石井 秀武 議員が代表質問を実施

第322回 2014年2月定例会 代表質問要旨案

 

質 問 日:2014年2月24日(月)

質 問 者 :石井 秀武 議員

質問形式 :一括質問・一括答弁方式

民主党・県民連合議員団を代表して、以下8項目にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします

1 第3次行革プランと平成26年度当初予算編成の基本認識について

質問の第1は、「第3次行革プランと平成26年度当初予算の基本認識」についてであります。
本県では、時代の変化に対応し、県民の要請に的確に応え、持続可能な兵庫の基盤をつくるため、平成20年10月に制定した「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、行財政構造改革の取組みを進めています。今年度は、第2次行革プランの策定から3年目にあたることから、県当局では社会経済情勢や国の政策動向、地方分権改革の進展など、プラン策定後の行財政環境の変化等を踏まえ、行財政全般にわたる総点検が行われました。これに合わせて、我々県議会においても「行財政構造改革調査特別委員会」を設置し、これまで精力的に議論を重ねてまいりました。9月に示されました「課題と検討方向」を踏まえ、11月下旬の「企画部会案」、12月の「第一次案」、1月の「第二次案」を経て、今定例会に「第3次行革プラン」の案が上程されています。
我が会派では、第3次行革プランの策定にあたり、一つ目には、平成30年度の収支均衡などの財政健全化の目標達成に向けた折り返し点に当たることから、単なる3年目の総点検にとどまらず、行革11年間の最終のあるべき姿を見通し、その先の将来をも見据えた持続可能な行財政運営を実現するための行革プランでなくてはならないこと、二つ目には、限られた財源の中、様々な課題に対応していくためには、投資事業はもとより、政策的経費についても、優先順位を明確にした上で改革を進めていくことが必要であること、三つ目には、県民の生活現場でどのような問題が起こっているのか、また、これまでの行革の取組によってどのような影響があったのかなど、県民の声、現場の声をさらに大切にしていく必要があること、四つ目には、今後の社会情勢の変化を見据え、既存の各施設、公社などについて、その規模、あり方、費用対効果が果たして県行政・県民の視点から妥当かどうか、税金の使い方を見直す観点からも再度ゼロベースで見直していくという視点が必要であることを主張してまいりました。
今回、提案されました第3次行革プラン案については、当初提案されました企画部会案から比べますと、わが会派の申し入れや意見開陳が一定反映されたものとなっており、概ね評価しているところです。
しかしながら、今回示されました予算案からも依然として厳しい財政状況が続くことは誰の目にも明らかですが、このような中にあっても南海トラフ巨大地震や風水害への備え、少子化対策、超高齢社会への対応、地域活力の再生、産業競争力の強化、エネルギー・環境対策など、兵庫の将来を見据えた課題に対して道筋を定め、計画的に対策を講じ、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立していかねばなりません。
そこで、活力にあふれ、豊かさが実感できる兵庫の実現に向けては、県民に対して、一層の説明責任を果たしながら、理解と協力を得ていくことが求められますが、「第3次行革プラン」の策定を踏まえ、行革の総仕上げに向けた、知事の意気込みをお伺いします。
また、その第一歩ともいえる平成26年度当初予算について、どのようなメッセージを込め、どのような事業・分野に重点を置いて予算編成をしたのか、改めて知事のご認識をお伺いいたします。

