前田 ともき 議員が一般質問を実施

第322回 2014年2月定例会 一般質問

 

質 問 日:2014年2月25日(火)

質 問 者 :前田 ともき 議員

質問形式 :一問一答方式

1.アルコール被害防止の総合的対策について

アルコールが与える悪影響やリスクに対して、強く認識するきっかけがありました。
昨年、国会で成立したアルコール健康障害対策基本法です。死者3.5万人、社会的損失4.1兆円。この数値は大規模自然災害によるものではなく、一年間のアルコール被害によるものです。
これまで、断片的に議論されてきたアルコールに起因した問題。がん、飲酒運転による事故や依存症、DVに自殺。いずれもそれぞれが非常に大きな問題ですが、一つの大きな要因がアルコールであり、総合的な対策を我々は真剣に考えなければなりません。
アルコール被害の未然防止にまず必要なこと、それは不適切な飲酒の防止で、3つの類型からなります。
1つ目は、1日平均で日本酒2合以上(女性は半分)の飲酒により、生活習慣病やがんなど健康障害が引き起こされる過剰な飲酒習慣。
2つ目は、おおむね日本酒3合強で酩酊に至る深酒・暴飲により、急性アルコール中毒や喧嘩、DVに性被害など引き起こす、ビンジ・ドリンキング。
3つ目は、未成年や妊婦、自動車運転など、飲んではいけない条件下での飲酒。
厚生労働省は、アルコール依存症を約80万人と予想していますが、治療を受けているのは4万人に過ぎません。60以上の病気の要因となり、健康寿命を短縮する要因の9.2%を占め、アルコールに起因した死亡は毎年約3.5万人と驚く被害が推計されています。飲酒運転違反者の約32%にアルコール依存症の疑いが、刑事処分に至るDV事件では犯行時の飲酒は約67%など、これら課題の未然防止・抜本対策には不適切な飲酒対策が必要です。
各国でも対策が進んでおり、2010年のWHO総会では、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略が決議されました。冒頭で紹介した基本法では、国や自治体、医療関係者に初めてその責務が明記され、都道府県にも地域の実情に応じた推進計画の策定が努力義務とされています。このほか、具体的な取り組みとして、本年度から特定保健指導では、断酒ではなく飲酒量の減少を目指す、ブリーフ・インターベンションも採用されました。
そこで、国内外で深刻な被害をもたらすアルコール被害の防止に向けた機運が醸成される中、県は、不適切な飲酒の現状と引き起こされる社会問題や損失をどう認識し、アルコール健康障害防止の推進計画を策定されるのか、また、飲酒運転やDV防止は県警本部、アルコール依存症や健康被害対策は健康福祉部、未成年飲酒防止では企画県民部などと、それぞれの部局が個別に対応されている中、部局を横断した全庁的な取り組み体制が重要と考えますが、併せて当局の所見を伺います。

2.民間のスポーツ・フィットネスクラブ等の誘致・増加策について

健康寿命の延伸は私のテーマです。なぜなら、老々介護や認認介護の抑制、介護保険料高騰による家計負担の抑制、何より人生を健康に過ごせるQOL向上など県民サービスの向上と同時に、介護費・医療費の抑制による財政改善策でもあるのです。
現状でも介護・医療費の県費負担は年間約1,580億円、今後も年間約100億円ずつ増加する見込みであり、その抑制は喫緊の課題です。
私は、これまでも都道府県で健康寿命1位をめざし、ロコモ対策の早期実行、運動環境整備のための学校施設の開放推進など求めてきました。今回は民間スポーツ施設やフィットネスクラブ等の誘致・増加施策について提言致します。
 なぜ健康寿命の延伸のために、スポーツやフィットネスか?健康寿命の延伸には、認知症、ロコモ、メタボの3つの対策が重要で、そのためには定期的な運動が必要です。
しかし、負荷を考慮したMETs数やカロリー消費量を考慮すると、体操や散歩などの現在主軸の運動では不十分です。よく言われる1日1万歩は、約300キロカロリーの消費に過ぎず、更にその実現も兵庫県は、1日当たりの歩数が平成23年度に全国1位だったようですが、1万歩には届かない。しかし、毎日ゴルフなら?1ラウンドで約1,200キロカロリー消費。フットサルなら?1時間で約460キロカロリーの消費、メタボ・ロコモ対策に有効な筋肉量の向上も期待できます。きつい運動負荷、長時間運動もスポーツという触媒を通すことで、継続的に、楽しく、カロリー消費ができる、スポーツの素晴らしさはここにあります。
そして、周囲に・安価で・多様な運動やスポーツ施設が必要です。県のアンケート調査でも、スポーツ振興のために県や市町に求める事業のトップはスポーツ環境の整備です。
また、フィットネスクラブなども重要です。意外なことに利用者は60歳以上が約3割と最も多く、その比率は増加傾向にあります。近年は、自治体や国保・健保と連携した介護予防や健康づくりプログラムの提供やコミュニティづくりなど、多様な役割を担いつつあります。
平成4年に厚労省は生活習慣病などに治療効果がある運動療法を、特定のフィットネスなど『指定運動療法施設』で運動した場合に、その費用を医療費の控除対象とするなど、近年は、自治体や国保・健保と連携した介護予防や健康づくりプログラムの提供やコミュニティづくりなど、多様な役割を担いつつあります。 また、2健保のレセプトデータと運動データを分析し、フィットネスクラブの利用回数が多いほど、医療費の伸び率が抑制された報告も、日本成人病学会でされています。
既に、県では全国1位を誇るスポーツクラブ21や勤労者健康づくり運動施設など環境の整備を行っております。しかし、健康寿命の延伸には、運動環境の質的・量的充実を図るためにも、新しい整備が重要だと考えます。
そこで、税制、助成金、融資補助、都市計画や建築基準法上の緩和・優遇などによる民間スポーツ施設やフィットネスクラブ等の誘致・増加制度を創設すべきと考えますが当局の所見を伺います。

