掛水 すみえ議員が質問(予算審査・教育委員会)

予算特別委員会部局審査(教育委員会・掛水委員)

 

1 教職員の長時間労働是正について

(1)学校運営における人材等が一体となった取組みについて

全国学力・学習状況調査の結果公表について、静岡県教育長の辞任が報道されていました。どの県が第1位かのみが大きく報道され、学力向上がヒステリックに叫ばれています。よきものとしての教育の中身が、成績がいい、試験の点数が高いという非常に画一的にイメージされることに危惧を感じます。1960年代に「学力保障」という言葉が使われ、とにかく学力を支えて底上げしたら、その子は生き延びていけると考えられていました。当時は、すべての人達に仕事があった時代です。しかし、2000年以降は半分の若者にしか仕事がない状況です。それでも、「学力保障」「学力向上」で実践というのは60年代、70年代とあまり変わっていません。

教育は、社会学的には、社会配分機能と言えますが、教育を通過してそれぞれの社会の居場所、位置づけに配分する側の受け皿が今、枯渇しています。教育は、「人間が人間らしく生きる生存権が確立され、展開力を持って生きていくことができる」、そのようなベースを形成する過程です。学校に教員以外の専門スタッフを増やし仕事を任せ、教員の子どもに向き合う時間を捻出したら、教員の長時間労働は和らぐのではないか、という発想に立ち、学校運営を根本から見直す気運が高まっています。

学校基本調査によると、日本の小・中学校の職員は、教員・8割、教員以外・2割です。アメリカは6対4、イギリスはほぼ同等である。中央教育審議会に「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」が設置され、私は、学校事務職員は、学校全体を見渡し、問題を発見し、解決する思考力が必要であり、教育委員会・保護者・地域などと交渉し、連帯する力を身に付けること、危機管理に関する知識も持ってほしいとの期待もあります。実際、学校に配置されている学校事務職員の現在の人数では、ないものねだりでとなっており、大学での体系的な養成システムの確立が必要です。教員養成系大学の中には、カウンセラー・ソーシャルワーカーなどを含め教員以外の専門家を積極的に育成しようとの動きも芽生えています。

そこで、学校における様々な課題に対して、教諭だけでなく学校事務職員、栄養教諭、カウンセラーやソーシャルワーカー等の専門スタッフなどの人材も含め、学校に関係する人材が「チーム学校」として一体となって取り組むモデル事業の実施を提案するが、ご所見を伺います。

【答 弁】

(2)勤務時間適正化プランの実効ある実施について

昨年、OECD国際教員指導環境調査(TALIS)では、日本の教員の1週間当たりの勤務時間は、53.9時間で参加国平均38.3時間の約1.4倍でした。特に、課外活動の指導時間が長く、事務業務・授業計画・授業準備に使った時間等も多いことがわかりました。

また、NPO日本標準教育研究所が、昨年3月から今年1月まで、テーマ別に計3回、のべ1,000人に実施したアンケートによると、学校にいる時間は平均11時間18分、その上、76.3%が帰宅後に自宅で仕事をすることがあるとし、長い人は4時間から4時間29分、持ち帰り仕事の平均は1時間5分、休日出勤も月平均1.7日という結果が出ました。

県教育委員会では、教職員の長時間労働是正のため、学校業務改善モデル事業や勤務時間適正化対策プランが実施され、それぞれの事例集も出されていますが、学校現場で事例集を活用して、超過勤務を縮減するという共通理解ができていないように思います。管理職である校長・教頭に周知するだけでは、この実態是正は困難です。あまりにも、報告と実態がかけ離れていることを憂慮します。

そこで、教職員の長時間労働是正に向け、勤務時間適正化対策プランを実効あるものにするために今後どのように周知・実行していくか伺います。

 

【答 弁】

 

2 義務教育未修了者対策について

(1)義務教育未修了者の実態について

昭和48年第144回県議会本会議において、先輩である杉田哲議員が夜間中学校について質問されています。少し抜粋しますと「教育基本法第3条には、国及び地方公共団体は、能力があるにも関わらず経済的理由によって就学困難な者に対して奨学の方法を講じなければならないと明記しています。当時県内には、神戸市立丸山中学校西野分校ただ1校開設されているにすぎません。唯一のこの学校に通学している最高齢68歳、最年少16歳89名の中学生の学ぶということへの熱意が伝わってくる、教育権のすさまじさが身体を通して理解される」と言葉が続きます。

私も、一度現場を見たくて、現在県内に3校ある夜間学校のうち、生徒数55名の尼崎市立成良中学校琴城分校に伺いました。授業は午後5時30分から8時40分までです。各クラスの授業を見せてもらいました。ひらがな・カタカナから中学校の学習内容まで、外国から来た生徒さんには、生活に必要な言葉を本人の学力に応じて教えていました。日本語の授業が多くクラスごとに内容の難易度が違っていました。宝塚市・西宮市の方もおられました。在日・渡日・新渡日など本当にたくさんの苦労を抱えながら、でも、懸命に学ばれている姿に感動しました。尼崎市の広報誌に琴城分校の紹介が掲載されたら、電話での分校の問い合わせがとても多かったと聞きます。西宮市の市政ニュースにも小さく掲載されました。広報もバラバラです。

