前田 ともき議員が質問(健康福祉部)を実施

決算特別委員会  [ 10月14日(水)(健康福祉部・前田 ともき委員 ]

 

 

1 兵庫県がん対策推進計画について

2013年4月策定にされた本計画は予防・早期発見・医療体制の充実が主な施策としてあげられている。

今回は県民のQOLや医療経済的にも効果があるであろう、早期発見と予防について、計画2年目である昨年度の成果について伺っていきたい。

計画策定時の主な見直しポイントとして、がん検診受診率の50%(胃、肺、大腸は当面40%)を達成とある。特に本県は検診の効果が科学的に証明されている5大がん検診のすべてが全国でワースト10 に入り、一昨年度の実績ではいずれも40%に満たない受診率となるなど、がん検診受診率の向上は喫緊の課題である。

 

(1)がん検診の受診率向上

受診率向上に向けた取り組みとしてすべてのがん種の検診受診率が県平均より低い市町を重点市町として指定した取り組み成果や企業・職域に対する受診啓発の取り組み成果について伺う。

また、2010年に実施された県民アンケートでは受診をしない大きな要因として費用が挙げられている。既に無料クーポン券など実施しているが、さらなる助成措置が必要と考えるが、所見を伺う。

 

(2)ピロリ菌対策

ピロリ菌の感染者は国内3,500万人で50歳以上の8割が感染しているといわれている。感染すると慢性的な胃炎を発症し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍につながるなど、胃がんリスクが非常に高いといわれている。同計画では、がん予防5つの推進方策の一つとして、感染に起因するがん対策をあげ、HPVや肝炎ウィルスへの正しい知識や受診の啓発をあげている。しかし、ピロリ菌については国の検討会や関連学会の動向を注視する、としているのみである。

そしてここ数年ピロリ菌の除去が胃癌リスクの軽減に大きな効果を上げることが明らかになってきた。WHOはこのピロリ菌を当初は発がん要因の一つとしてきたが、2014年9月に胃癌の8割はピロリ菌が原因とし、除菌は胃癌の発生を3割~4割抑制できるとして各国に対策を求めている。また、本年9月には国立がん研究センターがピロリ菌と胃炎の両方を持つと10倍以上、胃がん発生が高まる調査結果を発表した。

胃癌は2011年の全国調査で部位別がん罹患数1位、部位別死亡数でも男性2位、女性3位であり、しっかりと対策を講じていくべきだが、本計画の個別がん対策では触れられていない。このような状況の中、篠山市は学校検診で、全国初のピロリ菌検診を実施しているが、市町でのピロリ菌対策は端緒についたばかりである。

胃癌対策としてのピロリ菌検診や除菌の有効性、また、受診機会の拡大や費用助成についての現状と今後の方針について伺う。

 

 

 

2 薬局の役割の拡大について

保健医療計画では、患者が医薬分業のメリットを享受できるよう、かかりつけ薬局の普及啓発や在宅医療への参画等、地域医療に貢献していくため、薬局の機能強化を図るとされている。

本県の薬局は、昨年度末で2,543あり、街の身近な健康相談窓口として、医薬品等の情報を適切に提供するほか、 患者が薬を飲み残している「残薬」や薬の重複投与を防ぐ服薬指導、セルフメディケーションの推進など多岐に亘る活動に取り組んでいる。特に、医療費抑制の観点からジェネリックの推進や在宅高齢者だけでも年間500億円あるという残薬は大きな問題であり、薬局の役割が期待される。また、コンビニより店舗数が多い薬局は、県民にとっての医療健康の身近な拠点としての質的拡充を図っていくべきと考えている。

保健医療計画の推進方策では、 「かかりつけ薬局」としての相応しい機能を発揮してもらうため、多様な県民ニーズに対応できるよう研修体制を充実して、薬局の質的向上を図る、とされている。厚生労働省も全国5万7千軒ある薬局をかかりつけ薬局に再編する方針を打ち出している。

 

(1)かかりつけ薬局の質的・量的整備

かかりつけ薬局の県内における状況や薬局に対する支援状況を伺う。

また、2014年1月には厚労省通知で「薬局の求められる機能とあるべき姿」の活用を求められたが、かかりつけ薬局の機能強化に向けた取組みの現状や通知を踏まえた対応について、あわせて伺う。

 

在宅医療の推進や慢性期への対応、チーム医療の方向性、医療経済性、こういったことを考えると、病院・診療所以外の医療拠点の必要性があり、アメリカのような上級看護師ナースプラクティショナーによるクリニックも一つの解と考えていた。日本の場合は薬局を拠点として活用し、認定・専門看護士を組み合わせることで、地域の身近な医療・健康拠点が一気に整備できるのではないかと考えている。

そのような中、日本再興戦略では薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が打ち出され、グレーゾーン解消制度化により、自己採血による簡易検査の適法性が明確化された。薬局の役割拡大に向けた大きな第一歩だと思う。

昨年度は兵庫県も県薬剤師会に委託し、糖尿病を早期発見するため薬局での簡易検査モデル事業を実施した。

 

(2)セルフメディケーションの拠点としての薬局のあり方

薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業の評価や検体測定室の整備状況について伺う。

また自己採血で可能な検査項目は8種類のみとなっていることから、胃がん罹患の原因とされているピロリ菌など、検査項目制限の撤廃を特区で提案すべきだと考えるが、所見を伺う。

 

3 健康づくりチャレンジ企業の取組みについて

(1)利用者ニーズに沿った助成・支援サービス

健康づくりチャレンジ企業の事業では、平成29年度を目途に1000社の登録を計画している中で、昨年度は418社と進捗としては厳しい。登録すると様々な助成を受けることができ、今年12月に義務化されるストレスチェックに対応するメンタルヘルスへの助成や子宮頸がん検診の補助など様々なメニューがある。企業にとっては大変お得な制度だと感じる。

一方で4万枚のチラシや各団体での情報提供をしながら、この進捗は助成メニューに魅力を感じないことが要因ではと考える。

利用者ニーズに沿った新しいメニュー開発、例えばがん検診の受診率向上のため、女性特有のがんだけではなく、5大がんの検診受診促進補助を行うなどの取組みが必要なのではないかと考えるが、所見を伺う。

 

(2)勤労者健康づくり運動施設整備事業

登録すると利用できるメニューの一つに、勤労者健康づくり運動施設整備事業がある。これは、事業者の遊休施設を活用して運動施設の整備、ダンベルやエアロバイクなどの備品やフローリング工事、運動指導者の人件費を補助するもので最大250万円が補助される。特に課題であった働き世代の運動実施率向上を対象にした事業だと思うが、以下の理由により本当に利用されるのか懸念を持っている。

1 周囲が残業しているのに、仕事を切り上げて職場内で運動する人がいるだろうか。

2 運動器具が数台しかない中途半端な施設に利用者側はメリットを感じるのか。

昨年度は35件程度を想定する中、21件の実績にもかかわらず平成27年度でも予算が拡大している。21件の事業所での利用状況はどうなっているか。また、備品整備となると転売リスクもあるため、ランダムでの備品確認などは実施しているのか。

また、遊休施設がない事業者や上記課題への対応として民間フィットネスクラブやスポーツ施設の法人会員への助成などは検討できないか、所見を伺う。

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