永富正彦議員が代表質問を実施

第312回定例会(2月)代表質問
2012年2月23日(木)

加古郡選出の永富正彦です。
民主党・県民連合議員団を代表して質問を致します。
よろしくお願い致します。

1 県政運営を担う知事の役割、義務と責任について

質問の第1は「県政運営を担う知事の役割、義務と責任」についてであります。
昨年11月に行われた大阪府知事及び大阪市長を選ぶダブル選挙において、「大阪維新の会」の松井、橋下両氏が当選しました。そして橋下氏が中心となって提唱する「大阪都構想」の訴えが、大きな話題を呼んでいます。
この「大阪都構想」は、従来の府市の関係見直しを通じて大阪の広域行政を一本化し、世界の都市間競争に打ち勝つONE大阪を構築するとともに、国から権限や財源の移行を受け自立していくことを目指すものであり、民主党や自民党もワーキングチーム等を設置し検討を開始するなど、国レベルでの議論も始まっています。
更に、新聞報道等によれば、この大阪都構想について、橋下市長は、決定すべき責任を負う民主主義を掲げ、最終的には国政に打って出て、道州制の導入により国全体の統治機構を変えることを目指す内容が、「大阪維新の会」が次期衆院選の公約とする「維新八策」に盛り込まれています。
こうした橋下市長の言動に対しては、賛同の声が上がる一方で、「都構想がまだ何も実行に移っていない中で国政に言及し、具体性に欠けたまま道州制を持ち出すことは理解できない」といった批判の声も聞かれます。
野田首相も、次々と新しいものを打ち出す橋下市長の政治手法について、「劇場型になっている。国民、府民が見ているだけでは民主主義は成熟しない。府民が一人のスターを仰ぎ見ているだけでは良くない」とコメントしています。
そもそも民主主義を成熟させるのは住民自身の責任であり、自らの代表たる首長や議員を選ぶにあたって、その時々の一時的なパフォーマンスやイメージのみに左右されるのではなく、一人一人の候補者の人となりや主張等をしっかりと分析し責任を持って票を投じるとともに、当選後の政治活動をしっかりと検証・評価していくべきことは言うまでもありません。
一方、首長や我々議員も、常に襟を正しておかねばなりません。誰のため、何のための立候補であったのか、自分はなぜ選ばれたのか、住民から何を期待され負託されているのか、自らが果たすべき役割、義務と責任について常に自問自答を重ねることが肝要であることはもとよりであります。
そして、あえて申し上げれば、不易流行という先人の教えがありますが、私は、単なる合理化、効率化だけの改革では、営々として積み重ねてきた日本人としての精神文化やふるさとの国柄までも失いかねないと危惧しています。
本年の新年の挨拶の中で、知事は、今年は「責任」というキーワードを重視する年にしたいと抱負を述べられました。
少子高齢化や人口減少の進行、先行きの見えない社会経済情勢が続く中、地方自治体を取り巻く環境には非常に厳しいものがあります。また、今後の地方分権時代において自立した行政運営を行っていく上で、地方自治体として対応、解決していくべき課題は、これまで以上に山積しています。
このような中、常日頃から、まさに多事多難な行政運営に真摯に、しかも堅実に取り組まれている井戸知事には深く敬意を表するところではありますが、時代はまさに大きな変革期・転換期を迎えております。その意味で、改めて本県県政を預かる知事として、大局を踏まえたあるべき県政の方向を示し、自らが担われるべき役割、義務と責任についてどのように認識されているのか、また、どのような思いを込めて、今後の県政運営に立ち向かって行かれるのか、知事の覚悟の程をお聞かせください。

