2017年度当初予算編成に対する重要政策提言(全文)

2016 年9 月14 日
兵 庫 県 知 事 井 戸 敏 三 様
兵庫県議会ひょうご県民連合議員団
幹 事 長 上 野 英 一 政務調査会長 越 田 謙治郎
2017 年度当初予算編成に対する重要政策提言について
国内の景気は、緩やかに持ち直してはいるものの、アジア新興国経済の減速や英国
のEU離脱による円高・株安の進行、消費税増税の先送り、若者の節約志向の高まり
によるデフレ回帰への懸念など、不透明感はさらに増しています。2016 年4~6 月期
のGDP は、年率換算で0.2%増と1 四半期の2.0%に比べて大きく鈍化しています。
急速な人口減少や東京への一極集中は、地域活力の低下や地域間格差のさらなる拡
大を招いています。また、4 月に熊本地震が発生し、南海トラフ地震や近年頻発する
風水害など、自然災害への備えの重要性を改めて痛感させられたところです。
一方、子育て環境を見ると、待機児童数は依然減っておらず、保育士の待遇も改善
されていません。学びの機会も十分ではなく、高額な奨学金の返済に苦しむ若者も少
なくありません。日々の生活に困っている人々への支援、障がい者や女性など様々な
立場にある人の多様な働き方への応援など、多くの課題が山積しています。
地域創生への本格的な取り組みが、本年スタートしました。私たちが直面する課題
を克服し、これからも活力ある社会であり続けるためには、地域創生戦略の具体化に
向け、県民と行政がひとつになって、実効ある施策を着実に進めていかなければなり
ません。
しかしながら、本県の財政状況は、今なお厳しい状況が続いています。平成30 年
度に収支を均衡させ、持続可能な行財政構造を確立させるためには、現場の声を聴き
ながら、優先順位を明確にしたうえで、現在進めている新行革プラン最後の総点検を
ゼロベースで行い、さらに「選択と集中」を徹底し、県民が将来に希望を持つことが
できる施策を示す必要があります。
井戸知事におかれては、参画と協働を基本姿勢に、経済・雇用・医療・福祉といっ
た重要課題に、県民本位、生活重視、現場重視の立場で取り組まれるなど、安全で元
気なふるさと兵庫の実現に向けて、その重責を十分に果たされることを期待します。
こうした考えのもと、兵庫県議会ひょうご県民連合議員団では、2017 年度の政策決
定にあたり、県民の生活を第一に考えた当初予算が編成されるよう、ここに9つのテ
ーマ、計76 項目からなる重要政策提言を行います。

兵庫県議会ひょうご県民連合議員団
上 野 英 一 幹事長
(神崎郡選出) 警察常任委員会委員

越 田 謙治郎 政務調査会長
(川西市・川辺郡選出) 総務常任委員会委員

栗 山 雅 史 副幹事長

(西宮市選出) 産業労働常任委員会委員長

迎 山 志 保 政務調査副会長

(加古川市選出) 健康福祉常任委員会委員

黒 田 一 美 農政環境常任委員会委員

(神戸市垂水区選出)

小 池 ひろのり 文教常任委員会委員

(神戸市中央区選出)

石 井 秀 武 総務常任委員会委員

(神戸市西区選出)

石 井 健一郎 産業労働常任委員会委員

(神戸市灘区選出)

竹 内 英 明 健康福祉常任委員会委員

(姫路市選出)

前 田 ともき 文教常任委員会副委員長

(神戸市東灘区選出)

向 山 好 一 建設常任委員会委員

(神戸市北区選出)

2017 年度当初予算編成に対する重要政策提言

Ⅰ 「地域主権社会」の確立に向けて

1 地域の自主性及び自立性の向上

(1) 地域創生の推進

県内の市町間で、過度な人口の獲得競争が行われないよう、県と市町が
密接な連携を図りながら「オール兵庫」で地域創生に対応する体制を構築
すること。
また、具体の施策展開に当たっては、効果が十分に出るよう施策の絞り
込みを行い、市町の自主的・主体的な取り組みへ支援するとともに、必要
な特区や規制緩和が実現するよう国に強く求めること。

