は、「警察官のメンタルケア」についてです。

先日、神戸水上署の庁舎移転に当たり、署内に設置された留置施設を丁寧にご案内頂きました。単独または複数の被疑者が入る施設が横に並び、薬物使用などが疑われる被疑者が入る施設は、我々の日常生活では考えられない光景と言うのが私の印象です。看守勤務員の警察官は、これらの施設に入った被疑者と四六時中対面し動静を監視し続けなければなりませんが、その心理的なストレスは相当厳しいものではないかと容易に想像できます。

また、監視勤務員のみならず、警察官の職務は常に危険と隣り合わせであり、高い職業意識を保ちつつ常に緊張しながらその職務に当たっておられることと思います。加えて、私生活の面においても厳格な自己管理が社会的にも求められており、これらにより日々生じる精神的なストレスが先の質問で述べた不祥事発生の要因の一つと言っても過言ではありません。

個々の不祥事に対する処分も大切ですが、同時に警察全体として不祥事を生まない基盤をどう整えるのかということを考えていくことも重要と考えます。

また、警察学校入校者は、入校前から厳しい訓練を承知しているはずであるのに、平成23年度514人、24年度418人の入校者に対し、23年度は110人21.4%、24年度は84人20.1%が在校中に退職しています。民間企業であれば新入社員が半年や1年で2割も辞めてしまうことは考えにくく、本県にとって大きな損失であり異常事態であり、こうした中途退職者の発生を防ぐ必要があります。

そこで、警察本部として、すべての警察官が健やかな精神状態のもとで、自信と責任感を持って自らの職責をまっとうできるよう、そのメンタルケアについて、これまでどのように取り組んで来たのか、また、昨今の不祥事案件や警察学校在校中の途中退職者の増加を踏まえ、今後その取組をどのように充実して行くのか、ご所見をお伺いします。

 

 

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