迎山 志保議員が一般質問を実施

質問日 : 平成28年2月26日(金)

質問者 : 迎山 志保

質問方式: 分割方式

 

1 これからの「働き方」について

(初当選時1歳だった息子もこの春には小学校に入学する。振り返ればめまぐるしい5年間だったが、保育園など公的支援はもとより祖父母、地域祖父母、母親同士、そして夫の理解協力があってここまでやってこられた。実力以上に評価される場合がある一方、自分に対しては極度に過小評価をするという女性が働く上での落とし穴といわれる状況を繰り返し、また同じ立場の男性が感じることのない子供への罪悪感にも苦しみ、働き方を自問自答した日々だった。しかし、今は、社会の中で役割を果たしつつ、多くの人に関わりを持ってもらいながら子育てするこの毎日に大きな充足感を得ている。そして現在はまたいわゆる『小1の壁』にぶつかっているところであるが、現在進行形のこの実感を持って県民の声を届けていくことが私の大きな使命であると思っている。)

まず、全ての方の問題として考えていただきたいこれからの「働き方」について伺う。

今定例会に、今年度で第2次計画が終了する男女共同参画計画の後継計画の策定が提案されており、その中の重点目標として、すべての女性が活躍できる環境の整備、仕事と生活の両立の実現、家庭や地域における「きずな」の強化等が掲げられている。

国立社会保障・人口問題研究所の2010独身者調査によると、「いずれ結婚するつもり」と答えた18歳から34歳の未婚女性が、結婚を決める際重視するポイントとしてあげたのは経済力、職業、学歴、容姿などの項目がある中で、1位の人柄に続いたのが家事の能力、仕事への理解、というものだった。家事能力については『重視する』は97年の43.6%から62.5%まで上昇しており、『考慮する』を加えると実に96.4%が相手の男性に家事能力を求めているのである。また、男性が女性の経済力を『考慮・重視する』という割合も10ポイント以上上昇している。そしてもう一つデータを紹介する。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「子育ての楽しさ」の調査である。全体として、「楽しい」と答えた比率は、父親78.1%、母親67.6%と、継続して父親の方が10%以上高いという特徴があるが、就労形態別で分析すると、父親・正社員×母親・専業主婦という組み合わせでは、「いつも楽しい」と答えた母親が7.7%と最も低く、かつ夫婦間のギャップも大きいという結果(父親19.5%)であった。インカムを長時間労働する夫一人に頼った家庭の子育てのしんどさが表れている。

これらは雇用環境が不安定な中で、女性が男性に一方的に経済依存することが難しいと同時に、いわゆる昭和の典型的な家庭形態が限界にきているという現状も物語っている。現に、一般的に妻が専業主婦でやっていけると言われる年収600万円以上の独身男性は、5%程度、そして若い男性の約4人に1人が非正規雇用と言われる。この現実を直視した政策を進めなければならない。そして、また、仕事と生活の両立というと、ともすれば子育て時期の支援、働く女性への施策に矮小化されがちである。介護離職が相次ぐ中、子育てや介護といったケアワークを、女性の無償労働に頼っていた頃の認識を払拭し、男女問わず、世代問わずこの施策を進めていかなければならない。

これから介護か育児をしながら働く人が多数派となる中で、男女関係なく時間に制約がある人が労働者の主流になる。そういう中で、冒頭に述べた男女共同参画計画の重点目標の、「女性の活躍」「仕事と生活の両立」「家庭におけるきずなの強化」の全てを実現するには、全ての人の働き方自体を考え直す以外に方法はないと考える。誰もが本来のフルタイム勤務ができなくなる可能性があるということを念頭に働き方を見直し、短時間正社員の導入、長時間労働等を前提とした勤務の見直し、就業コアタイムの導入等、育児・介護と両立しながら各人の力を活かすことのできる、これからの「働き方」を提案していく必要がある。県でも仕事と生活のセンターなどにおいてインフラを整えつつあるが、その助成制度の利用状況をみても、まだまだ価値観の壁が大きいと考えられる。

そこで、めざす社会として男女がともにいつでもどこでも生き生きと生活できる社会を掲げている今回当局提案された計画を実現することにおいては避けて通れない、家庭におけるケアワークの担い手に関する認識を伺うとともに、男女や世代を問わず全ての人でケアワークを担っていくことによって変ってくる、こらからの「働き方」について、県として精力的に啓発や支援を進めていかなくてはならない時期に来ていると考えるが、認識を問う。

 

 

2 がん闘病者の就労継続支援について

長寿が進み、医療技術が発達すればするほど、がん以外の病気で亡くなることが少なくなってきた。また、以前はがんと診断されずに亡くなっている人が診断される機会も増えた。男性の5人に1人、女性の6人に1人が70歳を待たずにがんと診断されている。県でもがん対策の重要性は認識されており、がん対策推進計画に基づき来年度も内容の充実に向けた新たな予算が計上されている。今回は、県計画の中でも課題として認識され、厚労省から今週23日に支援のための企業向けガイドラインが公表された「がん治療と職業生活の両立支援」、中でも就労継続対策について伺う。

