向山 好一議員が一般質問を実施

 

質問日 : 2月25日(木)

質問者 : 向山 好一 議員

質問方式: 分割方式:1、2(1)~(2)、3、4、5

1 神戸空港の将来像について

関西3空港における神戸空港の将来像について伺います。

神戸空港は今年の2月16日で開港10周年を迎えました。

「神戸には港が2つ、海と空。これまで活かし、これから伸びる」この句は、先日行われた10周年記念行事で井戸知事が詠まれたものです。なかなかの力作で本当にそうなったらいいなと感動しながら聞いていました。

しかし、現実は厳しくて神戸空港の利用客は当初予測の6割程度と伸び悩んでいます。さらに今後、取り巻く環境が大きく変わろうとしています。それは、関空・伊丹両空港の完全民営化の動きです。今年の4月から関空・伊丹は関西エアポートという民間企業が一体運営する空港へと変わります。このことが神戸空港にどのような影響を与えるのでしょうか。

最近3か年の3空港の利用客の推移を見てみると、関空は平成25年の1,781万人が26年には1,935万人、27年は2,321万人。伊丹は平成25年の1,382万人が26年1,453万人、27年は1,454万人。両空港は最近の観光ブームに乗って順調に伸びています。一方、神戸空港は、25年232万人、26年250万人、そして27年は243万人と残念ながらほぼ横ばい状態です。

この流れは今後どうなるのでしょうか。先程申しましたとおり関空・伊丹両空港は1つの会社として民間企業の自由な発想のもとでお互いを補完しながら魅力のある空港として新たな事業にチャレンジしていくと思われます。それに比べ神戸空港はがんじがらめの制約のもとで潜在能力が発揮できず明るい戦略が描けない状態が続き、その格差はどんどん広がっていくのではと危惧せざるを得ません。

事業主体の神戸市は、これまで幾度も規制緩和を政府に要望し、兵庫県もそれを後押ししてきましたが、分厚い壁のもとで全く進んできませんでした。しかし、ここにきてようやく状況は大きく変化しようとしています。それは、コンセッションによって1兆2千億円あった関空の負債の返済に展望が見えてきたことと、関西全体の課題であった関空の稼働率が大きく改善していることです。

さらに、昨年には神戸空港も運営権を民間に売却する方針を打ち出し、本格的に来年度からその模索を始めます。私は、この取り組みは神戸空港の将来を左右する極めて重要な課題だと認識しています。つまり、神戸空港が関空・伊丹とともに一体的オペレーションによってお互いを補完し合って発展できるか、或いはこれまでのように周辺需要を満たす一地方空港として細々営業するかの岐路に立たされているのです。

そこで、知事に伺います。神戸空港のコンセッション実施と規制の緩和は知事もその必要性はお認めのところですが、その実現に向けてどのような戦略を持ちなのでしょうか。私はこの問題はオール関西で取り組むことが必要だと思っています。その観点から御見解をお伺いいたします。

さらに、関空の利用客が大きく伸びている最大の理由はLCCによるアジア諸国との連結です。今後このインバウンド効果の最大化を図るうえで関空を補完する空港として、24時間運用可能な海上空港、さらに三宮という都心への移動時間が20分以内という優位性を活かして神戸空港の将来の国際化に向けて準備する時期にきているのではないでしょうか。

兵庫県は神戸空港に補助金を出しターミナルにも出資している団体として、神戸空港の将来像にも責任の一端を担うべきだと思いますが、神戸空港の国際化についても、あわせて知事の御見解を伺います。

 

2 インバウンド対策について

(1)医療ツーリズムの推進について

兵庫県のインバウンド対策について2点質問します。

最近、日本は爆発的に外国人観光客が増加しています。平成25年に初めて1,000万人を超えましたが、翌年には1,341万に、そして昨年は1,974万人と急激に伸びています。その主な要因は円安による割安感にあり、為替レートによる変動はあるものの、アジア諸国の中間層の増加を考えると、いよいよインバウンド2,000万人時代が到来したといっても過言ではないと思います。

そこで、兵庫県でのインバウンドの実態を見てみますと、平成27年に初めて100万人を超える見込みです。しかしながら、ここ最近の兵庫県への外国人観光客の訪問率は約6%であり、この数値は最近の急激な増加の中でもほぼ変化がありません。一方、外国人延べ宿泊者数で見ると兵庫県はここ数年で約1.8倍に延びているものの、例えばお隣の大阪府はここ数年で倍増、和歌山県でも3倍増と大幅に数字を伸ばしています。兵庫県は外国人観光客の取り込みに成功しているとは言えない状況です。

観光産業の経済効果はすそ野が広く観光客の入り込みが地域の経済成長に直結することを考えれば、これから観光分野の都市間競争がさらに激しくなっていくと思われます。つまり、兵庫県に如何にしてインバウンドを取り込むかをいま真剣に考えるときではなでしょうか。

