前田 ともき議員が質問(公安委員会)を実施

決算特別委員会  [ 10月16日(金)(公安委員会・前田 ともき委員 ]

 

事件・事故を一つでも0に向けて歩みを進めていく必要があるが財政的な制約があるなかで、大幅な組織増強は難しい。そのような制約条件の中で、私は最適化、効率化、外部化が県警組織は必要であるとの観点から質問する。まずは、最適化について伺う。

 

1 警察人員の地域間格差の是正について

今回は48警察署、701交番・駐在所の定員設定の在り方について伺いたい。これは、地域の治安の基礎となる警察官がしっかりと最適配分されているのか。都市と郡部の格差、一部の警察署に過度な負荷がかかっていないのか、その状況について伺いたい。

以前、警察常任委員会に所属し、管内調査でいろいろな署を視察し、データも拝見した。

その中で「本当にこの地域に交番、駐在所が必要なのか」、「事件や事故が少ない警察署にこれだけの警察官が必要なのか」と感じた。

委員会で指摘した当時の数値では、警察官1人当たりの住民人口が、豊岡北警察署だと295名、宝塚警察署だと1,009名である。これは、宝塚では一人の警察官で1,009名の地域住民を守っているが、豊岡北ではその3分の1以下の295人という格差があるということである。ちなみに、全国の平均を見ると、県警本部も含めた数で単純比較できませんが、500人程度、欧米では、300人程度である。

配布した資料をご覧願います。警察官1人当たりの刑法犯認知件数では、美方警察署1.5に対して、尼崎東警察署にあっては12.3と、8.2倍もの格差。交通事故件数は、豊岡北0.8に対してたつのが5.9と、7.2倍もの格差となっています。

市街化面積や他署との連携力など、最適配置を設定するうえで様々な指標で検証する必要はもちろんある。要するに、今の配置状況では、一部の地域で警察官に対する負担が偏っているのではないか。」そういった負担の偏りのため、住民は警察サービス、治安サービスがしっかりと享受できていないのではないかということである。実際、警察官が住民の家を訪問する「巡回連絡」も、都市部特有のオートロックマンションや多くの110番対応のため郡部より進んでいないと聞く。そう考えると、本来、警察官が最適配分されていれば、検挙できた事件、防止できた事故が多くあったのではないかとも感じるのである。

昨年12月の我が会派の代表質問で、石井健一郎議員が「警察官の適正な定員について」質問し、治安情勢に応じて組織体制は不断の見直しを行うと答弁されている。

そこで、昨年12月以降、警察本部として、警察署の定員設定に対してどのような見直しを行ったか伺うとともに、警察官の負担の偏りに対する見解と、何倍程度までの格差は許容範囲なのか、あわせて伺いたい。

 

 

2 警察官の採用基準の改善について

次に、人員の質的向上について伺う。

公務員は、景気が回復傾向となると、一般企業等へ優秀な人材が流れていく傾向があり、どうしても応募者数が減少傾向となる。安全で安心な兵庫を実現していくためには、優秀な人材の確保が必要であり、常に対策を講じなければならない。平成22年度は、受験者数が約6,500名、競争倍率10.8倍であったが、平成26年度では、約4,000名と減少し、競争倍率5.6倍まで落ち込む状況となっている。人材の質的確保を図るためには、一定の競争倍率が必要で、5年で競争倍率がほぼ半減している現状は、今後の兵庫県警の基盤を揺るがす重大な懸案事項になるのではと考える。

ここで、目を向けたいのは、警察官を目指しながら、採用基準等に阻まれて優秀な人材が受験できない状況にあるのではないかという思いである。従って、受験制度の柔軟な見直しや検証を行っておくことが重要である。

兵庫県警では、平成20年度から受験資格年齢を30歳から35歳に引き上げるとともに、平成21年度から情報処理、心理相談など、特別区分の採用試験を導入し、平成26年度からは、女性警察官の身体基準である身長を155センチから150センチに、体重を45キログラムから43キログラムに緩和するなど、改善がなされている状況にある。

そこで、県警が今まで行ってきた年齢、身体基準の緩和、特別区分の設定など、採用基準の改善は、今までの採用数にどのような効果があったのか。また、今後、優秀な人材を確保するための受験資格のあり方について県警の見解を伺う。

