藤井 訓博議員が一般質問を実施

第325回 2014年12月定例会 一般質問原稿

 

質 問 日:2014年12月9日(火)

質 問 者:藤井 訓博 議員

質問方式:分割答弁方式

 

1 県行政の県民への広報のあり方について

質問の第1は、「県行政の県民への広報のあり方について」です。

行革による様々な見直しの中で、とりわけ、県行政各分野の広報において、広報誌の印刷部数の削減、カラーから白黒への変更など、様々な広報経費の削減がなされています。さらに、議会広報においても、サンテレビの広報番組の放映回数や時間の縮減、広報誌の印刷部数の削減、議会開会啓発ポスターの廃止など、様々な広報事業の見直しが行われてきました。

しかし、県民全体が兵庫への「ふるさと意識」を持ってもらうためには、県政を身近に感じ、共通理解を持っていただくことが不可欠であることから、県行政各分野における広報は最重要視しなくてはならないものであって、いくら行革とは言え、今後とも、広報経費の安易な数字あわせの削減はあってはならないと考えます。

ただ、限られた予算の中においても、県の施策を県民に広く伝え、県民に浸透させていく必要があり、真に県民に伝えるべき広報のポイントを的確にとらえ、わかりやすく工夫を凝らして行うことが重要なことは言うまでもありません。

具体的な取り組みを考えるに当たっては、まず、マスコミの活用も大きなポイントとなります。例えば、報道への発表を行う際においては、知事の定例記者会見等に加え、県政の最前線である現場において現場担当者が具体的にわかりやすい発表を行うなどして、報道に取り上げられやすく、また県民の興味を引く工夫が重要であります。

県の施策は市町の施策に比べて県民に浸透していないと一般的に言われる中、県民交流広場の全県展開、県民緑税を活用した事業等を通じて、はじめて県の施策がよくわかったし、興味を持ち始めたという県民の声をよく聞きます。のじぎく兵庫国体のマスコットキャラクターであった「はばタン」も同様であり、県の施策の浸透度に比べても県民の多くに認識され、いまや県の象徴としてお年寄りから子どもまで、全県的に親しまれています。様々な広報のあらゆる場面で、くまモンまではいかなくとも、もっともっと活用していくべきではないかと考えます。

さらに、県が進めようとする喫緊(きっきん)の重要施策、例えば「自殺防止対策」、「児童虐待防止」、「交通事故防止」等については、県民運動としての幅広い広報を行っていくことを検討すべきと考えます。そのため、例えば、県民運動としての盛り上げを図るため、県内の鉄道会社やバス会社等に、重要施策のスローガンを、ステッカー等にした上で、車体貼付への協力を依頼し、動く広告塔とするなど、効果的な推進を工夫していくとともに、県と密接な諸施設等おいても、掲示協力で同様の取り組みを行えば、効果は絶大なものになると考えられます。

そこで、行革を進める本県の厳しい財政状況の中にあって、今後、県施策を推進していく上で県民が県政を身近に思い、理解・協力していただくための広報のあり方をどのように考え、先に述べた取り組みも含め、より効果的に県民に伝えるために今後どのような工夫や取り組みを行っていこうと考えているのか伺います。

 

 

2 公共交通の活性化とまちづくりについて

質問の第2は「公共交通の活性化とまちづくり」についてです。

人口の低密度化と地域的偏在(へんざい)の同時進行というこれまでに経験したことがない新たな人口減少が今後進行すると考えられ、それに伴う地域公共交通ネットワークの減少や運行回数などのサービス水準の大幅な低下が見込まれています。現に、乗合バスについては、全国で過去5年間に約8,160㎞の路線が完全に廃止され、鉄道についても7ヵ所約105㎞の路線が廃止されています。兵庫県においても、平成20年の但馬地域での全但バス大量路線撤退により路線バスが維持できない事態が生じるなど、移動手段としての地域公共交通の役割等、様々な社会問題が顕在化しています。このような状況から、今後、社会全体のまちづくりと一体となった公共交通の活性化の取り組みが不可欠となってきています。

そういった中で、平成25年12月に国において交通政策基本法が公布・施行され、同法では国、地方公共団体、事業者のそれぞれの責務、さらに国民等の役割に加え、それぞれの関係者が連携・協力に努めると定められています。また、交通政策基本法の具体化に向け、平成26年5月には、本格的な人口減少社会における地域社会の活力の維持・向上のため、地方公共団体が中心となり、まちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークの再構築をめざし、その再構築を国が支援する枠組みを基本とした「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。

