山本千恵議員が代表質問を実施

平成25年6月 第318回定例県議会 代表質問要旨案

 

質 問 日 : 平成25年6月7日

質 問 者 : 山本 千恵 議員

質問形式 : 一括質問

 

 

民主党・県民連合議員団を代表して、以下7項目8問にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします。

1 「創造と共生の舞台・兵庫」の実現について

 質問の第1は、知事が目指す「『創造と共生の舞台・兵庫』の実現について」であります。                             
 「創造と共生の舞台・兵庫」は、2011年12月に「21世紀兵庫長期ビジョン」を見直した際に、2040 年にめざすべき兵庫の未来像として、掲げられました。
知事は、2001年の就任以来、県民の参画と協働を基本に、21世紀の成熟時代にふさわしい新しい兵庫づくりに取組まれています。また、人口減少社会への対応が課題となった今期についても、兵庫の活力を維持するため、地域再生大作戦や明舞団地の再生などの各種施策を通じて取組まれているところです。   
今年度の当初予算では、少子化や高齢化により社会保障関係費が増嵩し、投資的経費を含む一般施策のための経費が抑制されています。財政収支見通しでも、収支不足が2017年度まで見込まれる厳しい財政状況であり、さらなる選択と集中が求められています。                        
しかしながら、このような状況下であっても、それぞれの地域が活力や独自性を失わず、持続可能な兵庫県を構築していくことができるよう、「21世紀兵庫長期ビジョン」に掲げる諸課題を克服し、「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて、兵庫の未来への道筋をきちんと確立していく必要があります。    
 知事のホームページを拝見しますと、「舞台は一定のシナリオに基づき俳優が演じて物語を発信する。主役は演技者のように見えるが、舞台装置や照明、音響など関連する人々の支えがあって、はじめて成立する。つまり、総合芸術なのだ。兵庫県づくりも県民あげて総合的に進めていく。主役は県民、シナリオはビジョン、支えも県民、つまり県民がその実現を目指す主体そのものである。」とされており、ビジョンの実現には、主体そのものである県民がビジョンを共有し、共に進めていくという機運づくりといった決して数値では測ることができない部分も重要な要素となってきます。                    
 そこで、今後5年間に重点的に取組む県政の指針として「全県ビジョン推進方策(前期)」を策定し、ビジョンの実現に向けてスタートしたところですが、4期目を目指している知事として『創造と共生の舞台・兵庫』を今後どのように実現していこうとされているのか、4期目の決意としてお伺いします。     

2 ふるさと意識の醸成について

  
 質問の第2は「ふるさと意識の醸成について」です。
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が20%超える高視聴率を記録しています。北三陸の田舎町で繰り広げられる母子を中心とした人間関係や「田舎」の持つ魅力に心動かされるヒロインアキの姿に、多くの人が惹きつけられています。
今年度、県では「育ちの中でのふるさと体験」「暮らしの中でのふるさとづくりと交流」「ふるさと・ひょうごへの想い」を事業の3本柱として知事を本部長とするふるさと事業推進本部が新たに設置されました。          
先般の2月定例会の知事提案説明において、知事から人口減少社会においては、兵庫を故郷とする人が兵庫の未来を担っていく必要があるとの認識のもと、ふるさと意識の育成の重要性について説明があったところです。        
また、知事は故郷とは単に生まれ育ったところではなく、その人の人格を形づくった風土であり、文化や伝統の継承地であると述べられています。ふるさと意識は人によって様々であり、生まれ育った地域を思い起こす人もいるでしょうし、地域活動や交流を通じて、現在暮らしている地域を第二の故郷とよぶ人もいるでしょう。それぞれが思い起こす「ふるさと」は十人十色です。       
ふるさと意識というものが具体化されないままでは、単にふるさとづくりの推進という施策に名を借りて事業を実施するだけで終わってしまうのではないかと危惧しています。                          
また、知事のお言葉を借りれば、「ふるさと意識の醸成」は「兵庫を故郷とする人が兵庫の未来を担っていくこと」とイコールではないかと思います。兵庫を思う人々が、世代を問わず、県内外を問わず、兵庫づくりに積極的にかかわる「参画人口」を増やすこと、枠組みを作っていくことが、「ふるさと意識の醸成」の具体化、あるいは具体的指標になるのではないかと考えます。       
先日、発表されました、知事の公約である「私の政策」の記者会見の際には、特に力を入れる政策の一つとして「ふるさと兵庫をつくること」が掲げられていましたが、知事が思い描く故郷とは何か、あらためてご所見をお伺いすると共に、「ふるさと意識の醸成」をどのように具現化させていくのかについても併せてお伺いします。

