三戸政和議員が一般質問を実施

第312回定例会(2月)一般質問
2012年2月27日(月)

1 PFIについて

・公的施設が建設される際に、注目を浴びるのは、その建設コストなどの初期費用である。
・しかし、実際には、建設された後の運用コストが、その約4倍(鹿島建設HP)かかるという事は、余り議論されていない。
・施設の導入から運用、撤去までのトータルのコストを「ライフサイクルコスト」というが、施設の導入にはこれを計算する必要がある。
・兵庫県では、PFI導入に消極的である事もあり、自身が有する施設について、このライフサイクルコストを計算していないとのこと。
・施設導入の検討に際しても、絶対的に必要なものであり、PFI導入を進める為の必須項目であることから、早急に算出の検討をお願いしたいと考えている。
・大雑把であるが4倍という前提条件のもと、自分で概算を行なってみると、初期コストが410,519,666千円である事から、運営コストはざっくり1,642,078,664千円という規模になる。
・兵庫県の財政状態は依然厳しく、経済環境も悪化の一途。
・少子化などの人口減少社会において、税収入の長期的逓減、インフラ施設、公的施設の利用者減少。
・インフラ施設の今後の老朽化、大幅な改築更新などの財政需要の増加。
・結果として公共のスリム化が余儀なくされる時代への突入。
 →公共のみのマンパワーではなく、民間の知恵と金と取りいれた公共運営が必要。
・公的施設のコスト削減のみならず、より住民にとって良い運営が必要となる。
・このためには、行政施設と捉えるのではなく、住民施設であるとの発想の転換が必要。
・この住民目線に立ち、民間の力を取り入れることで、よりよいサービスを抜本的に。
・これが、行政に勤める方々へのローモデルになるのではないか。
 →機動的に動ける民間に勝ちパターンを模索してもらう手法としてPFIの推進を提言したい。
・内閣府によれば、全国の250事業で、事業規模3兆369億円、その約23%である6,875億円のVFMが実現されている。
・豪州のメルボルン大学などの分析によれば、平均で約11%のVFMが実現されている(地方自治11年9月)。
・兵庫県のPFI事業に該当する事業(体育/文化交流/社会福祉/病院/公園施設)規模1,043億円に、10%を掛けただけでも、年間104億円のVFMが実現する計算である。
・公的機関が行なってきた事業を民間に開放する事で、事業機会が創出され、経済効果も期待できる。
 →財政難の折、年間104億円の県民の税金が削減されるポテンシャルがあるPFIは、非常に魅力的である。
・今回の改正にて、運営権を登録することで第三者への対抗要件を具備することになり、譲渡や抵当権の設定が可能となり、資金調達が容易となった(コンセッション方式)。
・関空と伊丹の合併に際し、この既存の施設にコンセッション方式を取り入れ、民間のカネとチエを取り込み、1,3兆円と言われる負債の返済の道を切り拓いた。
・ちなみに、1,3兆円の負債に対する利息は、兵庫県の10年公募債の直近発行利率0.952%で計算すると1年間で123億76百万円となり、これだけでもとんでもないPFI導入効果である。
・民間に運営権を委譲しても、事業終了時や、緊急事態時にも、公的主体が対応できる仕組みとなっている。
・既存施設においては、運営権の現在価値を導き出し、その費用を徴収できることも出来る。
 →これまで使いにくいとされていたPFI法の使い勝手が良くなった。
・PFI法を利用することで、運営コストを民間に移転できる可能性がある。
・コンセッション方式を取れば、既存の施設にかかる負債を返済(負債早期償還)し、運営権の売却益(財政捻出)も施設によっては可能となる。
・民間にPFIを検討してもらう事で、適切な時価評価が出来ない県保有の資産の時価評価が可能となる。
・セキュリティレベルが一番高いであろう防衛省でも、施設へのPFI導入に関する推進チームを立ち上げて精査を行なっている。
・新潟県では、新築/既築問わず、公共施設等の整備を検討する場合には、建設から運営までを見通し、大規模施設の整備に当たっては、必ずPFIの導入を選択肢として検討し、運営方式を決定している。
・宮城県でも、「宮城県PFI導入調整会議」を設置し、事業実施の優先順位が高く、一定の基準に該当する事業を精査し、事業担当課における検討結果の検証を受け、適当なものには、全庁的に推進している。
・1.初期建設費用が10億円以上の事業、2.単年度の維持管理・運営費用が1億円以上の事業、3.民間を活用することによりサービスの著しい向上が見込める場合や事業収入が発生する事業などを対象としている。
・検討の副次的効果として、県保有の資産が市場にて、どれほどの価値で見られ、どれほどのコスト削減が図られるのかを計算する事は、県民目線の県政運営であると考える。
・時限的PTを作り、県保有施設の洗い出すためにPTを作り、事業毎のPFIが導入できるかの検討調書の作成、どの程度のコスト削減が可能か分かるVFM調査を行うべき。
・また、今回のPFI法の改正は、民間から公的施設の管理に手を上げられるようになった。
・民間発案のPFIに機敏に対応する為に、専用窓口を創設する事が、積極的な運用にもつながるため併せて検討して頂きたい。