それでは、その都市間競争にどうやって勝つのか。先ほど質問しました神戸空港の空の窓口としての活用と合わせて兵庫ならではの価値・差別化を深化させることが必要ではないでしょうか。それは神戸ビーフや姫路城など定番的な話はもちろんのこと、この際違う角度に目を向け、「医療ツーリズム」つまり「外国人の特に富裕層に医療を受ける目的で兵庫県に来てもらう」ことに積極的に取り組むべきではないでしょうか。

なぜこの提案をするかといえば、「医療ツーリズム」の最大の売りは、その国では提供されない最先端医療、より良い品質の医療を受けることができるからです。ポートアイランドには医療産業都市構想のもとで先端医療センターはじめ最先端医療の集積があり、播磨科学公園都市には粒子線医療センターや西播磨総合リハビリテーションセンターがあり、湯治のための有馬温泉や心身のリラクゼーションが味わえる六甲山があります。兵庫県は「医療ツーリズム」の適地だと思うからです。様々な課題があることは承知していますが、医療ツーリズムの振興に向けた取り組みについて、当局の御見解を伺います。

 

(2)旅館の活性化について

さらにインバウンド対策に関しもうひとつ質問します。今「民泊」が話題となっていますが、その理由は単純に大都市を中心に宿泊室数が不足気味なのに対し、空き室が年々増えてきていることから、それを活用したらどうかという発想が元になっています。現に、東京都大田区やお隣の大阪府ではいわゆる「民泊条例」が制定され、積極的に導入しようとしています。果たして兵庫県では民泊は必要なのでしょうか。

兵庫県と東京都、京都府、大阪府の直近5年間のホテル、旅館などの客室稼働率を調べてみました。条例を制定した大田区のある東京都の全施設の稼働率は5年前の68.0%から82.5%へと増加、大阪府は68.2%から85.3%へと増加して確かに供給不足気味になっています。一方、兵庫県は53.6%から59.0%とまだまだ余裕があります。さらに、その中身に兵庫県では顕著な特徴があります。それはホテルの稼働率が80%を越えて東京や大阪と比べて遜色ないのに比べ、旅館の稼働率が37.1%と極端に低いという傾向があるのです。他方で、東京や大阪の旅館の稼働率は50%を越えています。民泊以前にこの「空室」となっている旅館をいかに活かすかという施策が必要です。

しかし、県内を見渡すと、有馬温泉や城崎温泉では、浴衣体験を楽しむ外国人の姿が多く見られるなどそれなりに活況を呈しています。そのことを考えると、兵庫県下の旅館は2極化されているのではないかと思いますが、インバウンドの活力を未だ引き込めていない旅館には、どのような課題があると認識されておられるのでしょうか。また、先日可決された緊急経済対策では、外国人観光客受入整備基盤事業として、観光協会等の取り組みの底上げを図っていますが、今後、稼働率のなかなか上がらない旅館をいかに活性化していくかということもあわせまして、当局のお考えをお伺い致します。

 

3 若者教育への経済的支援について

次からは「人」への投資の観点から数点質問します。

「コンクリートから人へ」、これはわが党の理念です。「このことで地方が疲弊した」と批判される方もいらっしゃいます。そこには大きな誤解があります。公共事業の拡大や金融政策だけで景気が良くなるのならとっくに景気は回復しています。私たちは防災を含め必要な公共事業は推進しながら無駄を排し「人」への投資を拡大し、能力の発揮をはばむ「格差の壁」を取り除き、人が活躍することによって地域の成長を促そうとしています。特に、若者が兵庫の地で育まれ、兵庫の地で活躍して貰うことは地域創生の観点からも非常に大切なことです。

そのためにはまず、子どもの貧困問題、親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切らなければいけません。我が国は、教育に費やす自己負担額は先進国で最高レベルにあり、親の貧困が子供に連鎖し教育分野に格差としてあらわれています。つまり、経済的理由によって中等・高等教育を受けたくても受けられないという事態につながっています。

例えば、高校の授業料は民主党政権時に就学支援金を創設し公立高校は実質無償化となりましたが、公私の格差はいまなお存在し、私学に通う世帯の経済的負担は相当なものがあります。確かに、県としても授業料軽減補助を行い、28年度にはそれを拡充する予算を提案されていますが、それでもなお授業料の自己負担額が年収250~350万円世帯で約6万円、350~590万円世帯で約18万、590~910万円世帯で約26万円、それ以上は38万円程度であり、それに施設整備費などを加えると相当な負担です。私学に通う高校生が全体の26%、4人に1人となり、所得格差が広がり私学生をもつ家庭の負担感が以前に増して高まっている現状を考えると何らかの対策が必要ではないかと考えます。

一方、お隣の大阪府では800万円世帯まで授業料に限らず施設費等まで含んで概ね無償化が実現しています。近隣の京都府でも500万円まで同様の補助を行っており、その差は歴然となっています。