(2) 県内分権の推進

「補完性の原理」に基づいて市町への権限移譲に取り組むこと。その際、
市町と県が対等な協力関係のもと、市町の実情を踏まえて進めるとともに、
受け皿づくりを支援すること。

(3) 「関西広域連合」による取り組みの強化

次期広域計画に基づき、国出先機関の関西広域連合への移管や事務・権
限の移譲の実現を、関西府県全てが一体となって、引き続き、国に対して
強く働きかけること。

2 参画と協働の推進による「新しい公共」の実現

(1) NPO法人等に対する財政基盤強化に向けた支援

財政運営の基本となる寄附を安定的に確保するため、認証NPO法人等
への寄附金に対する税額控除制度を導入し、寄附文化の醸成・定着を図る
など、NPO法人の財政基盤強化に取り組むこと。

(2) NPO法人等との協働による課題解決の推進

「県民の参画と協働の推進に関する条例」の理念に基づき、専門的知識
を有するNPO法人等によるモデル事業の実施など、地域団体、ボランテ
ィアグループ等との協働による取り組みを推進すること。

(3) 多様な主体による参加の促進

審議会等において、公募による女性や若者の委員を一定割合確保するな
ど、多様な意見を反映させること。

Ⅱ 「持続可能な行財政構造基盤」の確立に向けて

1 行財政構造改革の推進

(1) 第3次行革プランの総点検と新たなプランの着実な推進

平成30 年度に収支均衡を実現することはもちろん、持続可能な行財政
基盤を確立するため不断の改革に取り組み、新たなプラン策定後は、行革
の総仕上げに向け、改革を着実に推進すること。

(2) 職員の体制整備

職員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、有給休暇取得率の目標であ
る70%の早期達成、在宅勤務制度やフレックスタイム制の利用促進など、
県庁の職場環境の整備を図ること。

(3) 投資事業の改革

厳しい財政状況と人口減少を前提に、「国土強靱化」の名の下での過度
な投資事業は慎み、身の丈にあった事業のみに限定するとともに、将来世
代に過剰な負担を負わせないために、将来にわたって発生する負担額を明
示すること。
また、事業の実施にあたっては、その必要性と優先順位、費用対効果を
明確にするとともに、実施過程の透明性を確保すること。
さらに、一定金額以上の公共工事に関しては、事業効果の事後検証も確
実に行うこと。

2 組織改革の検証

(1) 組織体制

県民局・県民センターについては、果たす役割を十分明確にした上で、
業務の実施状況や市町との関係等を踏まえながら、阪神地区、中播磨地
区・西播磨地区の統合や丹波県民局の見直しなど、再編を検討すること。

(2) 公社等外郭団体の改革

公社等外郭団体については、監査委員の監査対象とならない団体であっ
ても、出資者として監査体制の強化や十分な情報を開示するなど、透明性
の確保と効率的な運営を求め、その存在意義や必要性を絶えず検証するこ
と。
また、専門機関としての組織体制とする観点からも、県派遣職員や県退
職者の登用は、在職期間が短く、運営に対して長期的な展望が持ちにくい
ことから、経営責任が曖昧になる危険性があるため、最小限にとどめるこ
と。

3 プロパティマネジメントの推進

県有施設に関して、人口減少社会を前提に、廃止も選択肢の一つとして、
その管理運営に係る基本方針や具体的な整備計画を定め、全庁的な保有総
量・利用調整のあり方について具体的な検討を進めること。
管理運営については、民間事業者のノウハウを活用することにより、効
率的で質の高い管理運営が期待できる施設について、原則として公募によ
り指定管理者を選定するとともに、選定にあたっては透明性や公平性の確
保に加え、財務の安定性にも配慮するなど制度運用の改善に努めること。