公立夜間中学校は、学校教育法施行令25条の5の「二部授業を行おうとするとき」に依拠しています。兵庫県では、義務教育未修了者の実態から、昭和24年2月、全国で初めて、神戸市立駒ヶ林中学校に「長期欠席・不就学児童生徒救済学級」を開設したという歴史があります。全国で31校・2100人ですが、義務教育未修了者は、12万人程度とも言われています。まずは、県内の義務教育未修了者の実態を把握することが重要と考えます。

そこで、県としての義務教育未修了者の実態把握ついて伺います。

 

【答 弁】

 

(2)義務教育未修了者の学びの支援及び県の役割について

昨年、県は、夜間中学校からの要望に対して「中学校夜間学級は、何らかの理由による学齢期の中学校不就学者や長期欠席者及び学齢期を過ぎた中学校未修了者の中学校教育への要求に応える機関であり、県としても重要な役割を担っているものと認識しています。」と回答されています。

支援については、大阪府下・奈良県下の各市町や神戸市・京都市が行っている学齢期の児童生徒と同様の就学援助制度や、西宮市・伊丹市・川西市・宝塚市の4市は教育助成制度を設置、しかし、制度すらない市もあり、生徒の居住地による格差を生み出し、就学が困難になっている現状を認識していただきたいと思います。

また、神戸市・尼崎市の学校設置市のみに、学校運営費の経費負担がかかっている現状では、今後、学校消滅へ向かうのではないかと危惧します。ようやく、国会でも「義務教育等学習機会充実のための法整備に向けた取り組み」が動き始めたと聞きます。

そこで、全国で初めて夜間学校の開設に踏み切った市町のある兵庫県として、義務教育未修了者の学びの支援と役割が重要と考えますが、所見を伺います。

 

【答 弁】

 

 

 

3 学校図書館教育について

全国学力・学習状況調査で毎年出される結果において、「応用問題が苦手」という結果が続いています。思考力・判断力・表現力の育成に言語力は欠かせません。その言語力を支えるのが、学校図書館の豊富な本や新聞などです。国は、2012年度(平成24年度)から5ヶ年で学校図書館図書標準(学校図書館が備えるべき図書の冊数の標準)の達成をめざすため、5ヶ年で約1,000億円の地方財政措置を行っております。学校図書館への新聞配備にも約75億円、学校司書の配置に約150億円の措置です。しかし、これらの図書整備・新聞配備・学校司書配置は、地方交付税措置のため県内でもばらつきが危惧されます。

今年度の文部科学省の調査でも図書標準を達成した学校は、兵庫県では小学校61.1%、中学校では53.9%です。ほぼ全国並みですがこれでいいとは思いません。子ども達がいつでも読み、調べる本・新聞がある環境が必要です。そのためには、子ども達に読書の魅力を伝え、調べ学習をサポートする専門職員の配置も重要です。昭和28年に制定された学校図書館法で「当分の間、司書教諭を置かないことができる」と明記された司書教諭が、法改正によりようやく平成15年からは12学級以上の学校には必置となり、現在、兵庫県では、司書教諭が発令されているのは、小学校、中学校共に100%となっています。しかし、司書教諭は、担任との兼務が当たり前として、司書教諭としての役割をこなすことに無理があり、発令されたもののなにをするのか理解していないという話を聞きます。司書教諭に対して軽減措置がとられ、司書教諭としての活動の時間が保持されているのは10校程度と聞きます。文部科学省や県教育委員会がモデル校として、長年実施されていたことが実を結ぶ状態になっていないのは、とても残念です。また、学校図書館担当職員の配置は、小学校10.7%、中学校11.3%、高校42.8%です。足らずはボランティアでお世話になっているのでしょうか。

鳥取県では、週あたり5時間、つまり1日1時間は司書教諭としての時間が割けるようにしています。教材研究が深まったり、子ども達が落ち着いて学習に集中するようになったとの効果も出ています。学校における読書の目的は、子ども達に読む力をつけることであり、読む力は内容を理解することだけでなく、自分が必要とする本を選ぶ力も含まれます。学校図書館教育は、このような意図的な指導です。学習指導要領にも学校図書館の重要性が指摘されていますが、それを、しっかり実体化していくことが求められます。

そこで、学校図書館を活用した学習活動や読書活動が授業の中にどう位置付けられているのかも含めて、本県の学校図書館教育の実態を伺うとともに、今後の方針について伺います。

【答 弁】

NEWS

一覧を見る