石井 秀武 議員が一般質問を実施

質問日:12月7日(月)

質問者:石井秀武議員

質問方式:分割方式

 

1 県と神戸市の連携について

先月22日に行われた大阪府知事及び大阪市長のダブル選挙では、大阪都構想の再検討を主張する大阪維新の会の2候補が圧勝し、当選を果たしました。今後、大阪府、大阪市では、いわゆる二重行政の解消のために大きな枠組みを変えていくことの検討がなされていくこととなります。

一方、兵庫県と神戸市では、良好な関係のもと、しっかりと個別に協議が行われ、県市の東京事務所やシアトルの海外事務所の共同利用など、連携によるムダを省く取組みが進んでいると思います。また、中小企業の振興を図る外郭団体である兵庫県の「ひょうご産業活性化センター」と神戸市の「神戸市産業振興財団」に関しても、来年度の組織統合を見送る方針が先月発表されたものの、活動拠点は来年度からハーバーランドの神戸市産業振興センタービルに集約し、相談窓口を一本化することとしており、効果的な連携が着実に進んでいると思います。

今後、連携した取組みをさらに効果あるものとするとともに、その取組みを県民・市民の利便性や生活の向上につなげていかなくてはなりません。そのためには、施設の共同利用などのハード面での着実な取組みに合わせ、重複業務の解消や事業実施効果の向上につながる連携等をより積極的に行っていく必要があると考えます。

今回、中小企業支援の分野では組織統合も含めて検討されましたが、市の独自性を保つべき部分もあるということで統合は見送られました。ただ、拠点施設が同じビルに集約されるということなので、今後、より連携を深め、類似業務の効率化などにつながっていくことを期待します。

また、その他の分野での検討も必要であります。特に、観光、農業分野においては検討の余地があると考えます。そのためには、まず、各分野での県と市の推進ビジョン、計画等の整合性を図る協議を行った上で、同じ方向性で進める部分については、重複事業等を精査、実施主体の変更などを行っていくことで、効率的、効果的な行政サービスの提供につながり、費用削減等の大きな効果が期待できると思いますが、そのような体制になっているのか疑問であります。

知事は、以前の平成23年度の本会議でも答弁されていましたが、今年4月の記者会見においても、県と政令指定都市の間に二重行政は存在せず、それぞれの事業にそれぞれ必要性があり、もし二重性があれば神戸市とよく話し合いながらどちらかが主体的に取り組みたい、とされています。

ただ、その点に関しては、毎日新聞が行ったアンケートに対し、神戸市長は「二重行政があると感じている」と回答したことが報道されていましたし、県民の多くも同様に感じているのではないかと考えます。今回の「ひょうご産業活性化センター」と「神戸市産業振興財団」で行ったような検討を、さらに踏み込んで継続して行っていく必要があるのではないかと考えます。

そこで、兵庫県と神戸市に関しては、相互の連携や調和を意見交換する政策調整会議等も活用され様々な事業の意見交換等を行ってきていますが、特に、観光、農業等、各分野での連携の取組みをどのように行っているのか、今後の方針も含めて伺います。

 

2 神戸空港の国際化を含む最大活用について

まず、神戸空港の国際化を含む最大活用について伺います。

神戸空港は平成18年の開港以来、関西3空港の役割分担の中で、一地方空港であるという役割を前提に、一日30便、運用時間は7時~22時など運用に厳しい枠がはめられています。

また、平成26年度の国内線の旅客数245万人で、地方管理空港中第1位と多くの利用があるにもかかわらず、地方管理空港で唯一、国際線はオウンユースチャーター便と自家用機しか認められていない現状にあります。

地方管理空港の中で国際線の利用者が最も多いのは富士山静岡空港であり、平成26年度で約24万人と前年度より約8万人増加しています。インバウンドの増加に伴い、東京に近く交通至便であることが要因であると言われています。一方、神戸空港に関しては、平成26年度の国際線利用者数は統計上25人という数字が公表されていますが、神戸市中心地まで約10㎞で、かつ大都市である大阪にも近く、交通至便であり、かつ関空の国際線利用者が毎年増えている現状から、発着枠や運用時間の規制が緩和され国際化が進めば、同様に多くの利用者が見込まれると考えます。

さらに、インバウンド促進の観点で、神戸は京都、大阪に遅れをとっており、特に、台湾、中国、韓国などからの誘客は大阪に比べて極端に低い状況にあります。三宮駅周辺の再開発も具体化しつつあり、「うめきた」のように世界にアピールできるようなインパクトある開発は期待できないものの、海外からの神戸、兵庫の認知を向上させ、インバウンドを促進させる上でも、県としても神戸市と連携して、三宮駅周辺の再開発に先駆けて神戸空港の国際化にも取り組んでいくべきではないかと考えます。

