山本千恵議員が質問(予算審査・財政状況)を実施

第312回2月定例会 予算特別委員会質問(財政状況)
2012年3月2日(金)

財政を担当するというのは、予算特別委員会の中でも重責であり、1年生議員でつとまるかというプレッシャーを感じているが、先輩議員にも指導を仰ぎながら本日を迎えている。1年生議員であるからこそ感じ取れる部分もあると、プラス思考で質問を進めたいと思うので、よろしくお願いする。
質問に入る前に、今日の質問を行うにあたっての私なりの切り口を示させていただきたい。

2010年11月にISO26000が発行した。これは、組織の社会的責任につて世界標準化したもので、検討のための作業グループ設置から数えると、最終的には77カ国が参画して、実に9年の歳月を要してできあがったもの。
世界共通の認識として、持続可能な社会のためには、あらゆる組織がSRという概念で組織を運営する必要性を認めたわけだ。
企業にはより高い社会性が、行政には多様な社会に対応するための柔軟性が、市民社会には新しい公共の担い手としての期待が求められている。
また、透明性や説明責任、社会課題への認識、ステークホルダーとのコミュニケーションといったところは、言うまでもなく必要なこと。
こういったことから考えても、社会からの要請は、法律を守っていれば良いというところから、+αの「誠実さ」とも言えるような期待値への応答、レスポンスというところに至ってきた。
兵庫県財政が非常に厳しい中で、昨年12月定例議会において、21世紀兵庫長期ビジョンが改定された。一人一人の意識が重要だからこそ発表されたもの。
これは、県民が一つの目標、将来の兵庫県の姿に向かっていくための壮大なビジョン。
ビジョンを達成するためには、選択と集中、スクラップ・スクラップ&ビルドの姿勢で、臨んでいく必要がある。
兵庫県が厳しい状況の中で、県も皆さんも必死に頑張っているという事も、ビジョンと同じように共有を図り、特にスクラップ・スクラップの部分への理解を深める必要があると思う。
そのためには、負の情報も、周辺事情を鑑みながら、適切なタイミングに、適切な形で伝えていかねばならない。
東日本大震災が発生して、まもなく1年が経過する。
兵庫県は、被災県だからこそ可能な支援を被災地に送ってきた。
これから被災県は、兵庫県と同じように、財政的にも厳しい状況におかれる。
物質やマンパワー、ノウハウの支援だけでなく、被災県が真に、財政状況も健全化できるという実績を見せることも必要だと思う。
このような視点から、以下4項目7問について質問をする。

1 公債費特別会計における利息管理について

(1) 利息縮減の取組について

・公債費特別会計は、県債の償還や利子の支払い、借換債などを集約している。
平成24年度の公債費特別会計予算案によると、平成24年度の償還予定金額は、元金が4,059億4,548万円、利息が811億6,850万円である。
この利息は、私の地元である伊丹市の一般会計予算約660億円よりもはるかに大きく、平成24年度に見込まれる県税収入6,323億4,400万円の12.8%に相当する。
利息そのものは、県債を発行する時点で、すでに決まっているので、県債発行時にしっかりとした交渉をしていただいていると思う。
しかし、毎年度、積み上がってくる利息の総額は、お世辞にも小さいとはいえない。
★利息811億円には県債を充てることはできない訳だが、やはり気になるのは、利息分のお金はどこから出てきているのか、どのように公債費特別会計に集約されると考えればよいのか、多額の利息を縮減するためにどのような取組を行っているのかを含めご説明願います。

(2) 利息の現状の公表について

たとえば、平成24年度でみれば、811億6,850万円は、総予算3兆1,681億円の2.6%に相当し、公債費特別会計に至っては、実に12.7%に相当する。
決算特別委員会の時に、私たちの会派の三戸議員が指摘した県民交流広場事業でさえ、モデル実施の2年間を含めた14年間の総事業費は約106億円、増え続ける行政経費の代表格である後期高齢者医療費に係る県費負担金でも563億4,500万円である。
如何に利息が大きな金額であるかがわかる。
県の努力で減らすことができるわけではないが、何かしらの他の経費を圧迫するなど、県予算に影響を与えることに代わりはない。
しかし、予算発表資料や、報道などに取り上げられる資料では、利息が811億6,850万円あるということはわからない。
先ほど述べたとおり、負の情報であっても、適切なタイミング、適切な形で情報を開示していく必要があると考える。
★利息の支払いは、ある程度大きな割合を占める経費であると認識し、公債費の内訳として、いつ、どの程度、どのくらいの金額がかかるのか、公債費という項目にまとめず、元本償還がいくら、利息いくらと表記するべきではないかと考えるが?

<コメント>
・自治体の会計に非常に、非常に詳しくなければ、私を含め、多くの人は、元本償還しているように受け取ると思う。
・わかっている数字を表に出すだけなのだから、簡単な話。誤解を招かないように、常に情報のあり方を考えるべき。

2 県債のあり方について

(1) 退職手当債の考え方について

退職手当債は、行財政構造改革を計画通りに進め、将来にわたって人件費削減に取り組み確保した額を償還財源とする範囲内で、現在時点で起債することができる仕組みである。
平成24年度当初予算記者発表資料にもあるとおり、収支不足額780億円の財源対策、穴埋めとして起債されるもの。
民間であれば、経費削減は常日頃、意識するものであるから、将来節約できそうなお金を先に使うというのは、なかなか理解しづらい。
★将来のある時点を想定した場合、事実として人件費は削減されているのに、過去に人件費の節約分として起債した「平準化を図る」という名目の今は無き架空の人件費が存在することになる。
・県民の中には、これを将来へのツケに他ならないと感じる方もおられることと思うが如何?

