竹内 英明議員が一般質問を実施

質問者:竹内 英明 議員

質問日:2月29日(月)

質問方式:分割方式:1~3、4、5(1)(2)、6

1 売り切れ続出の『東京防災』(東京都発行)について

東京都が昨年9月に発行した防災ブック「東京防災」をご存じだろうか。都内に全戸配布をしたほか、都内の書店で注文も出来るが、在庫不足であり、現在注文できないほど人気があるという。

なぜそんなに人気なのか。一般販売もされており、内容はネットにも掲載されているため見てみると、大規模地震発生後を過ごすための自助・共助のスキルの記載が充実している。その内容を少し挙げると、地震発生時の自宅や外出先で取るべき行動から始まり、単三電池を単一電池にする方法や新聞紙での暖の取り方などまですこぶる実践的で、災害対応のまさにオールインワン冊子となっている。

一方、発生が近いとされる南海トラフ巨大地震対策で、25年の中央防災会議のワーキンググループ報告では、「発生直後は特に行政からの支援が行き届かないことから、まず地域で自活するという備えが必要」、「家庭備蓄を1週間以上確保する」など「地域で自ら対応する事への理解が必要」としている。このように自助・共助の必要性が高まる中、兵庫県としても過去の阪神・淡路大震災や東日本大震災などへの応援職員派遣などで得た知見を活かして、東京防災に負けない実践マニュアルを作成・配布・販売し、大規模災害時の自助・共助のスキルを高めてもらう一助とすべきだと思うが、当局の見解を伺う。

 

2 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編について

現在継続的に開催されている姫路における県立病院のあり方に関する検討委員会の事務局案では、留意事項として「整備後間もない現製鉄記念広畑病院の建物を活用した播磨南西部地域の医療提供を確保するため、県及び社会医療法人製鉄記念広畑病院の両者において地元姫路市の協力を得ながら、医療機関の誘致を図っていくこととされ、その際、まずは、医療圏域内に病床を有する病院の移転誘致に注力し、それが不可能な場合は、圏域外からの誘致を図っていくこと、ただし、圏域外からの誘致の場合は、新たな病床の確保が必要なため、中播磨圏域健康福祉推進協議会等と協議の上進めていく必要がある」としている。

検討委員会の議論でも、「製鉄記念広畑病院が(姫路市中心部の)イベントゾーンに移ってくると考えると、前から議論になっているように広畑地域の医療が手薄になってしまうということが一番の問題である。そこにどのような医療機能をどのような規模で、どのような設置主体で残すのかということを、もし移すということなら一緒に考えていかないとなかなか難しいかと思っている」と委員が指摘している。製鉄記念広畑病院が果たしてきた姫路市南西部の救急医療を引き継ぐものがなければこの移転統合は救急医療の地域偏在を生み、姫路市南西部からの搬送時間が長くなるなどデメリットも大きくなる。姫路市の検討委員も会議の中で、救急を含む一定の医療機能を引き継ぐ医療機関の誘致について、市も是非協力して実現しないといけない。これは絶対的な条件だ」と発言している。市の立場としてよく理解できる。今後の姫路市南西部の医療体制の整備について、当局の所見を伺う。

また、公立病院の財政負担については、県立13病院事業の平成28年度予算でも約190億円の一般会計繰入金を予定している。この状況は、市町立の病院でも同様で、公立豊岡病院に対して、設置者の豊岡市、朝来市は、昨年度それぞれ約20億円、約5億円を一般会計から繰り出していた。この規模の自治体にとって大変な金額だと思う。地域医療を存続させるための貴重な一般財源であるが、これでもなお赤字が発生していた。このような公立医療機関に対する一定の繰入金はやむを得ないと考える。

一方、昨年開業した県立尼崎総合医療センターの利用者は尼崎市民が7割を超えているが、建設費は約310億円を県が拠出し、土地は尼崎市に無償提供を受けている。形を変えた地元としての病院支援策だと思う。

そして姫路市にも尼崎市同様に市立病院がないが、建設予定地は旧国鉄清算事業団の資産を受け継いだ鉄道・運輸機構から姫路市が購入した土地の一部である。利用者の多くは姫路市民となろう。

現在の姫路循環器病センターと同様、姫路市に土地の提供を依頼するというのが基本的な考えかと思うが、当局の所見をあわせて伺う。

 

3 組み体操の実施について

先日、組み体操の際の兵庫県の負傷率が全国一高いという神戸新聞の報道があった。学校管理下で起こる災害に対し、医療費などを給付する日本スポーツ振興センターへ申請し、児童生徒等が医療機関を受診して災害共済給付を受けた件数から推測した調査結果による記事である。

この報道の後、大阪市では市教委がピラミッドとタワーの禁止を決めた。教育委員全員一致だったと報道されている。昨年9月にピラミッドは五段までタワーは三段までと決めたところだったがその後も事故が起こったことで、一律禁止にしたという。

