小池 ひろのり議員が一般質問を実施

第324回 2014年9月定例会 一般質問原稿

 

質 問 日:2014年 9月30日(火)

質 問 者:小池 ひろのり 議員

質問方式:分割方式(1~3:一括、

4~5:一問一答)

 

今日は、私が県会議員3期12年間で質問した中で、まだ十分に実現できていないことで、地域・教育・福祉の問題を中心に5項目6問について分割方式で質問をさせてもらいます。

 

1.再犯抑制に向けた取り組みについて

再犯抑制に向けた取り組みについて、私は県議会で何度も取り上げてきました。今回は、特に安全・安心なまちづくりのために、再犯抑制に向けた施策を取り上げます。

これまで県では、再犯抑制の観点から、県発注の建設工事の入札時に、保護観察対象者を雇用した企業等に加点評価する制度を導入したり、再犯抑制に向け関係機関が連携した連絡会議を創設するなど、全国に先駆けた取り組みを進めて来られました。

しかし、依然、再犯率は高く再犯抑制で最大課題と思われる出所者の就労支援について、再度質問をしたいと思います。

これまで真面目に生きてきた一般の人でも、なかなか就職が厳しい現実があるのに、なぜ犯罪を起こした人を特別に有利な扱いをするのかと言う意見があります。しかし、平成24年の一般刑法犯検挙者数に占める再犯者の割合は、45.3%と非常に高い数値です。この現実を直視しなければ、安心・安全な街づくりは出来ません。犯罪者が刑期を終え、刑務所を出所し、「更生して頑張ろう!」と思っていても、現実に仕事や住む家もなく、生活苦から再犯していく場合が非常に多いという実態があります。そこで、出所後の就労支援や福祉支援が必要となって来ます。

さらに、貴重な税金の使い方と費用対効果の面から、犯人逮捕や更生に多額の税金が使われている現実を見れば、もっと犯罪予防に力を入れるべきだという事は明白です。一般的に、逮捕後の裁判や、更生のための刑務所の維持管理費などを含めると、犯罪者1人に平均約500万円以上もの税金が投入されていると聞きます。そのことを考えれば、予防で犯罪を食い止める方が遙かに効果があり、被害者も出さなくてすみます。そして、安全な街になります。

刑務所を満期出所する者は、身元引受人がおらず、帰る場所もない場合が多いと言われます。さらに最近では、身寄りがなく福祉的支援に繋がりにくい高齢者や知的障がい者が、再犯を繰り返す場合が非常に多いということも問題になっています。

現在、刑務所では受刑者の高齢化が進み、住居と福祉支援を強化した対策が必要となって来ています。県内には、このような出所者のために、当面の住居として3か所の更生保護施設があり、また、高齢と障害がある出所者のための福祉支援として、全額国庫負担により4年前に県は「地域生活定着支援センター」を設立しました。しかし、刑務所が多い兵庫県に対し、全県一律の国の予算配分では十分な対策が行き届いていないのが現状です。

さらに、働きたくても仕事や住居がない出所者の自立に向けた当面の支援策として、心のケア的支援や職業訓練等の就労支援を兼ね備えたケア付き共同住宅(ハーフウェイハウス)の創設が、今、一番求められていることです。

そこで、これまでの国・県・市町の縦割りの行政を乗り越え、関係機関が連携して住居の確保と福祉支援、そして就労支援をしていくことが重要であると考えますが、現在の取組状況と今後の取組方針について当局のお考えを伺います。

 

2.女性の社会進出支援について

日本の人口は、1億2,000万人をピークに、現在、減少に転じています。そして、2060年には、全人口の39.9%が65歳以上の高齢者になり、国民2.5人に1人が高齢者という時代が到来すると推計されています。この事は、高齢者の年金の問題や日本経済の発展、ひいては、私たち国民の生活に大きく関わってきます。そのために、日本のこれからの課題は、労働人口を確保する事にあり、長期的に見れば出生率の向上が有効な政策となります。合計特殊出生率は、2.07で人口を維持できると言われていますが、現状では、全国平均で1.43、本県で1.42と大変低い状況にあります。