Ⅲ 「健康福祉社会」の実現に向けて

1 健康づくり対策の推進

(1) 県民の健康づくりの推進

より多くの県民が健康上問題なく日常生活が過ごせる「健康寿命」の延
伸を目標とし、健康寿命全国1位を目指して、様々な取り組みを進めるこ
と。
特に、食生活の改善や運動不足・ストレスの解消など、県民一人ひとり
による生活習慣の改善や社会全体での健康づくりの支援を拡充するととも
に、歯の健康づくりや受動喫煙の防止、心の健康づくりの推進など体系
的な取り組みを行うこと。
特定健康診査(メタボリックシンドローム健診)・特定保健指導のより
円滑な実施に向けては、医療保険者や市町等と連携し、健診受診率及び保
健指導実施率の向上を図ること。

(2) 疾病対策の推進

がん対策については、企業の健康診断等における検査や市町の個別勧奨
等の予防対策において、肝炎ウィルス検診やピロリ菌検診を行うなど、充
実を図ること。
難病患者対策については、国の認定を受けていない疾病も含めて、課題
と対応策等を調査・検討し、対策の充実強化を引き続き国へ働きかけると
ともに、県としての対策も検討すること。
腎疾患対策については、地域バランスに配慮して、医療体制の充実を図
ること。
さらに、アルコール依存症対策を推進するため、健康被害の発生・再発
防止策の体系的な充実を図るとともに、総合的な推進体制や県の推進計画
の策定を検討すること。

2 地域医療の確保

(1) 地域医療の確保

地域の医療連携を推進するため、2次保健医療圏域を単位とした医療機
関の適切な役割分担、相互連携を進めるとともに、かかりつけ医の普及・
定着等在宅医療の推進に取り組むこと。
また、県内における救急体制の格差解消に向け取り組むとともに、積極
的に各市町間における広域連携体制の構築を進めること。
特に、小児科、産科、麻酔科などの診療科偏在及び地域偏在の解消を図
るため、兵庫県地域医療支援センターを中心に、就労環境の整備やへき地
医の養成などに積極的に取り組むこと。
さらに、看護師不足に対応するため看護師等の確保対策を進めること。

(2) 県立病院の円滑な運営

医療ニーズの高度化・多様化、医療技術の進歩に対応し、県立病院の役
割である高度専門・特殊医療を中心とした政策医療の提供など、より良質
な医療を提供できるよう、診療機能の高度化・効率化に努めること。
また、適切な公的負担の下で、自立した経営が確保できるよう、経営状
況の推移の分析を十分に行うことはもとより、医療資源の有効活用や職員
の経営意識の向上及び計画的な経営改善に取り組むこと。
さらに、インシデント・医療ミス、医療事故の発生予防に向けて、医療
安全対策に取り組むこと。

3 高齢者福祉・介護の充実

(1) 介護サービス基盤の充実

地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域包括支援センターの機能強
化や地域医療と介護事業の連携の強化などにより、地域ケアの総合的な推
進を図ること。
介護予防サービスについては、地域やサービス受給者に最も効果的に提
供できるよう、市町への支援を強化すること。
また、介護福祉士を含む介護職員の処遇改善やキャリアアップへの支援
等により、介護人材を確保するとともに、介護人材の養成を積極的に推進
すること。

(2) 認知症対策の推進

認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、認知
症サポーターの育成支援、認知症疾患医療センターの拡充、認知症サポー
ト医の養成に努めること。
併せて、認知症による徘徊高齢者が行方不明になる事案が増加している
ことから、警察、地域住民などとの連携を強化し、速やかに発見・保護で
きる体制を充実すること。
さらに、若年性認知症についても、課題を検証するとともに、職場など
の理解促進に努めること。

4 障がい者福祉の充実

(1) 就労・社会参加支援の充実

障がい者の自立に向けて、就労のほか、スポーツや芸術文化を通じた社会
参加を支援すること。
特に、就労については、福祉的就労から一般就労への移行に対応するた
め、教育機関・福祉関係機関やハローワークと連携を図りながら、障がい
者の特性や希望に応じて、職場適応援助者(ジョブコーチ)を活用した職
業訓練、職業指導に積極的に取り組むとともに、障がい者の支援に積極的
な企業の開拓に努めること。