3 関西広域連合と道州制について

質問の第3は、「関西広域連合と道州制について」2点お伺いします。

(1)関西広域連合における道州制の検討について

 はじめに、「関西広域連合における道州制の検討について」です。
 道州制を巡っては、政府与党が、都道府県を廃止して全国の区域を分けて道州を設置する道州制基本法案をまとめ、今国会での成立に向け、道州制の導入に前向きな日本維新の会やみんなの党とともに共同提案を目指しているとも言われています。
現政権発足後、道州制の議論に押され、これまで関西広域連合において着実に取組んできた、国の出先機関の地方への移管については、完全に足踏み状態となっています。
国におけるこのような道州制をめぐる現実的な動きに対応していくため、関西広域連合では、国主導の中央集権型道州制にならないよう、新川達郎同志社大学大学院教授を座長として、「道州制のあり方研究会」を設置して、道州制のあり方について調査・検討を進めておられます。
 関西広域連合の設立の際にも“呉越同舟”と各方面から指摘され、広域連合が関西州への布石になりかねないとして、設立案には「広域連合が道州に転化するものではない」と明記されましたが、道州制の設置が現実のものとなれば、広域連合から転化しようがしまいが全く関係ありません。
この度の研究会についても、研究対象である道州制に対する意見が正反対の委員がいるなか、果たしてまとまるのだろうか、却って関西広域連合のまとまりのなさを示すだけになってしまうのではないかと危惧しているところです。
研究会の設置の際にも、道州制推進派の橋下市長より、「国が道州制導入の方向で動いていくのに、関西広域連合が違うものを検討しても意味がない」との意見が出され、「広域行政体制のあり方研究会」から「道州制のあり方研究会」と変更になったとの報道があり、先行き不安が露呈した格好となりました。
 このまま研究会が進んでも、橋下市長ら道州制推進派のパフォーマンスに利用されるだけではないかと危惧しています。
 道州制が実現すれば、統治機構の大転換を図ることが出来ますが、現在の道州制に関する議論では、国の役割の見直しに関する議論すら行われていません。また、国の出先機関の移管でさえ、なかなか進まない状況下において、道州制への枠組みを変えるのが先で、権限は後から議論するという発想について危機感を感じており、道州制を議論する前に国の出先機関の移管を先行させるべきであります。平たく言えば、国の出先機関の移管もままならない中で、地方分権型の道州制が実現するとは到底思えません。
 そこで、道州制を強く推進しようとする委員がいる関西広域連合で、あえて道州制の研究を行うのはなぜか、また、既に3回の会を開き、6月か7月にも中間報告を出されるようですが、本当に着地点は見いだせるのでしょうか。
道州制で足並みが乱れ、さらに、現政権となり国出先機関の移管も全く進展がない中、関西広域連合の今後の展望はどのようなものでしょうか。
これらについて、広域連合長である井戸知事の見解をお伺いします。 

(2)本県での広域行政体制のあり方の検討について

 次に、本県での広域行政体制のあり方の検討について、お伺いします。
 先ほどの広域連合における「道州制のあり方検討会」と同様に本県においても、国における道州制の導入に向けた検討が進むと予想し、国主導の中央集権型道州制とならないよう、「今後の広域行政体制のあり方研究会」を設置しているところです。これまでに4月25日と5月30日の2回の検討会が開催され、都道府県への権限移譲の可能性について、本県をモデルとして全庁的に取組もうとされています。
 しかしながら、検討対象はいずれも「道州制への懸念」であるにも関わらず、先ほどの関西広域連合の検討会は「道州制のあり方」としているのに対して、本県での検討会は「広域行政体制のあり方」となっており、その違いがどこにあるのか判然としません。もちろん、検討会の開催による理論武装も必要ではありますが、現在の政府与党による道州制議論の実情を広く知ってもらい、「地方からの改革としての道州制」への必要性に対する機運を高めていくことに軸足を置く必要があるように感じています。
そこで、本県に設置した「今後の広域行政体制のあり方研究会」について、先に質問した関西広域連合での「道州制のあり方研究会」との違いはどこにあるのでしょうか。また、研究会は続けるにしても、兵庫県として、道州制に対しどのようなスタンスをとるのか、改めて知事の見解をお伺いします。