一方、関空と伊丹空港については、先月、運営権売却について、オリックスとフランスの空港運営会社大手「バンシ・エアポート」の企業連合と基本協定を締結し、来年3月末に両空港の運営がこの企業連合に移管されることとなりました。神戸空港においても、神戸市が3空港一体運用に向けて、運営権売却に向けた準備を進めています。

私は、知事の積極的な海外訪問に関し、神戸空港の国際化が進むことで、より効果的に海外に兵庫県をアピールすることができ、兵庫の認知度向上と誘客の促進につながることは間違いないと考えます。

そこで、神戸空港の運営権売却が進められようとする中、現状の課題を克服し、神戸空港の国際化を含む最大活用に向け、兵庫県と神戸市が一体となって取組むべきと考えます。大変デリケートな時期であり、現段階では答弁しにくい面もあると思いますが、あえて知事にご所見を伺います。

 

3 六甲山の再生について

続いて、神戸の海の上にある空港から山に移動し、神戸のシンボルともなっている山、六甲山の賑わい創出による再生に関して伺います。

六甲山は、神戸港開港後にやってきた外国人により、山荘や日本初のゴルフ場建設などリゾート地としての開発が進みました。明治に入り、登山やスキーなどが行われるようになり、大正・昭和初期にはドライブウェイやロープウェイが整備され、市民の身近なレクリエーションの場となりました。昭和31年には瀬戸内海国立公園に指定され、自然保護と利用調整を進めながら開発が行われることとなりました。高度経済成長期以降、関西屈指の避暑地として多くの企業の保養所等で賑わいを見せていましたが、バブル崩壊以降の景気低迷やレクレーションニーズの多様化等により次々と保養所等は閉鎖され、当時の賑わいを失っていきました。私も、ほぼ毎年、六甲山の縦走大会に参加していますが、年々、賑わいがなくなってきていく状況を見ながら、再生に向けた取組みの必要性を感じていました。

そういう中、先月、六甲山の賑わいづくりに向け、保養所や別荘などの閉鎖された遊休施設の再活用などに関して、神戸市長が井戸知事と連携した取組みを進めて行くとの報道がありました。

聞くところによると、神戸市主体によるプロジェクトチームに県も参加し、議論が始まったとのことであり、そこでの今後の議論に期待したいが、保養所等が多くある六甲山上は、市街化調整区域であるとともに、自然公園法や風致地区における建築等の規制に関する条例などによる開発規制が多くあり、超えなくてはならないハードルも多いのが現状のようであります。

ただ、六甲山の再生は県・神戸市の双方にとって、兵庫・神戸の魅力向上のためには不可欠であることから、地権者等の理解等、別の課題も新たに生じるとも思いますが、県・市連携して、構造改革特区による開発規制の緩和を国に求めていくなど、今後も県として積極的に関与して、六甲山の再生に取り組んでいくことが望まれます。

そこで、県が、現在、把握されている六甲山の保養所や別荘などの現況を伺いますとともに、県と市が連携して取り組もうとする六甲山の賑わい創出による再生に向けた今後の展望についての見解を伺います。

 

4 都市周辺における農村地域の振興について

少子高齢化の進展や東京圏等への人口流出により、平成21年を頂点に人口減少傾向に転じた本県においては、人口の急速な減少と偏在化の進展を踏まえ、農山村地域の存続が危ぶまれる事態が想定されます。農村地域の活力の維持を図る取組みが必要であります。

9月定例会で議決された本県の「地域創生戦略」では、人口が減少しても活力ある豊かな兵庫を実現するための1つのキーワードとして「交流」を掲げ、交流人口により農村地域が持続することを、2060年の兵庫の姿として展望しています。

また、同戦略においては、地域特性を踏まえた展開方向が示されており、「大都市圏」及び「大都市に連担する準都市圏」では、重点的な取組方向として「大都市の魅力の更なる向上」「拠点都市機能の向上」があげられています。ただ、このような地域においても農村地域は存在し、その存続・維持を図っていくためには、やはり農業を軸とした賑わい創出や交流促進等が不可欠と考えます。

幸い、大都市近郊に位置することから、魅力ある取組みを行えば、交流促進等につながっていく可能性は高いと思います。例えば、交流人口増加に向けた市民農園の充実や、農業体験などの農業への親しみを向上させる取り組みのさらなる推進が期待されます。