 

次は効率化について伺いたい。

 

3 携帯GPS位置情報の捜査・捜索などへの活用について

ICTを活用した警察組織の効率化については、2年前の予算委員会、6月本会議等で指摘してきた。今回は、位置情報を活用した効率化について質問したい。

従来から、110番通報の場合には携帯電話の位置情報が自動的に県警に送信され、迅速な対応に役立ってきた。また遭難や大規模災害時の生命又は身体に対する重大な危機が切迫する事態には携帯各社から位置情報の提供を受けて、救助の可能性向上に取り組んでいる。

また、捜査についても活用策が開かれようとしている。2011年に改訂された個人情報保護に関するガイドラインで位置情報を用いた捜査が可能となった。しかし、同ガイドラインには、捜査に活用する際でも「位置情報が取得されている事を利用者が知る事ができるとき」という規定があり、捜査の対象に位置情報を取得していることを通知する必要があった。これでは、秘匿に捜査を進めていく事は不可能で、捜査に使いにくいのではと容易に想像される。

しかし、本年の6月から総務省が新しい指針を示し、携帯電話のGPSによる位置情報を取得する場合、本人への通知手続きは不要となった。このことからGPS情報をより捜査に活用しやすくなり、捜査の効率性が格段に上がるように考える。

そこで、GPSによる位置情報を取得する警察活動について2点伺う

(1)これまでの活用と成果について

まず、従来から携帯電話の位置情報を活用した、犯罪捜査や遭難者・行方不明者捜索活動等での運用と成果はどのようになっているのか伺う。

 

(2)今後の捜査活用について

新たな総務省の指針を受け、相手方への通知手続きが不要となり、効率的な犯罪捜査が見込まれるが、その運用を適切に行うためどのように取り組んでいくのか伺う。

 

4 私人逮捕による警察力の外部化について

今の警察は、犯人の逮捕、取り調べなどに加え、DVや徘徊老人の捜索など、社会からの要請を受け、その業務の在り方が多様化している。現在の財政状況から、警察官の大幅な増員は期待でず、警察のマンパワーだけでは限界がある。そこで可能な限り、業務の外部化・共有化を図ることが必要になってくる。

警察においては、既に業務の外部化が行われており、駐車監視員、交番相談員など警察官以外の人材が地域の治安のために、業務をシェアしている。究極の外部化は、県民ひとり一人がその地域の治安のために、防犯活動や助け合いをすることであり、現在でも防犯パトロールや監視カメラの設置、振り込め詐欺へのだまされたふり作戦など地域住民も連携をしながら行われている。

しかし、冒頭申し上げた通り、事件・事故を限りなく0にするためには現状の対策ではまだ不十分と考える。

そこで今回は、私人逮捕による警察捜査の外部化を検討してみたい。現在、業務分担とは言えないまでも、捜査協力や捜査情報収集の観点から、捜査特別報奨金制度や拳銃110番報酬制度、警視庁でのツイッターや大型ビジョンで犯人の画像を公開することで、犯人の検挙までの効率化を図っている。

そこで、お伺いしたいのが、「私人逮捕」について。刑事訴訟法は、第213条に「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と規定している。まずは、公益的発想を持つ、県下に約10万人の公務員、県下の8割の約170万世帯をカバーする自治会等で構成するまちづくり防犯グループ、約2万人に及ぶ警備員など多くの人材に、現行犯逮捕についての周知を行い、併せて、負傷防止に係る教育も行った上で、積極的に犯罪検挙活動に参加してもらい外部化・共有化を推進する考え方である。また、逮捕行為に至らなくても、スマートフォンなどで撮影してもらう、写真を撮って情報提供してもらうことで、先に言った情報提供による捜査協力になる。これで犯人の検挙に至る過程の効率化を図ることができる。

実際に、全国で一般私人が現行犯人を確保している事例はいくらでもあり、県下でも同様で、更に一般人のスマホ撮影から事件解決に至った事例がある。こういった観点で、私人逮捕による警察力の外部化を推進し、限られた人員で検挙活動の効率化を図ってはどうかと考えるが、当局の見解を伺いたい。

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