小池ひろのり議員が質問(予算審査・財政状況)

予算特別委員会質問(財政状況)

平成26年3月4日(火)

国債と借入金いわゆる「国の借金」は、昨年末現在でとうとう1018兆円になりました。国民一人当たりに換算すると、およそ800万円であり、とんでもない額であります。今年の予算審議の時、安倍首相は「増税を行うので、無駄を徹底的に排除した。」と胸を張っていました。しかし、補正予算では、行政改革推進会議の委員全員が無駄とした事業を含め、削除した8割が復活しているのを知ってア然となりました。

今年度の国税の収入は約44兆円で、借金は実に23年分の収入の前借りという財政状況にもかかわらず、不要不急な事業も見受けられ、旧態依然の体質から抜け出していないと言わざるを得ません。

一方、県財政に目を向けると、平成24年度決算において実質公債費比率は17.3%で全国ワースト9位、将来負担比率は345.0%でワースト1位という状況です。

このような厳しい財政状況の下、本県の予算審議をしっかり尽くさなくてはならないとの観点から、以下3項目4問にわたり質問します。

 

1 投資事業の進め方について

 (1)緊急防災・減災事業等の追加事業による県財政への影響について

予算編成の方針では、事業の投資規模として、「当初予算では、第3次行革プランに沿った規模とする。また、消費税率引き上げによる景気の腰倒れを回避しつつ、「ひょうごの元気」に繋げるための事業規模を確保すること」とされています。

さらに、歳出では、「通常事業は、前年度当初予算に地方財政計画の投資的経費の水準との乖離率を乗じた事業費を基本額に、緊急防災・減災事業、地域の元気臨時交付金事業等を加算」とされています。地域の元気臨時交付金事業は、全額国庫ですが、緊急防災・減災事業は県負担が30%あります。事業の必要性は十分理解できますが、通常分に単純に加算するのはいかがでしょうか?

「投資的経費に充当する県債の総額は、前年度を27億円上回る827億円」とのことですが、交付税算入を考慮すれば、このたびの緊急防災・減債事業等の追加実施によって実質公債費比率や将来負担比率に、どのような影響を及ぼすのかお尋ねします。

 

(2)投資事業に充当する県債発行の考え方について

財政健全化の観点から、投資事業に充当する県債の発行についての基本的な考え方について、県民に分かりやすい答弁を求めます。

 

2.部局横断的な視点に立った予算編成について

昨今、福祉予算が増え続ける傾向にあります。将来的にも、大きな重要な問題だと思っています。私は、これらは財政全般的な広い視野から捉え、将来的な展望を含めた検証が必要だと思っています。

分かりやすい例として生活保護について考えてみましょう。一昔前は、苦しい生活をしている人達が「お上のお世話にだけは、なりたくない」と言って、歯を食いしばって頑張る人がいたように思います。しかし、最近では、これは権利だからとか、もらわなければ損だというような考え方で、中には申請を偽ったり、ごまかしてまでして受給している人もいるように聞きます。

一方、ニューヨークのホームレスについてのテレビ放映がありました。タイムズスクウェアーでは、市当局が、ホームレスの為に空きホテルを買収したそうです。ニューヨークでは住所不定では、なかなか仕事に着くことが難しいのですが、このホテルを拠点にして、かつてのホームレスが働き始めたそうです。入居した330人のうち325人が就労、現在、収入の3分の1を家賃として納めるようになったそうです。

これまで、その日暮らしの生活をしていた人達が、家賃や税金を納め、自信を取り戻し、明日の事を考え、生きる展望を見つけた人がいると聞きます。

その結果、窃盗は80%、殺人が100%減ったそうです。もちろん、ホームレス対策だけの結果ではありません。「割れ窓理論」など、市の福祉に対する基本的な姿勢、考え方で、ニューヨークは大きく変身したと思われます。

かつて犯罪の坩堝で、犯罪と警察官の増員の“イタチごっこ”だったニューヨークが、今や世界の主要都市の中で一番安全な都市になったそうです。実際、落書きだらけで救急車が絶えず行き交い、すさんでいた1980年代のニューヨークと、今とでは大違いである様子を、私は、しっかりこの目で確かめて来ました。

もちろん、ホテル買収の収支の面からだけで見れば、赤字だと思います。しかし、犯罪が減り、警察官の増員が止まり、観光客が増え、街が安全できれいなったことは、費用対効果は十分あった事業であると言えます。

そして、何よりも自立につながる活きた福祉予算の執行であると痛感しました。もちろん、どうしても必要で削ってはならない福祉予算は、あると思います。しかし、自立に繋がる福祉予算になっているかどうかの検証が必要な部分もあるように思われます。

福祉事業を例にとりましたが、事業の効果は限定的なものでなく、相乗効果が期待できるものも多いと思います。健康増進やスポーツ振興は医療費削減の効果が、農林業振興は中山間地域の災害防止や過疎化対策の効果が期待されると思います。

そこで、財政全般的な視野から将来的な展望を持った事業効果の検証が必要だと思います。各部局からの予算要望は、縦割りで出て来ますが、財政当局は、費用対効果を考慮し、波及効果・2次効果も含めた幅広い視点、つまり部局横断的な観点や長期的な視点も考慮した予算編成が大事な視点になると思いますが、当局の考え方をお尋ねします。

 

3 財政健全化への道筋の基本的な考え方について

次に、具体的な予算に対する質問をします。国が掲げた公共投資の補正に引き続き、本格的な兵庫の景気回復に繋げるためにも、当初予算へ連続性を持つ必要があります。回復基調で県税が、前年度を373億円上回ることが予想出来ますが、収支はなお、572億円の不足が生じると聞きます。

景気回復基調を支えるのは、個人消費と公共支出と思われます。円安で原材料やエネルギー等の輸入価格の高騰、また消費税率の引き上げで個人消費の意欲は極めて厳しい状況が広がってきていると思われます。このような状況を乗り越えるためにも、適切な公共事業の推進で、労務単価の引き上げや賃金引き上げに結びつける必要があります。また、地元企業が受注できるような配慮も必要です。

更に、一時的な景気浮揚・経済波及に限られる公共事業依存を脱却し、持続的な社会保障充実財源の確保が必要だと思われます。また、緊急防災・減災事業債等を活用した県有施設の耐震化等で「元気なひょうご」を目指していく必要性も理解できます。

そこで、厳しい財政状況の下、優先順位を明確にして、増大する社会保障ニーズ等、多様な行政ニーズへの対応と財政健全化の両立についての基本的な考え方と行革目標達成に向けた決意について、今一度お尋ねします。

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