岸口 実議員が質問(決算審査・病院局)を実施

決算特別委員会  [ 10月17日(金)病院局・岸口副委員長 ]

 

1 医師、看護師の確保と負担軽減について

そもそもの医師数、看護師数などの定数は兵庫県病院事業職員定数条例で定められているが、医師数、看護師数など職種別や個別の病院ごとの内訳までは規定されていない。県立病院の医師・看護師確保対策の充実や、病院局の積極的な採用もあり、先ほどの通り確保数は伸びているものの、医師の不足感は未だに否めず、看護師についても産休・育休などにより実人員は少なくなっている。

現場での勤務状況は、医師、看護師の責任感に依るところが多く、実人員で何とかやりくりをしていると聞くが依然として厳しい。(始業時間が9時であっても8時半から働く、終業時刻だからといって途中で仕事をやめる訳にいかない。休日を使っての研修など。)何も医療職に限らずどんな仕事にも当てはまることといえばそれまでであるが、過酷な勤務は医療過誤・事故のもととなる。

そこで、現場の勤務実態をどのように認識されているのか、勤務環境改善に向けどのように取り組むのか、あわせて県立病院の施設・機能の再編が進む中で、求められる役割を果たし、適切な病院運営を行うにあたり、どのような考え方で必要な医師数・看護師数を確保しようとしているのか、所見を問う。

 

 


2 医局との連携強化について

医局は、人事機能が弱まったとはいえ県立病院が医師確保を進める上で、大変重要なパートナーである。

民間病院・施設などでは医師確保にあたり、理事長・院長などの役員が、退職者が出る前から日常的に医局・教授など大学関係者と、情報交換や研究支援などを行っている。

公営企業であることから、管理者はじめ病院局幹部の方々に同じことを求めることは出来ないが、切れ目なくまた安定的に医師を派遣して頂くには日ごろから医局などとの強固な関係の維持・構築が不可欠である。

そこで、日ごろからどのような取り組みを行っているのか、また県立病院の優位性とは何か、公営企業のさまざまな制約の中で新たに取り組めることは何かを問う。

 

3 未収金の発生抑制について

毎年度末、およそ2億あまりの未収金を計上している。過年度から繰り越したもの(約2億数千万円)、年度中に発生したもの(約8000万円)、回収したもの(約1億円)を合わせ平成23年度は2億4550万円、24年度は2億2548万円、25年度は2億1650万円となっている。各年度の医業収益(約900億円)からすると、発生率は1%以下で微々たるものだが、平成25年度の経常損益5億円からすると小さくない。仮にこれらが全額回収できないと、今後、2億円が損金処理される。

未収金が発生すると半年間は職員が督促・回収を行い、回収できなかったものは弁護士に回収を依頼する。ちなみに回収できたものは各年度約30%程度にとどまっている。また、弁護士に回収を依頼したもののうち、再三の督促等に応じない悪質性の高い未収金については、民事訴訟法に基づく支払督促を実施しており、その額は、平成24・25年度あわせて10件約1,145万円にのぼっている。

このように未収金は発生した後に回収を行うとなると、時間もかかる上、事務は煩雑になる。となるとそもそもの発生抑制ができれば、確実に収益が向上することになる上、さまざまな煩わしさがなくなるのではないか。

未収金の発生の原因を見ると、①事故による保険会社の支払い部分、②出産、③高額医療費、④保険なし など様々なパターンがあるとのことである。この中には、手続きや時間の問題で、未収金に計上されてはいるが、回収見込みが高く、所謂売掛金に近いものもあるが、その他については、いかに発生を抑えるかが重要であると考える。(例えば出産後退院などはデポジット制を導入するなどの対策は可能ではないか)

そこで、発生要因を踏まえて、どのように発生抑制に取り組んでいくのか問う。

 


4 がん相談支援体制について

(1)県立病院での運用状況について

先日、国が指定するがん診療連携拠点病院の4割が新要件を満たしていないとの新聞報道があった。厚生労働省の有識者会合からの提言を踏まえて、がん手術件数、化学療法や放射線治療ののべ患者数、常勤病理医の必須化など、指定要件の厳格化が決まったことから、「拠点」に求められる医療の質が確保できず、来春の指定更新時に看板を返上する病院が多く出る可能性があるとのこと。

幸い、県立がんセンターをはじめ6の県立病院を含む、県下の国指定の14箇所、県指定の10箇所に、直ちに影響があるものではないが、地域のがん医療体制が再構築の時期を迎えていることに違いはなく、今後変化するがん医療体制について、県民により丁寧に説明し続けなければならない。

さて、先日の本会議で小池ひろのり議員から、自身の体験をもとにがんの相談支援体制の充実について質問があった。太田健康福祉部長から国指定の連携拠点病院に専門スタッフを配置したがん相談支援センターを設け、平成25年度は16546件の相談があったことや、平成25年度に改定した県の推進計画により県指定の10箇所にも相談支援センターの設置を義務化したとの答弁があった。

その国・県指定された県立病院6施設での相談支援センターの運用状況をみるとがんセンター・淡路医療センターは2500件を越え、次いで尼崎・柏原病院の500件、また加古川医療センターでは73件、西宮病院では27件とかなりの差が見られる。それぞれの地域の事情と病院の性格が違うことによるものとは思うが大きなばらつきが見られる。

そこで、相談支援センターの運用状況と成果と課題について、また県立病院間のばらつきの要因について問う。

 

 

 


(2)告知から相談支援センターへの連携について

相談支援センターでは、治療や投薬をはじめとするさまざまな不安や悩み・疑問に対し、面談や電話による相談が行なわれているが、相談支援を受けようとする患者本人や家族らは、自らが訪問や電話をしなければならない。当然、中には相談を全く必要としない方もあるが、相談をすること自体に勇気がいることやがん告知前後の気持ちの混乱などにより、相談支援センターを活用することなく抱え込んでしまう方々も多い。

相談支援センターの受け入れ態勢に限りがあることは承知しているが、告知受けた方々全てが、診察の段階から相談支援センターへと自動的に連携が行われる仕組みが必要である。充実したがん治療は、治療のみならず、療養から回復後の仕事にわたるまで一貫した多面的な専門家のアドバイスが不可欠であり、患者、家族の闘病へのモチベーションをどのように維持するのか、メンタル面での支援も重要である。また病院側としても、入院患者の相談支援センターの利用は診療報酬の対象となるため、経営向上にも寄与する。

そこで、診察室と相談支援センターの連携を図りがん告知を受けた方々すべてが相談支援センターを活用できる仕組みづくりが必要と考えるが、県立病院においてはどのような対応をしており、今後どのように充実していくのか所見を問う。

 

 

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