◆13年06月定例会 討論

概要 代表・一般質問  議案に対する態度と考え方  討論

第318回定例会(6月)

三戸 政和 議員

請願第77号「希望する全ての生徒の高校進学・修学の保障を求める意見書提出の件」について

 私は、民主党・県民連合議員団を代表しまして、今期定例会において受理されました請願のうち、請願第77号「希望する全ての生徒の高校進学・修学の保障を求める意見書提出の件」について、審査を付託された常任委員会で考え方を主張したところでありますが、あらためて「採択」を求めて討論を行います。

 公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度については、現在、国民的な教育機関となっている高等学校等の教育効果が広く社会に還元されていることを背景に、その教育に係る費用を社会全体で負担すべきであるという要請のもと平成22年度に創設され、家庭の教育に係る経済的負担を軽減し、教育の機会均等に大きく寄与しています。

 また、我が国も批准している「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」おいて、中等教育、すなわち高校教育までは、無償教育の漸進的な導入によりすべての者に対して機会が与えられるものとしていることからも、高等学校の無償化は、世界的にみても一般的なものと考えられます。

 現在、国では、所得制限の導入により確保した財源を、低所得層への支援の充実や、公立と私立の教育費の格差是正に振り分ける方向で検討されていますが、高等学校等の進学率が98%を超え、高校教育が準義務化されている現状を踏まえると、高校進学を希望する全ての生徒が安心して教育を受けられる機会を保障するためには、所得制限を設けず、主要先進国と同様に、恒久的な制度として維持・継続していくべきであると考えています。

 平成23年9月に、全国知事会から、国に対し、本制度については、保護者の経済的負担を軽減し教育の機会均等にも寄与するものであることから、基本的には今後も制度を継続していくべきである旨の声明文が出され、また、平成25年3月には、全国都道府県教育委員会連合会からも、本制度は保護者の経済的負担の軽減と教育の機会均等に寄与しているところであり、現在の厳しい経済情勢の中で、国民の理解を得てこの制度を維持・継続していくためにも慎重な検討をお願いしたいとの意見が述べられたところです。

 仮に、800万~900万円で所得制限がかかると、高校生のいる世帯の2割~3割程度に影響が及ぶことが予想され、家庭の経済的・精神的な負担に加えて、学校においても膨大な事務量が発生することは言うまでもありません。

また、この制度は、家庭の経済的負担を軽減するほか、無償化の実施により、退学者も減少していることが報告されており、経済的な理由により中途退学をせずに、生徒が安心して勉強に打ち込むことできるなど、生徒の学習意欲を向上する効果もあるといえます。

 しかしながら、先の文教常任委員会において、他会派からは、反対の主な理由として、教育費の負担軽減策についての必要性は認められるが、高額所得家庭の生徒の授業料まで国が支援するのは疑問であり、授業料の一律無償化ではなく、所得制限を設け、その財源でより優先度の高い新たな奨学金制度も含めた大学生・高校生の負担軽減策を検討することが適当であるとの主張があり、残念ながら、賛同は得られませんでした。

 反対の理由とされる高額所得者への対応については、例えば、国で検討されている幼児教育の無償化について、所得制限が設けられないことなど、国の政策としては、その理由づけの妥当性について疑問を抱かざるを得ないところです。

 なお、我が会派においても、給付型奨学金については、低所得世帯のためにもぜひとも検討を進めていくべきと考えていますが、恒久的な制度として予算措置すべきものであり、臨時的なこの高校授業料無償化制度の財源を削減して措置するものではないと考えます。

 次代の担い手として社会で幅広く活躍できる多様な人材を育成するためには、ひとりひとりの学ぶ機会を社会全体で支えていくことが必要であり、我が会派としては、高校授業料無償制度について所得制限を行わず現行制度を堅持すべきでということは当然であり、本請願の趣旨に賛同し、請願第77号については「採択」を求めます。

 議員各位におかれましては、何とぞ我が会派の主張にご賛同いただきますようお願い申し上げ、民主党・県民連合議員団を代表しての討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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