(2) 障がい者の生活支援の充実

障がい者が、地域の一員として、その生き方が尊重され、安心して当た
り前に暮らせることができるよう、障がい者の生活支援の充実を図るとと
もに、障害者差別解消法についての県民への周知や関連施策の積極的な推
進に努めること。
特に、精神障がい者への支援については、家族への支援の観点も踏まえ、
精神科の訪問看護の充実に向け取り組むこと。
また、障がい児を持つ親が子育てと仕事を両立できるよう、長時間受け
入れ可能な施設の整備など、支援を拡充すること。

5 少子化対策の総合的な推進

病児・病後児保育に加え、休日・祝日・早朝・夜間における保育など、
多様な働き方や家族形態に対応する保育サービスの展開を支援するととも
に、待機児童の解消に向けた保育人材の確保やさらなる処遇改善に取り組
むこと。
また、シングルマザー、シングルファーザーへの支援、第3 子以降への
経済的支援、在宅勤務など柔軟な働き方の拡充、三世代同居・近居への支
援など、妊娠、出産への安心感の醸成も含めて、誰もが安心して子育てが
できる環境を整備すること。
さらに、不妊症・不育症に対する経済的負担の軽減に向けた支援のさら
なる充実を図るとともに、里親制度や養子縁組・特別養子縁組制度の普及・
促進を少子化対策として実施すること。

6 総合的な自殺対策の推進

「平成28 年までに県内自殺者を1,000 人以下に減少させる」目標を達
成し、「自殺者ゼロ」に近づけるため、兵庫引きこもり相談支援センター等
での相談体制の充実、精神科医療の適切な受診環境の整備など、実効ある
対策を推進すること。
特に、死因の第1 位が自殺となっている15~39 歳の年代(平成27 年版
自殺対策白書)に対し、重点的に取り組むこと。

7 児童虐待・DV・要保護児童対策の推進

(1) 児童虐待防止対策の推進

児童虐待の予防に向けた子育て支援に加え、親や将来の親に対する子育
て教育のさらなる充実に努めること。
また、各学校においても、主幹教諭や人権教育担当教員などを中心とし
た早期発見・解決できる体制整備を行うこと。

(2) DV・家庭内暴力対策の推進

各地域において、市町、警察等も含めて総合的に取り組む体制を構築し
たうえで、関係機関の密接な連携の下、相談体制の強化や被害者へのサポ
ート体制の確立、加害者への教育の充実や民間施設も含めた被害者保護施
設の整備促進など、効果的な抑止及び被害者の救済・支援に取り組むこと。
また、各市町におけるDV対策基本計画策定、支援センター設置への働
きかけを強化すること。
被害者の自立支援においては、生活の基礎となる住居・就労の確保を連
動して進めること。

(3) 社会的養護の充実

親からの虐待などにより家庭で生活できない子どもたちを家庭的環境の
中で養育する受け皿の充実に向け、児童養護施設の小規模化や人材の確
保・育成などの専門的なケア体制の整備など、「子どもの最善の利益」を
考え「社会全体で子どもを育む」という理念に基づいた、きめ細かな社会
的養護が行える環境整備を行うこと。

8 生活困窮者対策の推進

(1) 高齢者等の貧困対策の推進

近年指摘されている高齢者の貧困化については、問題を抱えた高齢者が
孤立しないよう、地域の行政機関の連携を深め、情報を共有するなど、セ
ーフティネットの役割を果たせる体制づくりに努めること。
また、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮者への支援に努めるこ
と。

