藤井 訓博 議員が一般質問を実施

第322回 2014年2月定例会 一般質問

 

質 問 日:2014年2月27日(木)

質 問 者 :藤井 訓博 議員

質問形式 :分割質問・分割答弁方式

早速ですが、通告に基づき、分割方式により以下5問にわたり、知事並びに関係当局にささやかな提案も含め質問をいたします。

1 給与抑制の早期縮小と行革推進に対する県民への周知のあり方について(企画県民)

質問の第1は、「給与抑制の早期縮小と行革推進に対する県民への周知のあり方について」です。
この度、第3次行革プラン(案)が示されました。この6年間の取り組みは概ねプランどおり進捗しており、県当局及び行革推進を支える県職員のご努力に心から敬意を表します。
今後の5年間は、行革の終局に向けてその方向性や取り組みをより具体的にかつ明確に示すことが重要になってきます。
残念ながら、私の周りの方々には、「県は、いままで随分、無駄遣いや人が余っていたんやなー」ととんでもないことを言う人もいます。
行革を成し遂げるため何よりも大切なことは、県民に対しサービスや安心・安全な生活を送る上で、こと、多大な影響を与える県民の行革に対する理解と協力を得なければならないこと、また、県政推進の原動力であり、最前線で頑張る県職員のモチベーションを保つことです。
2018年度に行革が終結したとしても、その後の県政推進の原動力とならねばならない県職員が、厳しい給与抑制や定員が3割カットされた状況の中、県政を推進する上で、体力・気力を消耗してしまっているという事態も懸念されます。
今次、第3次行革プラン(案)に対して行革審議会から、再度、「給与は職員の士気高揚や有為の人材確保など、県政運営を行う上での基盤となるものであり、引き続き適切に見直されたい」という意見が出されていることからも、職員のモチベーションを保つためにも一時も早い給与抑制措置の解除が望まれることはいうまでもありません。
このことと並行して、現状において、やらなければならないことは、この行財政構造改革の経緯・必要性・方向性や県当局・県職員等が持続可能な健全な県財政運営に向けて懸命の努力をしていることを、県民の理解と協力を得るためにも、今まで以上に工夫して県民に周知することであります。
例えば、職員の給与抑制措置における拠出については、これまでの行革6年間で給与や期末勤勉手当の削減により拠出額が600億円を超える額になっており、私たち議員も約5億4千万円拠出している実態が、県民にはほとんど伝わっていませんし、拠出した職員からみても拠出した給与が県政でどのような形で活かされているのかその姿をうかがい知ることはできません。
職員の給与抑制によりこれまで拠出した金額が、単なる財政上の補填ではなく、使途について例えば、県民にわかりやすい事業をあげて示すとか、拠出した給与については、職員団体との協議の場で使途を示すなどして、目に見える形にし、その上で県民に広報すれば、職員だけではなく、とりわけ県民にとって行革に対する理解・共感が深まり、協力も得やすくなるのではないでしょうか。
そこで、行革も折り返し点を過ぎた今、今後は職員のモチベーションを保つために、前述した行革審議会の意見も出されているように、給与抑制の早期縮小方針をより明確にすべきであります。また、行革推進に対する県民への周知のあり方等についても今一度工夫・見直しをすべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2 自殺予防の県民運動の推進について(健康福祉)

