永富 正彦議員が一般質問を実施

第324回 2014年9月定例会 一般質問原稿

 

質 問 日:2014年 10月1日(水)

質 問 者:永富 正彦 議員

質問方式:一括

 

民主党・県民連合の永富でございます。何とか無事でいてほしいという願いもかなわず幼い命が奪われた長田区の事件は、やりきれず胸が痛みます。ご冥福をお祈りし、2度と再びこのようなことがない事を願いながら、6項目7問について、質問いたします。

 

1 兵庫のゆたかさ研究会の設置について

政府は6月に閣議決定した、経済財政運営の指針「骨太方針」や新たな成長戦略にあたる日本再興戦略改訂版等において、企業の「稼ぐ力」を前面に大きく打ち出した経済政策を発表されました。我が国の豊かさはまさに経済力によるものであるため、経済成長には企業の「稼ぐ力」が必要であることは言うまでもありませんが、一方で、中産階級の不平等さを表すと言われるジニ係数が1981年の0.3317から2011年には0.3791と上昇傾向にあり、人々の生活に少なからず格差を生じさせ、老後破産や子供の貧困率が2012年には16.3%と過去最悪となるなど、新たな課題も生じていると考えます。

そのような中、我が国は、ブラジルワールドカップでサポーターがゴミ拾いをして帰る姿や、東日本大震災時に整列して物資等の配付を待つ姿などが全世界で報道され、日本文化に対して全世界から高い称賛を得ているほか、イギリスの公共放送であるBBC放送が行った世界に良い影響を与えた国の調査で2012年に1位になるなど、常に上位となっています。私は、このような日本の良さを、もっと前面に出した方針も必要ではないかと考えます。

また、この6月、骨太の方針の閣議決定では、50年後の人口を1億人程度とする目標が盛り込まれたほか、地域活性化に取り組む「地方創生本部」の新設も発表されました。それを受け、先般の安倍改造内閣では、その目玉として人口減対策と地方再生の司令塔となる「ひと・まち・しごと創生本部」が設置されました。そういう中、本県では、「地方中枢拠点都市」のモデル都市に姫路市が選定され、周辺の8市8町に及ぶ圏域全体の経済成長を牽引する「はりま・ものづくり力」の強化などに取り組むこととしており、地域にとっては将来に向けての一つの明るい材料として期待されています。

人口減少や少子高齢化、格差問題から生じる子供の貧困問題など、長期的な見通しから生じる課題は多様であり、それぞれに対する効果的な対応策はなかなか見つからないのが現状であるかと考えますが、先に述べた日本の良さと同様に、兵庫の良さというものを大切にした取り組みが今後の兵庫県を考える際に重要と考えます。

そこで、県では兵庫のゆたかさ研究会を設置し、2040年の兵庫のゆたかな社会の姿について調査・研究を行うとされているが、知事は同研究会設置に当たって本県のどのようなものに夢を描き、2040年に向けた可能性に期待を感じておられるか伺います。

 

2 福祉人材の育成と確保について

国立社会保障・人口問題研究所将来推計人口結果に基づく兵庫県分概要報告によりますと、2015年の県内の75歳以上の人口は約71万人、2020年には約83万人、2025年には約97万人と、人口全体が減少傾向にある中、着実に増えていくと推定されています。

そういう中、高齢者福祉の推進においては、地域包括ケアの推進により在宅での生活を支える取り組みを推進しているものの、介護保険施設等への需要は依然として高いものがあります。そのため、福祉サービスの多様化も相まって、ニーズに的確に対応できる質の高い介護人材の育成・確保が求められているとともに、福祉関連職種の有効求人倍率は他産業に比べて高い水準にあることからしても、介護現場での人材確保は喫緊の課題であります。

さらに、児童虐待、こどもの貧困、所在不明の子供など、次代を担う宝とも言える「こども」にも様々な社会問題が山積しており、そのような状況の中、保育現場における人材不足も深刻であります。介護現場同様に多忙な保育の現場は大変であるため、結婚や出産を機に保育所を退職してしまう人が多く、なかなか定着せず、補充も難しいという現状にあります。

厚労省の予測では、このままの状態が続けば、2017年度末には全国で約7万4千人の保育士が足りなくなるとも言われており、特に、本県の神戸・阪神間では、新規保育施設の増加や待機児童解消対策も合わせて、保育所等での人材不足に拍車がかかっている状況にあります。保育現場の人材確保もまた喫緊の重要課題であります。

このような福祉現場の現状を改善するには、長期的に福祉の仕事に対する社会的評価を高めていくことが不可欠であります。加えて、地域住民や次代を担う子供たちが、福祉を身近にとらえ、お互いの存在を認め合い、共感できる力をはぐくむための福祉教育や福祉体験活動の推進を図ることが、住みよい地域社会づくりを進めていくことになると信じます。

