◆16年2月定例会 討論

概要 代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

平成28年度当初予算案等に係る討論(賛成)/黒田議員

 

民主党・県民連合議員団を代表して、ただいま上程中の平成28年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号議案ないし第54号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 

本定例会に上程された平成28年度当初予算案は、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせ3兆3,532億円の予算編成となりました。

 

井戸知事は、地域創生戦略を具体化するスタートの年、兵庫地域創生元年の平成28年度当初予案算を、“兵庫創生に挑む”予算として提案され、「防災・減災対策」の実施や「安心の確保」のほか、「人口の自然増対策」、「人口の社会増対策」、「地域の元気づくり」など、県民の安心・安全を守る兵庫創生の基盤づくりと、地域の元気を構築していく地域創生を推進する分野に重点的に予算配分されております。

 

また、行革については、新行革プラン策定後の8年間の取組みは概ねプランどおり進捗しておりますが、本県の置かれている財政状況は深刻さを脱してないと言わざるを得ません。平成28年度の当初予算では、歳入歳出収支は前年度に比べて110億円改善したものの、未だに320億円もの不足額が生じています。また、震災関連県債残高が未だ4,386億円に上っており、県財政においては震災の大きな傷跡として今でも残っています。

 

このような厳しい状況のなか、県当局としても「第3次行革プラン」に基づく財政フレームの範囲内での対策を講じ、退職手当債100億円、行革推進債100億円を発行するとともに、県債管理基金120億円を取り崩す方策をとられました。他県にない震災復興への取組も含め、行財政全般にわたるこれまでの懸命な改革の取組は評価するところでありますが、本会議や予算委員会での審議の際にも指摘があったように、退職手当債の活用、県債管理基金の取り崩しなどの財政手法の意図を県民に丁寧に説明していくことが重要であります。

 

このような厳しい財政制約の中、私たち民主党・県民連合議員団では、今定例会に提案された各議案に対し、本会議における代表質問・一般質問や常任委員会での審査、予算特別委員会における質疑・質問を通じて、慎重に審議を行って参りました。

 

また、現在県政が抱える課題について指摘し、その改善を求める一方で、昨年11月には9テーマ76項目からなる「予算編成に対する申し入れ」を行ったところであり、このような私たちの会派の主張や活動方針等に掲げたテーマに基づき、以下、来年度当初予算案などに対し、今後解決すべき課題など、私たちの会派の意見を述べたいと思います。

 

まず、一点目として、我が会派では「地域主権社会の確立」を主張しています。人口減少をはじめ、東京への一極集中に伴う地域間格差の解消などが大きな課題となっている中、本県においても、出生数の低下や人口の転出超過等、同様の課題に直面しています。このような課題に県を挙げて取り組むため、地域創生戦略を策定したところですが、この「地域創生」を初めて具体化する平成28年度当初予算については、効果が十分に出るよう施策の絞り込みを行うとともに、各自治体の「自主的・主体的な取組み」への支援を大前提とした予算として、地域主体により地域の元気回復を図る必要があります。

 

2点目は、「持続可能な行財政構造基盤の確立」についてです。平成30年度の収支均衡、持続可能な行財政構造の実現に向け、まさに行革はラストスパートの段階となります。新年度も更なる「選択と集中」、公社等外郭団体の継続的な検証、投資事業の改革等を進めていくとともに、新年度実施する平成30年度までの行革の最後の総点検では、より効果的な対策への見直しに徹底して取り組むべきと考えます。

 

3点目は、「健康福祉社会の実現」についてです。地域医療の確保に向け、県内における医療格差の解消を図るとともに、子育て環境の整備、男女の出会いの機会づくりへの支援、里親・特別養子縁組の推進など、実効ある少子化対策の推進が望まれます。

 

4点目の教育に関しては、我が会派では生き抜く力を育み「子どもが輝く社会の実現」を目指しておりますが、中でも、継続的に主張してまいりました多文化共生教育の推進については、外国人児童生徒への日本語指導や母語による学習支援を充実させることを評価する一方、選挙権年齢の18歳以上への拡大を踏まえた成熟した民主主義醸成のためのシチズンシップ教育の推進、教育の機会均等を図る奨学金制度の充実などに期待します。

 

5点目の「危機管理型社会の実現」、すなわち県民の安全確保に関しては、大規模自然災害等の危機管理事案に対して、的確に対応できるよう地域の防災力を高めていくとともに、地域安全確保、治安維持の観点では、警察行政において、警察官の欠員を充足する人材の早期確保が求められます。

6点目の「産業活力社会の実現」に関しては、「地域の元気」の実現に向け、中小企業の自立と地域経済・活性化対策、若者の県内就職支援、労働者の賃金等の改善も含めた雇用就業対策などのさらなる推進が望まれます。

 

このほか、「環境循環型社会の実現」「快適で潤いのある社会の実現」「こころ豊かな共生社会の実現」についても、重要課題として着実かつ強力な取り組みを期待いたします。

 

以上、来年度当初予算案に対する評価、さらに一層の取り組みが求められる重要な県政課題について述べてきましたが、上程された予算案等については、極めて厳しい財政状況のなか、先にも述べましたように、様々な実態を踏まえた必要不可欠な事業を選択し、必要な額を確保したものであり、県政を取りまく重要課題に対応していこうとする努力が窺える予算となっており、評価いたします。

 

しかしながら、その一方で私たちの会派が提言・申し入れ、あるいは本会議など、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項には、さらなる取り組みが必要な分野や精査すべき課題が少なからず残っています。

 

知事におかれましては、今後とも、県民の声を真摯に受け止めながら、行革の最終盤における総仕上げに向けて全力で取り組んでいかれるとともに、県民の安心・安全を守る兵庫創生の基盤づくりと、地域の元気を構築していく地域創生を推進に向けて、強力なリーダーシップを発揮されることを強く要望します。

 

最後に、私たち民主党・県民連合議員団も、井戸知事とともに未来に対する責任を共有しながら、持続可能な兵庫を構築し、兵庫の誰もが将来にわたり希望を持ちながら、この兵庫県で安全に安心して暮らし続けることができる社会の実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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