4 人口変動を見据えた災害時の対応について

 質問の第4は、「人口変動を見据えた災害時の対応について」です。   
阪神・淡路大震災を経験した兵庫県は、人と防災未来センターを設置し、その経験と教訓を継承するとともに、東日本大震災の被災地に対しては、災害救助から復興支援まで、経験に基づいた支援を今もなお継続しています。また、近い将来発生すると言われている南海トラフ巨大地震に備えて、津波防災インフラ整備5カ年計画に基づいたハード面での取組に加え、地域防災力の強化のための「総合防災訓練の実施」や「災害時要援護者支援対策」など、災害への対応力向上のためのソフト面での取組も新たにスタートさせています。         
 しかしながら、県内の人口構成は、阪神・淡路大震災が発生した1995年当時と比べて大きく変動しています。県内総人口は2010年をピークに減少に転じるとともに、高齢化率は13.6%から24.3%へ増加、生産年齢人口の割合は69.5%から62.9%へ減少しています。また、少子高齢化だけではなく県民の多様化も進んでおり、障がいを持つ方や日本語が不自由な外国人等のニーズの多様化により、県民の日常生活を取り巻く環境も随分変わってきています。      
 人口構成が大きく変わるということは、災害時の対応も変わってきます。少子高齢化の進展は、被災者も初動対応する人員も高齢化することを意味し、避難所によっては、高齢者のみで対応していかなければならない状況も十分に予想されるところです。また、高齢者だけでなく障がい者、乳幼児、妊婦、傷病者など、いわゆる災害時要援護者は、支援が届かなければいとも簡単に孤立してしまいます。実際に、東日本大震災では今年の3月末現在で2,688人の関連死が発生し、そのうち約9割の方が高齢者でした。災害を逃れた災害時要援護者が、その後の避難生活の中で亡くなっている現状を踏まえ、「いかに逃がすか」だけではなく災害を逃れた後の対応について、もっと目を向けていく必要があります。                                
とはいえ、あまりにも多様なニーズに対し、被災した自治体においてすべてに対応していくことや被災者による被災者支援にも限界があるため、他府県から官民を問わず幅広い支援が必要になります。災害時要援護者への支援を循環させていくためには、東日本大震災においても必要な物資が足りない、避難所のニーズに応じた支援が届かないといった現状を踏まえると、たとえば、避難所における多様なニーズを集約して支援者側につないでいくことができるコーディネーターの育成や、県外からの支援者を受け入れるための広域連携やルール作りなど、発災後の備えについてシミュレーションを行いながら、十分に検討する必要があると考えます。                               
 そこで、先日、発表されました県の「災害時要援護者支援指針」及び「避難所管理運営指針」は、東日本大震災等を契機として見直しが行われ、被災者の特定やそのニーズ把握などに踏み込んだ内容となっていますが、県内の人口変動を見据え多様な被災者のニーズに応えていくためにも、特に、発災直後から当面の間の避難生活の支援体制を構築していくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。                

