上野英一議員が質問(予算審査・農政環境部)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2012年3月8日(木)

1 農業政策の予算確保について

TPP問題でにわかに農業政策がクローズアップされてきています。本来は産業、生業としての農業が一番基本的な産業であり、まさしく食、衣、住であるべきものだと考えます。もちろん、その前提として水や空気や太陽の光などの自然の恵みがあることはいうまでもありません。しかしながら、工業生産物の価値と農業生産物との価値が、現代の市場経済の中で大きく開いてしまっていること自体がそもそもの問題かもしれません。
また、1月の政務調査会の際にも質問いたしましたが、中山間地域等直接支払制度について平成22年度からの第3期対策で要件緩和等がなされ対象面積が増加したところですが、平成23年度以降の第3期対策における交付金については県費の追加的措置が困難であることから、増額の対応ができない旨の通知が楽農生活室長から関係農林水産振興事務所長宛になされていることが判明いたしました。本来国の制度に対して、県が随伴することができないから行わないとすること自体、私には理解できません。それだけに、相当に厳しい財政環境と思うわけです。
来年度の農政環境部の予算について、しかも農業だけに絞って見てみますと、競争に強い農林水産業の確立に向けて、担い手の育成(新規就農者の育成)として、新規就農者確保事業に6億81百万円、就農スタートアップ支援事業に12百万円、新規就農促進モデルファーム設置事業に8百万円、戸別所得補償経営安定推進事業に2億31百万円などの新規施策に対して9億31百万円の予算を確保しています。また、生産力の強化、6次産業化の推進、農業生産力の強化なども打ち出されていますが、農業費全体では、対前年度比でわずか2億96百万円増でしかありません。
そこで、このように厳しい県財政の中で、農業政策に係る予算について、どのようにスクラップ・スクラップアンドビルドして作成したのか、その考え方についてお尋ねします。

2 競争に強い農業の確立に向けた取り組みについて

農業がなかなか産業として立ちゆかなかった原因のひとつとして、小規模零細で兼業経営が主体の生産構造であると考えます。
食料増産時代は、生産者は米や野菜、畜産物の生産に専念し、それを農業協同組合が販売するという役割分担のもと、分業による農業が展開されていることは良かったと思いますが、消費者ニーズが多様化し、それに応えるために量販店と産地が直接契約するなどの取り組みや、加えて、農畜産物価格の低下などの時代の流れに応じて、生産から加工・販売に至るまでの収益構造を持った生産構造への変革が必要であると考えています。このような時代であるからこそ、スケールメリットを生かした低コスト・省力化生産を行い得る大規模・専業化、生産法人化、更には加工品製造とそれらの販売を含めた高収益型の6次産業化等の企業化をめざすことに至ったのもそのような課題克服のために採った手段であると思っています。
すでに県内でも、そのような企業化を行い、成功している事例も増えてきていますが、今でも本県生産者の圧倒的多くが企業的経営者・企業的経営体への移行が行われておらず、そのためには、大変な努力が必要であり、それを支援する役割を果たしていくのは普及指導員ではないかと思っています。
そこで、行財政構造改革に取り組むなか、普及指導員も平成18年度と比較して、今年度末で30人減少していますが、産業として、国内外の競争に強い本県農業の確立に向けて、農業者と直接接して農畜産物の生産技術や経営の指導を行う、普及指導員の指導力向上や活動の効率化及び活動強化のための新規事業の展開も含めどのように進めていくのかお伺いします。

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