3.ICTを活用した県行政の推進について

(1) 新たなICT戦略の策定について

ICTの進化は我々の生活を変え、ビジネスを変え、同時に自治体の政策にも大きな影響を与えます。ICTは、防災や農林水産、医療・福祉、教育、産業や地域の活性化と、あらゆる領域で県民サービスの向上や行政効率化に活用できる万能ツールといえます。マイナンバー制度や自治体クラウドもコストカットやBCPに寄与することでしょう。
 ICTの活用例では、東京ゲートブリッジが各種センサーにより、ひずみや伸び縮みなどをモニタリングし、1秒で2,800個のデータ測定を行い、インフラの保守・管理に活用しています。
佐賀県では全救急車にタブレットを配備し、救急隊員が受入可能な病院の検索を瞬時に行い、患者のたらいまわし防止や搬送時間の短縮に努めています。
和歌山ではセンサーで気温や降水量、土壌温度などのデータを収集し、果樹試験場の遠隔アドバイスと適時適作業の徹底で、高糖度のみかん比率を24%から53%に倍増させるなど、熟練者の経験に依存した生産ではなく、数値に基づいた生産管理で生産性向上や新規就農者支援につなげる取り組みもなされています。
このように、ICTの可能性は非常に大きいものですが、日本はICTの活用について遅れている状況です。世界経済フォーラムはICTに関する政策やビジネス環境、インフラなどを基にランキングしています。平成17年に8位だった日本は、25年には21位と大きく出遅れています。
昨年6月成立の世界最先端IT国家創造宣言では今後、5年で世界最高水準のIT利活用社会を実現する目標設定がされました。ひょうご情報交流戦略は平成21年度で終了しました。しかし、県行政や県民サービスの向上に向けたICTの活用に終わりはありません。
そこで、県のICTの重要性に対する認識と新たな戦略策定の必要性について当局の所見を伺います。

(2) CIO補佐官の設置やICT部門の格上げなど組織強化と市町との連携について

戦略を策定しても、うまく実行できなければなんの意味もありません。実行する組織と人材が重要です。IT国家創造宣言でも、従来から政策を進めてきたが、多くの国民が成果を実感していない理由として、ニーズを十分把握せず、組織を超えた業務改革を行わなかったことや、各省がバラバラにIT投資、施策を推進し、重複投資や施策効果が発揮できない状況を生み出し、真摯に反省する、とあります。
その反省点から、内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOが事務次官の上位に新設され、民間人が就任しました。
多様な行政課題の解決に向けたICT戦略を描き、部局横断でマネジメントを行い、効率的な事業実施を実現するため。また、県下の市町に、様々な支援や取りまとめの役割が求められる県には、ICT部門の組織強化策が必要ではないでしょうか。
そこで、CIO補佐官の設置やICT部門の格上げなど組織強化と市町との連携・支援について、県として今後どのように取り組まれるのか当局の所見を伺います。