2 震災の教訓を活かす兵庫づくりについて

質問の第2は「震災の教訓を活かす兵庫づくり」についてです。
「震災の教訓を活かす兵庫づくり」は「安全元気ふるさと兵庫の実現」に向けた6つの柱の第一に掲げられたものであります。また、先日、公表されました、来年度の当初予算案でも、県政の重点事業の冒頭に「阪神・淡路大震災20周年事業の推進」が掲げられていました。このことから、阪神・淡路大震災の経験や復興過程で得られた知恵を語り継ぎ、その教訓を未来に生かすことについて、被災地の責務として重点的に取り組まれようとする姿勢を窺うことができます。
阪神・淡路大震災の発生から既に20年目に入っていますが、被災地では震災を知らない世代や他の地域から引っ越してきた人々が神戸市では市民の4割を超えており、防災意識の低下が懸念されています。また、1月17日前後に被災地で開催される追悼行事も、最も多かった震災15年の2010年より4割近く減っており、震災を知る人たちの高齢化に伴う「記憶の風化」に対する懸念も広がっており、20年の節目に向けて教訓をどう語り継ぎ、次の災害に備えるかが問われています。
日本に住む私たちにとって震災は避けては通れない宿命であり、震災を含め、自然災害に対しては、想定を固定的にとらえるのではなく、あらゆることに準用可能な想定をしておかなければなりません。また、近い将来発生が予測されている南海トラフ地震への対策については、この度、南海トラフ巨大地震を想定した本県独自の津波浸水想定図が発表され、災害拠点病院が浸水想定区域に含まれるなど新たな課題への対応も必要となるなか、今後も引き続き、ハード、ソフト面から対策を着実に進めていく必要があります。
兵庫県では、阪神・淡路大震災の後、創造的復興をめざして懸命の努力を続けてこられ、現在でも高齢者の見守りなど震災復興の残された課題にも手厚く対応しています。さらに、国内外を先導する防災・減災対策の推進、国際防災協力活動や東日本大震災等への災害被災地支援など、既に震災の経験と教訓を踏まえた様々な取り組みを積極的に推進してきています。
こうしたなか、震災20周年事業を予定されていますが、被災地兵庫として震災20年だからこそ、取り組むべき課題があると思います。どのような考えのもと、どのように進めて行こうとされているのか、平成8年に本県に副知事として赴任されて以来、兵庫の復興とともに歩まれてきた井戸知事の決意・意気込みをお伺いします。

3 中四国地方と兵庫県との連携のあり方について

質問の第3は、「中四国地方と兵庫県との連携のあり方」についてです。
兵庫県は古くから交通の要衝として栄えた地域であり、現在でも、幹線道路はもちろん、JRや私鉄が走り、四国との間にも橋が架かり、基幹的な港や空港を持ち、日本海から瀬戸内海に至る県土は、各地とつながっております。
関西の中では、西端に位置しておりますが、逆から見れば、関西の西の玄関口と言うこともできます。山陽道の起点であり、兵庫県を中心に見ると、関西と、中国や四国、さらには九州まで含めた、西日本を結び、つなぐ役割を果たすことができる位置にあるのが、本県であります。
その立地を活かし、役割を果たそうとするならば、近畿圏や関西広域連合にとどまらず、兵庫を中心にウィングを広げ、まずは、従来の枠組みを超えた隣県との連携にもっと目を向けるべきではないでしょうか。
既に、個別には、多くの連携が行われております。例えば、岡山県とは、両県の3県民局で県際交流事業やJR赤穂線沿線地域活性化連絡会議を行っています。また、鳥取県とは、氷ノ山県際交流推進事業や国道29号周辺兵庫・鳥取地域振興協議会などの取り組みがあり、いずれの県とも、知事会議を開催し、共通する政策課題の協議を行っています。
県境地域におきましては、買い物や通学、通勤、通院など、日常的な交流が盛んであり、婚姻などによる人間関係も生まれます。市町村レベルでは、東備西播定住自立圏や因但県境自治体会議など既に県境を越えて設置されております。
一方、第30次地方制度調査会答申を踏まえ、1月末、国の研究会において、自治体が「連携協約」を結ぶことによって、相互連携する分野や役割分担を柔軟に決められる制度の創設が提言されました。この制度を用いて、都道府県と市町村の垂直連携も可能になる方向であり、合併に伴う行政サービスの変化や郡部を中心とした人口減少、社会経済構造の変動などを踏まえた、新たな自治の形の模索が始まっています。
このように、市町レベルでの連携は進んでいますが、県境域の課題に目を向ければ、1県だけでは対応できない、共同して取り組むべき課題も見えてきます。例えば、鳥獣被害対策であります。シカやクマについては、同じ個体群が、本県と岡山県および鳥取県をまたぐエリアを活動域としていることが既に明らかになっております。野生動物には県境は関係ないわけで共同して取り組んでいく方が効果的です。
また、関西広域連合で取り組んでいるドクターヘリの共同運航や県境を超えた医療圏の設定、環境管理、災害対策、農林水産分野など地形や天候が同じエリア内で共通する課題についての試験研究なども考えられるところであり、兵庫県が呼びかけて、まずは、県の事務レベルからでもよいと思いますので、岡山県、鳥取県と3県合同で、課題の整理や議論を行う場を設けてはいかがでしょうか。
特に、中山間地域や過疎地域が抱える、都市部とは違った課題に取り組むためには、各県および市町村が、従来の縦横の境を超えた新たな形を検討していくことが必要だと考えます。
こうした取り組みを進めていくためには、例えば本県と、中四国の県における広域連合への参加も検討に値すると考えます。
道州制を含め、国のかたちについての議論が行われている現在だからこそ、県あるいは関西や中国といったブロックの人為的な境にとらわれず、兵庫発の望ましい広域連携のあり方を提起していくべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。