フランスでは、「3人っ子政策」やシングルマザーを認め、育児手当など少子化対策を積極的に打ち出し、人口減少に歯止めをかけています。少子化と言う大きな課題には、日本としてもより一層積極的に対策を講じる必要があります。その為には、女性が安心して子供を産み育てられる環境づくりが必要です。

兵庫県では、9年前に少子局を設置して以降、少子対策の総合的な推進を図っていますが、とりわけ都市部においては、未だに保育所待機児童の問題も現存しており、働きたくても働けないという女性もいます。

私たちは、スイスに本部がある世界経済フォーラムを視察、現地調査をしたことがあります。そのフォーラムが毎年発表している世界各国の男女格差に関するレポートで、男女の格差を指数化した順位付けによれば、1位は5年連続アイスランドで、世界で最も男女が平等に近い国とされ、次いでフィンランド、ノルウェイ、スウェーデンと欧州勢が上位を独占しています。アジアではフィリピンが世界5位、中国が69位、インドが101位で、日本は136カ国中105位という低さです。

さらに、女性の社会参加率の高い国ほど、出生率が高く、男女平等社会を推進するほど、出生率が良くなるという結果が出ています。日本は、健康と教育の面では高い評価がある一方、社会経済の面では、女性の参画や管理職の割合が低く、男性の給料の71%と明らかな差別があると指摘されています。欧米各国の女性管理職比率が30~40%前後に比べると、日本は11.2%と極端に低い現状で、特に政治分野における女性の割合の低さが際立っているとの説明がありました。

このような実態を改善するためにも、兵庫県では、男女共同参画推進本部が立ち上げられており、男女共同参画を部署ごとの課題とせず、総合的かつ横断的に取り組んでおられます。そして、県自ら共同参画のモデル職場になるよう率先して取り組み、最近ではお膝下の県職員の女性管理職も徐々に増えて来ています。

しかし、この兵庫県議会に出席している県当局の幹部に、女性が圧倒的に少ない状況を見ても、まだまだ十分とは言えません。

産後の円滑な職場復帰、仕事と家庭の両立や子育て支援がなかなか進まないのも、県議会など、物事の決定の場に女性幹部が少ない事も一因ではないでしょうか。

既に、欧米では女性が職場で活躍できる環境を整えるのは常識化している現状を考慮すれば、民間をリードする立場の県が、率先して女性の社会進出を支援すべきだと考えます。

そこで、男女共同参画を基本とし、男女が共に生き生きと暮らせる社会を実現させるためにも、女性の社会進出を官民一体で支援する必要があると思われますが、県として今後どのように対応していかれるのかお伺いします。

 

3.三宮駅周辺の再開発推進について

私は、今年2月の県議会予算委員会で取り上げた三宮駅周辺の再開発推進について、再度質問をしたいと思います。

交通の拠点であり観光・ビジネスの中心地でもある三宮駅周辺を整備することは、神戸のみならず地域全体の活性化につながるため、県としてもこの再開発事業に積極的に関わっていくべきであると考えるからです。

現在、三宮駅周辺の再開発については、神戸市をはじめ市民代表や交通事業者、地元経済団体等で構成される検討委員会に県も参画して、神戸都心の将来ビジョンの策定が始まりました。あわせて、駅ビル再開発及び駅周辺整備については、国、県、市及び交通事業者等をメンバーとする三宮構想会議を設置して、より具体的な検討が行われています。ビジョンの策定や構想会議での検討に当たっては、地域住民の声や想いを反映していただき、“神戸らしさ”を発揮した知恵を絞った総合的な再開発で、元気な神戸を取り戻す起爆剤になることを期待しています。それ故、行政には、広域的な立場から企業間の事業を有機的に結びつけ、地域の発展に繋げていく役割があると考えます。

先般、平成28年に日本で開催が予定されているG8主要国首脳会議の神戸市への誘致を目指して、県、神戸市、関係団体などで構成される協議会が発足しました。国際会議の代表格とも言えるサミットの開催は、ブランドイメージの向上に加え、国内外からの投資や誘客の増加が見込まれるなど、大きな経済波及効果が期待出来ます。是非とも、世界に向けてアピールする絶好の機会と捉え、神戸での開催を実現させて頂きたいと思います。