また、県では、いわゆる団塊の世代が75歳を迎え、要介護人口がピークを迎えるとされる「2025年問題」に対応するため、全国的にも先導的な福祉人材の実数調査を行い、需要と供給を推計し、人材確保目標数を設定することとされています。それをもとに今後の人材確保対策を検討するとのことでありますが、何よりも人材確保・育成のための中長期計画を策定し、計画的に取り組んでいくことが望まれます。

そこで、県として、今後、福祉現場の人材確保と育成にどのように取り組んでいこうとされているのか、福祉人材実数調査の進捗状況とあわせてお伺いいたします。

 

3 ため池の整備と保全について

(1)老朽化・耐震対策について

降水量の少ない地域で農業用水を確保するために設置された農業用ため池は、造られてから100年を超えるものも多く、築堤などの構造がわからないまま老朽化が進んでいる状況にあります。

加えて、平成23年3月の東日本大震災で農業用ダムが決壊し死者が出るなど大きな被害があったことから、国はため池の点検制度を創設し、全国の自治体で一斉に点検が進められています。

県は独自で実施していた定期点検にこれらの制度を活用し、老朽度等の調査を進めている。点検対象約9,800箇所のため池のうち、平成25年度末までに約4,800箇所を点検し、その約1割で漏水対策等が必要との結果が出ています。

また、耐震調査は、規模の大きなため池約600箇所を対象とし、平成25年度末までに調査した約300箇所のうち、約半数が耐震性不備という結果が出ています。

本県においては、定期点検と耐震調査の結果、「改修が必要である」「耐震性が不備である」と診断されたため池のうち、特に緊急性の高いものから順次整備するとしています。

しかし、8月の豪雨災害などを踏まえると、近年は台風等に関係なく、前線の停滞や大気の不安定な状態でも局地的な豪雨や記録的な長雨が生じる状況にあり、ため池の点検や対策をさらに急いで取り組む必要があると考えます。

さらに、マグニチュード8以上の地震が30年以内に70%程度の確率で起こるとしている南海トラフ巨大地震等への対策として、ため池の耐震調査と必要な対策が急がれることは言うまでもありません。

そこで、今後、ため池の老朽化・耐震対策に県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

(2)ため池保全に関する今後の取り組みについて

ご存じのとおり兵庫県のため池数は約3万8,000箇所もあり、日本最多であり、古くから重要な農業用水源としてはもとより、豊かな自然を育むとともに広がりのある水辺空間の提供など地域の財産として人々に親しまれ、地域の憩いの場となっています。

例えば、東播磨地域で進めるいなみ野ため池ミュージアムの取組みは、このようなため池を地域の資源として利活用するために、ため池管理者と地域住民からなる約60ものため池協議会を組織し、自然保護グループなどの参画も得て、約180に及ぶため池の保全とその活用によるふる里づくりに大きな実績と成果を積み重ねてきた。この取り組みも、平成24年度で10年が経過し、ひとつの節目を迎え、今後はため池協議会等のサポート体制の強化をはじめ、さらなるため池の魅力づくりへ展開しようとしています。

また、ため池は本県が進める総合治水の面から、校庭や公園などとともに流域対策施設に位置づけられており、近年頻発するゲリラ豪雨時等の雨水を一時貯留し、浸水被害から地域を守るための貯留施設としての機能が注目されています。

加えて、国の再生可能エネルギーの導入促進の政策に伴い、ため池の水面を活用したフロート式の太陽光発電施設設置の動きがあり、ため池固有の美しい景観が失われる懸念はあるものの、ため池の維持管理費の軽減にもつながることとして各所で見受けられます。

ため池は農業用水を確保するだけではなく、豊かな自然環境や広がりのある水辺空間など多面的機能のみに着目しても保全すべき有益な資源であることは間違いありません。今後、ため池の受益地である農地の減少、農家の高齢化や減少によりため池の良好な管理が困難となり、ため池が放置される可能性もあります。今はまだその必要性を迫られていないが、県として、ため池の持つ有益性を評価し、それに基づき保全していくことも重要であると考えます。

そこで、今後のため池保全に対する県の取り組みについて伺います。

 

4 農地中間管理事業の推進について

本県農業の持続的発展を図るためには、地域農業の核となる担い手を育成することが不可欠であり、具体的には経営能力と意欲のある農業者に農地の利用集積を図る必要があります。しかし、本県販売農家一戸当たりの経営耕地面積は0.86ヘクタールと全国平均の1.96ヘクタールの半分以下という状況にあり、本県農業の持続的発展にとって農地の利用集積による経営規模の拡大が喫緊の課題となっています。

そこで、国の農政改革の一環として、農地の有効利用の継続や農業経営の効率化を進める担い手への農地の集積・集約を推進するため、「農地中間管理事業」が本年度からスタートされました。本県では公益社団法人兵庫みどり公社を「農地中間管理機構」に指定し、農地の借受・貸付を促進させることとしています。