4 県内企業の国際的な事業展開への支援について

質問の第4は、「県内企業の国際的な事業展開への支援」についてです。
日本経済に持ち直しの動きが見られるものの、我が国の企業にとって、人口減少による国内市場の規模縮小は避けることのできない問題であり、海外市場の開拓や労働力の活用など、国際展開を考える企業は今後ますます増加していくことが見込まれます。
海外展開、海外進出は、駐在員事務所の配置、支店の設置、現地法人の設置による生産拠点、販売拠点等の整備など、直接拠点を整備するものと現地市場の開拓に係るものの大きく2つに分かれます。なかでも、企業が県内から撤退し、生産機能そのものが海外へ移転される場合については、雇用が県内産業の空洞化してしまうことが従前より懸念されていますが、海外展開した県内企業が海外の成長を地域経済に取り込み、県内の雇用や生産の維持向上に繋げていく視点も必要であります。
昨年12月に開催されました日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議では、域内の統合を促す国際インフラ網の整備や防災対策など、日本が強みを持つ分野で経済支援を加速することで合意され、域内の経済発展とともに、日本企業の進出による、国内の経済成長につなげていこうとしています。県内でも、神戸市が水処理機器メーカーとともに、ベトナムの工業団地において、貯水池を整備し、浄水場や送水管を設け給水事業に参画するなど、技術とともに国際展開するなど新たな動きもみられて始めています。現在、本県の第三セクターである株式会社ひょうご粒子線メディカルサポートは、兵庫県立粒子線医療センターで培われた優れた治療ノウハウや施設の自立的運営に向けたノウハウをベースに他施設の開設準備を支援していますが、今後は、このように優れた技術と製品をセットにした国際展開が増えていくことが予想されるところです。
規模がある程度大きい企業については、既に海外展開を済ませ、製造拠点の海外展開については、出尽くした感もありますが、知事も「地元の中小企業には技術力はあるが、消費者ニーズに対応する力が弱いように感じる」と年頭のインタビューで答えられていたように、本県には、優れた技術を持つものづくり企業が多数集積しており、販路拡大を中心に、まだまだ海外展開の余地は残されているといえます。
しかしながら、多くの企業にとって、海外展開は、言葉の壁や法制度や商習慣の違いをはじめノウハウが蓄積されていないうえ、そもそも海外展開を担えるグローバル人材が社内に不足していることも多く、ハードルが高いことも事実であり、支援に相応しい企業に対しては、多面的な支援が求められるところです。
そこで、県内に集積する高い技術を持つものづくり企業の海外進出を支援していくことは、県内経済の活性化にとって重要であると認識しておりますが、県が果たす意義についてどのように認識しているのか、現状の課題、今後の支援の進め方と併せてご所見をお伺いします。

5 強い産業としての農業の確立について

質問の第5は、「強い産業としての農業の確立」についてです。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟に向けた交渉を背景に、政府は、平成30年産を目途としたコメの生産調整の見直し、同時に行われる減反農家への定額補助金廃止に向けた来年度からの補助金減額、都道府県の農地中間管理機構による農地集約など、農政の大転換期を迎えています。
TPP加盟後の農産物の関税撤廃後に予想される厳しい競争を見据え、現在約5000億円程度である輸出額を、平成32年までに1兆円に倍増、あるいは、今後10年間で、コメ60kgの平均生産コストの4割削減など、大きな目標を掲げての農政改革であり、本県としても、これらの目標に向かって、今後の農政の方向性を定めるべき時だと考えます。
「日本の縮図」と言われる本県においては、農業も多様であり、五国それぞれの特徴を持った多彩な農産物が生産されております。豊富な資源に恵まれているという特徴をどのように活かしていくのかも、大きな課題の一つではないかと考えます。
例えば、大分県では、県が主導して、県域生産・流通体制の確立を目指す取り組みを行っています。量販店を主なターゲットとして、戦略品目を選び、量販店の大量・通年出荷の要請に応えるべく、技術指導等による時期外の生産拡大や、県域リレー産地化を進め、出荷組織を統合し、年間を通じて同一ブランドで売り込む体制を構築してきました。また、流通面でも、普及指導員の中から、高度な専門知識と経営感覚を持つ者を広域普及指導員とし、これを中核とした品目別プロジェクトチームを立ち上げ、流通起点の産地づくりを進めています。東京、大阪、福岡には、それぞれ専任の県職員のマーケターを配置し、民間のマーケティングアドバイザーの指導の下、重点品目の量販店への売り込みや、販売情報の産地へのフィードバックを行っています。事前に出荷情報を、他産地に先駆けて量販店に提供することで、生産者に有利な販売に結びつける仕組みもあるそうです。ピーマンや白ネギ、ニラなどでは、体制が確立し、市場シェアが伸びるなど、成果が出ているほか、民間の自主的な取り組みへの誘導・強化も始めています。
本県においてもこのようなケースを参考として、間近にある京阪神や首都圏などの大市場の分析を行い、品目を定めて、シェアの拡大や必要な生産量、それに基づく販売額などの数値目標を設定し、県域での生産・流通体制の確立を県が主導していくことが必要であります。
重要なのは、どこに何をいくら売って、農業者の所得がどれだけ確保できるかであります。国内市場の縮小傾向が続いているなか、農業者が農業で生活できなければ、産業としての農業は成り立たず、新規就農者を獲得することも難しい状況になってきます。
そこで、以上の点を踏まえ、農政の大転換期を迎えるにあたり、農業は本県産業の中でも今後も大きく成長していく余地のある分野であり、TPPの進展も視野に入れ、農業を強い産業として確立させていくには、生産から流通に至るまでマーケットインの発想に基づいて“オール兵庫”で取り組んでいく姿勢が必要だと考えますが、県として今後どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いいたします。

