大塚 たかひろ 議員が代表質問を実施

平成25年12月 第320回定例県議会 代表質問要旨案

 

質 問 日:2013年12月6日(金)

質 問 者 :大塚 たかひろ 議員

質問形式 : 一括方式

 

1 第3次行革プランの策定に向けて

質問の第1は、「第3次行革プランの策定に向けて」である。
県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政構造を確立するために、県では、平成20年10月に新行革プランを策定して以降、これまでの6年間で、行財政全般にわたる改革を推進してきたところである。
このたびの3年目の総点検にあたっては、我が会派としても、ワーキングチームを立ち上げ、県民本位・生活者重視の視点に立ち、あらゆる角度から今後の改革の方向性について議論してきた。
今年9月に示された課題と検討方向に対しては、県民の理解と協力なくして行革は成り立たないという基本姿勢のもと、持続可能で将来を見通した兵庫県の姿を示し、本来あるべき県民サービスを提供していくために、一つには平成31年度以降の数値も一定の年度に亘って長期の財政フレームを示すこと、二つには県民に対して事業の優先順位を明確にすること、三つには今後の社会情勢を見据え、改めてゼロベースで見直していくこと、四つには現場の声、つまり県民や職員の声を大切にすること以上の4つの視点から、各施策について課題を提起した。
先般、企画部会案が提示され、今後5年間の取り組みの方向性等が示されたところであり、行財政構造改革は、概ねプランどおり進捗しているものと一定の評価はできるが、今年度の当初予算においても未だ735億円の収支不足額があるなど、引き続き、厳しい財政状況にある。
このため、我が会派としては、今後5年間の方向性や取り組みを具体的に示したうえで、さらなる行財政構造改革を進めていく必要があることから、昨日、この企画部会案に対する知事申し入れを行ったところであり、県民の生活と生命に直結する医療・福祉、教育、雇用、治安などは、一律削減の対象にはなじまず、限られた財源の中で、優先順位を見極め「選択」と「集中」をより明確にしながら、第3次行革プランを策定するよう主張した。
次期プランの策定にあたっては、持続可能な行財政基盤を確立し、財政規律を守ることはいうまでもないが、それとともに、この行革が、施設の整備や維持管理、公社等の見直しなど社会情勢の変化に応じて見直すべきものと、本来は負担を求めるべきでない職員給与の削減や県民サービスの見直しが同じ枠組みの中で成り立っていることを鑑みれば、改革期間である平成30年度を待たずともできる限り早期に、財政目標を達成すべきと認識することが重要である。
また、財政目標を達成した暁には、県民が豊かさを実感できるよう県民サービスの更なる充実に向けて取り組んでいく姿勢を持つことは言うまでもない。
そこで、現在、行財政構造改革調査特別委員会においても、様々な検討がなされており、引き続き、行革を進めていくには、県民の理解と協力が不可欠であると考えるが、この代表質問において、改めて知事の決意を伺う。

2 地域エネルギーの確保について

質問の第2は、「地域エネルギーの確保について」である。
東日本大震災での原発事故を教訓として、原子力に依存しない新たなエネルギー源として、各地でメガソーラーなどの太陽光発電や風力発電、さらには温泉熱を利用した地熱バイナリー発電など再生可能エネルギーの確保に向けた様々な取り組みが進んでおり、行政としてもこうした動きを後押しする形で用地の確保や融資制度などの支援をしている。
一方、県内では、「あわじ環境未来島構想」において、島民一人ひとりが参画する取り組みとして、今年7月に県が県民債を発行して島民から発電施設建設資金を調達して、来年3月から発電・売電事業を行う住民参加型太陽光発電事業が始まった。また、先日、宝塚市の住宅地において、地域住民などが主体になって、自分たちが使う電気は自分たちでつくるという考えのもとに、停電時の非常用電源などの地域内で消費する電力源として太陽光パネルを設置したことが報道されていた。
海外に目を移せば、近年、ドイツやオーストリア、スイスといった欧州中部の国々では、地域のエネルギー自立運動が盛り上がりを見せている。
地域内で消費するエネルギーについては、域内で生産される再生可能エネルギーを持って充てるというエネルギーの自立地域が増えている。この計画の実施にあたっては、省エネ対策を伴うことや、地域の行政と住民が一体となって取り組むことが重視されており、エネルギー自立を地域発展戦略の中心に据えて取り組む自治体が増えてきている。
仕組みは違うがいずれも、地域の住民が参加するという点で共通しており、エネルギー自立地域へ向けた取り組みであると言える。
このように、地域の再生可能エネルギー資源等を利用した地域エネルギー事業を地域活性化の手段としてとらえ、地域で富を生み出し、地域の課題を解決するための手段としてとらえることが重要である。
一昨年の本会議の一般質問においても、再生可能エネルギーは、国民一人ひとりが参加できる参加型エネルギーであり、国民の参加により、エネルギー問題への意識や関心を高め、ひいては社会のあり方までを変えていく可能性のある取り組みであることを述べた。
そこで、県としても、地域内の資金や事業者を活用し、事業から生じた利益を地域が享受するこの地域エネルギー事業を推進することによって、地域経済の活性化、再投資や雇用創出にもつなげていく必要があると考えるが、今後より一層、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギー発電、熱利用の組み合わせなど地域の特性を生かしたエネルギーの地産地消を促進し、地域の自立を図っていくための方策について、当局のご所見を伺いたい。