2 総合評価落札方式について

・地方自治法234条1項では、地方公共団体が売買、貸借、請負その他の契約をする際には①一般競争入札②指名競争入札③随意契約④せり売りのいずれかで締結すると定められている。
・一般競争入札以外は「政令で定める場合に該当するときに限り」とあるので、一般が原則。
・近年、この一般競争入札の適用範囲が拡大されてきたが、公共事業の価格競争が激しく、ダンピングを助長する等の問題点が指摘されていた。
・工事の品質確保という観点から総合評価落札方式が99年に導入され、価格面だけではなく、技術面も考慮した入札方式。
・価格と技術という多項目での評価であり、談合にもなりにくい方式とも言われている。
・定量的な価格だけではなく、定性的な技術評価があることから、そこには恣意性が介入する余地がある(裁量行政)。
・定性的な評価が存在する事で、評価チーム毎にバラつきがでる可能性があり、地域間での社会資本の品質の公平性を阻害する可能性も否定できない
・技術点の配分を大きくすれば、よりコスト削減努力を行わない結果を生み、落札金額の全体的な上昇が危惧される。
・その技術評価が、直接、工事品質に関係しているのかの検証を常に行わなければ、品質向上のための方式がかけ離れた方向に向かいかねない。
・発注者である行政サイドの事務的負担も大きく、岡崎市の例では、総合評価方式にすることで、事務時間が73時間/1件となり、価格競争時代の5.6倍の時間となったデータもある。
・多少落札金額を上げても、つまりは、税金の投入金額を上げても、社会資本の品質を向上させることが出来れば良いというのが、この制度の導入が進んでいる理由だが。
・落札金額と事業者の工事成績には相関関係がないというデータもあり、投入金額とその成果物の評価には関連性がなく、落札金額を上げれば、品質が上がるものでもないということである。
・税金の有効活用がされているのかが、やや疑問となってくる。
・どのような制度でも、メリット、デメリットは存在するものであり、ベターな制度を採用しながら運用面で対応していく必要があると考える。
・総合評価落札方式で一般に指摘されている問題点について、主に運用面として解決する施策を伺いたい。