一方、本県では、それに先立ち、平成25年3月に、交通問題は交通分野だけで解決することには限界があるという従来からの課題に対して、公共交通を地域で支える仕組みへ再構築することを基本戦略の1つに掲げ、「観光、福祉・環境、まちづくり、教育、などの他分野との綿密な連携をはかり、地域特性を踏まえた移動手段の維持・確保に努める」との方向性を示した、新たな「ひょうご公共交通10カ年計画」が決定されたところでありますが、関係各部局、事業者、県民が、どう認識、理解されているかは未知数であり、今後の取り組みを注視する必要があります。

国では基本法に基づく基本計画の策定を年内目途(もくと)に閣議決定する予定で進めており、来年にも近々公表されるのではと考えられ、本県においても、国の基本法との整合性をはかりつつ、この交通政策基本計画の策定を契機に、国の動向をしっかりと把握し、例えば、公共交通を重要な広域的な社会インフラとしてとらえ、病院に通院する高齢者や学校に通う高校生等の交通手段の確保等の観点から、県、市町、交通事業者、県民のそれぞれが役割・責任を明確化して、まちづくりと一体となり、活性化や維持・確保に取り組むことを、今一度、再認識してスピード感を持って取り組んでいくべきと考えます。

そこで、公共交通の活性化とまちづくりについて、新たな「公共交通10ヵ年計画」に示された「まちづくりと一体となった取組の推進」に関して、現在の取り組みの進捗状況と課題を伺いますとともに、今後、同計画と交通政策基本法や改正地域公共交通活性化法との整合性をどのようにはかって進められようとされているのか伺います。

 

 

 

3 年末における交通死亡事故抑止対策について

質問の第3は「年末等における交通死亡事故抑止対策」についてです。

交通死亡事故問題については、かつて交通戦争とまで言われ、交通事故死亡者数が昭和20年代後半から急激に増加し、昭和45年には全国で1万6,000人以上もの死者を記録しました。その後、同年6月の交通安全対策基本法の制定をはじめ、様々な安全確保に向けた取り組みの結果、現在では、死亡者数は当時の3分の1以下にまで減少しています。また、本県においては、昭和44年に740人とピークを迎えましたが、昭和42年の知事部局への交通安全対策室の設置、9次にわたる交通安全計画の策定、県民運動として県民一丸となった交通安全への取り組み等を通じ、平成20年以降では交通死亡事故数は200人をきる状況で推移しています。全国都道府県との比較では昨年は187人で全国2位になるなど、本県は常にワースト上位にあることも指摘されますが、人口10万人あたりで比較すると昨年は37位、過去5年間も30位台後半で推移していることからも、この間の県警察をはじめとした関係者の努力に改めて敬意を表するものであります。

そういった中、先月、県内の交通事故による死者数が10月以降急増しているという報道がありました。今年9月末までは115人で、過去最少であった平成21年同期の113人とほぼ同じペースで推移していたところ、その後一転して10月以降に40人以上が事故によって死亡し、特に10月15日~11月20日の間には35人もの事故死亡者が発生し、7年ぶりに「交通死亡事故多発警報」が兵庫県交通安全対策委員会から発令されたとのことであります。

交通事故は、最悪の結果、一瞬にして尊い命を奪い、人生そのものを変えてしまう、県民の生活の安全を脅かす、大きな不安要因の一つであることは、言うまでもないことであります。

県では、平成23年度から第9次兵庫県交通安全基本計画を作成し、平成27年度までに交通事故による死者数を133人以下にするなどの目標を掲げ、県民に対して、交通安全意識の高揚を図っているところであります。

しかしながら、年末というこの時期は、過去の統計が示すとおり、例年、交通死亡事故が多発傾向にあります。ここ5年を見ても、10月~12月、とりわけ年末に多発することは、全国及び近畿各府県でも同様の傾向にあることから、我々が思う年末だから増えるのは当たり前ということではなく、根拠のあるしっかりとした要因の把握を行い、それに基づく対策がとられ、兵庫で実績をあげることができれば、その対策、ノウハウを全国に発信できると考えます。特に、今年のこの状況について、少なくとも10月以降の事故死の状況を早急かつ詳細に分析を行い、その傾向を把握し、これから年末までの対策に生かさなくてはならないと考えます。

