迎山志保議員が質問(予算審査・農政環境部)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2012年3月8日(木)

近年、農林水産を取り巻く環境が話題に上がれば、多くの場合、斜陽産業のように語られ、いかにして保護するのか、この傾向をどうやって食い止めるのかという方向で話が進むことが多い。私は、この分野に精通しているわけではないが、個人的には大きな将来性を持つ分野だと感じている。
私たち子育て中の母親は、食するものに非常に大きな関心を持っている。今、口にしようとしているものは、どこでどうやって作られたのか、『医食同源』『食農同源』という感覚を、もしかしたら人生の先輩方より多く持ち合わせているかもしれない。
私たちの世代はおかげさまで、食べることに困った経験はないが、飽食時代ゆえに‘選びとる’というスタンスが植えつけられている。さらに私よりもう一段階若い世代はゆとりをもった世代で、スローフードやスローライフという概念が思いのほか浸透していると感じることが多い。ぼんやりとではあるが農林水産業の営みに憧れを感じている者も少なくない。
このような中、わが兵庫はそのバラエティーに富んだ五国の恵みを享受できるすばらしい環境にある。かつて県外に出かけ、その土地の料理屋に行くと、大概の場合、『どこから来られたのですか?』と聞かれ、当時住んでいた『兵庫県・明石です』と答えると、『これはいいかげんな魚出せませんね』と言われることがよくあった。これは世間一般で「明石 = 新鮮で美味しい魚」というイメージを持たれているということである。また、海外のレストランのメニューではKOBEBEEFは高級牛の代名詞として堂々と使われている。6月に議員になってからの短い9か月間でも、これまで知らない兵庫の名産に多く出会った。
この分野においても、法による規制や既存の仕組みをはじめ、様々な困難な課題があろうかと思うが、‘攻めの姿勢で稼げる農林水産業’に向け、期待を込めて、以下4項目5問お尋ねする。

1 兵庫県認証食品の流通拡大について

まず、「兵庫県認証食品の流通拡大」についてである。
TPP問題の行方は注視するとして、今のグローバル化の流れというのはどうやっても抗えるものではない。
国内外産地との競争が今後さらに激しさを増す中で、消費者にとって身近なところで生産される農林水産物が安定的に供給されることは大変有益である。このような状況の中、県では消費者が県産品を手に取る機会を増やすべく、ひょうご食品認証制度を創設し、個性・特長のある安全・安心な農林水産物やそれらを使った加工品の認証を行い、流通拡大に努めておられる。
私は、この取組を県民の県民による県民のための買い支え運動となる県産県消運動であると認識しているが、これをより一層盛り上げていく必要があると考える。
そこで、今後の認証食品増加に向けた取り組み、流通販路の拡大について、これまでの成果検証を踏まえた今後の取り組み方針について伺う。

2 県産品の輸出促進について

質問の第2は、「県産品の輸出促進」についてである。
去る1月29日、地元の加古川食肉センターから『神戸ビーフ』の海外輸出第1号が華々しく出発した。私も式典に参加し万歳でトラックを見送ったのだが、数日後の新聞にマカオの百貨店で神戸ビーフ100g5200円!の文字を見つけ胸が躍った。
昨年の福島原発事故後、その影響により日本からの食品輸出は大きな痛手を負った。風評被害の終息を含め、その信頼回復には一定期間を要するかとは思われるが、長期的に見た場合、輸出促進に向けて継続的に取り組むことが重要であると考える。
中国をはじめアジア諸国の経済発展による富裕層の拡大に加え、何と言ってもメイドインジャパンの安全性、品質の高さへの信頼は高い。中国や韓国ではパッケージも自国用に変えず、日本仕様の方が売れ行きがよいということが多々ある。
そこで、新たな販路を求めて、県も積極的な取り組みを進めておられるが、その手ごたえはいかがなものか。また、具体的目標数値として輸出品目数を平成32年に15品目とされているが、目標達成に向けて重点的に実行を図るべき事項について、ご所見を伺う。

3 『農』のゼロエミッション事業について

質問の第3は、「『農』のゼロエミッション事業」についてである。
県においては、農産物残さ、食品廃棄物、家畜ふん尿など未利用資源を含めた多様なバイオマスを総合的に再生利用することで廃棄物を限りなくゼロに近づけるという『農』のゼロエミッション事業を展開されている。
この事業を推進していく上での指針となるバイオマス総合利用計画が平成17年度に策定されてから、既に7年が経過した。おそらく当初は今ほど循環型ライフスタイルの意識も高くなかったであろうから、その普及啓発、裾野を広げるという点で、この取り組みは一定程度、貢献されたのだと思う。私の地元でも企業・消費者・授産施設が一体となって天ぷら油の廃油からのBDFの製造・利用に取り組んでいる。ラッピングカーも街中を走行し市民の意識も高まってきつつある。
しかしながら、バイオマスの利活用促進と一言でいっても、その種類に応じた処理が必要であり、それぞれを十分に使い切るということは大変難しい。また、再生可能エネルギーの一つとしても捉えられているが、電力の供給減としては技術面、コスト面で現実的ではない。そもそも、捨てるものを減らそうとする一方で、それを資源として活用する量を増やそうというのは、理念として考えても少し苦しいものがあるのではないか。
このようなことを考えれば、私自身は、個人的には、県が進める『新ひょうごの森づくり』にも資する間伐材の活用に特化ないし重きをおいて実績を積み上げるのがよいのではないかと考えている。
そこで、二酸化炭素削減効果やエネルギー収支をストイックに追及していくのか、盛り上がりつつある各地域のバックアップに徹するのか、県民への啓発に重点をおくのか、今後、どこに軸足を置いて『農』のゼロエミッション事業に取り組んで行くのか、当局の方針について伺う。

4 新規就農への支援について

最後の質問は、「新規就農への支援」について、2点お伺いする。

(1) 新規就農の現状と支援状況について

1点目は、「新規就農の現状と支援状況」についてである。
先月の文教常任委員会の管内調査で県立播磨農業高校に行ってきた。ここは文部科学省から『農業経営者育成高校』に指定された全国でも数少ない高校の一つである。人気も高く、調査の際も学生が生き生きとした眼差しで学ぶ姿が印象に残った。
生徒は、3年間、農業に関する基礎的技術や知識を身につけて卒業する訳だが、平成22年度の卒業生107人のうち、農業や農業関連産業に就職する者は非常に少なく、わずか6人であったとのことである。志を持って専門的に農業を学んだ子が多く、就農希望者も多いが、就職先としての農業という受け皿の不足が理由で、このような状況となるのは、非常に残念である。
これだけ後継者不足が叫ばれ、新規就農者を増やそうと積極的な施策を展開されているはずであるのに、この現状はどういうことなのかと率直に疑問に思う。農家に限らず、どんな業種でも自営を始めようと思えば初期投資が必要である。しかし、ほかの分野の多くは、まず下働きできる場がある。力をつけて、資金を貯めて、独立開業していく。
しかし、学校を卒業して、また無職の状態から、職業としての農を選択肢として選ぶことは、やはり厳しいのが現実ではないか。
そこで、県でも新規就農者確保のための支援を行っていると考えるが、うまく機能しているのか、まず、新規就農の現状や課題をどのように認識しているのか、また、これを踏まえ、現在、どのような支援策を展開されているのか伺う。

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