3 水源地買収に関する管理/規制について

・世界のトップが集まるダボス会議、世界経済フォーラム年次総会では、水資源不足問題もテーマの目玉の一つとされている。
・水問題の解決は地球温暖化問題よりも格段に複雑であるという共通認識のもと『新鮮な水を飲むのは基本的人権の一つである』というメッセージが2008年に発せられた。
・水メジャーであるフランスのヴェオリアやスエズは、民間企業として水を経済財ととらえ、利潤獲得の対象としている。
・日本では、水は無限の資源として捉えられているかもしれないが、有限の貴重な資源として捉えるのが世界基準である。
・世界的には、地球環境の悪化、人口の急増によって、水不足が叫ばれている。
・また、WHO(世界保健機関)によると、世界中で安全な水を飲めない人の数は11億人以上(世界人口の約6分の1)というデータもある。
・外資による水源地の買収が、各地で続いていると言われ、各自治体もそれを把握できていない状況にある。
・行政としては、誰でも安全な水へのアクセスを保障する「セーフティーネット」を用意する必要がある。
・そのような中、「土地所有権」には、「その土地において地下水を利用する権利」が含まれていることから、これを制限する法令がない場合には、土地所有者は自由に地下水を利用することができる。
・民法上では確かに、地下水は土地所有者の財産だが、同時に地域住民の共通の財産であり、「地下水は公水」であり、公有地以外でも自治体に地下水の保全、管理の責務が発生すると考える。
・こういった法整備の不十分さを受け、国では水循環基本法案が、本国会にて議員立法として提出される動きにあり、地下水の利用の規制に関する緊急措置法案が審議中にある。
・また、自治体では、北海道ニセコ町では、同趣旨の条例が制定され、府県単位でも、埼玉県、北海道では、全国初の同趣旨に沿った条例が議会に提出され、条例制定の動きがある。
・大きな水資源を抱える兵庫県としても、早急な対応が必要と考える
・第310回定例会にて、石原議員から水源地規制の質問があり、政策監が答弁した。
・「森林法が改正で、1ヘクタール未満の土地の取得についても、市町への届け出が義務づけられることとなりましたので、今後は、外資参入の実態を明らかにし、適切な対応を行うことが可能」。
・これは土地の購入売買があった後の、事後届出であり、外資の参入を何ら規制出来るようなものではなく実態を把握できるだけのものである。
・まずは、現状把握として埼玉県などのように、兵庫県独自にて、外資による水源地域の山林買収について緊急調査をすべきだと考える。
・また、北海道や埼玉県のように、水源地買収を事前に認識するための事前届出制度や、ニセコ町のような地下水取水規制の条例を早期に制定する必要がある。