そこで、県警察としてこのたびの10月、11月の異常事態も含め、10月~12月に多発する死亡事故の状況をどう分析、認識し、対策を講じてきたのか伺いますとともに、このような緊急事態を踏まえた上で、県警察として年末までの緊急対策や、今後、交通死亡事故抑止対策にどう取り組んでいこうとされているのか、本部長の決意も含めお伺います。

以下2問は、質問席で行わせていただきます。

 

 

 

4 動物愛護管理対策の実効性ある推進について

質問の第4は「動物愛護管理対策の実効性ある推進」についてです。

動物愛護管理法の改正を受け、本県において平成26年3月に「動物愛護管理推進計画」が策定されました。

ペットの中でも犬・猫については、国内の飼育数は2,000万匹を超えている現状にあります。その一方で、動物虐待、遺棄、飼育の途中放棄などが後を絶たず、このような生命尊重意識の低迷は、児童虐待、凶悪犯罪などの兆候となっているとの指摘もあり、警察においても「アニマルポリス・ホットライン」の設置等がなされるなど、動物愛護思想の高揚は人・動物に対する生命尊重意識の醸成として、県が取り組む喫緊の重要課題として計画の柱にも位置づけられています。

一方で、県においては、「動物愛護管理条例」が平成5年に制定され、動物愛護思想の高揚を軸に公衆衛生対策等も加えた総合的な動物愛護管理行政が進められ、その実効性は大いに期待するものですが、そのためには、動物飼育者に「狂犬病予防法」を含め、「法」「条例」の主旨・内容が十分認識されていることが必要なことは言うまでもありません。

今、日本のみならず、世界各国が頭を悩ませている犬のふんの放置による「糞害」の問題があります。街の美化の問題に加え、とりわけ衛生面での問題があり、公園の砂場等で子供たちを遊ばすことができないという現実にも直面し、まさに地域住民は「憤慨」しています。解決策は、飼い主のマナーアップに尽きるということは明白であり、その対策として県はもちろんのこと各自治体も様々な工夫を凝らして対策に当たっていますが、一定の効果はあるものの、いたちごっこの体をなしている現実があります。

しかし、前述した平成5年制定の動物愛護条例の第12条第2項には、糞の除去は飼い主の義務とされ、違反した者には、10万円以下の罰金が規定されています。私の自治会でも「糞害」は後を絶たず、先日、この12条の内容が回覧板で周知されました。驚いたのは、それ以後、極端に糞の放置が一気に減少したことです。現在の飼い主のほとんどの方が、この条例を認知されていなかったのではと危惧するところです。現実は、罰金を課すには、刑事罰として警察等に告発することが必要ということもあり、県として条例施行後、罰金徴収の例が今までにないことに加え、犬の登録、狂犬病予防注射の実績が約半数ということも含め、何のための法・条例の制定か、非常に疑問に思わざるを得ません。

昨年9月に改正された「動物愛護管理法」でも、飼い主が最後まで飼育する責務を規定し、自治体は安易な理由の引き取りを拒むことができるようになりました。しかしながら、連日報道されていた栃木県の悪質なブリーダー、販売業者等による犬の大量放置などは、法のしめつけも一因とも言われる中、業者等が法を守り各事案に適正に対処することが第一義であることは当然ですが、本県におけるブリーダー等への指導監視体制も気になるところです。

せっかくの法・条例が絵に書いた餅にならないように、社会の要請として実効性高く運用していくことが当然に求められます。合わせて、今、動物を「命あるもの」ではなく、ぬいぐるみのような「物」として扱う風潮も多々見られ、飼い主が管理事務所等に持ち込む理由の主なものに、「動物が病気になった」「高齢で飼えない」等が上位を占め、世話に手間がかかるために手放そうとする飼い主の身勝手さに首をかしげざるを得ません。これではいくら県当局が殺処分ゼロに向けて様々な施策を展開しても、焼け石に水と言わざるを得ません。

そのため、今後は、「動物愛護管理推進計画」の策定主旨を徹底し、県民への動物愛護意識の醸成を図ることに加え、ペット、特に犬の取得・飼育に対し、県の強い方針を示し、安易な飼育を止めさせ、「飼い主の責任をしっかりと果たせる人だけが動物を飼う資格がある」ということを認識、意識づけるためにも、「犬税」(いぬの税)の導入の検討を行うべきと考えます。