(2) 子どもの貧困対策の推進

地域における居場所づくりやすべての子どもへの学習機会の提供など、
「貧困の連鎖」を断ち切るための対策を講じること。

Ⅳ 「子どもが輝く社会」の実現に向けて

1 児童生徒の発達段階に応じた教育環境の充実

(1) 発達段階に応じた教育環境づくりの推進

少人数学級の着実な推進などにより、読み・書き・計算をはじめとする
基礎・基本の学力の確実な定着や、一人ひとりの個性・能力を伸ばすこと
など、児童生徒の発達段階に応じた教育環境づくりを推進すること。

(2) 「生きる力」を育む教育の充実

子どもたち一人ひとりの豊かな心を育み、主体的に生きる力を育成する
ため、これまで取り組んできた「自然学校」や「トライやる・ウィーク」
等の成果の検証を行い、職業体験教育へ転化させるのではなく、心の教育
という原点に立ち返って当初の趣旨を十分に踏まえながら事業を進めるこ
と。

(3) シチズンシップ教育の推進

公職選挙法改正により18 歳以上に選挙権が拡大されたことを契機とし
て、本県の将来を支える行動的な県民をより多く育てるため、自らが属す
る社会における権利に関する認識を培い、その社会に能動的に参加し、参
加型民主主義を理解、実践するための必要なスキル、価値観を身につける
ことを目的としたシチズンシップ教育を、兵庫県における教育の柱の一つ
として、効果的に推進すること。

(4) いじめや問題行動、不登校等に対応する生徒指導の充実

いじめや不登校などの問題行動等を早期に発見・対応し、児童生徒が充
実した学校生活を送ることができるよう、校長のリーダーシップの下、い
じめの情報を広く収集できる体制を確立し、早期に対応できる体制を整備
すること。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域とも
協力しながら、未然防止のための体制整備や問題行動を起こす複雑・多様
化する要因への対応を早急に進めるとともに、学校以外での対応検討のた
め、フリースクールの実態把握を行うこと。
心のケアが必要な子どもたちに対しては、県立但馬やまびこの郷での取
り組みをはじめ、児童生徒の心に寄り添う生徒指導の推進体制や支援シス
テムを確立するとともに、教員の資質向上に向けた各種研修の実施等、人
的支援の充実を図ること。

2 教職員の勤務環境の改善

多忙化している教職員の勤務実態を踏まえ、勤務時間の適正化やメンタ
ルヘルスケアをはじめとする教職員への支援体制の充実、業務・研修のあ
り方の見直しなど勤務環境の改善を図ること。
特に、長時間労働の主要因である部活動については、各学校における特
色化や部活日数の上限設定などを検討すること。

3 教育機会の充実

生まれ育った環境に関わらず、あらゆる人が教育を受ける機会を拡大さ
せ、貧困の連鎖を断ち切るため、奨学金制度を貸与ではなく、条件付きで
給付するなど充実を図ること。
また、貸与型奨学金の利用に関しては、生徒や保護者に対し、返済にか
かるリスク等に関する説明を十分に行うこと。

4 特別支援教育の充実

発達障がいの特徴に応じた教育環境の整備やキャリア教育等将来を見据
え長期的視点に立った教育を展開すること。
また、真のインクルーシブ教育を目指して、普通高校内に特別支援学校
の分教室を拡大するなど、共に学び合う環境の整備を行うこと。

5 特色ある高等学校教育の展開

個性を尊重する多様で柔軟な高等学校教育を推進するため、学校の創意
工夫を生かした特色ある取り組みや、学びたいことが学べる魅力ある学校
づくりのための施策を積極的に展開すること。
特に、定時制・通信制高校については、多様化する生徒に対応するため、
現状に即した高校づくりを進めること。

6 私立学校に対する支援の充実

公教育の一翼を担う私立学校については、経営の安定に資する経常的経
費の支援に加えて、部活動の全国大会出場など特別な活動にかかる臨時的
な経費についても、その捻出が厳しいことから、支援を行うこと。

