黒田 一美議員が一般質問を実施

第326回 2015年2月定例会 一般質問

 

質 問 日:2015年 2月26日(木)

質 問 者:黒田 一美 議員

質問方式:一問一答方式

 

 

1 地域住民によるふるさとの自然保護活動に対する支援について

地域の豊かな自然を保護・保全する取組みについては、平成22年12月議会

において、私の地元である神戸市垂水区の福田川上流での事例を踏まえて、県や地元自治体との連携が重要であるとの立場から質問をいたしました。あれから4年が経過し、福田川とその支流の小川流域、いわゆる「小川フィールド」における自然保護・保全活動は、地域団体やNPOなどを中心に地域活動として根付いてきており、地域の住民も積極的に関わるなど活動の裾野が拡がってきました。

今回は、これら地域での活動を更に拡げていくことにより、住民が地域の良さを再発見する契機となり、地域への愛着、つまり知事が言われている「ふるさと意識の醸成」につながるのではないかという視点から質問させていただきます。

神戸市垂水区を流れる福田川は、須磨区白川台の落合池を水源として垂水区平磯で大阪湾に注ぐ二級河川であり、河口付近にはクロダイやスズキなどの魚が豊富に生息しており、下流の平磯一帯は魚釣りのポイントとして人気が高く、また、兵庫ノリやイカナゴの産地としてよく知られています。また、上流の須磨区との境を流れる小川流域周辺は、里山など非常に豊かな自然が残されているなど、都市開発が進む中にあって貴重な存在となっています。特に、サワガニ、カワムツ、ニホンミツバチの群生のほか、絶滅危惧種とされているツマグロキチョウなど多様な生物の生息地です。これら生物種の発見や保護活動は地域住民、団体などが中心となって行っており、これまでから定期的なシンポジウムや発表会を開催するなど、広く地域住民の参加を呼びかけてきた結果、現在では、これらの取組みに対する地域での認知度は高まってきましたが、今後は地域活動の枠に収めるのではなく、地域住民一人ひとりが自らの問題として関心を高め参画していくためには、例えば、「兵庫県版レッドデータブック」への掲載や県において豊かな自然を保護する地域として紹介するなど、活動の幅を拡げる仕組みが必要です。

広い面積を持つ兵庫県には、この福田川上流域をはじめとして、都市近郊にありながらまだまだ知られていない自然豊かな地域が数多くあると思います。なかには絶滅危惧種など貴重な生物が発見されることもあるでしょうし、その地域でしか生息していないような生物が発見される可能性もあります。こうした取組みを将来にわたって継続し発信していくことは、自然保護にとどまらず、命の大切さを学ぶことやふるさとに愛着をもつ健全な子どもの育成、さらには自然豊かな地域のシンボルとしても役立つのではないでしょうか。

そこで、特に都市開発が進む都市近郊における自然環境の保護・保全活動について、地域住民が自らの問題として身近にある自然環境への関心を高め参画していくためには、県としてもこれらの先進的な地域をモデル地域として広く情報発信していくことが必要であると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

2 生活圏を結ぶ明石海峡大橋の更なる料金体系の見直しについて

私の地元である神戸市垂水区と淡路島を結ぶ明石海峡大橋が平成10年に開通して以来、淡路島へのアクセスは飛躍的に向上し、県内をはじめ阪神間を中心に県外からも多くの観光客が利用しています。本州四国連絡高速道路が発表した明石海峡大橋の月別交通量によると、昨年1月から12月までの1年間で約12,487千台と前年比104%と順調に推移しています。また、この3月から淡路島全域を会場とする淡路花博花みどりフェアの開催により、更に多くの観光客が利用することが予想されます。

一方で、明石海峡大橋は淡路島への観光ルートであるとともに、特に、神戸沿岸地域や淡路島に在住の方にとって、通勤、通学さらには日常の買い物等で利用する生活の道路としての重要な役割を果たしています。

しかしながら、未だ多くの利用はレジャーや物流が主目的ではないでしょうか。神戸と淡路を結ぶ高速バスの運行により通勤、通学時間は大幅に短縮され、来年度から県立高校も神戸と淡路が同じ学区となるなど、通勤、通学圏はより広範囲になってきました。そういう点で考えると、僅か4キロほどしか離れていない神戸と淡路は同じ生活圏と言えます。例えば、通勤や通学だけに限らず淡路島に新鮮なタマネギやレタスといった野菜を買いに行く、反対に毎週末には淡路から神戸に買い物に行くといったことまで含めて日常的な利用がもっと増えてもいいはずです。