4.オープンデータの推進について

ICT活用の重要なインフラがオープンデータです。 
オープンデータは、行政が保有する情報で、例えば地図・地下分野では道路の幅員や形状、ボーリングデータなど。防災分野ではハザードマップや河川水位など、行政保有の様々なデータを公開し、民間の発想で加工・編集し、アプリやウェブサービス、ビジネスに活用することで、地域の課題解決や産業活性化に活用する取り組みです。営利目的も含め、だれでも自由に利用が可能で、PDFやエクセルではなく、csvやxmlなどコンピューター処理に適したデータ形式で公開されるものです。
平成24年7月に政府は、公共データは国民共有の財産という認識のもと、3つの戦略を軸に、電子行政オープンデータ戦略を策定しました。
1.国民から行政への透明性・信頼性の向上   
2.国民参加・官民協働を推進し、ニーズや価値観の多様化への対応
3.経済活性化・行政効率化
オープンデータは世界的な流れであり、日本政府はカタログサイトの有無やデータセットなどにおいて、遅れつつありましたが、昨年6月のG8サミットでオープンデータ憲章に合意し、2014年度~15年度を集中取り組み期間とするなど、キャッチアップに全力をあげています。
利用例として、AEDやオストメイトトイレ、消火栓。必要な時に、今いるところから一番近い場所ってどこ?という場面。いざという時にお知らせチラシが手元にある人はいないでしょう。オープンデータにしていれば、GPSに連動させてすぐわかります。また、震災対策でも、京都市は日本IBMと連携し、避難所情報と地図・GPSと連動した最適避難経路アプリの実用化を目指しています。いつでも、どこでも、何度でも、個々人に合わせたサービス提供が極めて安価にできる、これがICT利活用の世界です。産業政策としても、市場規模は約1.2兆円、経済波及効果は約5兆円程度のインパクトがあると期待されています。
オープンデータは、地方自治体の役割が重要です。経団連が昨年3月に発表した公共データの産業利用に関する調査結果では、地図や防災、都市計画に医療と様々なニーズがあり、利用したいデータの保有先は、地方公共団体が国を抑えて1位となっています。
そこで、県としてオープンデータの重要性と果たすべき役割をどう認識しているのか、また、様々なデータを様々な部局で保有している中で部局間の連携など今後の取り組みをどう進めていくのか、その方針について併せて当局の所見を伺います。

5.24時間無料のどこでも学習環境の提供について

ICTを活用した効率的な県政の推進や県民サービス向上の具体案を1つ提示します。
子供を塾に出す家計的余裕がない家庭。病気やけがで病院生活、イジメなどにより学校に通うことが難しい子供たち。塾には行きたいが、山間部や離島で近隣に学びの場がない子供たち。授業についていくことができなくなった子供たち。いろいろな環境下にありながらも、学ぶ意欲を持つ子供たちのため、24時間、完全無料、どこでも何度でも勉強ができる、受験対策ができる。そんな学びの場があったらいいなと思いませんか?でも、兵庫県も予算が厳しい。しかし、大丈夫。それが、大規模公開オンライン授業、MOOCs(ムークス)とも呼ばれる学習動画の配信で、昨年の決算委員会でも提案しました。世界の一流大学の講義を無料で配信し、1つのプラットフォームで、500万人超の会員をわずか数年で獲得し、再生回数は3億回を超えるなど爆発的に普及しています。そこで、小・中・高校生の学力向上に向けた学習コンテンツのオンライン配信を提案します。 
子育て世代への、より手厚い支援が求められています。国の出生動向基本調査では、子供の数を増やせない理由として、子育てや教育にお金がかかりすぎるから、が断トツ1位の約6割、30歳未満でみると8割にものぼります。高校授業料の一部無償化、県においても子供医療費の助成拡大、待機児童解消など支援がなされていますが、学校外の家庭教師や塾代といった、学習費用負担も実は大きいのです。

国の調査では、学習塾に費用を支払った世帯は、中3で80.1%、高3で37.3%となっており、多くの子供たちが学校以外にも学びの場を持っているのが現状です。文部科学省の子供の学習費調査では、補助学習費は公立で、中学生は年間約22.4万円、高校生は約12.2万円。これはあくまで平均ですから、塾に通えない、大学に進学しない世帯もあり、大手の学習塾に通うとすれば、年間50万はくだりません。子供を持つお父さんの小遣いは年間35万円ですから、本当に家計の大きな負担となっています。リクルートの調査では、大学新入生で塾や予備校に通わなかった人は65%で、その理由は経済的事情が49.4%、近くに良い予備校が無いが18.3%。言い換えると、教育の経済格差と地域格差が存在していることに他ならないのです。
このプラン。時間や場所、家計に縛られることなく、効率的な学習に取り組むことができ、学ぶ意欲にあふれた子どもの学力向上に役立つと考えています。学習コンテンツの制作に初期投資はかかりますが、一旦作成すれば、何百万人が授業を受けようが、変動費も固定費もほとんどかからないので、塾代助成や学習教室などの従来施策よりも最終的な費用は大幅に抑えられます。他の自治体と分担してコンテンツを作成すれば、更に費用を抑えることができるでしょう。
併せて、生徒の学力向上、家計への負担軽減のみならず、模範となる教員の授業を動画で配信することで、授業の改善や教材の開発など、個々の教職員のレベルアップにも資することが可能となります。
そこで、本来ならば国が取り組むべき事業とは思いますが、子育て世代への更なる支援や学習環境の経済・地域格差の是正、様々な状況で教育弱者におかれている子供たちのためにも、県として学習コンテンツのオンライン配信を通じた学力向上を先進的に図っていくべきと考えますが当局の所見を伺います。

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