7 県立大学の自律的かつ効率的な運営支援

(1) 時代にふさわしい県立大学の運営

地域社会への還元、社会貢献、県政への連携といったこれまでの大学運
営における視点も踏まえ、県立大学のあるべき姿を確認しながら自律的か
つ効率的な運営が行えるよう支援すること。
また、旧3県立大学が有した伝統と強みを継承しつつ、時代にふさわし
い県立大学のブランド力、知名度の向上を図るとともに、グローバル化へ
の対応や教育の質の向上などに取り組み、社会が求める人材輩出に努める
こと。

(2) 独自奨学金の拡充

優秀な人材確保と教育機会の提供のため、入学・在学時の成績に応じた
給付型奨学金に拡充すること。

Ⅴ 「危機管理型社会」の実現に向けて

1 危機管理体制の充実

(1) 防災・減災対策

「津波防災インフラ整備5箇年計画」や「第2次山地防災・土砂災害対
策5箇年計画」等に基づき、発生が懸念される南海トラフ地震による津波、
洪水、土砂崩れ、高潮等の自然災害に備え、計画的な基盤整備やシステム
を構築するとともに、阪神・淡路大震災のこれまでの取り組みや東日本大
震災、熊本地震への支援にかかる検証、災害対応にかかる広域での連携な
どを進め、「減災」の観点から、ハード整備・ソフト対策が一体となった
防災体制の確立に取り組むこと。
また、今回の熊本地震では、職員が目前の課題から応急的に処理せざる
を得ない状況であったため、優先されるべき業務が進まなかったことなど
を踏まえ、有事の際に備えて、市町の業務継続計画策定をさらに支援する
など、自治体の災害対応力の底上げを図ること。

(2) 災害時要援護者への対応

災害時に障がい者や傷病者などの要援護者の安全を確保するため、平素
から医療機関のみならず警察、消防など様々な関係機関も含めた連携と役
割分担、的確な情報共有を図り、支援体制を構築すること。

2 治安の向上

(1) 犯罪の抑止と徹底検挙

犯罪のハイテク化や国際化など社会の変化、犯罪の性質の変化に柔軟に
対応するため、警察組織・人員の効率的な運用や初動捜査体制の整備など、
捜査力・執行力の充実・強化を図ること。
特に、「暴力団排除条例」の適切な運用による暴力団等による組織犯罪
への対策を強化し、銃器や薬物の密輸・密売の防止を推進すること。
さらに、県民の身近で発生し、年々新たな手口で、悪質、巧妙化する生
活経済事犯やサイバー犯罪などの予防に向け、取締りの強化や関係機関と
の密接な連携による啓発活動を実施すること。

(2) 信頼される警察行政の推進

生活者の視点に立った警察活動を展開するため、警察署協議会の開催は
もとより、地域の課題に沿った基礎自治体・自治会とのネットワークを構
築し、より広く県民の要望・意見の的確な把握と適切な対応に努めること。
また、積極的な情報公開や取調べの可視化による警察行政の透明性の確
保を進めるとともに、ここ数年、急増している警察官の不祥事に対し、警
察官の資質向上に向けた取り組みを行うなど、自浄機能の強化を図り、信
頼される警察行政の推進に取り組むこと。
さらに、警察官については、常に300 人程度の欠員が続いており、警察
学校の退学者も毎年多数出ることから、治安の維持や県民の安全安心のた
めに、欠員の解消に向けた取り組みや柔軟な人的支援を行うこと。

(3) 犯罪被害者対策の充実

犯罪被害者等の精神的負担を軽減するとともに、再び平穏な生活を営む
ことができるよう、犯罪被害者等早期援助団体への運営支援を強化するこ
と。
特に、性犯罪被害者は、精神的ダメージが大きく、回復に向けた支援が
必要であるとともに、裁判等においてプライバシーが侵害される不安が大
きいことから、被害者に寄り添った長期的かつ総合的な支援体制を構築す
ること。

3 防災副首都の関西誘致

わが国全体の危機管理能力を向上させるため、首都圏における非常事態
に備えた首都機能のバックアップを行う仕組みの早急な構築が必要である
ことから、関西を国土・防災・有事に関する法律や計画等に位置づける
とともに、東京一極集中を是正する「地方創生」の観点からも、首都代替
機能の設置促進に向け、具体化していくことを強く国に求めること。併せ
て、企業の本社機能の関西誘致についてもより積極的に進めること。

