小池 ひろのり議員が質問(予算審査・企画県民部②)

予算特別委員会(予算審査・企画県民部②)

質 問 者   小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)

 

1 防災・減災に向けた取組について 

(1)防災・減災対策に関する県の認識について      

6,400名を超える尊い命を奪い、未曽有の被害をもたらした阪神・淡路大震災から21年が経ちました。井戸知事は4期目の選挙公約で、防災・減災への取り組みを挙げられ、各地での講演などで、阪神・淡路大震災の教訓を忘れない、伝える、備える、活かすことが大切だと訴えておられます。

今や、被災地でも震災を経験していない住民が、4割以上に達している状況にあって、この震災の経験と教訓を継承し発信していくことは非常に大事なことだと思われます。また、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70%、50年以内なら90%と言われています。災害は、いつやって来るか分かりません。明日かも知れませんし、90%とは、ほぼ起こると考えるべきです。そして、このような県民の防災・減災に対する不安・関心に応えるのも行政の仕事だと思います。

私は、甚大な犠牲を払った御霊に応えるためにも、大震災を風化させることなく、被災県の責務として、兵庫県は防災・減災への取り組みで全国のリーダー的な役割を果し、減災対策の発信拠点になることを目指して欲しいと考えております。

昨今、地球温暖化が進み、過去の例がないほどの巨大化した竜巻・ゲリラ豪雨・台風・土石流・地すべりなどの自然災害が頻発しており、対策が喫緊の課題となっています。いつまでも想定外とか異常とか言っている場合ではなく、現実の肥大化している自然災害を、まさにNew Normalとして位置付け、防災・減災対策を講じて行かねばなりません。

そこで、被災県としての兵庫県が、防災・減災対策について、どのような認識で取り組んでいるのか、まず確認します。

 

 

2 県立大学環境防災学部・学科の創設に向けての取組について

(1)平成28年度の取組について

昨今、防災教育の必要性が高まっています。防災学の研究は、生命を守ることに直結するため県民の関心も高く、行政に求められている喫緊の課題でもあります。

14年前に兵庫県は、全国に先駆けて県立舞子高校に環境防災科を設置し、防災教育を生徒の“生きる力”を育む教育として位置づけ、生徒たちは自ら考え、行動に結び付けるなど大きな成果を挙げて来ました。さらに、次の段階として、防災教育に関心を持つ生徒に対しては、より深く高度に実践的な学問として学ぶ場を提供することが必要だと考えます。災害時に迅速・的確に対処できる人材を育てることこそが、今後の災害に備えることに繋がると思います。

そこで、ソフト面での防災対策として、①防災・減災の研究 ②人材の育成 ③情報の発信という防災学推進の必要性を訴えるものです。

これまで私は、永年、兵庫県立大学環境防災学部・学科の創設を求めて来ました。これに対し、現在、県立大学の全学部生対象にユニット制で防災教育科目の履修を可能にし、平成29年度からは、同大学院に減災復興政策研究科が設置される等、防災学の取り組みも進んできていると思います。

そこで、平成28年度予算として、県立大学減災復興政策研究科(仮称)の開設準備予算、約5,000万円が計上されていますが、設置の概要について伺います。

 

(2)今後の取組について

県立大学大学院の減災復興政策研究科の開設に向けて、努力をされていることに敬意を表します。しかし、私は、是非、従来の理系のハード面、文系のソフト面という枠を超え、学際系の環境防災学を社会人入学にも門戸を広げ、大学院から学部・学科へ本格的導入されることを切に願うものです。

防災学の研究を推進することは、命を守ることに関わることであり、今、社会が求めている喫緊の課題でもあります。また、防災教育のニーズは高まっています。卒業後の就職先も確保されています。防災の専門家を、全国の都道府県の8割が置くと言っていますし、大企業も求めています。更に、防災の知識を持った人材を社会に送り込む任務も、大学にはあると思います。

同時に、これからは大学の特色が求められる時代です。既に、他の都道府県の大学では環境防災学科の設置が進み、兵庫の私立大学でも設置した大学も出て来ています。是非、遅ればせながらでも兵庫県が設置者である県立大学に環境防災学部・学科の創設を強く求めるものです。そして、県立大学が環境防災学を進展させ、大震災の経験から20年という歳月が経過し、風化が懸念される中、若者に防災学の重要性を育み、地域に根差した社会貢献で若者が先頭に立って地域力を発揮することが求められています。また、大学生が緊急時に、防災リーダーとして活躍できる人になることも出来ます。さらに、県立大学が全国の大学をリードし、シンクタンクとなり、減災に向けた取り組みの中心的な役割を果すことを願うものです。

一昨年の県議会文教常任委員会で、県幹部も「防災科創設は必要なことだ」と答えられています。また、ここ5~6年で県立大学の学長・教授や多くの関係者にお会いし意見交換する中で、すべての人が「環境防災学科の設置は良い事だ」と言われました。しかし、兵庫県は防災学部・学科の創設に向けた新しい予算を組むことなく、大学自治を見守って来ました。

私は、永年、客員教授として大学に籍を置いている者として、大学の自助努力での学部・学科の新設は、非常に難しい事業であることを理解しています。同じパイ(予算)の中での学部・学科の新設は、既存の学部・学科の予算を削られる関係教授らの賛同を得ることは極めて困難だからです。従って、この問題を大学自治だけに任せていては、なかなか現実化するものではありません。県立大学の場合、設置者である県が大所高所から判断し、推進することが必要だと考えます。

以上の観点から、県立大学の環境防災学部・学科の創設を強く求めますが、関係者の信念に基づく前向きなご所見をお聞かせ下さい。

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