6 建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくりについて

質問の第6は、「建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくり」についてです。
県内における建設業は、事業所数で全産業の8.2%、就業者数でも5.5%を占め、地域経済や雇用を支える大きな役割を果たしているとともに、災害に強く、安全・安心な地域社会を構築していくうえで重要な存在であります。
しかしながら、業界では、建設労働者の減少や高齢化の進行に伴う次世代への技術継承など、全国的に深刻な課題を抱えていることから、入職者に対する処遇改善をはじめ、建設業の魅力アップが求められています。
本県においても、建設業協会などと、今春にも「県建設業育成魅力アップ協議会(仮称)」を立ち上げ、工業高校の生徒らに建設業の魅力や役割を伝える取り組みが始められるとのことであります。また、他府県でも同様の取り組みを進めているケースは増えています。例えば、群馬県では、昨年8月に、県、各業界団体、高校、大学などの関係者による産学官連携会議を設置し、県が高校や大学に講師を派遣し、「土木施工管理技士」の資格取得のための講座を開設するなど、若手技術者を確保しようとされています。
一方、建設業界では、公共事業が急増したことにより、労務費や資材価格の高騰に、公共工事の単価設定が合わず、入札不調が続くなど、従来とは異なった課題が出てきています。国土交通省では、1月末に公共工事入札に使う建設現場の労務単価を、全国平均で7.1%上げると発表しました。本県においても、2月に労務単価を引き上げたところですが、県内の景気浮揚をする観点から、建設業従事者に対して適切な水準の賃金が支払われるよう、単価設定や適切な価格での下請契約の締結の要請などに引き続き取り組んでいただきたいところです。
中長期的な視点に立てば、まさに本県が全国に先駆けてアセットマネジメントに取り組んできたように、今後は、社会基盤施設の老朽化への対応や日常の維持管理業務へシフトしていくことが求められることから、メンテナンス技術を持った建設人材の育成に取り組んでいく必要があります。
維持管理業務は、「定期点検」や「詳細調査」などの新設にはないプロセスが加わることや工事金額が新設工事よりも小さいという課題があります。特に、今後、予防保全型の維持管理への転換が進めば、工事規模は更に小さくなり、企業にとって魅力のない分野となりかねず、社会基盤施設の適正な維持管理を支えうる仕組みの創出が必要です。
例えば、複数の工事や業務をエリアや路線でまとめるといった包括的な契約方式による発注を行うことで、企業にとっても、安定的な受注ややりがいのある業務内容とすることができ、人材育成にもつながるのではないでしょうか。地域によっては、地域内の複数社がまとまって受注できる仕組みづくりも、併せて取り組むべきと考えます。
建設業の人材不足は、社会基盤施設の整備や修繕を含めた維持管理だけでなく災害復旧への対応にも直結することから、その対応は喫緊の課題であり、新規入職者を確保・育成していくためには、県内建設業者が地域において業として続けていける事業量を安定的に確保していくなど、建設業界の活性化に向けた仕組みづくりが強く求められるところです。
そこで、県としてこれらの課題をどのように克服していこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