Ⅵ 「産業活力社会」の実現に向けて

1 産業活性化対策の推進

(1) 活力ある兵庫の産業の構築

ものづくり産業を支える中小製造業や基幹産業、大学、「SPring-8」、
「京」、「SACLA」等の知的資源を有機的に結合することにより、ナノ、
情報通信・エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネルギー、ロボット
(人工知能)などあらゆる技術分野において産業活性化を図ること。
また、産業集積条例の活用等により、国内外の優れた企業、研究所の誘
致に取り組むなど、産官学連携や関西イノベーション国際戦略総合特区の
活用を図りながら、地場産業の活性化、雇用創出を推進すること。
さらに、成長産業の一角である医療産業など、本県に集積する高い技術
を持つものづくり企業の海外展開を支援すること。

(2) 中小企業の自立と地域経済の活性化の推進

(公財)ひょうご産業活性化センターや工業技術センターの機能強化・
充実を図り、中小企業における開発力・技術力を高めるとともに、知的財
産の創造・蓄積・活用を支援し、情報通信や防災など次代の兵庫経済を担
う多様な成長産業の創出を図ること。
また、地域経済の発展、雇用の促進及び県民生活の向上を図るためには、
中小企業へのサポートが必要不可欠であることから、「中小企業の振興に
関する条例」に基づき、人材確保、経営・技術支援、海外展開支援や社会
情勢の変化に対応する適切な経営支援、オンリーワン企業の創出を行うこ
と。

(3) ものづくりを支える人材の育成

ものづくりの優れた技術・技能を有する匠や企業内人材の育成、技術の
産業化を担うプロ人材の育成など、ものづくりを支える技術・技能、特に、
科学技術人材の厚みと資質の向上を図るとともに、学校教育段階から職業
生活の各段階に応じた総合的・体系的な人材育成の仕組みを構築すること。

2 雇用就業対策の推進

(1) セーフティネットの構築

企業に対して雇用維持や労働法令の遵守、長時間労働の抑制などについ
て、積極的に働きかけるとともに、過労死等の防止や労働者の権利擁護に
対し関連機関との連携を強化し、悪質な案件については公表すること。
特に、県が発注する工事などにおいて、労働者の賃金や労働条件等を確
保するため、本年6 月から本格運用された「県契約における適正な労働条
件の確保に関する要綱」を労働者・使用者に周知するとともに、法令違反
があった場合に労働者から申し出がなされるよう制度の実効性を高めるこ
と。

(2) 雇用対策の充実

企業ニーズや社会ニーズを踏まえた機動的・効果的な職業訓練の実施を
進め、就業力の向上を図ること。
また、求人・求職の適切なマッチングの推進やワークシェアリングによ
る雇用機会の拡大等により、若者、女性、高齢者など多様な人材の安定し
た雇用の創出・確保を図ること。
特に、若年者の雇用の安定については、少子化対策の観点からも積極的
に対策を進め、雇用・福祉・教育分野における連携体制を構築し、就業体
験等による職業意識の涵養や若者しごと倶楽部等におけるキャリアカウン
セリングなどの取り組みを推進すること。

(3) 建設人材の確保・育成

建設技能労働者の減少や高齢化の進行等による建設業の人材不足は、社
会基盤施設の整備や修繕を含めた維持管理だけでなく、災害復旧への対応
にも直結することから、新規入職者の確保・育成に取り組むとともに、自
治体の土木系技術職員についても、人材の確保や円滑な技術の継承を図る
こと。

3 多様な働き方の実現

(1) ワーク・ライフ・バランスの推進

「仕事と生活のバランスひょうご共同宣言」等を尊重し、大企業だけで
なく、中小企業も含めた取り組みの中で、多様な働き方が可能となるよう
働き方の見直しを支援すること。
また、育児介護休業、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、事業所
内の託児所の設置、在宅勤務など働きやすい職場環境づくりを推進するた
め、既存の助成金制度が積極的に活用される環境をつくり、企業等におけ
るワーク・ライフ・バランスの取り組み支援を充実させること。

