越田 謙治郎議員が一般質問を実施

第325回 2014年12月定例会 一般質問原稿

 

質 問 日:2014年12月8日(月)

質 問 者:越田 謙治郎 議員

質問方式:分割答弁方式

 

1 人口減少に対応した公共施設等の管理について

「2040年には全国の半数の自治体が消滅の可能性がある」、このような衝撃的な報道が今年5月になされ、そののち「地方創生」という言葉がクローズアップされています。

人口減少の問題は国力の問題や経済力等の観点から様々指摘をされていますが、問題の本質は、一部の世代に過度に負荷がかかっていくこと、持続可能性がない社会になるということです。

私たちは、人口の減少に歯止めをかけ人口を維持していくこと、具体的には少子化対策に取り組んでいくことが必要であると同時に、人口減少という社会状況が、今後少なくとも20-30年は続くことを前提として、社会の在り方を考えていかなければなりません。

 

(1)公共施設等総合管理計画の策定について

今年4月に、総務省から各自治体が老朽化した公共施設等を総合的かつ計画的に管理していくため、公共施設等総合管理計画を策定するよう通知が出されています。これは総人口や年代別人口についての今後30年程度の見通しを踏まえ、策定することとされています。

私も、今後の社会は人口が減少していくことが前提であるはずだから、当然今後策定する公共施設等に関する管理計画は、人口と連動していかなければならないと考えます。

県では、今年第3次行革プランがスタートしたばかりです。

これまでも行革プランのもと、平成12年度以降、29の公的施設の廃止・移譲を行ってきたほか、今回のプランでは、県営住宅について、人口及び将来的な世帯数の減少などを見込み、平成23年度に改訂した「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画」に基づき、現在約53,000戸ある県営住宅を、2020年に5万戸程度とするなど、一定の計画的管理を実施、あるいは方針の打ち出しを行っています。県と市町との役割分担や県としての公営住宅の在り方を考えると、まだ改善の余地は残されているものの、人口減少を想定した計画を策定していることは全国的に評価されるべきものと考えています。

今回の計画にはより長期的な視点での、総合的な内容を盛り込むことになるが、それだけに人口の減少が今後確実に見込まれ、一人あたりの負担が大きくなっていくことが予想されている中で、次世代への負担のつけ回しを防ぐという命題に対し、どのような考え方で策定に臨まれるのかを伺います。

 

(2)「学ぶ場」の環境維持について

人口減少でもう一つ気になるのが、子どもたちの学習環境についてです。県立高校の場合で考えてみると、私が学生だった頃に比べて、生徒数は減っているのに、学校数にそれほど変化は見られません。一方で、私の地元の学校では、施設が老朽化し、厳しい財政状況の中、速やかな修繕等の対応に苦慮していると聞いています。

私の子どもは生まれたばかりだが、15年後高校入学を迎えるときには、このような環境を改善しておきたい気持ちから質問します。県立高校の場合は、住民の子ども皆が通うわけではないことから、県営住宅の戸数のような全体の管理計画をお持ちでないとお聞きします。

しかし、負担の担い手が減少していく中、また学校施設の老朽化が進んでいく中、今後どのように生徒たちの学びの場の環境維持、ひいては向上を行っていくのかということを考えていく必要があると思われます。当局の所見について伺います。

 

(3)信号機と道路標識の整備及び更新の考え方について

次は、信号機と道路標識の管理のあり方についてお聞きします。県の人口がこれまでに一番多かったのは、平成21年のおよそ556万人、それ以降人口は減少傾向にあり、今年10月時点で約554万人と、およそ1.1%少なくなっていますが21年度から25年度にかけて、信号機は102基、道路標識は4,060本増加しています。これは住民から設置の要望も多く、また安全性への配慮にも十分対応いただいた結果だと認識しています。しかし、県下には耐用年数が過ぎている信号機が現在1,890基あると聞いており、兵庫県警において1年間で更新できる基数は限られることから、今後の更新が困難ではないかと考えます。

今ある信号や道路標識を撤去することは非常に困難であることは十分承知しています。しかし、2040年には、人口が470万人とピーク時から約90万人減少することが想定されているわけであり、それに基づいた今後の方向性を示すべきだと考えます。今後の対応について、兵庫県警としての見解をお聞きします。

 

 

2 救急医療体制の強化について

(1)救急医療相談の導入について

これから超高齢化社会を迎える中、救急医療への依存度はますます高まっていきます。今でも、搬送のたらい回しの問題がたびたび指摘されていますが、今後も救急医療を安定的に機能させていくためには、需要面と供給面双方の対策が必要です。そこでまず、需要面の対策についてお聞きします。