そこで、県民への動物を飼うことに対する責任感の醸成、あわせて殺処分ゼロへの取り組みを誘導する「犬税」の導入の検討を始め、法・条例の規定の普及・啓発を含めた実効性ある運用をいかに推進しようとされているのか伺います。

 

 

 

5 多文化共生教育の充実について

質問の最後は「多文化共生教育の充実」についてです。

本格的な人口減少社会を迎え、合わせて経済のグローバル化が急速に進むなか、本県においても、今後ますます外国人労働者が増えることが予想されています。現在、本県には約10万人の外国人県民が在住し、外国人労働者の増加予想も含めて勘案すると、今後、さらなる外国人県民の増加が見込まれます。

グローバル化は子どもたちの教育現場においても確実に広がってきており、当然、日本語指導等が必要な児童生徒も大幅に増えることが十分考えられることから、これまで以上に、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化習慣、価値観を認め合い、共に生きる心を育成する多文化共生教育の充実が特に必要となってきます。そのためにも、その対策は急務となっています。

ちなみに、平成25年5月1日現在(学校基本調査)における県内の公立学校に在籍する外国人児童、生徒は3,233人で、そのうち日本語指導対象者数は740人であります。このような状況を踏まえ、先般の決算特別委員会でも、これまでの県下における多文化共生教育の取り組み成果と課題について伺い、回答を得ましたが、その中で、日本語指導が必要な中学校3年生の進学希望者数、合格率の質問に対して、その調査は県教委としては特に行っていないとのことでありました。

また、文教常任委員会の管内調査において、各市町における現状をいくつかの教育事務所に確認しましたが、いずれも十分な状況把握ができておらず、各市町教委との連携不足が否めず、加えて、国際交流協会が行っている「多文化共生社会の実現」に向けた各種事業とも、連携はしているものの系統立った取り組みは十分なされていない現状があります。つまり、教育委員会はサポーター等の派遣など、就学期間、校内での活動時間での指導が主となり、それ以外は国際交流協会の事業やNPO、各種ボランティアに概ね委ねている印象があります。とりわけ、本人の強い希望にも関わらず、日本語が不得手なために高校入試をあきらめなくてはならない生徒も多数いることも、支援団体等から大きな課題として報告されています。先の決算委員会では、高校入試については、県教委として様々な配慮を行っているが、入学については、公平性の担保、高校での学習が可能であることが前提との答弁がありましたが、「教育創造プラン」の基本方針に照らし合わせても、私は納得できません。

折りしも、今年、障害者権利条約が批准され、日本の大切な法として位置づけられ、その中でキーワードとして「インクルーシブ教育」「合理的配慮」がうたわれています。インクルーシブとは、「あらゆる人が排除されない」ことであり、全員参加、排除のない、すなわち、インクルーシブな社会づくりが人権教育の方針の要となることは言うまでもありませんし、一人一人の個人にとって、必要な当たり前のことが配慮される「合理的配慮」も必然であり、まさに、特別支援教育と同様に、多文化共生教育の本質を考えた時、「インクルーシブ教育」「合理的配慮」が成されて、然るべきと考えます。

そのための手立てとして、全県的にあらゆる情報の発信、集約等がなされ、だれもが活用・利用できる機関の体制づくりが急務であることは言うまでもありません。県教育委員会が芦屋市に設置した「子ども多文化共生センター」が大いに機能を発揮していることは評価しますが、全県で1ヵ所という状態では不十分であり、手立てが必要な児童生徒は全県に散らばっており、早急にブランチ拠点等の設置を考慮すべきと考えます。

さらに、最大の課題となる高校入試を考えた際の試験に必要な日本語指導については、教育委員会として適切な支援と入試における適切な配慮を行う一方で、多文化共生社会の実現に向けて国際交流協会で行う外国人県民の児童生徒への日本語学習支援等とも教育委員会が自ら積極的に連携して、支援がとぎれることなく、しっかりサポートしていくべきと考えます。

そこで、県教育委員会として取り組むべき課題は山積と考えますが、今後どのように多文化共生教育の充実、インクルーシブな教育達成に向け、豊かな心をはぐくむ具体的な諸施策に取り組んでいこうとしているのか伺います。

 

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