前田 ともき議員が質問(産業労働部)を実施

決算特別委員会  [ 10月16日(金)(産業労働部・前田 ともき委員 ]

 

1 多様な金融支援について

今年6月に閣議決定された骨太方針では資金供給の円滑化として、融資に過度に依存してきた資金の流れを、株式やメザニンに移行させることが重要であり、政府系金融機関による民間の補完等により、資金の流れを多様化・複線化する、とある。

(1)キラリひょうごプロジェクトの成果と課題

新たな資金供給の手段として昨年度から始まったキラリひょうごプロジェクトでは、公募で選定されたジャムや豊岡鞄、こうのとり純米酒など9件のプロジェクトを対象に、クラウドファンディングで資金調達支援を行った。

9事業の資金調達の成果とあわせて事業を選定する際の事業計画の評価や分配金・商品の

制度設計はどのようになされたのか。ふるさと投資という制度への評価や購入型への波及についてもうかがう。

 

(2)多様な資金供給手法の開発

兵庫県の制度融資は3000億円規模で、この金融支援だけでは量的に不十分であり、更なる金融支援の多様化が必要であると思われることから、多様な資金供給手法の開発について伺う。本県においては既にIPOを目指す企業への投資ファンドを2本運営している。日本全国を対象にしたVCファンドでもリターンは相当厳しいのに、兵庫県内に限定してしまうと相当運用が厳しい。投資収益を期待する投資勘定ではなく、助成金との認識であればいいが。運用期間を10年ではなくより長期の運用期間に変えていく検討も必要と感じる。

多様な資金供給法については、平成24年度決算委員会でメザニンローンの創設について発言した。企業が資金調達する際に、年利1~2%のゾーンと10%以上のゾーンというのはあるが、年利5~9%ぐらいというのは、ぽっかりと空いてる。 そこを補完するのが、メザニン融資。ほかの債権よりも返済順位が劣り、返済期間を長期化させる代わりに金利が高目に設定された融資で、資本性融資とも言われている。

2年前の答弁では、既に実施されている日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度の実施状況、課題などを踏まえながら、研究していきたいとされている。

クラウドファンディングやメザニン融資、動担保融資など新たな資金調達策が生まれているが、中小企業や地銀・信金だけではその活用にはなかなか至らない現状もある。

兵庫県の地域創生戦略においても、産業・投資の活性化方策として直接金融の拡大が記載されていることから、多様な供給策についての現状や利用の促進、県としての役割についてうかがう。

 

(3)農業やNPO法人など新たな資金供給先の拡大

特区における規制緩和の一環として、商工業とともに農業を営む中小企業等への信用保証制度が創設され、養父市で本年2月から「アグリ特区保証融資制度」を実施した。10月からは、中小企業と同様の事業を行うNPO法人も保証協会の保証を利用できるよう改正中小企業信用保険法が施行され、①常時雇用する従業員数が法の定める要件に該当、②保証協会の保証対象業種を営んでいること、などの条件を満たせばNPO法人の保証も可能となった。

中小企業向けの資金供給拡大の手法として保証料の引き下げは限界が来ているし、新しい資金ニーズへの対応も考えていく必要があると考える。

そこで、保証の適用が可能となった、商工業とともに農業を営む中小企業等やNPO法人といった新しい供給先の拡大が必要と考えるが、今後の取り組みを伺う。

 

 

2 多様な起業支援制度について

(1)起業家支援事業の評価

有望なビジネスプランを有し、県内で起業を目指す女性やシニア起業家向けに事務所開設費や備品費など起業に関する経費の助成を行うのが本事業。日本は起業率が諸外国と比べて圧倒的に低いため、起業の低リスクを図る意味でいいきっかけになると感じている。

そこで、本起業制度によって生まれた新しい雇用や事業はどのようなものか、また、平成27年度から女性起業家支援事業が拡充され、シニア起業家支援事業とふるさと起業支援事業が新設されているため、本制度の評価について伺うとともに、本来であれば世代的にお金がない、人脈はない、ノウハウもない、でもやる気・勇気だけはある。そんな若者向けの助成制度を創設するのが先ではないかと考えるが、当局の見解を伺う。

また、これら支援制度では受付期間がたったの1か月しかない。受付-審査-交付まで一定の期間が必要とはいえ、起業は思い立ったが吉日。スピード感が重要であり、この1か月制限が、申し込みの障害となっていないか。より多くの起業家にこの制度を活用して貰うためには、案件選定の審査会があることを考慮しても最低でも年2回の受付を設定すべきであると考えるが、所見を伺う。

 

(2)NPO法人への対象拡大

女性、シニア、ふるさと起業支援事業では全てNPO法人は対象外となっている。

最近はより経営的な手法で世の中を改善していく社会起業家、ソーシャルベンチャーも新しい担い手として注目を浴びている。若手経営者が株式会社と変わらない事業をNPO法人で経営し、病児・病後児保育や不登校支援やうつ病対策など、社会性と同時に雇用や新しいサービスを提供していく大切な担い手である。株式会社もメセナ、CSRなど実施しており、営利企業かNPOの2者択一ではなく、混在化しつつある。

NPO向けは、ひょうごボランタリープラザの助成金も存在するが、起業向けの助成プログラムはなく、またビジネスの視点で継続的に支援をしていくためにも、ひょうご活性化センターによるソーシャルベンチャー支援も行っていくべきである。また、地方創生が叫ばれるが、利益重視でいくと、市場規模や選択と集中の観点から郡部に株式会社が起業・進出しないのはある種で当たり前。郡部での起業や新しい雇用やサービスの担い手は利益をそれほど重視しないNPO、ソーシャルベンチャーが今後はその任を担うのではないか。

そのようなことを踏まえると、本事業でNPOを除外する必要性はないと考えるがご所見を伺う。

 

 

3 企業誘致に向けた規制の緩和について

昨年の兵庫県の工場立地件数は49件、全国4位の実績である。今年度、産業立地条例の策定により、設備投資補助や雇用補助の適用要件の緩和等を進め、さらに企業誘致の促進を進めているところであるが、果たしてお金を出す補助メニューの拡大だけで、十分なのだろうか。ふるさと寄附金と一緒でお返し合戦、補助金合戦の自治体同士の消耗戦になることを懸念している。大事なのは企業経営でもそうだが、カネよりチエが大事である。私は、企業誘致に関しては規制緩和が一つのポイントだと見ている。

例えば工場の誘致に際しては、緑地面積率の規制等がある。工場立地法で敷地面積が9000平方メートル以上などの工場で施設の建て替えや新設をする際に、工場敷地内の緑地の面積割合を20%以上と定めている。1974年の法施行前に立地した企業では特に緑地確保が厳しく、設備投資の足かせになっていると聞く。この20%を条例で緩和している自治体も複数存在する。

また、千葉市ではインターチェンジ付近の市街化調整区域における倉庫や事務所の建設を可能とする規制緩和に動くなど様々なチエを絞っている。今年度からは県土整備部で特別指定区域の改定を図ったところでもある。

企業・工場誘致の窓口となる本部局においては企業が進出する際に発生する様々な規制を細やかに把握しながら、市町・庁内・企業と連携して規制の見直しを図っていくべきと考えるが、当局の規制緩和による誘致策の現状や規制が誘致のボトルネックになっていることに対する認識、今後の取り組みについて伺う。

 

 

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