1回限りの国際会議で終わらせることなく、国際都市として持続的な発展に繋げていくためにも、例えば、三宮再開発で集客力の向上と同時に、駅ビルの賑わいの客の流れを、三宮センター街、元町へ誘導し、回遊性向上を図り三宮駅周辺全体の発展につなげることが、大事なことではないでしょうか。また、三宮駅周辺は、JR・阪急・阪神・市営地下鉄・ポートライナー等の交通結節点で、鉄道だけで1日延べ約68万人の乗降客が利用しており、交通拠点の要となっています。それぞれの交通事業者に、兵庫県・神戸市が協調して加わり、例えば、新聞報道のあった阪急と地下鉄の相互乗り入れ等を含め、もっと交通機関の乗り換えや乗降の利便性を向上させる必要があると思っています。

さらに、路線バス・高速バス・空港バス・観光バス、あるいはタクシー等の乗降所を、使い勝手の良い分かりやすい総合交通バスセンターを併設した駅ビルにすべきです。また、三宮駅周辺再開発推進という総合的なグランドデザインに、県が積極的に参加して、国際観光都市・神戸の賑わいと発展に結び付け、元気な神戸から兵庫の発展に繋げていくべきだと考えます。

JR三宮駅ビル改築案が浮上しているこの機を的確に捉え、行政が主体的に三宮駅周辺の再開発に結びつけ、観光・ビジネスの中心で兵庫県の顔でもある三宮地域の発展に繋がることを大いに期待するものです。

そこで、県としての三宮駅周辺の再開発への取組状況と、今後どのような関わりをしていく計画を描いておられるのか所見をお伺いします。

 

【答 弁】

 

4.教師の多忙対策について

私は、長年高校・大学の教師をしてきましたが、今、学校現場を見ると、教師は疲れており、生徒は萎縮していると思えてなりません。

先日、OECDが発表した加盟する34カ国・地域の学校環境や教師の労働に関する調査結果によれば、日本の中学校教師の勤務時間は、平均週38.3時間に対し、54時間と極めて長く、さらに部活の指導に7.7時間、一般事務に5.5時間など、いずれも平均を大きく上回り、授業以外の仕事にも追われ、世界一多忙という実態が浮き彫りとなりました。

さらに、新聞報道によると、教師の“いわゆるサービス残業”は、月に95時間半に達し、ここ10年で14時間も増え、土日の出勤も増えているという記事がありました。また、うつ病など心の病で休職している教師は、全国で約5,000人もいると言われています。本来業務に集中できずに、心身ともに疲労困憊しているのが現状と言えます。指導する立場の教師が疲れ果てていては、学校が元気になるはずがありません。

国も、このような現状を把握しており、事務の効率化や学校に対する調査依頼の縮減や外部指導者の大幅増員で負担軽減を図りたいとしています。

私は、以前、アメリカの高校で授業をしたことがあります。1クラス20~30人位の生徒を相手に、日本より遙かに生徒との触れ合いが出来る授業が可能で、質疑で内容を深めることが出来たと記憶しています。当時、日本の高校は1クラス45人でした。現在、兵庫県では小学4年生まで35人学級が実現しましたが、教育効果を挙げているフィンランドの20人以下学級、しかも複数担任制とは比較になりません。

私は、当面の対策として、クラス崩壊しかけている学級に副担任として加配出来る教師を増やしたり、学校訪問者やモンスターペアレンツ等に対応するため、ゆとりの教師として1人配属する等、早急に対策を実現してもらいたいと思います。加えて兵庫県では、現在、小学4年生まで新学習システムを導入し、35人学級が実現しましたが、これも中学3年生まで延長し、目の行き届いたクラス運営で教育効果を更に上げてもらいたいと考えます。

また、クラブ顧問に責任を押し付け、丸1日の休日出勤で2,400円の手当という問題は、教師の使命感や熱意だけに余りにも頼り過ぎており、それに甘えているのが実態です。特に運動部の顧問は、休祝日さえ休みが取れない教師も多いという現状です。私は、これまでのクラブ活動は、青少年の健全育成で一定の役割を果たしたと評価しています。しかし、これからの児童数の減少に対応するためにも、是非、クラブ活動を学校教育から徐々に切り離し、社会教育として位置付け、教育関係者のOBや地域の民間企業を引退した有能な人材を指導者として活用すべきと考えます。