質問の第2は「自殺予防の県民運動の推進」についてです。
自殺対策については、これまで再三再四取りあげさせていただきました。
この間2003年に初めて自殺対策の質問をさせていただきましたが、当初は県の自殺対策予算は確か300万円未満だったと記憶しています。
県の施策方針にもその記載は片隅に追いやられていましたが、今や県の重要施策として位置付けられています。
この間、兵庫県においては、「こころのケアセンター」の設立をはじめ、2009年には、全庁横断的な「自殺防止対策推進本部」の立ち上げ、さらには2010年、全国に先駆け「いのち対策室」を独立した部署として設置するとともに、並行して、24時間体制の電話相談、かかりつけ医と精神科医の連携、自殺未遂者支援など、様々な取り組みの強化が進められ、2016年までに兵庫県における自殺者を1000人以下にすることを目標として、鋭意施策を進められています。そのご努力に対して、心から敬意を表すものです。
日本の自殺者数は、1998年、前年より急激に約8000人増え、3万人を突破し、その後14年連続で3万人台を記録していましたが、民主党政権になり初めて自殺者が3万人を割り込み、昨年の全国の自殺者数は警察庁のまとめで、27,276人となり、4年連続減少となりました。
私自身、これまで様々な提案をして参りましたが、毎年の進捗状況の数字を見るに付け、2016年まであと3年、兵庫県における自殺者数を1,000人以下に抑え込むことは、至難の業ではないかと正直、思っていました。当局の皆様も同様であると推察いたします。
しかしながら、兵庫県において、1,300人台で高止まりしていた自殺者数が一昨年1,300人を大きく下回り1,225人となり、昨年はさらに減少し、1,180人となり、この10年で、最も少なくなっていることが発表されました。
まだまだ、楽観は許されませんが、これまでの自殺防止対策がようやく実を結んできたことは間違いないと確信しますし、加えて自殺は個人の問題だけでなく、社会的要因で追い込まれた末に起因するものがほとんどであり、社会が適切に介入し、適切な支援につなぐことができれば、避けることが可能な死という理解、すなわち、「自殺は予防できる」との理解が国民の間で深まってきたことも、大きな要因と考えられます。
2016年の兵庫県における自殺者数を1,000人以下に抑えこむという目標達成が現実味を帯びてきました。その実現のためのキーポイントは、行政のこれまでの取り組みに加え、県民一人ひとりがゲートキーパーとしてSOSのサインを見逃さない県民総がかりの体制づくりにかかっていると考えます。まずは、住民と直接触れ合う最前線の各県民局においては、各市町との連携を積極的に図り、本庁の「対策本部」「いのち対策室」と緊密な双方向の連携のもと、しっかりとした分析の中で効果的な取り組みを進めなければならないことはいうまでもありません。特に神戸市における自殺者数が300人を超え多数を占めており、政令市である神戸市が施策を主導するとはいえ、今まで以上に最大限の連携を図り神戸市における対策強化も必要です。政令市のみならず、中核市に対する対応も同様です。
そこで、今後、行政の積極的な諸施策に加え、県民自らが、自分たちにできることから具体的に行動を起こすという県民意識を醸成する取り組みに加え、それを、県民一丸となった県民運動と位置づけ、県民局及び県民センターさらには健康福祉事務所等が全県同一歩調で具体的に取り組んでいく必要があると考えますが、当局のご所見と2016年の目標達成に向けての決意を併せてお聞かせ願います。

3 実効ある「地域安全活動」の実施について(政策、教委、警察)