がん患者のうち3人に1人は就労可能年齢の64歳までに罹患している。しかし、がんと診断された後、被雇用者の35%は依願退職や解雇によって失業、自営業者の31%が休業、廃業しており、有収入者でもその平均年収は395万円から167万円に大幅減している。その背景にはがんが死に直結する病気、治らない病気であるという思い込みが世間一般、企業にも、本人にも根強くあることが考えられる。しかし先月明らかになった国立がん研究センターの分析結果では10年生存率は全体で58.2%に達しており、今後その率がさらに向上することは予想に易い。現在治療は入院治療から通院治療にシフトしている。35歳~64歳の入院平均日数は15.1日という短さであり、日帰り手術や3泊4日程度の内視鏡手術も増え、通院治療が当たり前になった今、がんは生活の中で共存していくものであるとの意識転換が必要である。就労でいえば、完治してから復職ということはあまりに非現実的である、ということである。

現在、県ではがん拠点病院を中心に相談支援センターの充実がはかられ、ハローワークと連携した就職支援も行われている。しかし、現在の治療環境を考えると就労継続に対する取組に重点を置くべきと考える。医療機関から職場への情報提供、双方の情報共有、産業医・スタッフ、社労士の活用など、有効な支援を今後どう進めていくかが重要となる。

また、被雇用者の4割近い非正規労働者にあっては、そもそも利用できる休暇制度がなかったり、がんの好発年齢である60歳以上が52%を占める中小零細企業(兵庫県15.5万社123万人勤務 平成24年経済センサスより)の経営者に至っては、その罹患が事業の存続そのものに影響する場合もあって深刻である。そうした社会的セーフティネットの乏しさにも目を向ける必要もある。

そこで、県としてがん患者の生活の質を維持する就労継続支援についての所見を伺う。

 

(答弁1)

 

3 ドライブレコーダの設置促進について

昨今の交通事故に関しては被害者・加害者ともに高齢者が増えており、平成26年の高齢者運転の関与する交通事故の割合は10年前の約2倍、全体の23.1%という現状にある。聞き及ぶところによると、そうした事故が発生した際、当事者である高齢者が事故の状況を正確に説明できないケースも多発しているという。

また、交通事故捜査に関して、一昨年の決算委員会でも指摘したが、ひき逃げ検挙率において全国平均50%に対して、34.7%という数字の低さを課題として捉えていること、加えて昨年10月に発覚したマニュアル違反事案を機に認識したのが、年間2500件を超えるという否認件数の多さである。この否認事件の多さが現場警察官の大きな負担になっていたのではないかと考える。

これらの課題を解決し、各運転手に安全運転を認識させる上で、私はドライブレコーダの設置が効果的と考える。ドライブレコーダとは事故発生前後の映像や加速度、ブレーキ操作などを記録するもので、最近では常時録画型のものもある。交通安全への効果としては、「運転状況の見える化」によっていざという時には客観的な事故情報が得られ、通常走行中には、見られていることによる安全意識が働き、事故削減につながるというものである。事故低減効果は7.5%と言われ、事業用自動車に対しては国交省による購入補助や業界団体による助成事業もあり2010年で10%を超える普及が進んでいるが、自家用車については明確なデータはないが数%にとどまっていると言われる。ただ、最近は搭載車への自動車保険料割引適用や、自家用車1台につき上限を1万円とした購入金額の半額補助をスタートする自治体が出てくるなどその効用への認知が広がりつつある。また、福井県では、75歳以上の高齢者にドライブレコーダを無償貸与している。記録した映像を警察官が分析し注意点を指摘することにより、運転技術の低下を自覚させ、高齢者の安全運転に資するというものである。

さらに自家用車への設置に関して興味深い研究報告がある。2011年度に東京大学公共政策大学院による「ドライブレコーダ設置義務化の費用便益分析」では、交通事故の減少の効果が高い自家用車とタクシーにおいて、義務化政策を推進する政策的価値があるとの結論を得たと報告されている。高齢者を初めとした安全運転の必要性の認識を高め、交通事故減少を図るため、義務化は時期尚早と思うが、県としても自家用車への設置促進には努めていく段階にあると考える。

また、ドライブレコーダの設置促進には、省エネ運転、事故処理の迅速化(交通事故処理に係る県警人件費抑制、客観性担保)裁判時間減少、事故データ蓄積によるインフラの安全構築、車内犯罪抑止などが挙げられる。さらに設置が進むことにより「移動防犯カメラ」としての役割も期待できる。