3 市町における地域包括ケアシステムの構築に対する支援について

質問の第3は、「市町における地域包括ケアシステムの構築に対する支援について」である。
少子高齢社会を迎えた我が国では、今後、急速に高齢化が進み、65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり、2042年には3,878万人とピークを迎えることが予想されている。
本県においても、2050年には県下全体で65歳以上の高齢者の割合が40%を超え、神戸地域をはじめ但馬や淡路地域においても同様に40%を超えると予想されている。
国では、今後、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるために、地域内において住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指している。
地域包括ケアシステムは、市町村が介護保険法に基づき、3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて、地域の特性に応じた体制を構築することとされており、具体的には、市町村の設置による地域包括支援センターが、システムの中核的な支援機関として、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員を配置して、高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助を行っている。県内では、この地域包括支援センターがサブセンター、ブランチを含めて、県下全ての市町に全部で299カ所設置されている。
先日、国において、社会保障制度改革国民会議での意見を踏まえ、特別養護老人ホームの入所基準を、原則、要介護3以上に限定する方針が提案された。これまで、特養の入所待ちを余儀なくされていた要介護4,5の重度の人にとっては、より専門的な介護サービスを受けることができるようになる。一方で、要介護1,2の軽度の人については、自宅等を中心とした介護サービスを実施していくことになり、今後ますます、この地域包括ケアシステムの役割が重要になってくる。
そのためには、医療・介護・生活支援の関係機関の相互連携の強化が不可欠である。
また、あわせて国では、症状の軽い要支援者の介護予防給付のうち、訪問介護、通所介護については、全国一律の内容や単価等の要件によるだけでなく、市町が地域の実情に応じ市町の判断でより柔軟に取組ができる地域支援事業の形に改めることとしている。このように社会保障制度を巡る見直しの動きについては、毎年度1兆円規模で自然増加が見込まれる社会保障費を考えると、負担と給付のバランスを図る観点から避けて通れない問題である。
特に、要支援者に対する要介護にならないための予防給付を含めた介護予防は、健康寿命を延伸し、社会保障費を抑制するという観点からも重要な取組であろう。しかしながら、市町によっては、介護・医療支援や生活支援を行う人材の不足や、市町単独の圏域では、関係機関の体制が十分に整っていない等の課題もあるのではないか。
県としては、市町間の地域格差による相対的な位置付けの把握など、市町に対する後方支援や、広域的かつ中長期的な視点に立った介護人材の確保と育成など、市町・関係機関・地域団体等と連携・協働によって、より効率的・効果的な事業の実施を図るべきと考える。
そこで、特に超高齢社会に対応できる介護予防給付や地域支援事業を見直して地域包括ケアシステムを構築していくためには、今回の見直しにあたって、地域格差が生じないよう努めていく必要があると考えるが、県としてどのような支援をしていくのか、当局のご所見を伺いたい。
また、少子高齢化や財政状況など地域の実情を踏まえると、今後、行政サービスのみに頼るのではなく自助、互助によるシステムを早急に構築していかなくてはならない。地域防災に関しては、自主防災組織や自治会、NPOなどが、災害時におけるそれぞれの役割を意識が進んでいるのと同様に地域包括ケアシステムにおいて、地域の公共を担ってもらうよう意識の醸成が必要であると考えあるが、あわせて、当局のご所見を伺いたい。

