山本 千恵議員が質疑を実施

平成26年2月 第321回臨時県議会

補正予算に対する質疑

質問日:平成26年2月7日(金)

質問者 : 山本 千恵 政務調査副会長

 

1 緊急経済対策について

(1)公共事業の円滑な執行について

はじめに、「緊急経済対策について」2点お伺いします。

1点目は、「公共事業の円滑な執行について」です。

先ごろ国が発表した2013年10月~12月の本県経済情勢では、まず、個人消費については低調に推移しているものの持ち直しつつあり、企業活動では、生産活動が緩やかに持ち直しつつあるなかで、設備投資や企業収益が前年度を大幅に上回る見込みとなっています。また、雇用情勢については厳しい情勢が続くなか、総括的には県内経済は持ち直しつつあるとの判断でした。

今回の補正予算案は、このような経済情勢のなかで、4月からの消費税率の引き上げによって、駆け込み需要とその反動減の影響が懸念されていることから、本格的な景気回復につなげるために、国の補正予算による財源を活用して、緊急経済対策の効果を早期に出現させるために行うものとのことであります。

今回提案された600億円を超える補正予算案の事業区分を見てみますと、緊急防災・減災対策や地域の安心安全を支える耐震化対策、また、県民の日々の暮らしや、地域の発展を支える道路や河川等の社会基盤整備の老朽化対策など、災害から県民の命を守ることに重点が置かれていることについては一定の評価をしているところであります。

しかしながら、その一方で国と同様に「財政出動による公共事業の大盤振る舞い」「不要・不急の事業が紛れ込んでいるのではないのか」などと県民に誤解を与えないよう、すべての事業が緊急に措置すべき対策である旨をしっかり説明していくことが求められるところです。

(先ほども自民党より「経済の好循環実現に向けた公共事業等の推進」について質問がありましたが、)公共事業を通じた景気対策については、短期的な需要拡大による即効的な経済効果が期待されるものの、国の財政を圧迫し、公共事業が途絶えた瞬間に景気の腰折れが懸念されるところです。今後は、一時的に公共事業を増やすのではなく、必要な事業量が安定的に確保されることが望まれるところであります。

加えて、建設人材の不足や資材の高騰などで、不落が続くなど、全国的にも公共事業等の執行をめぐる環境が厳しいなか、今回の緊急経済対策を円滑に執行していくことが当面の課題であると考えます。

そこで、県として、今回の緊急経済対策における公共事業の円滑な執行に向けてどのように進めていこうとしているのかお伺いいたします。

 

 

(2)県内経済の持続的な成長について

この項目の2点目は、「県内経済の持続的な成長について」です

国の経済見通しでは、14年度の消費者物価上昇率は3.2%ですので、これより賃金上昇率が低ければ、実質的に賃金は低下することになってしまいます。景気対策によって、所得格差の拡大や、較差と貧困の定着を打破し、「雇用の安定によって、賃金を上昇し消費を拡大させていくことが、経済成長の本道である」と考えます。

そこで、今回の緊急経済対策を一過性のものに終わらせることなく、中長期的な視点で経済・雇用の安定を図り、兵庫県の経済の持続的な成長につなげていくことがとりわけ重要であると考えますが、この点について県としてどのように取り組んでいこうとされているのか併せて所見をお伺いいたします。

 

2 公共事業の事業箇所の選定について

質問の第2は、「公共事業の事業箇所の選定について」です。

今回の補正予算案については、道路・橋梁の耐震化や海岸の津波対策等の防災・減災対策をはじめ、老朽化した社会基盤の整備など投資事業に重点が置かれています。

近い将来に高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震への対策はもちろんですが、近年、頻発している台風や局地的豪雨など、身近に起こっている自然災害への対策が急がれます。特に、道路や河川の防災・老朽化対策については県下全域に及ぶ課題であることから、優先順位を決めて計画的に整備していくことが必要です。

これら投資事業の財源としては、国庫支出金のほか、起債の70%が交付税として措置される緊急防災・減災事業債が適用されるなど、厳しい財政状況にある本県にとっては、国の財源措置を最大限に活用すべきです。