また、先日、地域限定で農家に少量での酒類製造販売を認める「どぶろく特区」が、政令市で初めて西区と北区で認定されたことが神戸市より発表されました。農家民宿やレストランで自家製酒類を提供できるようになり、さらなる交流促進が期待されます。県としても、このような交流促進の目的に加え、従来からの住民はもちろんのこと、移住した都市住民も含めた農村全体での取り組みという観点も含め、農家レストラン等の農の6次産業化の推進が重要と考えます。そして、特に私は交流の中心となる人材の育成がポイントとなると考えますが、いずれにしても農村地域振興に向けた様々な農業関連の取組みの展開が望まれます。

そこで、農村地域の維持に向け、賑わい創出、交流促進に関する、人材育成を含めた農業を活用した取組みが不可欠と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。

 

 

5 スポーツの振興について

(1)  日本スポーツマスターズ2017兵庫大会に向けた生涯スポーツの振興について

シニア世代を対象としたスポーツの祭典「日本スポーツマスターズ2017兵庫大会」の開催まであと2年となりました。10月から各種目ごとに県下各地で開催地決定イベントが開催され、県民への周知、開催機運の醸成が図られています。

競技スポーツの全国大会が国民体育大会なら、生涯スポーツの全国大会が日本スポーツマスターズであると考えます。シニア世代で生涯スポーツに親しむ方が自己の技量を試す、また、かつて競技スポーツで活躍していた方のセカンドステージとなるなど、様々な形でスポーツを続ける方が目標とする場となっていると考えます。

2017年の兵庫大会の開催を控え、まず、このようなスポーツマスターズの位置づけを明確にし、そして県民へのPRに努め、県民に浸透を図る必要があります。その上で、生涯スポーツにおいても、競技団体と連携して、国体同様にマスターズ世代の参加者の育成を図るとともに、大会出場に向けてシニアの指導体制の構築、場の提供を推進していくことにより、裾野の拡大につながり、様々な形で生涯スポーツの振興に寄与するものと考えます。

日本スポーツマスターズ2017兵庫大会の開催は、まさに、生涯スポーツのさらなる振興の絶好の機会と考えますが、本県での開催を単なる一過性の開催イベントに終わらせないよう、生涯スポーツの振興にどのようにつなげていこうと考えているのか、ご所見を伺います。

 

(2)自転車競技の振興について

のじぎく兵庫国体からもうすぐ10年が経過します。県では、競技スポーツの全国大会である国民体育大会に向けては、兵庫県体育協会や各競技団体と連携して、選手発掘からトップアスリートの育成までの系統的な指導をはじめ、競技力の向上に努めています。

中でも、来年から女子が正式種目に追加される自転車競技については、競技力向上が望まれます。また、健康、エコの観点から、生涯スポーツとしてのサイクリング愛好家が急増する中、競技スポーツとしての自転車競技の振興を図っていく絶好のタイミングだと考えます。

現在、兵庫県における自転車競技の活動の中心は県立明石公園内にある自転車競技場であります。ジュニア育成教室から公式記録会など、自転車競技の競技力向上に、同競技場を活用して競技団体を中心に取り組んでいます。この自転車競技場は公益財団法人兵庫県園芸・公園協会が所有・管理を行っており、実情に即応した修繕や改修が困難な状況にあります。また、言うまでもなく、公園の一部としての機能より、県の自転車競技の中心施設としての機能の方が色濃いのではないかと思います。一方、兵庫県と同様に今回、関西ワールドマスターズゲームズ2021における自転車競技の候補地に手を上げている隣の鳥取県では、公益財団法人JKA、すなわち旧財団法人日本自転車振興会ですが、この法人と県の補助を受け体育協会が施設整備を行ったうえで、管理運営を行っています。

本県においても、スポーツの振興を担い、兵庫県自転車競技連盟が加盟をしている体育協会が管理運営を担っていく方がよいのではないかと思います。既に、明石公園内では弓道場が県体育協会の管理となっているケースもあります。日本スポーツマスターズ2017兵庫大会が行われるこの機をとらえ、施設の管理運営の方法について、兵庫県園芸・公園協会と県体育協会との間で協議を行ってはどうかと考えます。

また、活動の中心である明石公園周辺には、明石高校、明石南高校、伊川谷高校、伊川谷北高校をはじめ、多くの県立高校が立地していますが、それらの高校には部活動として自転車競技を行う高校がない状況にあります。絶好の競技環境にある周辺地域の高校等における自転車競技の部活動の実施を推進するなど、活動中心地周辺での自転車競技の振興に力を入れるべきと考えます。この点は他の競技スポーツも同様に、中心施設のある地域周辺での振興に取り組むべきと考えます。

さらに、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会や、関西広域連合として関西ワールドマスターズゲームズ2021の開催が決定しています。このような機会を捉え、競技スポーツとしての自転車競技をさらに振興していくため、教育委員会においてもその体制づくりに取り組んでいく時期であると思いますが、ご所見を伺います。

 

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