2 家族の絆、地域のつながりの再構築について

質問の第2は「家族の絆、地域のつながりの再構築」についてであります。
近年の少子高齢化や人口減少の進行等により、社会全体の活力が低下する傾向にあります。一昨年の国勢調査では、阪神・淡路大震災直後の1995年を除き半世紀以上も増え続けてきた本県の人口が初めて減少に転じたことが判明しました。また、本県における合計特殊出生率も1.41と、前回調査時よりも持ち直したものの、依然として人口増加と減少の分岐点と言われる2.08を大きく割り込んでいます。
総務省の推計によれば、わが国の人口は2008年を境に減少傾向にあり、また、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によれば、2000年の1億2700万人から2050年には9700万人にまで落ち込むとされていますが、大きな戦争も疫病もない状態での人口減少は、わが国にとって初めての経験です。
このような社会の大きな変化の中で、希望ある未来を切り拓いて行くためには、個々人の力を高めることはもちろん、家族の絆や地域のつながりを重視し、これからの時代にふさわしい「新しい豊かさ」を創造していく必要があるのではないでしょうか。
昨年1年間の世相を示す漢字は「絆」でした。東日本大震災をはじめ国内外で大きな自然災害が相次ぎ人と人とのつながりの大切さが再認識されました。
そして、昨年の12月定例議会で議決された「21世紀兵庫長期ビジョン・全県ビジョン」が示す、本県が目指す12の将来像のまず初めに、“人と人のつながりで自立と安心を育む”が挙がっていることを見ても、本県県政においても家族の絆や地域のつながりの再構築は最重要課題であります。
いざという時に備え、建物の耐震強度を高めるには縦横の柱や梁に加え、必ず斜めの筋かいを入れて補強します。人と人とのつながりにも同様のことが言えるのではないでしょうか。家族の縦の絆、友人や知人との横のつながりに加え、地域全体での世代を超えた斜めのつながりが強い社会ほど、人々は安全・安心で希望を持って生きていけるものと考えます。
県では、これまでから、家庭応援県民運動や県民交流広場事業の展開など様々な関連施策に取り組んでおられますが、家族の絆や地域のつながりの充実・強化を県政運営における大きな柱のひとつとして、これらの取組をより一層拡充し、総合的に取り組んでいくべきだと考えます。
そこで、これまでの取組の成果をどのように評価し、今後、家族の絆や地域のつながりの更なる充実・強化へ向け、どのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺い致します。

3 電力供給確保対策について

質問の第3は「電力供給確保対策」についてであります。
昨年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所における重大事故により、それまで唱えられてきた「原発は絶対に安全」という神話はもろくも崩れ去りました。
この事故の教訓を踏まえ、EU各国は、共通に定めた項目を使って原子炉の安全性を調査・再確認し、その結果を公開するいわゆるストレステストを既存のすべての原発に義務付け、国際原子力機関(IAEA)も、このストレステストを原発を持つすべての国に導入すべきとの提言を採択しました。
わが国においても、定期検査中で起動準備が整った原発に1次評価を実施し再稼働の是非を判断する、次いで再稼働後も含め運転中の全原発に2次評価を実施し原発の継続や中止を判断するという二段構えのストレステストが導入され、現在、事業者及び国において1次評価の手続が進められているところです。
ただ、その導入は全国の原発の再稼働における大きなハードルとなっており、昨年夏以降の国内における電力不足は大きな問題です。特に四国・九州と並び総発電量に占める原発依存度が高い関西電力管内における状況は深刻であり、今月21日には、管内で唯一稼働していた高浜3号原発も停止され、その状況は更に悪化しています。
このような深刻な電力不足は、国民の意識にも大きな変化を与えています。昨年10月に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」では、東日本大震災後に強く意識するようになったこととして、「節電に努める」が59.0%と最多の回答となりました。現実に、昨年夏の節電要請期間中に電力使用率が90%を超えたのは、東京電力管内でわずか1日、関西電力管内でも5日間のみであったのは、積極的に節電に取り組まれた成果だと思われます。
現在も冬の節電要請期間中であり、お一人お一人がご家庭や職場で積極的な節電に取り組まれていることと思いますが、このような「困った時にはお互い様」という他者への思いやりや、いざという時に助け合い譲り合う精神は、世界に誇ることのできる日本人の美徳であると考えます。
しかしながら、根本的な問題解決を図ることなく、いつまでもこのような人々の善意に頼っていることはできません。原発の再稼働時期が見通せない中、今年の夏には、関西電力管内では25%もの需給ギャップが生じると言われており、もはや節電要請のみでは限界があることは明らかです。県民の安全・安心なくらしを確保すべき県として、早急に関西電力とも協議し、抜本的な解決策を見出し、その内容を広く公表し県民の不安を解消していく必要があると考えます。
そこで、昨夏以降の状況等を踏まえ、県として、今後、電力供給の確保へ向け、どのような対策に取り組んで行くのか、当局のご所見をお伺いします。