需要面の対策とは、需要の抑制です。これまで、軽症での救急車使用が問題になってきましたが、こういった事態を防ぐため、私が提案したいのは、いわゆる#7119などの救急医療相談窓口の整備です。

兵庫県では、子どもを対象とした、時間を区切った小児救急医療電話相談は実施していますが、成人も対象とした相談窓口はありません。効率的な救急医療体制を実現するためにも、救急医療相談の窓口を設置する必要があると考えますが、当局の所見について伺います。

 

(2)阪神北地域における救急医療体制の強化について

次は供給面での対策です。平成24年度の、重症以上の状態で医療施設へ搬送された人のうち、受入照会回数4回以上を占める割合は、私の地元の猪名川町では県内で最も高い20.4%、川西市で2番目に高い19.9%となっています。なお、県平均では6.5%、全国平均は3.8%です。本来、救急医療を受ける機会は、地域差なく、全県民に偏りなく保障されるべきものですが、このような現状では、毎年高齢化率が1%ずつ上昇しているような川西市民は大変な不安を感じざるをえないだろうと思います。これらの問題は、尼崎医師会等が中心となって運用している「むこねっと」によって改善の傾向にあるとは聞いているものの、効率化だけでは今後急増する高齢者の救急搬送には十分な対応ではないと感じています。いかに供給体制を整備していくのかということが根本的な課題です。

県は、来年尼崎総合医療センター(仮称)の整備を以て、阪神地域の救急医療体制を補強するとの見解ですが、果たして、阪神北地域の救急医療体制はどこまで改善されるのでしょうか。とりわけ、阪神南県民センター管内には、尼崎病院統合後の県立病院が2か所、兵庫医科大学病院と3次救急に対応できる医療機関が3か所あるものの、阪神北地域にはなく、今後増えていく需要に対し、阪神北地域における県としての支援が必要だと考えていますが、当局の見解をお聞きします。

 

 

3 住環境における省エネ対策について

(1)エネルギーパスの導入について

省エネを実現するためには、技術的な問題と同時に住民の意識というものが重要です。製品を長く大切に使い続けるということも当然重要ですが、燃費の悪い車に長年乗り続けることが必ずしも地球環境によくないことを考えると、エネルギー効率の悪い家に住むということは、避けなければいけません。

省エネに関する基準は様々あるものの、住民にとってはなかなか分かりにくく、共有の指標が必要です。欧州では「エネルギーパス」という考え方を導入し、家のエネルギー効率の表示を義務づけていると聞きます。

環境問題対策の先頭を走る兵庫県においても、県民に分かりやすい指標が重要であり、家屋の販売の際にその家のエネルギー効率を表示するエネルギーパスを導入することを提案したいと思いますが、県の見解をお伺いします。

 

(2)断熱窓の導入について

福島原発の事故以降、エネルギー問題は大きな課題となっています。現在の原子力発電の置かれている状況を考えると、将来的に原子力発電に依存しない状況を創っていかなければならないということは異論がないはずです。

固定価格買い取り制度の効果もあり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの発電量は増加しているものの、すぐに原子力発電に代わる代替エネルギーというところまでは存在感を発揮できていません。そういった面で、供給を増加させることは時間がかかることを考えると、いかに需要面を抑制するのかということを真剣に考えないといけません。

さて、暖房をしているのにも関わらず、室内で寒さを感じることが多くありますが、その最大の原因は窓にあるといわれています。一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会によると、冬の暖房時に室外に熱が出ていく原因として、窓が58%、換気と外壁がともに15%、床が7%となっています。これが夏の昼時の冷房時となると、開口部から熱が入る割合は73%までに高まります。日本は海外と比較すると、窓の断熱性の基準が低い上、法規制がないためこのような状況にあるといえます。少しの工夫でエネルギーの消費量を減らせる可能性があるのではないでしょうか。

県の窓の断熱性向上の施策としては、これまで「うちエコ診断」を通した啓発のほか、今年度から住宅用創エネルギー・省エネルギー設備設置特別融資の対象とするなど、省エネ対策の一項目として施策を展開されてきました。しかしこの際、県として「窓」にさらに着目することで、新たな視点での、効率的な省エネ、節電対策を実施することはできないでしょうか。

というのも、これまで県は節電対策として、冷暖房の適正温度での使用などを呼びかけてきましたが、このような消費エネルギーの削減に着目する視点から、窓の断熱性を高め、不本意なエネルギーの放出を防ぐ視点に転換することで、新たな省エネ、環境に配慮した施策を展開する余地が出てくるからです。民生部門の画期的な節電策として、断熱性の高い窓の普及にさらに焦点を絞った対策を取ることはできないでしょうか。当局に所見を伺います。

 

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