石井 健一郎 議員が一般質問を実施

第328回 9月定例県議会 一般質問案(最終)

質問日 :平成27年10月5日(月)

質問者  :石井 健一郎 議員

質問方式:分割方式

 

1 地方分権の推進について

(1)「特別自治市制度」について

指定都市市長会が提唱している大都市制度改革のプランである「特別自治市」の構想は、現在、国や道府県の事務とされている事務も含め、地方が担うべき事務の全てと、必要となる税財源を大都市に一元化する自治制度になります。

また、府県と指定都市の融合一体化であるという点では、「大阪都構想」と目的は同様ですが、「大阪都構想」では府県が指定都市の機能を併せ持つ形で融合一体化が図られるのに対し、「特別自治市」構想では、指定都市が府県の機能を併せ持つ形でその実現を図ろうとし ており、「特別自治市」制度が実現することにより、二重行政がほぼ完全に解消されると言われています。

その一方で「特別自治市」構想には、広域調整機能の低下や人口・経済が集中する大都市に道府県税が移管されることによる道府県財政へのマイナスの影響、ひいては、大都市以外の市町村における行政サービスの低下などを理由に全国知事会では否定的な見解を示しているところです。

このことに対し、広域調整機能の低下に対する懸念については、三大都市圏では都府県を超える広域調整機能の強化が求められているとし、近畿圏では関西広域連合が設立され、実効的な広域行政を展開するには、「特別自治市」としての立場を獲得し、加入府県などとの広域連携の途を探ることの方が、広域調整の実効性を高めると言われています。

また、道府県財政にマイナスの影響を受けるとの指摘については、現行の指定都市は、道府県の事務を広範に処理しているにも関わらず、これに必要な税制上の手当はほとんど行われていないため、すべての指定都市が地方交付税の配分を受けていて、不交付団体はない。また、事務権限を移譲により県税を移管しても、「特別自治市」の側に大きな財源余剰が生じるとは考えにくいこととあわせ、「特別自治市」の財源が、実質増えるようなことになれば、地方交付税によって財源調整すれば良いとの立場です。

しかしながら、県域の広い兵庫県では、やはり県内近隣市町等との連携を密にし、地域の力を強化することが大切であり、例えは、現在議論されている持続可能な地域形成のため、二地域居住などの多様なライフスタイルの提示を通じることによる地域への人の誘致や移動を促す等の施策実現には県の役割が未だ重要であるとも考えられます。また、2010年の指定都市市長会議における大都市制度検討部会では、都道府県から警察権限を移譲し「特別自治市警察」の設置を政府に求めていくことも検討されていますが、犯罪が多様化広域化する中、なかなか難しい課題であると感じています。

そこで、中央集権体制や東京一極集中の打破など分権型社会の実現に向けて取り組む知事におかれましては、「特別自治市」の制度についてどのような考えをお持ちであるのかお伺いします。

 

(2)「関西広域連合」について

一方、地方分権改革の突破口を開くため、複数府県で構成される全国初の広域連合として平成22年に設立した関西広域連合は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県の2府5県でスタートし、平成24年からは京都市、大阪市、神戸市、堺市の4政令市が新たに加わり、そして、本年7月には未加入であった奈良県が部分加入の表明をしたところです。様々な経緯を経て、今年12月で丸5年を迎えます。

先に述べた分権型社会の実現に向けた取り組みをはじめ、本県が事務局を担う広域防災対策や広域医療体制の確保などの広域行政の展開、国と地方の二重行政解消に向けた国の出先機関の事務の受け皿づくりに、知事は先頭に立って取り組んでこられました。特に、出動回数全国一を誇る公立豊岡病院の鳥取、兵庫、京都の3府県ドクターヘリをはじめ、広域的なドクターヘリの配置・運航では、現在5機のドクターヘリを関西広域連合で事業実施しており、「いつでもどこでも安心医療圏関西」の実現に向け大きな成果を上げています。

また、今定例会に上程された兵庫県地域創生戦略においても、東京一極集中からの脱却を図り、国土の双眼構造への転換を目指して広域課題の解決に取り組む「関西広域連合」と、緊密な連携の下で戦略推進を図るとしており、地方分権の推進に対して重要な役割を引き続き担っていくものと考えます。

そこで、設立から間もなく5年が経過する関西広域連合の取り組みをどう評価し、今後、関西広域連合の広域調整の実効性確保に向けどのような取り組みをされていこうとしているのかあわせてお伺いします。

 