7 今後の英語教育のあり方について

質問の第7は、「今後の英語教育のあり方」についてです。
昨年12月13日、文部科学省は、初等中等教育段階からのグローバル化に対応した教育環境作りを進めるため、小中高等学校を通じた英語教育改革を計画的に進めるための「英語教育改革実施計画」を公表しました。2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、同計画に基づき、体制整備等を含め、来年度から逐次改革を推進することとされています。
本県においても、グローバル化に対応した教育の推進は、重要な課題として取り組まれており、英語教育の充実は、今定例会に提案されています「第2期ひょうご教育創造プラン」にも明記されています。
グローバル化が進行する現代において、語学力やコミュニケーション能力をしっかりと育むことは、子どもたちの将来にとって非常に重要であります。
国は、「英語教育改革実施計画」において、高校卒業段階で、英検2級から準1級、TOEFLiBT57点程度以上など、外部の検定試験による目標設定をしようとしていますが、この目標設定が相応しいのは、英語への関心が高い一部の生徒に限られるのではないかと懸念しています。
本県では、来年度に、「英語を用いて~することができる」という形式による目標設定「CAN-DOリスト」の兵庫版の開発に取り組まれるとのことですが、それぞれの興味や思い描く将来の進路、能力に合わせて、実際に使える英語力を要請し、英語で日本や地元、自分自身や身近な問題について、伝えることができる力を育成することが、真のCAN-DOであるといえます。
「神戸」という、古くから異文化との窓口であった港を擁する、本県の歴史や伝統を受け継ぎ、日本の未来を担う、兵庫発のグローバル人材を育成していくことが求められているのではないでしょうか。
そのためには、本県の歴史や文化、産業などを題材とした、英語に対する興味を持つことができるような独自の教材を開発していくことも必要ではないかと考えます。例えば、福井県では、NHKエデュケーショナルと共同で、独自の副教材「Fuku-English」を開発し、県立高校の授業などで活用しています。テキストとDVDで構成され、映像を見ながら繰り返し学習できるものです。シンガポールの旅行添乗員を、福井市内の旅行代理店の女性社員が、県内の観光名所を案内して歩くという設定で、名物の食べ物や工芸品なども登場します。
そこで、今後、本県において、どのような目標設定のもとで、英語教育を通じてどのような人材を育成していこうとされているのか、また、今後の英語教育を進めるにあたり、特に重点的に取り組んでいこうとされている点と併せて教育長のご所見をお伺いします。

8 交通事故対策等の推進について

質問の第8は、「交通事故対策等の推進」についてです。
昨年の、兵庫県内の交通事故死者数は、187人でした。残念ながら、前年より8人の増加で、全国ワースト2位でありました。この内、高齢者の方が前年より16人も増えて103人と、亡くなった方の半数以上を占め、全国でもワースト3位となりました。いずれも長期にわたって状況が改善されておらず、一層の対策が望まれるところです。
人身事故件数全体では、3万2,734件と、前年より1,322件、約4%減少しており、けがをされた方の数が減ったのは、幸いなことでしたが、発生場所で見ると、全県的に減少したにも関わらず、高速道路での事故が増加しており、その対策が課題となっています。
また、高速道路以外の県内には、慢性的に交通渋滞が発生する箇所があり、県民の日常生活や社会経済活動に支障を来しております。本県議会でも多くの議員が取り上げ、度々問題提起をしている課題でありますし、県民の方々からも、渋滞解消については、非常に強い要望が寄せられております。
交通対策は「安全」と「円滑」がその両輪だと言います。事故も渋滞もない交通の実現が、強く期待されるのでありますが、その両立は極めて難しい問題です。例えば、安全のためには、歩行者と自動車の分離が有効ですが、そうすれば当然、車道が一定制限され、円滑な交通が妨げられることになります。信号の運用などについても、同様の課題があり、いかにこの困難な課題を克服していくのか、県警察と県土整備部の連携強化も含め、ぜひとも解決の道を見出していただきたいと願っております。
先般、着任されました井上本部長のこれまでの経歴を伺いますと、いわゆる交通畑のようにお見受けいたします。前任が警視庁交通部長、その前任は警察庁交通局交通企画課長も務められ、また、国土交通省道路局道路交通管理課長としても務められたこともあるとのことで、まさに本県の重要な課題である、交通事故対策・渋滞対策にうってつけの方と存じます。特に、情報通信技術の進展による新たな対策の導入や、関係知事部局との連携にも期待を感じております。
そこで、今後、本県の課題であります、交通対策の「安全」と「円滑」をどのように両立させ、交通事故対策を進めていこうとされているのか、新本部長の決意をお伺いいたします。

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