4 受動喫煙の防止等に関する条例の実効性の担保について

質問の第4は「受動喫煙の防止等に関する条例の実効性の担保」についてであります。
先月末に厚生労働省が公表した「平成22年国民健康・栄養調査」の結果概要によると、喫煙習慣を持つ人の割合は19.5%と、1986年の調査開始以来、最低となりました。一方、喫煙習慣を持つ人のうち禁煙したいと思う人の割合は37.6%と、過去最高を記録しました。
喫煙者を取り巻く環境を見ても、平成15年に施行された健康増進法では、多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙を防止する努力義務が課され、また世界的にも、平成17年にたばこ規制枠組条約が発効するなど、日に日に厳しい状況となっております。
このような中、本県においても、一昨年6月、実効性ある受動喫煙防止対策を検討する委員会が設置され、1年余りをかけて検討を重ねた結果、昨年6月に「受動喫煙防止対策に係る条例を制定すべき」との主旨で、具体的な条例内容にまで踏み込んだ報告書がとりまとめられました。
その後、関係団体等との調整やパブリック・コメントの実施、議会との協議等を経て、今定例会に条例案が上程されております。同条例案の検討過程においては様々な紆余曲折がありましたが、当局の真摯な努力により、この度の議案上程に至ったことに対しては、まずもって敬意を表します。
仮に同条例案が可決されれば、神奈川県に次いで、全国で2番目の条例制定県となる訳ですが、言うまでもなく、単に条例を制定するだけでは意味がありません。真に重要なのは、条例を制定することではなく、制定した後に同条例についての県民理解を十分に深め、如何にしてその実効性を担保していくかということであります。
喫煙を巡る問題については、ともすれば「好き嫌い」といった個人的な嗜好のみにより感情的な議論や判断がなされる傾向が強いように思います。
非喫煙者からすれば、煙草は百害あって一利なしと考え、法令での規制に諸手を挙げて賛成する方もおられるでしょう。一方で、喫煙者からすれば、煙草は個人的な嗜好品であり、自らの喫煙行動が他人に迷惑をかけないよう注意することは常識的なマナーの問題だと考え、法令により何らかの制約を受けることに異論を持つ方も多くあります。
また、法令による規制は、飲食店や理美容店などをはじめ、提供するサービスと喫煙との関係が密接な営業形態にある事業主等にも大きな影響を与える恐れがあり、こうした方々の中にも様々な意見があることでしょう。
同条例の施行にあたっては、このような様々な意見があることを十分に踏まえ、同条例の目的は「禁煙」ではなく「受動喫煙の防止」にあることをしっかりと周知し県民理解を得ることに努めるとともに、行き過ぎた規制とならないよう、適切な配慮を行うべきです。また、施行に伴い分煙措置を講じることとなる施設管理者等への適切な支援策を、積極的に検討・実施することも重要だと考えます。
そこで、同条例の施行日について、行政機関等は公布日から1年後、民間施設については2年後とし、それまでの間は準備期間とされていますが、この間に県として同条例の実効性を担保するため、成果の検証を含め、具体的にどのような取組を進めていくのか、当局のご所見をお伺いします。

5 「関西イノベーション国際戦略総合特区」を活用した本県経済・雇用の活性化について

質問の第5は「戦略的な経済・雇用活性化の推進」についてであります。
海外経済の減速や長引く円高の影響などから、わが国の経済雇用情勢は横ばいの足踏み状態が続いております。
先月17日に内閣府が発表した「月例経済報告」によれば、景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直しているとされている反面、雇用情勢は依然として厳しい状況にあるとされており、県民の方々からすれば、景気が持ち直しつつあるとの実感はなかなか湧いて来ないというのが正直なところではないでしょうか。また、欧州における政府債務問題がわが国に与える影響も不透明な状況にあり、わが国経済は未だ予断を許さない状況であることには変わりありません。
県内に目を転じても、パナソニックがプラズマテレビ用パネルの尼崎第1、第3工場の生産を今年度内に休止するほか、5月には富士通テン神戸工場が閉鎖、8月にはアサヒビール西宮工場が操業停止を予定するなど、生産拠点の閉鎖や休止等が相次いでおり、本県の経済・雇用情勢に大きな影響が生じることとなります。
このような暗い話題が続く中、昨年末に、本県を含む関西の3府県3政令市が国に申請していた「関西イノベーション国際戦略総合特区」の地域指定が決まったとの明るいニュースがありました。オール関西で、実用化・市場づくりをめざしたイノベーション、つまり技術革新を次々に創出する仕組み「イノベーション・プラットフォーム」を構築し、事業化、産業化を推し進め、産業の国際競争力を高め、我が国の成長実現を目指すものであり、今後、着実に成果を上げていくことが期待されます。
そもそも、本県には、京速コンピュータ「京」、SPring-8やX線自由電子レーザー施設SACLAをはじめとする多彩な科学技術基盤が集積しています。
加えて、本県は、製品出荷額の全国シェアにおいて大阪と並び全国で5本の指に入る工業県であり、大手製造業のほか高い全国シェアを誇る元気な中小企業や多彩な地場産業も数多く存在するなど、ものづくり産業を中心とする分厚い産業基盤を有しています。
このような本県が有する数多くのポテンシャルを有効に活用し、相互に関連づけ融合・発展させることにより、兵庫発、関西発の新たなイノベーションを起こし、本県経済・雇用の活性化につながる新しい価値を創造していく取組が重要だと考えます。
そこで、県として、今後、本県経済・雇用の活性化へ向け、「関西国際イノベーション国際戦略総合特区」をどのように活用していくのか、当局のご所見をお伺いします。