質問の第3は、「実効ある地域安全活動の実施について」です。
地域安全活動については、全県下で警察・行政・地域・学校・家庭等々が協力、連携する中で、様々な取り組みが実践され、成果も上がっています。
しかしながら、最近では、先月の札幌市における小学校3年生の女児の誘拐・監禁事件に見られるように、児童・生徒が被害者となる犯罪が後を絶たない現状もあります。
幸い、兵庫県には、子どもが「誘拐や暴力、痴漢」などの被害に遭った、または遭いそうになったと助けを求めにきた時、その子どもを保護するとともに、警察、学校、家庭等へ連絡するなどして、地域ぐるみで子どもの安全を守っていくボランティアとして活動している「子どもを守る110番の家・店」の取り組みがあります。
そのはじまりは、岐阜県において、1994年4月に小学校2年生の児童が下校途中に殺害されるという痛ましい事件の教訓を受けて、1996年3月に可児(かに)市の小学校のPTAが中心となって、警察・地域防犯協会等と連携し、通学路周辺の店に「子ども110番の家」として、子どもに分かりやすいステッカーを掲示したのがはじまりとされています。
本県内でも、すでに全ての市町で取り組まれるようになり、昨年末現在、その数は58,725箇所、67事業所16,216店舗の協力を得ており、子どもたちを守る活動が着実に進展しています。
この「子どもを守る110番」の活用状況を調べてみますと、平成25年中で、駆け込み件数が101件、うち75件が迷子に関するもの、21件が痴漢・盗撮に関するもの、つきまとい等が5件という実績となっています。当然、約75,000箇所にも上る「子どもを守る110番の家・店」の設置そのものが、犯罪抑制効果があることはもちろん、地域住民の防犯意識の啓発にも大きく関与していることはいうまでもありませんが、設置数に比べ、子どもを取りまく未遂も含めた犯罪の現状を見たとき、その活用が充分なされていないのではないかという懸念も抱くところです。
子どもたちにとって、この大切な取り組みをより有効に活用できるようにするためには、いくつかの課題があろうかと思います。
ひとつには、各市町でデザインを含めステッカー等の形態が統一されておらず、子どもたちにとって、自分の街を離れ、他の市町に行ったときに犯罪に遭遇もしくは遭遇しそうになったときに子どもたちが直ちに避難場所「子どもを守る110番の家・店」として認識できるのかという懸念です。
そこで、「子どもを守る110番の家・店」のステッカーもしくは旗を、全県統一の色・マーク・デザインにすれば、兵庫県下、何処にいっても子どもたちが安心して駆け込めることが可能になりますし、学校においても小学校入学時等、現物を見せることにより指導も徹底しやすくなるということはいうまでもありません。
ふたつには、一番重要な観点と考えますが子どもがせっかくステッカーを見つけて駆け込んでも、住人が、「在宅」でなければ何の意味もなさないことです。
現在、限界集落等で独居高齢者に旗を渡し、毎朝玄関に掲げ安否を確認するなどの工夫がなされていますが、「子どもを守る110番の家」も、旗を立てて在宅サインを示すことは、子どもたちの安心・安全にとって効果的なものとなるばかりではなく、協力者にとっても子どもを守る意識がより啓発されることから、この「在宅サイン」の取り組みは全県的に積極的に進めるべきと考えます。また、そのことを広報することにより、兵庫の子どもはもちろん、他府県から兵庫を訪問した子どもたちにも安全・安心兵庫を感じる有益な取り組みとなります。
この「子どもを守る110番の家」の在宅サインを増やしていくには、在宅率の高いシニア世帯等にも積極的に参加してもらうことも大切なことです。
兵庫県下、どこに行ってもあちらこちらに「子どもを守る旗」が立っていることを想像したとき、子どもを守る、大切にする「安全元気・ふるさと兵庫」の取り組みの原点を見る思いがします。
現在、この「子どもを守る110番の家・店」の取り組みは、市町・教育委員会・各種団体等の主体的取り組みで行われていますが、そのとりまとめを統括する責任部所が曖昧となっている現状でもあります。安全なまちづくりを推進する県行政が中心となり、県警察や県教委と連携し、実施主体に対し、財政面も含めより積極的に働きかけを行い、今後は県民総掛かりの県民運動としても活性化を図る必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4 警察官の人事異動について(警察)