2 県民局・県民センターの再編について

地域における多様な県民ニーズや地域課題に総合的かつ的確に対応するため、県民局管内の区域を所管区域とする農林事務所、土木事務所などの地方機関を、県民局に統合再編するとともに、地域課題の解決、県民や市町との協働を効率的、効果的に推進するため、従来の6県民局を10県民局として、現在の現地解決型の総合事務所である県民局は平成13年度にスタートしました。

以降、平成19年度の新行革プランの策定、平成22年度の新行革プラン見直しに伴う第2次行革プランの策定により、県民局内の事務所をプラン点検結果等に基づき再編や統合を行ってきました。そういう中、昨年4月には、政令市、中核市を所管する神戸、阪神南、中播磨の3県民局は総合事務所機能を維持しつつ、大胆なスリム化を図るとのことで、県民センターに改組されました。

13年間続いた10県民局体制から、7県民局・3県民センターに再編されて2年目を迎えております。10県民局体制の13年間の間にも、事務所の統合・再編等を繰り返してきましたが、2年前の大幅なスリム化では、例えば、神戸県民センターでは他の県民局や本庁に移管された業務があり、総合事務所機能の維持、本来の役割である多様な地域課題に総合的に対応するという観点からは疑問です。

そこで、第3次行革プランの3ヵ年ごとの見直しは来年度行われますが、県民局・県民センターの再編について、どのような視点で、見直しに臨んでいくのか、県の考えをお伺いします。

 

3 兵庫県版ふるさと納税制度について

ふるさと納税制度が創設されたのを受けて、平成20年度より、ふるさと兵庫を応援したい、貢献したいという方からの寄附金を募る兵庫版ふるさと納税制度がスタートしました。実績については、スタート年の約500万円から平成21、22年度は200万円台に低迷していましたが、平成23年度から徐々に増加し、平成25年度は約1,400万円、昨年は約6,400万円と大幅に増加したとされる一方で、ふるさと納税については県においては流出が多い状況となっているとお伺いしております。ふるさと納税は寄付金であり、地方交付税の算出には影響もなく、自治体の自主財源が増えることとなることからも、ふるさと納税額をさらに増やしていくことは県政推進においても大変重要な課題であり、多くの方に応援していただける募集事業の提案・アイデア等について、去る9月30日まで公募を行ったところです。納税しやすい状況を作るため、大幅に対象を増やし、納税する機会を増やすことが大切だと考えます。

あわせて、ふるさと納税については控除枠の拡大により人気が高まり、全国の自治体での競争が激化していますが、その一方で返礼品の競争過熱には批判もあります。県としては返礼品競争には加わらないとの立場であり、ふるさと納税の本来の趣旨からするとそれも一つの考え方であろうと思います。しかしながら、全国的に見ると地元特産品を送るということだけではなく、地域振興や観光誘客のために地域振興券を発行するようなものもございます。発行自治体まで足を運ばなければ使用できないわけであるので、これはこれで一つの考え方であろうと感心しているところです。県としてもふるさと納税の趣旨から逸脱しない範囲でこういった返礼品の研究を進めても良いのではないかと感じます。

そこで、兵庫県版ふるさと納税制度の充実に向け、今回の公募の結果も含めて県の考え方をお伺いします。また、地域振興や観光誘客に効果のある返礼品の研究などを通じ、より多くの方に納税していただける仕組みとしていくべきことも一つと考えますが県の考えをお伺いします。

 

(分割1、答弁1)

 

4 インバウンドの取り組みについて

(1)インバウンドに係るインフラ整備促進について

観光誘客はその場所に観光客がいなければ成り立たないため、国内はもとより世界から観光に来たいとと思わせる仕組み作りが必要であります。そのような認識が広がれば自ずと観光客が訪れることとなります。様々な国の旅行者との交流といった面もありますが、何よりもそのことによって観光客がしっかりとお金を落とし、その地域の地域経済を支えることとなることが、観光客誘致を勧める大きな理由です。

幸い兵庫県への観光客も増加の傾向にありますが、観光庁がまとめた平成26年「訪日外国人消費動向調査」によると、観光目的での兵庫県への訪日外国人の訪問率は6.9%であり、大阪府の34.1%、京都府の27.9%とは大きな差があります。

最近特に注目される、中国人観光客も大阪の59.4%に対し、兵庫県はその10分の1以下の5.1%という状況です。比較的リピーター率の高い、香港や台湾、韓国の観光客への対応も重要でありますし、滞在期間が長く経済効果が高いと思われる欧米の観光客誘客についても今後しっかりと取り組んで参らなければなりません。