6 農林水産ビジョン2020について

質問の第6は「農林水産ビジョン2020」についてであります。
国内の農業・漁業をはじめ、あらゆる産業に対して大きな影響を及ぼすことから、一昨年の10月以降、政府与党において、国内の様々な意見を踏まえて慎重に検討が進められてきた環太平洋経済連携協定、いわゆるTPP協定に係る交渉参加の問題については、野田首相が、昨年11月の記者会見において参加に向けて関係国との協議に入る旨の発表を行い、ようやく政府としての方向性が固まりました。
現在、既に交渉に参加している9カ国との事前協議の手続が進められていますが、新聞報道によると既に6ヵ国の承認を受けており、わが国の交渉参加が正式に認められるのも時間の問題だと言えます。
近年、企業活動のグローバル化を背景とする資本のグローバル化や、世界における貿易・投資の拡大を背景とする経済のグローバル化が急速に進展しています。経済活動の競争条件の共通化を目指すTPP協定も、このような世界的な潮流の中で生じてきたグローバル化の動きのひとつであり、わが国の交渉への参加・不参加に関わらず、そのうねりを止めることは最早困難であります。そうであるならば、TPP協定が将来的にアジア・太平洋地域における国際取引のルール基盤となる可能性もあることを踏まえ、早期に交渉に参加し、わが国の基本的スタンスを国内外に明確に示しておくことが、より望ましい選択ではないでしょうか。
しかしながら、TPP協定はあくまで外交交渉ですから、交渉参加にあたって、農業をはじめ国内産業を如何に再生していくかのビジョンと、その実現へ向けどのような交渉上の戦略・戦術を選択し実行していくかの慎重かつ綿密な検討は必須条件であり、国による真摯な取組が望まれます。
ただ、このような検討は国だけの問題ではなく、TPP協定参加の可能性を見据えて、個々の地方自治体においてもしっかりと議論し、適時適切に必要な対策を推進し、国際競争に打ち勝てる力強い農林水産業を目指して行かねばなりません。
本県においても、今定例会に上程されている「農林水産ビジョン2020」の案作成の際の基礎的資料として活用するため、TPP協定等への参加が本県農林水産業に及ぼす影響等について調査を行い、本県の対応策のあり方等について検討する「包括的経済連携協定対策調査・検討事業」を実施されています。また、知事ご自身も、今年の新春メッセージで「TPP協定の議論を注視し、強い兵庫の「農」を育てます」とコメントされています。
そこで、TPP協定を巡る国の動きをはじめ、国際的なグローバル化が進む中、新たに策定される農林水産ビジョン2020において、競争に強い本県農林水産業の実現へ向け、どのように取り組むこととされているのか、当局のご所見をお伺いします。