5 生活困窮者に対する自立支援について

質問の第5は、「生活困窮者に対する自立支援について」であります。  
 近年の厳しい社会経済情勢を背景に生活保護の受給者は、2011年3月には、59年ぶりに200万人を超え、保護費も3兆円を超える状況となっています。生活保護を巡っては、年金支給額と最低賃金額の逆転現象、不正受給、貧困ビジネス、さらには親族間扶養義務の厳格化の問題もあり、制度の見直しが国で検討されています。
 生活保護の見直しと併せて、生活困窮者に対する対策も、社会保障審議会の下に「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を設置し検討され、今年の1月には報告書が取りまとめられました。先日、閣議決定され今国会で法案を提出し、2015年度のスタートを目指しているところです。         
 ここでいう「生活困窮者」とは、生活保護に入る前の段階にある「経済的困窮者」をその対象としているところですが、「無縁社会」という言葉に代表されるように家族や地域とのつながりが希薄化している現状を踏まえ、社会的に孤立している人やさらには、貧困や障がい、疾病、失業、家族の問題、非行・犯罪などの問題を抱えている方、またこれらの課題が絡み合い複合的な課題を抱えている方についても、支援していくことが重要です。              
 これまで、国や自治体においては、低所得者、失業者、児童、高齢者、障がい者などの区分に応じて、様々な支援制度や支援機関が整備されてはいますが、対象者が区分ごとに限定されており、複合的な課題には、十分に対応できていない状況であります。
 このため、国においては、2010年度より、「個別的」「包括的」「継続的」な支援を行う仕組みの構築を目指して、一部の自治体において、生活や就労について相談にのり、必要な制度やサービスにつないでいく「パーソナル・サポート・サービス事業」をモデル事業として昨年度まで実施していました。      
先の社会保障審議会の報告書には、7つの分野の支援が掲げられていますが、最初に掲げられているのが支援の入口である「相談支援」であります。本県においても総合的な相談窓口を設置し、それぞれの状況に応じた支援が行える体制の構築が望まれるところですが、スタッフの確保・処遇の問題、さらには、必要とされる自立支援は多岐にわたり、ハローワークをはじめとする関係団体とのネットワークの構築など、相談体制の構築にあたって解消すべき課題は多く、その準備には相当の期間を要することが見込まれるところです。         
また、小規模自治体では、単独での設置が難しく、千葉県では、複数自治体ごとに1箇所の総合相談センターとして、13の中核地域支援センターを県が設置し、24時間365日体制で福祉サービスのコーディネート・福祉の総合相談・権利擁護等を行っています。                       
 そこで、本県におきましても、国の動向に関わらず、縦割りではない横断的・総合的な支援体制を構築し、生活困窮者に対する自立支援を進めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。                     

6 空き家対策における課題と県の役割について

 質問の第6は、「空き家対策における課題と県の役割について」であります。 
空き家対策については、今年度の予算特別委員会の部局審査において、我が会派の栗山議員より質問したところですが、4月13日に発生した淡路島を震源とする地震の被災地を調査したところ、被災建築物には空き家を含め所有者不在の管理不全の状態にある建築物が多く見受けられました。また、本来は住宅用地に係る固定資産税の負担軽減を目的とした、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例が、空き家問題という観点からすると、放置空き家の除却を妨げるマイナス要因として機能してしまうなど、悩ましい問題もあります。現地調査を通じ、被災地に限らず、空き家対策を早急に進めていく必要性を強く感じましたことから、改めて質問させていただく次第であります。
人口減少や少子高齢化の進展や核家族化、単独世帯化など家族構成の変化が空き家発生の主な原因とされていますが、既に人口減少に突入した本県における空き家の状況は2008年10月現在で率にして13.3%、戸数にして33万6200戸となっています。
空き家は、①売却用住宅の空き家、②賃貸用住宅の空き家、③別荘などの二次的住宅、④さらには、これら以外の人が住んでいない住宅のその他住宅の空き家に分類され、そのうち問題なのは、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や死亡により居住者不在となって放置されている場合、さらには売却や賃貸する意思はあるものの買い手や借り手がつく可能性がほとんどなく、空き家のまま放置しておくしかない場合であります。
空き家を長期間放置すると、雑草の繁茂、汚泥・廃棄物の堆積等により、治安や景観の悪化、不動産価値の低下など周辺環境にも多大な外部不経済をもたらし、結果として適正かつ合理的な土地利用をも阻害することとなります。また、空き家の放置は、郡部に限った問題ではなく、都市部においても既に人口減少が始まっていることから同様の状況が発生しつつあります。
予算委員会における答弁では、①中古住宅の流通・活用の促進、②放置され周辺に外部不経済を発生させることの防止の2点を空き家対策の大きな方向性として、昨年度より今年度にかけて住宅審議会に小委員会を設け、検討しているとのことでありました。
このご答弁からも窺うことができますが、空き家対策は、①まずもって、空き家を発生させないようにすること、②次に空き家となった場合には利活用可能な空き家については、活用方策を、そうでない場合については除却方策をそれぞれ検討していくこととなります。
その前段階として、空き家をそのまま放置することの危険性を広く知ってもらい、空き家対策への機運を高めていくことが必要であります。
県下でも一部の市で空き家管理条例が制定され、空き家対策は進みつつありますが、現実には、個人財産であることから、たとえ危険であってもなかなか手をつけにくい面があります。危険性の高い空き家に対しては、もっと毅然とした態度で所有者に対して臨み、積極的に除却できるよう環境を整えていく必要があります。
そこで、実際に空き家対策を進めていくうえでの難しさや課題について、どのように認識されているのかお伺いするとともに、空き家対策における県の役割についてどのように認識され、市町との役割分担について県と市町でどのように共有しているのかについても併せてお伺いします。