また、このような観光誘客については言うまでもなく日本の全ての地域で推進していることであり、今一層の取り組みが求められています。

県におかれては「ひょうごツーリズム戦略」において様々な施策の打ち出しておられますが、以前より課題であった宿泊施設をはじめとする海外観光客の立場に立ったWi-Fiの増設や、クレジットカード利用環境の整備、観光地における多言語でのパンフや説明板設置等が求められており、10月2日の自民党奥谷議員への答弁でもありましたように、今年度からWi-Fi環境整備等を進める観光協会や商店街の支援を始めているとのことであります。ただ、大阪や京都をはじめ、全国の観光先進地と比較すればインフラ整備状況は明らかに遅れており、その結果が外国人観光客の数字に出ているのではないかと考えます。

そこで、やる気のある県内各市町や民間事業者と連携して、インバウンドに係るインフラ整備により一層促進することにより、他地域に先んじて魅力ある観光地、また滞在しやすい観光地として認知されることにより海外からのリピーター客増を目指すことは大きな課題であると考えますが県の見解をお伺いします。

 

(2) 新たな観光ルートの開拓について

また、「ひょうごツーリズム戦略」において北海道や九州等インバウンドが比較的好調な地域と連携することも掲げられています。従来より東京を中心とした関東、関西が連携した観光ルートについては研究が進められ、実績も上がっているところでありますが、関西以東に重きを置く状況にはあまり変化がありません。

そういった意味において、先に述べた「訪日外国人消費動向調査」でも、観光目的での訪日外国人の訪問率は、北海道は10.7%、福岡県は11.3%と関東圏、関西圏以外では最も高い訪問率となっており、北海道や九州との連携を図る提案については大いに賛同しております。北海道は地理の問題もあり、なかなか難しいところもありますが、アジア地域のインバウンド獲得に向けて、その窓口機能を果たしている九州、特に博多から新幹線で約2時間程度であることからも福岡県へアプローチに力を入れていくべきではないでしょうか。

先に紹介した訪日外国人の訪問率でも、アジア地域、特に韓国からは32.2%と全国一となっています。さらに、福岡空港への外国人入国者は、空港別では成田、関西、羽田に次いで全国4位、福岡空港・博多港への外国人の入国者数も3年連続過去最高を記録し、平成26年は120万人に達するなど、非常に魅力的なターゲットであると思います。本県へのインバウンド推進に向けた九州と関西が連携した観光ルートの開拓については、今後の可能性が秘められているのではないかと感じております。

そこで、県におかれてはそういった新たな観光ルート開拓に向けて他府県や旅行会社を始めとする関係各位とともに積極的な役割果たしていくべきではないかと思いますが県の考えをお伺いします。

 

5 創エネ・省エネの推進について

本県では第3次兵庫県地球温暖化防止推進計画に基づき、低炭素社会の実現を目指していますが、再生可能エネルギーを積極的に作り出す「創エネ」と、エネルギー消費量の抑制を図る「省エネ」を、平行して精力的に取り組んでいく必要があることは言うまでもないと考えます。

県下の再生可能エネルギーの導入量は1,172MW(2015年3月資源エネルギー庁)と全国第5位と高くなっており、例えば淡路島内では「あわじ環境未来島構想」策定もあって、風力発電では南あわじウインドファーム(37.5MW)に象徴されるように目立った設備も稼働しています。淡路では太陽光発電については、2015年3月で、メガソーラーについては21ヶ所、73MW、一般家庭については3,833戸、17MWという規模に上ります。

今後このような動きを淡路以外の地域に拡大していくことが県全体の再生可能エネルギー増大につながり、かつ再生可能エネルギー利用によるとCO2発生量抑制に寄与し、地球環境の貢献につながります。もちろん設備投資等のコスト、原子力発電が以前のような規模を望めない状況では、県としても具体的に国や企業や関係団体と連携して県民の安定した生活基盤維持のため具体的に施策を進め、また新しいスキームを考えるべきと思います。

もう一つ進めるべきことが、先ほど申し上げたエネルギー消費量の抑制です。東日本の震災以降、産業界のみならず生活者の方々にも節電に協力いただいている状況です。

政策としても従来からの省エネ設備導入の補助金等からさらに踏み込んだ施策や各自治体や企業と一体となった例えば共同広報活動が必要ではないでしょうか。特に生活者に直接働きかける対応として、環境創造協会が主体となった「うちエコ診断」事業の実施や広域連合でのエコ商品の購入への「エコポイント」等が上げられますが、まだ一般の方に周知されているレベルではないように思います。

そこで、創エネ・省エネの推進に向け、再生可能エネルギー導入のための新たなスキームの検討や、省エネに向けた各種施策の効果的な認知方法の検討などが必要と考えますが、県の所見を伺いします。

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