7 総合的な治水対策の推進について

質問の第7は、「総合的な治水対策の推進」についてです。
平成21年の台風第9号、昨年の台風第12号及び第15号など、度重なる自然災害により、県内各地では河川溢水による家屋浸水等の大きな被害が発生しました。
県では、その都度、補正予算等を組み、河川災害復旧助成事業、河川災害復旧等関連緊急事業等の再度災害防止対策を積極的に進める一方で、河川改修事業や都市浸水対策にも取り組み、災害の未然防止に努めておられます。
そもそも、急峻な地形を有するわが国では、元来、降雨を速やかに河川から海に流すための下水道整備、洪水を防ぐための堤防設置などの河川整備を中心に治水対策が推進されて来ました。しかし、近年頻発するいわゆるゲリラ豪雨をはじめとする災害の発生傾向等を考えれば、こうした下水道・河川整備を主とした治水対策のみでは限界があるのは明らかであります。
『速やかに雨水を海に流し、治水安全度が高まった結果、流域における都市化が進み、それに伴い流出量が増えたことにより、更に河川への負担が増加し、新たな整備が必要となる。』といったことが繰り返されてきた一面もあります。そろそろ、「速やかに流す」から「ゆっくり流す」へと180度発想を転換すべきではないでしょうか。
その上で、下水道から河川、海へという1本の線での治水対策のみを考えるのではなく、例えば河川上流部で山間部の保水力を高めることや貯水施設を設けるといった、面で捉える「流域対策」や「減災対策」をうまく組み合わせて、一体的・総合的に対策を進める「総合治水」の推進が必要になってくると考えます。
本県でも、このような観点に立って、昨年末の河川審議会による答申を踏まえた「総合治水条例(案)」が今定例会に上程されており、同条例に基づいて、今後、実効性ある取組を積極的に進められることが期待されます。
加えて、自然災害による被害を防止する上では、ハード整備ももちろん重要ですが、東日本大震災の例からも施設は万能ではなく、これと併せて県民の防災意識の啓蒙・啓発といったソフト面での取組も非常に重要であり、県のみならず、市町や関係機関、県民とも一体となって総合的な治水対策に取り組む必要があります。
そこで、同条例に基づき、今後、県、市町や関係機関、県民がどのような役割分担の下でどのような連携を図り総合的な治水対策に取り組んで行かれるのか、当局のご所見をお伺いします。

8 魅力ある高等学校づくりの推進について

最後の質問は、「魅力ある高等学校づくりの推進」についてであります。
去る1月6日開催の定例教育委員会において、高等学校の新通学区域の基本方針が決定、公表されました。1964年以来、約50年ぶりの大幅な通学区域の見直しであり、方針決定に至るまで、検討委員会における検討、パブリック・コメント手続や地域説明会・意見交換会などを通じて、様々な意見が出されております。今後、こうした意見を十分に踏まえながら、引き続き、県民や地域の声に真摯に耳を傾け、更に丁寧な対応、工夫や改善に取り組んで行くことが望まれるところです。
さて、この度の通学区域の見直しの主目的は、「生徒にとって望ましい選択肢を確保するとともに、魅力ある高校づくりを更に推進・発展していく」ことにあります。
確かに、通学区域が広がれば、数の上では選択肢が増えると言えます。しかし、物理的な数を増やすことだけで「生徒にとって望ましい選択肢を確保」と言えるのでしょうか。
私は、「量」よりもむしろ重要なのは「質」の問題ではないかと考えます。すなわち、それぞれの地域や学区における個々の高等学校が、生徒自らが通いたいと感じられるものとなっているかどうかが重要であり、今後、それぞれの高等学校をいかに魅力あるものとしていくかが大きな課題だと考えています。
この点、偏に「魅力ある高等学校」と言っても、地域の小学生や中学生が「通いたい」と思うかどうか、在学生や卒業生が「在学していること、卒業したことを誇りに思う」と言えるかどうか、保護者や地域が「子供を通わせたい。卒業生を是非雇いたい。」と考えるかどうかなど、様々な捉え方があるでしょう。
このような多様な捉え方がある中、県としてしっかりと軸足、基本的スタンスを定めて、「魅力ある高等学校づくり」に取り組んで行く必要があるものと考えます。
また、大阪では、松井知事や橋下市長が政治判断により公立高校の学区撤廃の方針を固め、また、首長が教育目標を最終決定することや通学区域を越えて小中学校に通える「学校選択制」導入等が盛り込まれた教育基本条例原案を大阪市教育委員会が了承するなど、ドラスチックな制度改革が進みつつあります。
私自身は、学校教育における中立性や継続性を確保する観点からは、いくら選挙で選ばれた首長とは言え、特定の個人が教育行政の根本を左右する権限を独占してしまうような事態には、多様な価値観の存在を否定し少数意見を抹殺してしまう危険性を多分に孕んでおり、少なからず疑問と危機感を覚えます。
このような大阪での動きを他山の石として、この度の通学区域の見直し及び魅力ある高等学校づくりを進めるにあたっては、これまでの経緯や取組の成果をしっかりと分析・検証するとともに、より一層、県民や地域の声を十分に踏まえた取組を行って頂きたいと考えます。
そこで、魅力ある高等学校づくりについて、これまでの取組の成果をどのように評価し、今後、どこに重点を置いて取組を進めて行くのか、教育長のご所見をお伺いします。

大河ドラマ「平清盛」は、時代の閉塞感を打ち破る「挑戦」をテーマに、海のはるか向こう、海外にも目を向ける清盛の姿を描いています。
大海に目を向ける井戸知事の新たな挑戦に期待し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

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