4 県内各地域への海外誘客の促進について

質問の第4は、「県内各地域への海外誘客の促進について」である。
日本政府観光局の調べによると、今年10月の訪日外客数は、前年同月比31.5%増の92万9千人となり、今年1月~10月の累計では、866万人となった。
国別では、韓国、台湾、中国で全体の6割を占めており、次いで、米国、香港と続くが、今後は、タイやマレーシアにおいても、ビザなし渡航が適用されたことにより、イスラム文化圏も含めた東南アジア地域からの観光客の大幅な増加が期待される。
今までの中国・韓国中心であった海外誘客対策をさらに広いエリアに拡充できる機会でもあり、行政としても経済的、文化的側面の支援による誘客受け入れの環境を整備する必要があると考える。
国では、今年6月に閣議決定された日本再興戦略において、ビジット・ジャパン事業として、本年中に訪日外国人旅行者数1,000万人を達成し、2030年には3,000万人を超えることを目指しており、国をあげて海外誘客の促進に取り組んでいくこととしている。
一方で、訪日外国人を含めた観光客の訪問先は、アクセスの良さもあるの
だろうが、やはり圧倒的に東京、大阪などの都市部に集中しており、県内でも神
戸・阪神間に偏る傾向が見られ、なかなか、神戸からその先の淡路や但馬、丹波
への宿泊を含めた外国人観光客数が伸びていないのが現状である。
今後とも、増加が見込まれる外国人観光客を日本はもとより兵庫県そして、県内の各地域へ、いかにして足を運んでもらうかが、地域経済・雇用の観点からも重要な課題である。このことは、平成24年の観光庁による全国観光入込客統計における本県を訪れる宿泊観光客の観光消費単価をみても、日本人が一人一回あたり約26,000円であるのに対して、訪日外国人は約67,000円と日本人の約2.5倍にあたり、地域経済の活性化に大きな期待がかかる。
平成23年度から25年度までの3年間を対象期間とする「ひょうごツーリズム戦略」によると、本県のツーリズムの特徴として県内客が過半数を占め、そのほとんどが自家用車による日帰りであり、本県を訪れる観光客のニーズが鑑賞型や行楽型・スポーツ型が中心であることから、今後は、外国人にも訴えかけやすい自然体験等を通じた滞在型の宿泊客を増やしていく取組が必要であろう。
また、現状、外国人の宿泊数が少ないことから、今後は、外国人来訪者のニーズと市場特性に応じたツーリズムメニューの開発とともに、特に増加が見込まれる東南アジア諸国へのプロモーションの充実強化を図っていく必要がある。
一方、先月調査に訪れたアジアの諸団体との意見交換会では、「人口700万人の香港からの訪日観光客は60万人と人口の約1割近くにあたる。さらにリピート率は7割を超え、紅葉や雪などの景勝地を観光するなど、日本人観光客と変わらないニーズがある。」また、「タイでは、訪日観光客数では香港に及ばないが、傾向としては、知名度の高い影響力のある者が、情報を発信することで一気にその観光地の知名度が上がるなどの特徴がある。」などと聞く。
そのためには、但馬、丹波や淡路地域などでは、外国人観光客向けに豊富な地域資源を活用した新たなツーリズムを展開するなど、魅力を広く発信していくことも重要である。例えば、各地域の重要文化財や歴史的遺産、自然公園を周遊するツアーなどを通じて日本の文化や伝統、くらしについて理解してもらえる取組も必要かと思う。
各国で状況は様々で、今後は、国別あるいは地域別の訪日外国人観光客のニーズの把握ときめ細やかな情報発信も必要ではないか。
先月、関西地域での開催が正式決定した「ワールドマスターズゲームズ2021」については、国内外から5万人が参加し、経済効果は140億円と見込まれている。
本県においても、各地域の観光資源を活用した多彩なスポーツツーリズムを提供していく好機となるのではないか。
そこで、まだまだ成長が期待される観光産業において、特に、外国人観光客をいかにして県内各地域へ誘客し、宿泊してもらうのか、その戦略について当局のご所見を伺いたい。