7 地域の教育力向上に向けた取り組みの推進について

最後の質問は、「地域の教育力向上に向けた取り組みの推進について」です。
昨年9月に川西市の高校2年生が自ら命を絶った事件は、学校現場、保護者に大きな衝撃を与え、いじめや体罰、教育委員会の在り方までもが大きな社会課題として議論されています。また、学校週6日制の復活や道徳の教科化といった議論もされるなど、今、学校教育そのものが大きく変わろうとしています。  
本県では、今年度、「ひょうご教育創造プラン」の見直し年度にあたりますが、先般開催されました第1回目の「兵庫県教育振興基本計画検討委員会」では、昨年度の出来事や学校現場の抱える課題を踏まえ、生き抜く力とは何か、自尊感情を大切にする教育の必要性、家庭教育と学校教育の関係や教育現場の多忙化への危惧など様々な意見が出ていました。                  
これまで、本県では、現行プランにもあるとおり、いわゆる「読み・書き・そろばん」の学力だけではなく、教育相談窓口の設置やスクールカウンセラーの配置、防災教育や人権教育の推進など、「生きる力」を育むための教育を進めてきたところです。また、地域においては、PTAを中心とした見守り活動や、放課後、土日を活用した地域住民との交流活動やスポーツ、文化活動など児童生徒の学習支援と居場所づくりが行われている事例が見られる所もあります。このように、兵庫の教育は学校現場だけではなく「地域ぐるみ」の教育に向かいつつあると感じます。     
しかしながら、学校現場はますます多忙化の一途をたどっていると言わざるを得ないのではないでしょうか。多忙化の背景には、調査・報告書の作成などの事務処理や会議・研修への参加に加え、部活動や進路指導、保護者や地域の要望への対応、県立高校に至っては学区再編に伴い学校の特色化にも取り組んでいくなど教職員の業務範囲が拡大していることが挙げられています。本来、家庭や地域が担うべきことまで、学校現場で処理せざるを得なくなっており、児童生徒一人一人とゆっくり向き合う時間を確保することが難しくなってきています。   
また、今年4月に文部科学省中央教育審議会がとりまとめた「第2期教育振興基本計画について(答申)」の中に「社会を生き抜く力の養成」という件があります。この中には、本県が力を入れて取り組んできた「生きる力」を育てることに加え、情報化や価値観の多様化といった変化の激しい社会に対応できる教育、幅広い知識、柔軟な思考力に基づいて新しい価値を創造したり、他者と協働したりする能力の開発など教育の質の高さや多様化が求められています。        
全国的にも注目をされた本県独自の「トライやる・ウィーク」は、活動や体験を通じて、子どもたち一人一人が自分なりの生き方を見つけられるよう支援していくとともに、地域の教育力や家庭の教育力の再生をねらいとして実施されていますが、これからは「良い経験をした」というところから、次の一歩を進めていくために、その成果を今一度振り返り、現在、地域の教育力の質・量を確認することも大切かと思います。地域で提供される教育は、学校教育では担えないあるいは、新たに活用できることも多くあるはずです。            
いじめや体罰などが問題となり、学校と家庭、地域の信頼関係が希薄になりつつある現状は、教育基本法が60年ぶりに改正され現行プランが策定された5年前と比べると、教育現場における状況も変わりつつあるといえるのではないでしょうか。これからの教育には、これまでの連携方法にとらわれない、新たな地域ぐるみの教育の在り方を模索していく必要があるように感じます。たとえば、昨年度、文教常任委員会で視察をした伊丹市立東中学校では、土曜日を利用した地域住民や卒業生の運営による児童生徒の学習支援を行っており、まだ活用できていない地域資源を活用し、地域ぐるみで子どもを育てる意気込みを強く感じることが出来ました。                           
そこで、「ひょうご教育創造プラン」の見直しに当たり、これまでの学校・家庭・地域の連携施策について、プラン作成時から5年たった今、教育を取り巻く状況の変化等をどのようにとらえ、今後、地域ぐるみで子どもを育てる教育を通して、地域の教育力のさらなる向上にどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いします。

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