また、私の地元である垂水区の明石海峡大橋の出口周辺の丘陵地では大規模な宅地開発が進められており、大型のショッピングセンターや複合型の商業施設が集積するなど賑わいを見せています。一方、垂水区から目と鼻の先にある淡路島では若者が島を離れ高齢化とともに過疎化が進行しています。同じ生活圏であると言ってよい両地域でこのように違いが出ているのです。私は、淡路島から生活の拠点を移すことなく地域に住民が定着するためにも、明石海峡大橋の生活の道路としての位置づけに大きな意味があると思います。通勤、通学は神戸や大阪方面ですが、住まいは自然豊かな淡路島という選択をする人たちがもっと増えてくるような仕組みが必要ではないでしょうか。

明石海峡大橋を渡って淡路島と神戸が僅か2~3分で結ばれたことにより、移動時間で考えれば淡路と神戸は同じ生活圏内にあると言えますが、私は、これまで以上に地域住民の日常的な利用を増やすためには、通行料金の見直しが必要であると考えます。

明石海峡大橋を含む本州四国連絡高速道路については、平成25年12月に国が策定した「新たな高速道路料金に関する基本方針」を踏まえ、生活対策や観光振興などの観点を重視して、平成26年4月からNEXCOと同じ全国路線網に編入され、新たな料金体系に見直しが行われたところです。

適用された新しい基本料金は、ETCを利用する普通車で陸上部については1㎞28.08円から24.6円に、明石海峡大橋については1㎞404.35円から108.1円にそれぞれ引き下げられ、垂水IC~淡路IC間が900円に、垂水IC~洲本IC間が1,860円とより利用しやすい料金水準となりました。

これらのことから、本四連絡道路は、更なる利便性の向上が期待されるところですが、料金割引制度については、土・日・祝日で30%、平日朝夕で最大50%の料金割引を実施しているNEXCOと比較すると、本四連絡道路の休日割引は区間によって割引率が異なっており、例えば、垂水IC~淡路IC間では基本料金と同じ900円、垂水IC~洲本IC間では1,860円の基本料金に対して1,650円で約11%割引、神戸西IC~鳴門IC間では3,280円の基本料金に対して2,620円で約20%割引の休日料金が設定されるなど、NEXCOと料金割引の格差が生じています。

私は、明石海峡大橋については、レジャーや物流だけでなく、同じ生活圏にある淡路と神戸における地域住民の生活を育むうえで欠かせない生活の道路としての役割を一層果たしていくことが必要であり、そのためには、更なる料金体系の見直しが必要であると考えています。

そこで、明石海峡大橋の料金について、NEXCOとの休日割引と平日朝夕割引の格差を解消することにより、さらなる利便性を高めていく必要があるかと思いますが、当局のご所見をお伺いします。

 

3 小児がん対策の推進について

(1)こども病院等との連携を踏まえた新粒子線治療施設の整備について

がんは昭和56年から我が国の死亡原因の第1位を占め、本県においても、がんによる死亡者数は全国平均を上回る形で増加の一途をたどっており、平成25年のがんによる死亡者数は16,288人で、全死亡者数54,366人の約30%を占めています。

一方、小児がんについても、我が国において小児の死亡原因の上位を占めていますが、成人がんとは異なり、小児白血病のほか多くの種類の胎児性腫瘍や肉腫などから構成され、発症数が少ないことに加えて症例が分散しているといわれています。それだけに、地域における小児の初期診療を担う医師への教育の充実と経験値を高めるためには、専門の医療施設に患者を集約して医療の質を高めることが重要です。また、小児がんは、抗がん剤等の投与による化学療法や放射線治療によって全体の7割が治癒するようになっていますが、成長や時間の経過に伴って、抗がん剤や放射線による副作用により、発育・発達障害等の晩期合併症が多く発生しており、治療後の長期的なフォローアップ体制が課題とされているところです。

県では、県立こども病院が平成25年2月に小児がん拠点病院として国から指定を受けており、地域における小児の初期診療を担う医療機関と連携しながら、小児がん治療の質の向上を図っておられます。