5 農地を維持していくための今後の農業政策について

質問の第5は、「農地を維持していくための今後の農業政策について」である。
TPP交渉では、農業分野の関税撤廃の年内妥結に向けた動きが加速するなか、国内農業についてもその対応に迫られるなど、ここへきて国では、日本の農業の国際競争力を高めるため、米の減反制度廃止や農地中間管理機構の創設等の方針を相次いで打ち出した。
1970年代に始まった減反制度は、現在では国が生産数量目標を定め、都道府県を通じて農家に生産数量目標を割り当てているもので、近年の少子高齢化や食の多様化などにより、年々、米の消費量が減り米の供給過剰による値崩れ防止を狙った生産調整制度である。
この現行制度の下では、減反に協力した農家には、その経営規模にかかわらず米の直接支払交付金(15,000円/10a)が交付されてきたが、この制度の廃止により、今後は、より農家の経営判断で自由に生産できるようになるとしている。
しかしながら、将来的には、米づくりの過当競争が進み、基盤の脆弱な中小・零細農家は農業をあきらめて農地を手放すことにより、耕作放棄地が増えてくるのではないか懸念される。
また、国では、所有者が手放さないことにより集積が進まなかった農地を担い手へ集約するために、全国に農地中間管理機構を設け、地域内に分散して飛び地となっている農地や耕作放棄地を集約して借り受け、大規模農家や農業参入企業など今後の農業の核となる担い手に貸し付けることとしており、非効率な農地利用のあり方の抜本的な見直しが期待されるが、大規模化が優先され、既存の小規模農家の経営存続が危ぶまれること、更には耕地面積の大規模化が困難な中山間地域では集約が進まないといった問題点も予想される。
一方で、本県の農業構造を見ると、販売農家の農業就業人口の7割が65歳以上で、平均年齢は67歳を超えており、高齢化は全国平均を上回っている。また、販売農家1戸当たりの経営耕地面積も全国平均を下回る0.86haと、本県の農業は高齢者による小規模経営が主体となっている。更には水田が農地の9割以上を占め、中山間地域も多い本県では、今後、後継者不足により農家が減少し、耕作放棄地のさらなる増加が懸念されており、これら、国が進めようとする減反廃止政策のもとでは、米づくりをやめる農家が増え、さらにこの流れが加速することが懸念される。
このような状況の中で、いかに農地を持続的に利用し、農業生産を維持発展させていくかが大きな課題である。
そこで、現在、県では、「ひょうご農林水産ビジョン2020」に基づいて、農地の有効利用や多様化する消費者ニーズに対応した農産物の生産などの取り組みを推進しているところであり、これら国の進める政策に課題はあるものの、この方針のもと、地域の理解と協力のもとに積極的な農地の利用と集積の対策が図られ、競争力のある農業の推進を目指すべきと考えるが、県として、持続的に農地を維持し利用していくために、今後どのように取り組んでいくのか、当局のご所見を伺いたい。

6 安全・安心が確保された農畜水産物のブランドイメージ向上について

質問の第6は、「安全・安心が確保された農畜水産物のブランドイメージ向上について」である。
今年10月、大阪市に本社を置く阪急阪神ホテルズが運営する系列のホテルで提供された料理が、実際にはメニューと異なる食材を使っていた不適切表示問題が表面化して以来、その後、本県を含め、全国各地のホテルや旅館などでも同様の問題が次々と発覚し、大きな社会問題となっている。
食材によっては、味や食感では区別がつかないものがあるなど、消費者にとっては提供された料理を信用するほかないのが実情だろう。
今回メニュー表示と違う食材を使用したことは、消費者の信頼を大きく裏切る行為であり、ましてや、一部のホテルでは数年以上前から不適切な表示をしていたことは、食材についての認識不足では済まされない組織的な関与があったのではないかと疑いを持つ。
さらには、本県においても、富久娘酒造が純米酒に醸造アルコールを混ぜる等、消費者の信頼を裏切る問題を起こしており、全国ブランドである「灘の酒」のブランドイメージを損ないかねない事態となっている。
過去においてBSEや鳥インフルエンザの発生、食品の偽装表示等食の安全を揺るがす問題が発生し、県民の食品への安全性に対する不安感や不信感が高まり、県産食品が持つ本来のおいしさ等が十分に評価されにくい状況となったため、こうした状況に対応するために、平成16年7月に「ひょうご食品認証制度」を創設し、安全・安心で個性・特長がある食品を認証する取組を進め、食品に対する消費者の信頼の確保に努めているところである。
このような様々な取組により、県民の間には、少々値段は高くてもより安全な食品、地元ブランドを好むなどの傾向が見られ、食の安全・安心への関心が高まっていると言える。
県はこれまでトレーサビリティを指導監督し、流通上の監視を強化しているところである。一方、現在、県が認証している「ひょうご安心ブランド」は、587件、「ひょうご推奨ブランド」は1,063件であるが、消費者が食に対して大きな不安を感じている今こそ、これを好機と捉えて、より一層、これらの認証制度を推進していく必要がある。
また、本県では、農林水産業経営者が生産から加工・販売までを一体的に行う6次産業化や農商工連携などの取組を推進していることから、今後、他にはない個性的な県産加工食品も増えてくることを考えれば、あわせて、これらの加工食品の安全面における優位性をPRしていくことにより、ブランドイメージはさらに向上するのではないか。
そこで、食の安全・安心をより一層確保するためには、生産者である農林水産業者、加工業者、実際の提供者である販売業者において、自らチェック機能を強化すべきことは言うまでもないが、松葉ガニや神戸ビーフ、山田錦など全国的にも有名な農畜水産物を数多く有する本県にとって、これらの食の安全・安心を確保したブランドイメージをさらに向上していくために、今後、どのように取り組んでいくのか、当局のご所見を伺いたい。