質問の第4は、「警察官の人事異動」についてです。
県民に信頼されるとともに、県民の命を守り、安心・安全を確かなものとするため、使命感を持って、日々努力され県民とともに歩みを続ける県警察の努力・取り組みに心から敬意を表しますとともに、感謝申し上げます。
さて、そういった中で、大きな疑問を感じることがあります。それは、警察官の人事異動方針です。警察常任委員会の一員として、管内調査を行った際、各警察署の調査資料を拝見しますと、全48警察署において、例外なく署長をはじめとして、副署長、刑事課長、地域課長、交通課長、警備課長等々、各課の幹部(主に警部以上)等、警察署のリーダー、各課のまとめ役の方々がほぼ100%、1年から2年の間にほぼ全員が入れ替っている、すなわち異動している現状となっています。
今次の県警本部長が1年で替わられたことにも正直びっくりいたしました。これは井上本部長の責任ではありませんが、県内各署においても、このような人事異動がされていることに、私自身、違和感が拭い去れません。
私も教員の経験がありますが、その地域・住民なり、内部の状況なりを把握するには最低1年のサイクルを経験しなければならず、ましてや、地域に溶け込んで住民から信頼を受け、本当に力を発揮できるのはその後の継続した努力にかかっています。
リーダーたる幹部警察官の短期間での異動の繰り返しでは、果たして、管内・署内の状況を把握し、管理・監督し、署員の能力を適正に把握することができるのか、後任者との頻繁な引継ぎ業務や打合せも含め、相談や被害者支援など複雑・繁雑な業務が増加するなか、齟齬が生じないのか不安も感じます。
最近、高止まり傾向にある警察官の不祥事案の一因にもなっていないか、検証の必要もあろうかと思います。
また、地域住民に最も身近な存在、すなわち地域から頼られ、愛される地域の顔として交番等で勤務する地域警察官の異動サイクルも残念ながら短いようであります。
警察署長をはじめ、警部以上の幹部警察官の異動は県警本部長が行い、交番等で勤務する地域警察官を含め、警部補以下の警察官の署内配置については、警察署長の権限とされていることからも、一律異動ありきではなく、各警察署管内・署内の状況や特性、また担当各部における事案の継続性の必要性等を勘案したうえで、警察組織トータルとして、各警察官が持っている力をこれまで以上に十分発揮できる異動体制、条件を整える必要があります。
今、県警察では、春と秋の年2回の人事の大異動があり、その合間にも小異動が繰り返されています。そこで、このような頻繁なとりわけ幹部警察官の一律ともいえる人事異動の意図と意義についてどのようにお考えなのか、また今後どのような方針で効果的な人事異動をされようとしているのか、本部長のご見解をお伺いします。

5 高等学校等就学支援金制度の運用について(教委)

質問の第5は、「高等学校等就学支援金制度の運用」についてです。
全ての希望する子どもたちが家庭の経済状況にかかわらず、安心して後期中等教育を受けられる、すなわち、子どもたちの学びを社会全体で支え、国が教育を補償する第一歩として、2010年4月に「高校授業料無償制度」が導入されました。この制度導入で、経済的理由等での高等学校中退者が大きく減少するなど、その理念に基づく教育効果も現れてきています。しかしながら、昨年11月27日に、この高校授業料無償制度の改正案が国会で可決され、本年4月から新たに「高等学校等就学支援金制度」として運用が開始されます。
この制度は、現中学3年生からが対象になり、保護者の収入の合計が910万円以上、実際は市区町村民税所得割額304,200円の子どもから授業料を徴収する制度となり、約20%の生徒が徴収対象になるとされています。
制度の是非はともかく、この制度導入によって生じるであろう様々な課題を早急に短期間で乗り越えなければならないことはいうまでもありません。
まずは、教室の中で、保護者の所得によって子どもたちが二分されるという状態は、子どもたちの気持ちに微妙な影を落とすことも懸念されることから、十分な配慮が必要であります。
その上で、一番肝心なことは、支援金の受給権を持つ約80%の生徒が誰ひとり支給から漏れることがあってはならないということです。
受給は該当者の「届け出制」であり、税額決定通知書や課税証明書が必要であることから、申請の取扱いについては、当然、生徒のプライバシーや個人情報の保護・管理に対しての対策を講じなければならないことはいうまでもありません。
その上で、支給が始まる4月を直近に控えた今、支給にかかわる具体的要件・手続きについては、当事者は勿論、中学校・高等学校の教職員・関係者等に対する周知・説明をさらに十分に行うことも必須となります。
特に、定時制・通信制の高等学校については、様々な事情を抱える生徒が多いため、特段の配慮も必要ですし、保護者の急な収入減による家計急変世帯への支援・対応も大きな課題です。
そこで、就学支援金支給にあたり、定時制・通信制高校を含め、受給権を持つ生徒が支給から漏れることがないよう、家計急変世帯への対応を含め、どのような対応・対策をとられるのか、また、膨大になる事務作業に対してどのように対処されようとしているのか、所見をお伺いいたします。

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