がんの治療方法としては、主に手術、化学療法、放射線治療の3つの治療があり、がんの種類や進行度等に応じて、3つの治療法から1つ、若しくは組み合わせた治療が行われており、現在、こども病院では手術、化学療法のほか、エックス線による放射線治療が行われています。

しかしながら、放射線治療のエックス線については、正常な細胞が損傷を受けることがあるため、特に小児がん治療においては、晩期合併症などの副作用が指摘されているところですが、この度、平成28年度にポートアイランドに移転する新こども病院の隣接地に整備される小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設における粒子線治療は、エックス線治療とは異なり正常な細胞を傷つけることなくがん細胞のみをピンポイントで照射するため、身体への負担や副作用も少ないことから、小児がん治療にとっても大きな治療効果が期待されています。このように、こども病院に隣接して粒子線治療施設が神戸に集約されることは小児がん治療の質を高めていくために非常に意義が大きいことです。

また、既に本県には粒子線専門の治療施設である県立粒子線医療センターが平成13年に開設されて以来、昨年度までに5,987名の治療を行い、昨年1年間では745名の治療を行っています。また、当初は動かない部位(鼻、肝臓等)のみの治療でしたが、現在では技術が進歩し、がん死亡1位で動く部位である肺については、ピンポイントで照射し、治療できるようになっています。すばらしいことです。このように、がん治療において優れた実績を誇っていますが、今後、小児がん専門の粒子線治療施設が開設されることで、それぞれの専門分野の特長を生かして、より多くの患者を治療することが可能となります。

そこで、この新しい粒子線治療施設の整備にあたっては、子どもの命を一人でも多く救うため、小児がん拠点病院としての役割を果たす県立こども病院をはじめ、周辺の神戸市立医療センター中央市民病院や先端医療センター、神戸低侵襲がん医療センター等との効果的な連携が欠かせませんが、平成29年度の開設に向けた小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設の整備方針について、当局のご所見をお伺いします。

 

 

(2)粒子線治療の保険適用に向けた取組み等について

この粒子線治療については、高い治療効果が期待できるとともに、身体への負担や副作用が少ないことなど、これからの小児がん治療に重要な役割を果たしていくことが期待されていますが、一方で、先進医療として区分されているため治療費は患者が全額自己負担しなければなりません。

現在、我が国では保険診療と保険外診療の併用、いわゆる混合診療は原則として禁止されており、治療行為全体が自由診療として保険の適用が受けられないことになっています。国では、混合診療を無制限に導入した場合、患者に対して保険外の負担を求めることが一般化し、患者の負担が不当に拡大する恐れのあることや安全性、有効性等が確認されていない医療が保険診療と併せて実施されることにより、科学的根拠のない特殊な医療の実施を助長する恐れがあるとして混合診療を規制しています。

なお、平成18年度からは患者負担の増大を防止するといった観点を踏まえつつ、患者の選択肢を拡げるために、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた先進治療については、保険診療との併用が認められており、現在では粒子線治療を含む107種類の医療行為が先進医療として認められています。

しかしながら、小児がん治療をはじめ、先進医療とされる粒子線治療を選択した場合は、一般保険診療と共通する部分は保険給付されますが、300万円程度とも言われている粒子線治療に係る費用は患者が全額自己負担しなければならず、患者にとって大きな負担となっています。

手術や化学療法では治療が困難な部位や症状においては、この粒子線治療が画期的な治療として期待されているだけに、経済的な理由で治療をあきらめてしまう患者やその家族のことを考えれば、一人でも多くのこどもの命を救うためには、粒子線治療施設の整備にあわせて粒子線治療の保険適用が不可欠となってきます。

がんを治す専門の病院と確立された治療法があるにもかかわらず、治療できずに命を落としてしまう、一人もそういうことがない、すばらしい兵庫を創ろうではないでしょうか。県内で2カ所目となる粒子線治療施設の整備を契機として、環境整備の充実とともに患者の経済的負担を軽減する対策を期待するものです。

そこで、小児がん治療をはじめ成人がんを含めた粒子線治療が保険適用されるためには、どのような課題をクリアする必要があるのか。また、大人に対する粒子線治療の保険適用は非常にハードルが高いと聞いておりますが、小児がんについては、将来ある子どもに対する有効な治療法であるだけに何とか保険適用されることを強く願っています。

そこで、小児がんの粒子線治療の保険適用の見通しについて、当局の取組みも含めてご所見をお伺いします。

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