しかし、地方にとって財源的に有利な事業であるとはいえ、あれもこれもと不要不急の事業まで、防災・老朽化対策や社会インフラの整備として、補正予算で前倒し実施するということであってはなりません。できるだけ早期に取り組みの効果を発現させていこうとする方向性は理解できますが、一方で、行革に取り組んでいる本県の財政状況への影響も懸念されるところです。

事業箇所の選定については、個々の事業計画に基づいて、必要性・緊急性を精査することは言うまでもありませんが、あわせて、住民の安全確保を維持するためには、地域で生活する住民の声を適切に反映することも重要です。

そこで、今回、前倒しで実施する事業箇所の選定に当たっては、どのような基準に基づいて決定し、地域住民の声や要望がどのように反映されているのかお伺いします。

また、道路や河川等の整備・防災対策については、個々の整備計画に基づいて、昨年12月に新たに策定された「安全元気ふるさとひょうご実現プログラム」においても、平成30年度の目標達成に向けた取り組みが進められており、このたびの前倒し実施により、整備スケジュールや進捗率などの精査も必要になってくるかと思いますが、個々の計画へどのような影響があり、今後どのように対応していこうとされているのかお伺いします。

 

 

3 県有施設の耐震化事業の推進について

最後に、「県有施設の耐震化事業の推進について」お伺いします。

県有施設の耐震化事業については、耐震改修促進法に基づき平成19年3月に策定された「兵庫県耐震改修促進計画」に基づいて、庁舎については、平成27年度までに90%までに引き上げられることとなっています。

この点について、昨年9月の定例会におけるわが会派の代表質問に対して、「行財政環境が厳しさを増す中で、平成27年度の計画満了期間を控え目標達成が厳しい状況になりつつある」と答弁されたとおり、これまで、厳しい財政状況の中、思うように進まない状況が続いていました。とりわけ、災害時に重要拠点となる警察署の耐震化については、48署のうち、11署が未実施になっており、由々しき事態となっていました。

今回の補正予算案では、緊急防災・減災事業として約229億円計上され、うち県有施設の耐震化対策に約139億円充てることとされています。警察署については、建替えを予定している4署を除いた7署全てが耐震化されるとのことで、来年1月には阪神・淡路大震災から20年の節目を迎える本県において、今回の知事のご決断を評価しているところです。

先般発表されました第3次行革プラン第二次案でも、「平成26年度地方財政対策で制度化された緊急防災・減災事業債を活用し、緊急3ヵ年計画を策定して、来年度から3ヵ年に亘り、別枠で毎年度100億円ずつ措置する」とされており、今後は、災害時には避難所として重要な機能を担う県立学校や庁舎等の県有施設の耐震化がかつてない程のハイペースで進んでいくことが見込まれます。

しかしながら、緊急防災・減災事業債が、いつまでも続くものではありません。今後も引き続き、喫緊の課題である南海トラフ巨大地震対策や台風等への災害対策など住民の安全安心を確保していくためには、中長期的観点からの取組みが重要であり、計画的に事業費を確保していく必要があります。

また、先ほどの質問でも触れましたが、建設業界では人手不足が深刻化しているのは、既にご案内のとおりであります。人手不足により県発注の工事では施工業者が決まらない入札不調が相次いでおり、今までとは逆に、予算は確保したにも関わらず、思うように事業を進めることが出来なくなることが見込まれます。今後も東日本大震災の復興需要や東京五輪・パラリンピックのインフラ整備などの建設需要が更に高まることから、本県においてもこの傾向は、さらに強まることが予想されるところです。

そこで、今回の予算案では、県有施設の耐震化が相当程度進むことが見込まれますが、耐震化が必要な庁舎等の県有施設全体では、どの程度の耐震化が進み、どの程度残ることになるのでしょうか、今後の進め方と併せてお伺いします。

また、今回の補正予算で措置された県有施設の耐震化が実際に完了するまでのスケジュールの見通しについてもお伺いします。

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