4 震災ガレキの受け入れについて

・被災地では、処理しきれないガレキが山積みとなり、復興の妨げとなっており、広域処理の必要に迫られている。
・沢山のガレキ仮置き場で火災が発生しており、学校が仮置き場になっていたりする。
・仮置き場も一杯の状態ゆえに、半壊などの建物の解体すら出来ない状況にもあり、復興が前に進まないなど、深刻な問題となっている。
・広域処理が遅々として進まない状況で、今月7日に、復興のカウンターパートナーである宮城県議会から我が県に、ガレキ受け入れについて直接の要望が届いた。
・先日の国の発表では、計2252万8000トンのがれきのうち、埋め立てや再利用などの最終処分を終えた量は、2月20日時点で計117万6000トンと全体の5%。
・環境省は岩手、宮城両県の木材がれき400万トンを被災地外で広域処理を行うことを想定しているが、現在は東京都や山形県が受け入れているだけ。
・環境省に依れば、宮城県では1,569万トンの災害廃棄物があり、災害廃棄物のみを処理したとしても約19年かかり、岩手県では、475万トンがあり、処理能力の約11年分、通常の廃棄物を処理するスピードで焼却をすれば、約50年かかる計算となる。
・これを受け、お隣の大阪府は、自ら検討委員会(災害廃棄物の処理方針に係る検討会議)を開き受け入れの決定を行なった。
・兵庫県は、ガレキ処理の方針について、大きく二つの見解を出している
・ひとつには、広域処理の必要量の把握の前提となる災害廃棄物の種類別発生量、域内処理可能量、コンクリートがらなどのリサイクル可能量などが明らかにされておらず、処理の全体方針が明確にされていない。
・ふたつには、原子炉等規制法で、原子力発電所内の工事で発生したコンクリートがら等でそのまま再利用できるとしたクリアランスレベルは1kgあたり放射能セシウム100bq。
・一方、国のガイドラインで安全に埋め立て可能とされてる目安としては、8,000bq以下という値で整合性がない。
・国の曖昧な基準では、住民に一環とした説明ができないので、明確な指針を出すように要望している。
・また、井戸知事は、関西広域連合長であることから、同連合でも、同様の見解となっている。
・一見もっともらしい回答になっているが、私には、国に責任を押し付けて、何もしないとしか聞こえない。
・私は、実際に受け入れを行なっている東京都の担当者にも話を聞いた。
・ひとつは、岩手県などは既に選別作業(計算)を行っている。
・被災地としては、逆に受入側から、受け入れ可能量を明示してもらわないと、当てのない作業をする余裕など無く、選別など出来ないという意見もあった。
・つまり、我々が、やれるところからやる気になれば、簡単に前に進むというのが、現状である。
・ふたつは、原子力発電の施設内のクリアランスレベルと、埋め立て可能目安という全く違う基準を、強引に同じ目線で比較し、数値がかけ離れていると指摘しているに過ぎない。
・クリアランスレベルの定義は、ある物質に含まれる微量の放射性物質に起因する線量が、自然界の放射線レベルに比較しても十分小さく、人の健康への影響が無視できるものであるならば、その物質を放射性物質として扱う必要がないものとして、放射線防護に係る規制の枠組みから外すという考え方(文科省)。
・実際に、日本原子力発電株式会社東海発電所において、約400トンの金属のクリアランスの確認が行われ、その一部がベンチ等として再利用されている。
・独立行政法人日本原子力研究開発機構においても、約377トンのコンクリートのクリアランスが、路盤材等として再利用されようとしている(文科省)。
・つまり、クリアランスレベルとは何に使われているものかと言えば、原子力施設の中にあるものを別の場所で再利用(流通)するために持ち出す際に要求されるハードルの高い基準である100bqとなっている。
・一方の埋め立て可能目安とは、人目に触れる事もない、完全に遮蔽された状態となる埋め立て処分場にて許容される数値出る事から、少し緩やかな基準として8,000bqになっているのだ。
・当局が示した考え方は、apple to appleの比較ではなく、違う土俵の数値を引っ張り出してきて、基準が曖昧であると言っており、まやかしに過ぎない。
・また、岩手県等のガレキは、放射線が出ていないのが殆どである。
・私は、当初、東京都のガレキ受け入れは、知事のパフォーマンスかと思っていたが、担当者のお話を伺っていると、「被災地の行政の方々のガレキに対する悩みを聞いていると、絶対にやり遂げなくてはいけないと思い、関係各所を必死で説得した」、「ガレキの受け入れは、各自治体が一挙に手を下ろした経緯もあり、被災地の行政サイドに電話を掛けると、受け入れ不許可の電話だとビクビクしていた」、「実際に被災地に行けば、ガレキの悲惨な状況を体感するし、断る事なんて出来ない」。
・受入表明から2ヶ月の間で、約4千件もの問い合わせ電話を受けた担当者が「被災地を見れば、断る事なんて出来ない」と言っている。
・この英断の結果、岩手県宮古市のガレキを処分し、最終埋め立ての際の焼却灰の放射線量は、133bq/kgと、食品安全基準の500bqを下回る低い数値だった。
・同じ大震災を経験した兵庫県として、また、その際に、ガレキの受け入れをしてもらった恩返しとしても、兵庫県として、ガレキの受け入れを行なうべきだと考えるが、知事から直接のお考えをお伺いしたい。
・また、国を信じる事が出来ないのであれば、大阪府のように受け入れを行なう為の独自の検討委員会を、早急に立ち上げるべきだと考えるが、併せてお伺いしたい。
・出来ない理由は、簡単に作る事が出来るし、それは、目の前に困っている人がいるのに、それを助けない理由を考えているように映る。
・目の前で困っている人達が大勢いる状況で、どうすれば手を貸す事が出来るのかといった前向きな検討をお願いしたい。

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