総務省人口移動報告書によると、昨年兵庫県では7,409名の社会的転出超過があり、北海道に次ぐ悪い数値でした。その要因として大阪府への転出の拡大が指摘されていますが、今後のさらなる転出を防ぐためには、私立高校の負担格差の解消も必要ではないでしょうか。この所得による教育機会の格差、公私間格差、近隣格差の解消が急がれると思いますが、私学教育へのさらなる支援の必要性についてのご見解を伺います。

 

4 投票率の向上策について

投票率の向上、特に若者対策についてお伺い致します。

年々投票率が低下していることはご承知のとおりです。最近の投票率を少し紹介しますと、一昨年の衆議院選挙が全国52.7%で前回より6.7ポイント減、兵庫県では50.9%、前回より7.7ポイント減。

3年前の参議院選挙では52.6%、前回より5.3ポイント減、兵庫県では53.0%、前回より1.4ポイント減。

去年の県議会議員選挙は40.6%、前回より0.9ポイント減。

もはや国政選挙でも有権者の半数しか投票に行かない、我々地方議会となると統一して選挙を実施しているにもかかわらず6割の人が投票に行かない状態になっており、先進国で最低レベルになっています。

さらに、今後はどうかといえば、残念ながら減少傾向に歯止めがかかりそうな雰囲気は感じられません。民主主義の危機に直面していると言っても過言ではない状況です。

今年は7月に参議院議員選挙が予定され、実質その選挙から選挙権年齢が18歳まで拡大されます。投票率でいえばさらに低下することが十分懸念されるわけであります。

投票率の向上は簡単な話ではありませんが、投票しやすい環境を整えることは効果的で、そこには余地がまだ多く存在しています。その1つが大型商業施設や駅構内などの集客施設に期日前投票所を設けることです。政府も投票日までの拡大を検討していますが、ショッピングセンターなどの商業施設に投票所を設けることは、親子で買い物に行くついでに、或いは友達同士で集まったついでに投票を済ませることができ、特に次代を担う若者の投票率向上対策としては極めて有効だと思います。

兵庫県では前回の衆議院選挙で7か所の商業施設に期日前投票所を設けています。

そこで、選挙管理委員会に質問致します。選挙権年齢が18歳以上に拡大されたこの機にショッピングセンターなどの商業施設への期日前投票所設置を大幅に拡大すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、それに向けての課題と解決策はどのようなものでしょうか。

選挙管理委員会は昨年12月にメンバーが変わりました。その先頭に立っておられる立石新委員長にお伺い致します。

 

5 兵庫県の国際交流について

兵庫県の国際交流事業について伺います。

兵庫県は国際交流事業の拠点としてワシントン州、西オーストラリア州、パリ、ブラジル、香港の5つの海外事務所を開設しています。スタッフは県職員5名、他組織派遣2名、現地採用職員11名等、全体で19名で運営し予算総額としては1億5千万円強となっています。

私は昨年、ブラジルと海南省へ県議団の一員として2度渡航させて頂き、現地での記念行事等で井戸知事が県民を代表して国際交流の先頭にたっておられる姿をみさせて頂きました。島国日本として、海外に目を向け現地に事務所を構え、アンテナを張り巡らせることはとても重要で、井戸知事が海外交流に精力的に取り組んでおられる姿勢には敬意を表しています。

しかし、少々感じることもありました。それは、5つの事務所の活動内容を見てみると、兵庫県の特産品を紹介したり、観光イベントを実施したり、教育・文化等の人的交流を深めたり、同じような内容の活動が各地で行われている印象を受けています。その活動それぞれは大切なことで否定はしません。しかし、海外事務所を開設するにはそれぞれに目的とミッションがあって、それをもっと明確化してメリハリのある活動を行うべきではないかということです。しかも、そのミッションは兵庫県民の国際化とともに何らかの恩恵、特に経済的効果と結びつくことが大切ではないかと思います。あれもこれもではなく、あることに特化すべきではないかということです。

その視点で、特に私が指摘しておきたいことは、西オーストラリア州事務所についてです。地元企業の神戸製鋼所神戸発電所では現在140万KWの発電をし、神戸市のピーク電力の70%を賄っています。その原料の約半分はオーストラリア産の石炭です。さらに5年後の平成33年には新たな発電所が稼働し最終的には130万KWが増設される予定で、その原料もオーストラリア産の石炭が多くを占める予定です。つまり、兵庫県下の消費電力の4割程度はオーストラリアから来る石炭によって作られる時代になるということです。

さらに、川崎重工は、次世代エネルギーと言われる水素の海上輸送の実証実験基地を神戸空港島に2020年に作る予定です。この水素はオーストラリアの褐炭から生成されます。

つまり、県民生活と経済活動を支える電力と兵庫県の次世代を担うべき水素産業はオーストラリアの資源と密接に係わることになります。

そのことを考えれば、いまパースにある西オーストラリア州事務所には外部から招聘するなどして資源やエネルギーの専門家を配置すべきではないでしょうか。また、場所がパースでいいのかどうか検討を行っても良いのではないでしょうか。

当局の御見解をお伺い致します。

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