そこで、県においても、安全運転意識の向上による交通事故防止等の観点から、自家用車へのドライブレコーダ設置の効果を啓発・推奨してはどうか。特に、今後、被害者、加害者になる確率の高い高齢者には有用と思われるが、所見を伺う。

 

(答弁2)

 

4.歩道橋撤去推進に向けた取り組みについて

かねてからもう不用ではないか思っているインフラがある。バリアフリー化や高齢化が進んだことにより利用者がほとんどない横断歩道橋である。そんな歩道橋に関しても私のところには錆びた部分の塗り替え、はとの糞などの除去、橋脚部の茂みへの不法投棄処理など様々な要望が寄せられる。歩行に直接関係のないことである。それどころか、歩行の邪魔になっている、自動車のドライバーから死角となっているという声を聞く箇所もある。

県内に県管理の横断歩道橋は196橋あるが、昭和40年代に建設されたものが6割を占めており、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇計画では平成35年度までに橋桁の修繕など何らかの対策を必要とするものが94橋とされ、約9億円の事業費が見込まれている。すべての存続を前提とすれば今後も継続的な修繕費用の予算確保が必要である。この10箇年計画では、必要性の低下した施設は整理・統廃合することとされるなど、全国的にも注目された。

県では歩道橋の利用状況について、平成22年度に調査を行っている。その結果、朝7時から夜7時までの12時間当たりの利用人数が200人未満(東京都が撤去基準としている人数)の橋は、県管理の196橋のうち96橋にものぼっている。そのうち50人未満の利用にとどまっている橋も30橋ある。

役目が終わった歩道橋については、なかなか進まないインフラ除去の中でも、住民の理解を得られやすいものであると思う。また、現在、私の地元の加古川土木事務所管内では、撤去候補を抽出し、地元と協議をはじめているとのことであるが、県として確たる判断基準がないことでスムーズにすすめにくいのではないかと懸念している。幸い、他の自治体では先行した取組が進んでいる。撤去基準や撤去後に発生した問題なども参考にしてさらに進める必要があるのではないか。基準等を盛り込んだガイドラインを策定することが、撤去の最も大きなハードルと予想される合意形成を進める第一歩となると考える。必要性の低い歩道橋撤去は、修繕・更新費の削減のみならず、景観、ドライバーの視野改善、歩道幅の確保などメリットは大きい。既存インフラの撤去が容易でないことは理解している。しかし、そこはきめ細かな手順を重ねて利害関係者の納得を得て、進めるべきは進めていくという自治体の覚悟が問われている。

そこで、歩道橋撤去に関して、県としてガイドラインを策定し、地元市町からも住民理解が得られるよう働きかけてもらうなど、撤去推進に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答弁3)

 

5.教育力が十分でない家庭の児童生徒への支援について

東京大学で初めて推薦入試が導入された。従来のペーパーテスト中心の試験では測れない才能を発掘する試みである。今、教育方針の転換期にきている。今回、時代のニーズに照らして進められている大学入試改革では、知識の暗記と再現に重点を置く詰め込み教育から「判断力・思考力・表現力」「主体性・多様性・協働性」など、付け焼刃でない総合力を問うことになる。これが示すのは幼い頃からの経験、体験の積み重ねの重要性である。

近年、困難な状況が重なっている家庭が増える一方、子どもの教育費には糸目をつけないという家庭も少なくない。経験・体験の面でも家庭によって大きな格差が出てきている。県では、従来より、様々な家庭環境にある全ての児童生徒に様々な体験を等しく経験する機会を与えることなどを目的として、兵庫型体験教育の充実に力を入れ、来年度予算でも義務教育にしっかり予算措置がなされているのは評価できる。ただ十分に効果を発揮するには、現場の教職員が体験教育の背景や意義についてしっかり理解していることが肝要である。導入当時の教職員が退職し、若い教職員が増加する中、昭和63年の開始から28年目を迎える自然学校や平成10年の開始から18年目を迎えるトライやる・ウィークの取組がもし形骸化するようなことがあっては大変もったいないことである。様々な家庭環境にある児童生徒に対する支援の観点で、義務教育における体験教育の役割が非常に高まっていると考えるし、私は大きな期待をしている。今一度原点に立ち返って、取り組んで行く必要があるのではないか。

また、家庭による過ごし方での格差で言えば、長期休暇は非常に顕著で、困難な状況下にある児童生徒への支援は喫緊の課題である。学習支援、生活支援なども拡充の方向にはあるが質量ともに十分とはいえない。学校の直接的な関わりはもとより支援実施団体などをサポートすることで子供の健全な育ちを守る必要があると思う。

そこで、これからの社会で生き抜くために「覚える」ことから「考える」ことへ教育の大きな転換期にあってますます重要になってくる義務教育における体験教育の充実、長期休暇時における学習支援など、様々な困難を抱えるため家庭に教育力を求められない児童生徒への支援についての所見を伺う。

 

(答弁4)

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