(2) 借換債の平準化について

それでは、借換債についておたずねする。
満期一括借入の県債の場合、その償還期限にあわせて、途中で借換を行うことになる。
借換自体は、県債管理の一貫として、適正管理のもとで行われているわけだが、本議会に上程された補正予算の中には、借換債の平準化が含まれていた。
これは、平成26年度に県債の償還ピークを迎えることから、借換債も同様に多額となるため、金融機関や投資家などに有利な、兵庫県にとっては歓迎したくない借換債発行環境が生まれる可能性を示す。
その状況を回避するために、平成23年度から平成26年度にかけて、平成26年度に予定されている借換債を平準化する手法を取った。
リスクを分散し、一刻も早く財政状況の改善を目指すための努力をいただいているわけだが、一方で、その危険性も指摘しておく必要があるのではないかと感じる。
総務省令によれば、償還ペースを変更しない借換は同意不要であり、許可書に償還ペースを記載していない平成18年以前に許可された県債であれば、退職手当債でさえも、今回の「借換債の平準化」という手法を活用することが出来ることになる。
償還に充てる財源として県債管理基金を使わず、全て借換債にすることは、よく言えば、県債管理基金でのリスク回避のための備え、裏を返せば二重の借入。
また、県債管理基金に備えをすると言うことは、二重の借入常態にかかわらず、結果として、実質公債費比率の改善につながる。
★この点に関して、今回の手法は、リスク回避が出来る一方で、このような側面があるので、手法活用の度合いや範囲、アカウンタビリティの観点から、一定の自主規制が必要ではないかと考えるが如何か?

<コメント>
・県債管理基金に入れることで実質公債費比率が改善されるという点では、各種外郭団体の基礎財産を運用財産に組み替えて、兵庫県基金管理特別会計を活用して、県債管理基金への繰り入れ繰り出しを行う事も、同様。
調べてみたところ、12団体のお金が特会の繰り入れと繰り出しをしていて、金額にして30億2,669万9,000円。
・借換債の平準化もそうだが、自治体財政の透明性、アカウンタビリティという観点を落とすことなく、行財政改革を進めていただきたい。

<参考>
2006年7月25日に発表されている「兵庫県の実質公債費比率について」という資料では、「震災復興・復旧関連の起債の影響がなくなるまでの間には確実に18%未満となる事を絶対目標」として、「特定目的基金の活用や県有試算の売却等」をその手立てとして上げている。

3 外郭団体への交付金について

先の質問とも関連するが、平成18年度に、外郭団体の財産をいったん本庁に戻し、一括して基金管理を行っている。
生まれてきた利子は、もともとの外郭団体へ渡し、これまで基金を取り崩したり運用益で行っていた自主事業の一部を、一般財源からの交付金措置することによって、事業の継続性を担保している。
外郭団体は、それぞれが自主性を持ちながら、社会の変化に柔軟に対応できるからこそ、外郭団体であるインパクトがあると考えている
★非常にたくさんの外郭団体があるので、一概にいうことはできないとは承知しているが、これまで自主事業として展開してきた事業が、交付金事業になることで、万が一、交付金が十分に支給されなくなった場合、事業縮小や廃止につながったり、先進事業を展開するなどの先導者としての役割が鈍るのでは?と気がかりである。

<コメント>
いずれは、兵庫県基金管理特別会計のお金は、外郭団体に戻るものだと思っているので、必要な時期に、必要な対応をしていただくように、お願いする。

4 外郭団体(公社等)におけるOB活用について

(1) 一般県民からの誤認を防ぐ対策について

第2次行革プランに基づいて、着実にOB活用が進められている。
しかし、これには2点、懸念されることがある。
まず、一般県民の素朴な感情からすれば、「天下り」ではないかと受け取られかねないことが挙げられる。
かつて、国の官僚の場合、中央省庁を退職した後に、複数の関係団体等を数年後とに渡り歩いて、高額の退職金を得ると言った行動が多くの国民の批判を受けた。
★本県においては、兵庫県退職者人材センターを設置するなど、一般県民の方から同種の誤解、批判を受けることがないよう取組を進めておられると思うが、その具体的内容について伺う。

(2) 人的リソースの確保について

外郭団体においてOB職員を活用する一方で、プロパー職員が削減されていることから、一定期間経過後に人材枯渇が起こるのではないかと考える。
特に私は、この2点目の懸念が重要であると考える。
すなわち、一定期間経過後にそのOBが退職した場合、残された数少ないプロパー職員だけでは、専門的な知識や技能のストックが不足してしまい、それまでと同様な業務を担っていけるのかと心配だ。
確かに、プロパー職員を削減し、OB職員を活用することにより、短期的に見れば財政上の節約が図られるというメリットはあるかもしれないが、長期的な視点に立てば、専門的な人材が枯渇してしまうというデメリットが生じることとなり、かえって余分なコストを生じさせてしまう結果となる恐れはないのか。
★そこで、この点について、県当局の考え方をお聞きする

<コメント>
たくさんの外郭団体があるので、やはり一概に言うことは出来ないが、分野によっては、行政施策にも通じ、現場の経験を数多く踏み、新しい展開を予測できるスペシャリストである場合もある。
それぞれの組織の性質を見極め、人材枯渇がないような行革推進をお願いする。

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