また、国会でも「学校管理下における重大事故を考える議員連盟」がつくられ、この24日に文部科学省に対し、大きな事故につながる可能性がある技については、確実に安全な状態で実施できるかどうかを学校においてしっかりと確認することなどを主な内容とする申し入れが行われたところである。

このような状況の中、県も運動会や体育大会での組み体操の実施とピラミッド・タワーでの事故の状況について今年度、県内の小学校、中学校の調査をしたと聞いている。

そこでまず県内の小学校、中学校のそれぞれの組み体操の平均実施率と実際にピラミッド・タワーの事故が起きた学校の割合について伺うとともに、県内でも組体操の実施には地域差があると聞いているため、小学校・中学校における実施率の高い地域と低い地域、及びその実施率について、またそれらを踏まえた組み体操のあり方等の検討状況についてもあわせて伺う。

 

4 県有地及び県管理地の不法占用について

平成27年11月に提出された監査報告書を見ると、平成27年3月末現在において普通財産として管理している廃道・廃川敷地の無断使用は3件、172平方メートルであるとのことであった。私の知っている不法占用の実情と比べてあまりに少ないと思って調べると、これは県有地についてのみの記載であり、基本的に部局からの報告に基づいた案件に関する指摘ということであった。

そこで、さらに監査委員事務局がまとめた参考事項の資料をみると、平成27年3月末現在において河川整備課が把握している河川敷地の不法占用は、24件、5,346平方メートルとの記載があった。これは、不法占用されている武庫川や市川などの2級河川の河川区域は県が管理することとなっているが、国有地であることから、財務監査での指摘対象とはせず、事務所等が把握しているものを参考事項として挙げているとのことである。

しかし、この記載をあわせても実態に比べて少ないと感じる。河川に限らず、不法占用が疑われる実態が県内にはさらに多くあると思われる。私も把握しているし、同僚議員からも指摘があった。

それにも関わらず、資料に挙がっている件数が30件弱にとどまっている理由は、部局や事務所によって不法占用の把握の実情にバラツキがあることから生じているのではないだろうか。

長期にわたる不法占用が続くと、国においては民法の規定により時効取得に至った事例もある。そこで、特に住民からの苦情が寄せられるような不法占用の問題を早期に解決するため、部局や事務所がしっかり状況把握することはもちろんであるが、監査委員にあっては、部局等からの報告内容について十分な確認を行い、不法占用の解消に向けた部局等の取組みを促すべきと考えるが、監査委員の所見を伺う。

5 県債管理基金への集約について

(1)明石海峡大橋関連施設整備等基金の廃止について

日仏友好モニュメント建設事業の中止に伴い、明石海峡大橋関連施設整備等基金条例の廃止提案がなされている。これが可決成立すると、同基金は廃止され、県債管理基金に集約していた分も含めて計123億円が県債管理基金に含まれることになる。この123億円は将来的にも県債償還のために全額使われることになったと理解されるが、それで良いか伺う。

(2)県民緑基金の県債管理基金への集約について

県民緑基金を県債管理基金へ集約可能な条例改正と17億円が県債管理基金に積み立てられる補正予算が提案されている。県債管理基金とは県債の償還に充当される基金であり、その目的に充てられるからこそ、ルール上の積立額は財政指標である実質公債費比率の算定において、償還されたものとみなされ、積み立て不足額があれば、実質公債費比率のペナルティとして数値が加算されることとなっている。県民緑税は法令上も目的税であり、将来的にも県債の償還に充当できるものではない。なぜこれを県債管理基金へ集約するのか。集約するなら、実質公債費比率の算定から除外して計算すべきと考えるが、当局の所見を伺う。

 

6 平成31年度以降のポスト行革プラン(財政フレーム)について

北海道では人材採用難などを理由に、実質公債費比率は高いままだが、17年継続してきた職員の給与カットを今年度で止める。

兵庫県も行革プランに基づき、給与カットを平成20年度から継続している。私の周りでも給与カットや生涯賃金の比較等を理由に県職員への志望順位を下げたりと、人気の低下の実状を感じてきた。北海道だけの話ではないということである。

28年度当初予算では、この給与カットの積み重ね等により収支不足額は320億円に縮減されているが、このまま第3次行革プランを進めると平成30年度には収支不足は解消される。そして収支不足解消につれてフロー指標である実質公債費比率は改善されていく。

一方、ストック指標である将来負担比率はあまり改善されていない。これは、私がこれまで指摘してきた美術品をはじめ他の目的基金の県債管理基金への集約や基金の繰替運用による他会計との資金融通など、様々な負債の問題がまだ未着手で残っていることも大きく影響している。そして、これらの負債については平成30年度までの第3次行革プランでは解消策が示されていない。

こうした課題を解消するためにも、平成31年度以降の行革の取組み、特に財政フレームの継続は不可避だと考えるが、当局の所見を伺う。

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