今、私が申し上げた対策には、予算が伴うもので、大変なことは分かっておりますが、日本は戦後の食べ物に不自由な時代でも、教育に力を入れて来たことを考慮すれば、出来ない事はないと考えます。

私は、発展著しいインドに調査に行ったことがあります。日本と比べれば遥かに貧しい国情であっても、教育には大変力を入れています。路上生活者や貧しい家庭の子供も、学校に行けば給食があり、英会話やIT等も学べます。将来この貧困から子供が脱出出来るかもしれないという期待もあり、親も応援しています。裸足でも、子供の目は輝いているように映ったのが、とても印象的で、教育の力とその重要性を痛感しました。

中国の管仲(管子)の「百年樹人」という言葉があります。1年で何かをするなら穀物を植え、10年なら木を植え、一生をかけるなら人を育てるのが良いという格言だと理解します。まさに「国家百年の計、教育に在り」だと思います。

10年前と比較して、35人学級が一部実現し、ほんの少しだけ前進しましたが、教師の残業時間は、逆に増えております。さらに生徒の質や問題の多様化や、基本的な家庭での躾の欠如や地域力の減退等から、今後も教師の仕事が益々増えていくと思われます。

そこで、教師の長時間労働と多忙過ぎる現状を緩和するために、県教育委員会はどのような対策を取られてきたのか、また今後、取られようとしているのかをお伺いします。

 

【答 弁】

 

5.がん対策の推進について

(1) がんの相談支援体制の充実について

今では、がんに2人に1人が罹患し、日本人の死亡原因の3人に1人ががんで、死因の第1位となっています。

そこで、国では、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策推進基本計画に基づいて、平成24年度から28年度までの5年間を対象として、放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実を図ると共に、がんと診断された時から緩和ケアに重点的に取り組むとしています。特に、がん治療に当たっては、これまで手術が中心でしたが、放射線治療や化学療法の技術が進歩してきており、がんの種類によっては手術をしないで同様な効果を得られるまでになって来ました。

私事になりますが、私自身は、これまで大きな病気に罹ったこともなく、健康には自信があり、トライアスロン世界選手権に日本選抜で出場するほどの元気者でした。そんな私が、2010年3月の人間ドッグの結果で、突如、がんであることを宣告されました。余りにも突然のがんの宣告、そしてすぐ手術をしなくてはと言う医師の言葉で、私の頭は真っ白の状態になり、恐怖の世界に滑り落ちて行きました。手術をしなければ、死に至るとまで言われ、私には選択の余地は無く、手術を受け入れることにしました。

私は、がんを精神的に乗り越えるのに3年半かかりました。そして、その経験から、がん患者にとって一番辛い事は、死に直面したことから来る恐怖心であることに気付きました。がんに対する治療や薬は随分と改善され、部位にもよりますが、最近では、必ずしも不治の病という事ではなくなりました。しかし、それでもなおがんは、恐いものです。

医療面では医者に任すとしても、精神面で専門家にゆっくり自分の気持ちを吐露し、相談できる体制が、がん対策には一番必要だと身を持って体験しました。専門家の助言を受けたい、或いは、専門家にただ話を聞いてもらうだけでも良いから、不安な気持ちを聞いてもらいたいと言うのが、本音です。

そこで、私の経験からも、がん患者にとって一番必要な事は、相談支援体制を拡充して頂くことだと思っていますが、県当局のご所見をお伺いします。

 

【答 弁】

 

(2) がん教育の推進について

現在、がんがこれほど大きな社会問題となっている現状で、私はがん教育を学校現場で取り上げる必要があると思っています。

エイズ問題も学校教育に取り入れ、成果が出ているように、がん教育を是非

学校教育に取り入れ、がんについての理解を子供の発達段階に応じて深め、主体的な健康づくりに取り組む力を育成することが、学校教育に求められていると考えます。

そこで、がん教育への取り組みについて教育委員会のご所見をお伺いします。

 

【答 弁】

 

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