7 人口変動を見据えた県立高等学校の教育改革の方向性について

最後の質問は、「人口変動を見据えた県立高等学校の教育改革の方向性について」である。
県では、国際化、情報化、少子・高齢化等に伴う様々な課題に対応するために、平成12年2月に「県立高等学校教育改革第一次実施計画」を策定し、学びたいことが学べる魅力ある学校づくりを目指してきた。
その後の「県立高等学校教育改革第二次実施計画」の策定にあたり、学識経
験者や学校教育関係者等で構成される「県立高等学校長期構想検討委員会」から、①魅力ある学校づくりの推進、②県立高等学校の望ましい規模と配置、③入学者選抜制度・方法の改善等について、生徒数の動向や地域の実情などを把握しながら改革を進めていく必要があるとの提言がなされた。
この提言を踏まえ、21年度から25年度までの5年間を計画期間として策定された「第二次実施計画」では、普通科での幅広い分野にわたる特色ある類型の設置や大学との連携、全ての学科での就業体験の推進など魅力ある学校づくりを進めるほかに、県立高校の適正規模について、普通科は6~8学級、総合学科は4学級以上、職業教育を主とする学科の単独校で3学級以上としている。
この計画のもと、具体的には、経済・雇用情勢の変化やグローバル化の進展など学校教育を取り巻く環境の変化に対応して、特色ある専門学科等の設置や特色選抜などの実施に加え、生徒の多様な選択肢を確保するため、平成27年度から現行の16学区が5学区に再編されることになっている。
このように、社会情勢の変化に対応して、絶えず高校の教育環境を改革していくことは、社会へ出るための準備期間である高校生活を送る生徒達にとって非常に重要である。改革は大事だが制度が変わることへの県民の不安、懸念に対して制度の変更する場合などは、経緯、目的、意義、それによって得られる効果などについて県民に向けた丁寧な説明も必要であろう。
一方で、現在、検討が進められている第2期「ひょうご教育創造プラン(兵庫教育基本計画)」の策定に向けて、県立高等学校の教育改革を推進するにあたっては、複雑化した入学者選抜制度・方法の改善や、少子化が進む中での望ましい学校規模の確保と配置の適正化などが課題として上がっている。
現在、県内の市立を含めた公立高校数が160校で、全日制の県立高校に通学し
ている生徒数は87,755名となっている。私立高校を含めると県下212校の高校
に約14万人の生徒が学んでいる。
しかしながら、長期的に見ると、国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、本県の将来推計人口は、2040年には総数で467万人と2010年の558万人に比べて91万人も減少しており、15歳~19歳の人口も17万人と2010年の26.9万人に比べて10万人近く減少するという結果が出ているように、子どもの数は県内全域で減少し、特に、淡路、但馬、西播磨地域では人口減少が顕著となる。今後の高校教育改革にあたっては、人口変動、つまり子どもの急速な減少に伴う環境の変化を念頭においた改革が必要になってくる。
公教育の一翼を担う私学との共存も図りながら、高等学校の適正規模を考えると統廃合を進めていかざるを得ないのではないか。
このように、将来的に人口減少は急速に進んでいくことから、次期計画の策定に当たっては、この点を踏まえ、10~15年程度の長期的な視点に立った改革の方向性を示していくことも必要ではないか。
そこで、県内人口は、急速な少子化とともに、さらに地域による人口偏在が顕著になると予測されているが、今後とも、子ども達が安心して学びたいことが学べる魅力ある学校づくりを推進していくために、将来的な見通しとして、県立高等学校の教育改革の方向性について、当局のご所見を伺いたい。

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