栗山 雅史議員が質問(決算審査・企業庁)を実施

決算特別委員会  [ 10月17日(金)企業庁・栗山 雅史委員 ]

 

1 これまでの経営ビジョンと新・経営ビジョンについて

(1)10年間に達成したこと、実現できなかったこと

本年4月に、平成35年度までの向こう10年の企業庁の目標を設定するビジョンが策定、発表されました。

このビジョンの位置づけは、企業庁事業の方向性を示す最上位の目標とされ、これからの時代の潮流や社会経済情勢の変化を踏まえた中長期的な経営の基本方針、経営目標、事業別の経営方向を定めています。現在までに展開されてきている「地域整備事業」、「水道用水供給事業」、「工業用水道事業」、及び「企業資産運用事業」の4事業については積極的な事業展開と一層の収益向上を図るために目標値を設定されて営業されているところです。

 

そんな新たなビジョンのもと、これからの10年に向けて走り出しているところだと思いますが、この決算特別委員会は、平成25年度の各事業について審査をするとともに、平成15年に策定された、前の企業庁経営ビジョンで掲げられた 概ね10年の間の目標や方針などについて、どのように取組んでこられたのか、その確認ができる絶好の機会ではないかと思いました。

 

平成15年に策定された経営ビジョンでは、「成熟社会に対応した企業庁のあり方」という章で基本方向、基本目標、個別目標、経営方針を定められ、「経営基盤の強化方策」という章でマネジメントシステムの確立や収入確保の強化として、各事業についての個別目標を定めるとともに、費用の効率的執行や新規事業の展開などについて言及されています。「簡素で効率的な組織体制の構築」という章では、事業に応じたプロジェクトチームの活用や適正な定員管理、人材の確保と活用などについて触れられています。また、最後に県民への説明責任の確保、透明性の向上、会計制度の見直しについての記述もあります。

 

色々なことがあった10年だったと思います。決算特別委員会というこの場で、まずはこの10年間の歩みはどうだったのか、総括していただければと思います。

 

 

(2)企業庁のあり方と新たな事業展開

この新旧の経営ビジョンに記載されている企業庁のあり方、そしてその役割や経営方向を眺めていると、公営企業としての在り方について、その時代に応じたキーワードが記載されていることがよくわかります。

例えば、平成15年策定のビジョンと本年平成26年に策定されたビジョンに、まず共通して出てくるワードとしては、「生活・産業基盤の確立」、「県土の魅力・活力を高める」、「県民福祉の増進を図る」というものがあり、同時に事業の手法として「民間でできることは民間に任せる」、「選択と集中」というワードがありました。そういったワードは公営企業らしいものであると思いました。

その一方で、平成26年度のビジョンに新たに出てきたワードもあります。いくつかご紹介しますと、「地方分権の推進を踏まえて、市町と協働して事業の展開を図っていく」や、「社会的な課題解決に取り組むソーシャル・イノベーションなどの観点から事業を展開する」、他には「事業の必要性を見直しする」というものです。いずれも今後の企業庁の可能性、存在意義、そして必要性などについて、どうあるべきかと思慮されたことが滲んでいる表現や視点だと感じました。

そして、ビジョンの後半には新たな事業展開の検討という章があり、「健康・環境・観光・教育などの分野の社会課題を収益事業の中で解決する取組みが注目されている」と書かれてあり、事業例として、健康分野ではスポーツ施設や高齢者向けマンション、グループホーム、介護老人福祉施設、観光分野では温泉・宿泊施設などが掲げられています。

私は、企業庁の新たなビジョンや視点に理解をしておりますが、やはり「民間でできることは民間に任せる」ということをベースに、公営企業でしかできないことに意識を置きながら、新たな事業展開を検討していただきたいと思っていますが、現在はどのような観点でお考えでしょうか。ご所見をお聞きします。

 

 

 

2 地域整備事業の結果について

企業庁が取り組む4事業については、概ね順調に推移されていると高い評価をしているところです。しかしながら、地域整備事業についてはこれまでの事業の進捗について少し確認しておかなければならないと感じています。

 

平成25年度の経営評価の資料を見させていただきました。この地域整備事業だけ、設定された目標を下回る項目が多いという結果となっていました。

例えば、営業収支比率は99.2%で、目標の100%以上を達成できませんでした。これは毎年続いているものであり、根本的に営業収支の内訳をシビアに見直さなければならないのではないかと思いました。また、産業用地等の分譲・定期借地の面積ですが、目標の12.5ha以上に対して10.6hという結果。住宅用地の分譲・定期借地の面積は目標7.6ha以上に対して4.4haという結果。さらに貸付建物(貸店舗等)の入居率は目標92%以上に対して78.9%という結果。住宅の貸付は目標92%以上に対して61.9%という結果。これらに連動した目標になりますが、職員1人あたりの営業収益も、目標95百万円以上に対して81百万円と結果になりました。また、経費削減の取組みとして、工事コストの縮減率を目標6%以上と設定していましたが、1.9%という結果になりました。

事業全体の経営結果としては、受取利息等の営業外収益の確保により経常利益は黒字を確保していますが、営業の全体として、項目別に見てみると寂しい結果となっています。総括のコメントとして、淡路地域や神戸三田国際公園都市の分譲が進まず、また播磨地域の住宅・店舗の貸付が低調であることから思い切った取組みを行う必要がある、とあります。

さまざまに変化する環境の中で、相手あっての商売でもあり、営業的に大変なことは承知しておりますが、さらなる努力と工夫や、人材面での強化、民間とのタイアップ、さらなる情報リソースの確保などが必要だろうということを申し上げなくてはいけません。

そこで、平成25年度の地域整備事業の実施結果と成果について、どのように評価しているか。また今後の見通しと、事業推進についての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

 

 

 

3 人材の確保と資質向上の取組みについて

地域整備事業を中心に、各事業を着実に進めるにあたっては優秀な人材の確保と、職員の資質向上に向けての取り組みが必要なのは言うまでもありません。新旧のビジョンにおいても、人材の確保と資質向上の取り組みについて言及されています。

 

平成15年の経営ビジョンには、「人材の確保と活用」の項目に、「民間からの人材の登用」とあります。専門的な知識を必要とする場合は、アドバイザーや職員として外部から登用をする、あるいは銀行・商社、住宅関連業界等からのUターン職員を優先的に配属すると記載されていますが、実際に平成15年度からの10年の間に、今申し上げたようなことはどの程度実現していたのでしょうか。

また、「職員の資質向上」の項目に、「民間企業との交流」とあり、民間の経営手法やコスト意識の習熟等を目的として、商社や住宅販売会社等へ派遣する「民間会社への派遣研修制度」の積極的な運用や、企業庁関係課に、民間からの研修生を受け入れる制度の導入を検討するとありますが、これらもどの程度実現したのでしょうか。聞くところによると、「民間会社への派遣研修制度」は平成18年を最後に実施できていないと聞いています。

さらには新ビジョンにおいても、民間企業等における実務体験を通じて、民間コスト意識や知識・技能を習得する「民間企業等派遣研修」などを実施し、職員の総合的な資質の向上を図り、公営企業としてのコスト意識の涵養、経営マインドを持った人材を育成するとありますが、本当に実現できるのか疑問視していますが、人材の確保と資質向上の取組みについてどのようにお考えか、質問します。

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