同機構がこれまでに行った2回の借受希望者の公募では、合計336経営体から8463ヘクタールに上る借受希望の応募があり、機構による10年間の借受・貸付面積目標2万5千ヘクタールの達成に向け、予想を上回る好スタートきったと言えます。

一方で、借受・貸付のマッチングを行い、実際に貸付を行った状況は、5経営体に39ヘクタールと聞いており、経営規模拡大に対する意欲的な農業者が多い中、マッチング及び貸付のさらなる推進が望まれます。

そこで、農地中間管理事業の現状とマッチング推進に向けた今後の課題への取り組みについてお伺いします。

 

5 空き家対策について

先般、総務省が発表した平成25年住宅・土地統計調査の速報集計によりますと、昨年10月時点の全国の総住宅数は6,063万戸と前回5年前の調査から305万戸増える一方で、空き家数も820万戸と63万戸増加し、空き家率は13.5%と過去最高となりました。

また、日本の総世帯数についても、一人暮らしが増え続けているものの総人口は減少してきており、総世帯数も今後減少が見込まれていますが、裾野が広い住宅産業においては経済への与える影響を期待され、新築抑制は困難であり、さらに空き家は増えていくとの報道もされています。

このような状態を放置していくと、荒廃による景観の悪化や敷地内へのゴミの不法投棄、老朽化放置による災害時の倒壊などの恐れがあるほか、管理がおろそかになることから不審者の侵入などにより治安の悪化が懸念されます。このことについては、昨年6月の我が会派の代表質問でも山本議員が指摘致しましたが、深刻な問題が各地で顕在化してきている状況にあります。

しかし、行政としては個人の持ち家である民間の住宅問題に直接介入することは困難でありますが、いかに空き家を有効活用し、需要者とマッチングしていくかが課題であります。

そういう点においても、県では、中古住宅の流通促進に取り組む民間団体を支援したり、空き家ストックの活用のための古民家再生の促進を進めながら、平成26年2月には空き家対策ガイドラインを策定し、流通・活用の促進に加えて、最終的な適正管理・除却も含め、体系的な取り組みを進めています。

兵庫県の空き家率も平成20年で13.3%と全国同様に高い状況にあり、そういう状況のもと、多くの市町が空き家情報を収集し、ホームページ等で発信する空き家バンクの取り組みを行っており、行政自らマッチングに努めているところもあります。

さらに、市街化調整区域における農家用住宅の空き家では、活用上の制約も多くあり、流通を妨げている現状もあります。

そこで、市街化調整区域における現状と課題への対応も含めて、空き家対策における流通・活用の促進の取り組みの現状と成果、そして今後の課題をどのように認識しているか伺います。

 

6 教育新時代に向けての若手教職員の育成について

自治体の教育委員会制度を改革するための改正地方教育行政法が成立致しました。2015年度から現行の教育長と教育委員長を統合した新「教育長」の創設や、首長が主宰する総合教育会議が設置され、首長の権限が強化されることとなります。まさに、日本の教育の新時代のスタートとも言える改革となると考えますが、この機会に、将来の兵庫の教育を担う若手教職員の育成についてお伺い致します。

文部科学省が8月4日に発表した学校教員統計調査の中間報告によりますと、調査を始めた1977年以降初めて、小学校、中学校、高校すべての校種の教員の平均年齢が前回調査より低下し、小学校は44.0歳、中学校は43.9歳、高校は45.3歳となったとの報道がありましたように、大量採用層が退職期を迎えております。そのため、平成12年には210人、平成13年は215人と過去最低レベルにあった新規募集人員も、その後、大量退職に備えるため、順次増加し、平成22年には1,049人となり、以後6年連続で1,000人を超え、来年度は1,240人となっており、今後も、教職員の若返り傾向は続くものと考えます。

さらに、教職員の多忙化の状況は、(我が会派の小池議員も先日の一般質問で指摘したとおりであり、)改善の傾向が見られているとは言い難い状況にあり、教育現場においては、若手教職員も従来以上の活躍が期待されるところです。

従来であれば、それぞれの教育現場において、中堅・ベテラン教職員から十分な指導を受けながら、指導力が育まれてきたと思いますが、多忙化の現状や業務のIT化に伴うコミュニケーションの減少などに伴い、教育現場における若手教職員の育成・研修機能は低下していると考えます。

このような現状の中で、様々な課題に中堅・ベテラン教職員と同等に取り組まなくてはならない若手教職員のメンタルによる休職や病気休暇も増加していると聞きます。若手教職員に対するしっかりとしたフォロー体制も含めた育成プログラムが必要と考えます。

特に、2012年民主党政権下で小学校1、2年生までを35人学級とすることが実現しましたが、それに加え本県では2008年から3、4年生まで35人学級とされるなど、教育立県兵庫の面目躍如たるものがありました。

そこで、教育改革の大きな変革を契機に、教育立県兵庫として教職員の若返り傾向の中、若手教職員の育成にどのように取り組んでいこうと考えているのか伺います。

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