(2) 女性が活躍できる働く場等の確保・創出

女性が能力を生かし、生き生きと働くことのできる場の確保と創出に努
めるとともに、地域経済の活性化に資する新事業展開などの女性の積極的
な取り組みに対し、支援すること。
特に、女性就労の促進に当たっては、出産、育児による不利益が生じな
いよう、企業に対する働きかけを強化するとともに、相談体制を充実させ
ること。

(3) 障がい者雇用の促進

特例子会社設立の大企業だけでなく、地域に根ざした中小企業への雇用
促進のための仕組みづくりを推進すること。
例えば、企業に対して制度の普及・啓発や先進事例の紹介、採用後のサ
ポートや特例子会社設立への支援等を行うとともに、2018 年からの精神障
がい者の雇用義務も念頭にいれた企業と連携した取り組みを行うなど、企
業の雇用に対する不安感を払拭させる取り組みを推進すること。
また、直接雇用だけではなく、間接的に障がい者の雇用促進や自立支援
につながる購買活動の推奨や調達の評価などに取り組むこと。
さらに、特別支援学校高等部卒業生に対しては、自立と社会参加を実現
するためにも、可能な限り就労できるよう様々なサポートを充実するとと
もに、生徒たちの技能が活かされる業務のある企業との関係を構築するこ
と。

(4) 非正規雇用の待遇改善

勤労者の生活の安定・充実、社会保険の空洞化の防止等の観点も踏まえ、
非正規雇用から正規雇用への転換を促進するとともに、正規雇用と非正規
雇用の均等待遇・均衡処遇の実現に向け、賃金のみならず、教育訓練機会
の均等についても、公的教育訓練機関と企業内教育訓練との連携により取
り組むこと。

4 ひょうごのツーリズムの振興

多彩な地域資源を生かした交流人口の拡大による地域活性化に向け、関
係団体や市町等と連携し、明確な目標を定めた上で、国内外からの観光客
誘致を図る大型観光交流キャンペーンや地域ぐるみの交流の仕組みづくり
への支援等を推進し、さらには広域連携の一層の推進などにより、ひょ
うごのツーリズムの振興を図ること。
また、アジア諸国をはじめとする訪日外国人について、有力な観光動線
として、神戸港においてクルーズ市場を的確に取り込むほか、兵庫の強み
を生かしたテーマツーリズムを推進するなど、本県への誘客を促進し、県
内経済の活性化や雇用創出につながる取り組みを強化すること。

Ⅶ 「環境循環型社会」の実現に向けて

1 実効性あるエネルギー政策の推進

エネルギーの安定供給と省エネルギーの推進等に対応するため、県自ら
が率先して、省エネルギー・節電行動を推進するとともに、家庭や民間に
対しても積極的に促進すること。
また、太陽光、風力、バイオマス、小水力発電をはじめとしたエネルギ
ー源の多様化や再生可能エネルギー導入促進に向けた取り組みを積極的に
推進すること。

2 温室効果ガスの排出抑制

環境の保全と創造に関する条例等に基づき、エネルギー多消費事業者等
の温室効果ガス排出抑制の自主的な取り組みを促進するなど、産業部門に
おける企業の排出抑制を支援すること。
また、地球規模での抑制の観点から、発展途上国等の環境技術への支援
を行うこと。

3 農林水産業の活性化

(1) 安全・安心な農林水産物の安定供給の実現

TPP交渉の大筋合意を踏まえ、力強い農林水産業を確立するため、多
岐に渡る分野での取り組み・支援強化を図ること。
また、消費者が安心して農林水産物を選択できるよう、農薬等の適正使
用管理の徹底を図るとともに、人と環境にやさしい栽培技術等の導入など
を促進すること。
さらに、生産者等に対する食品表示適正化の指導や、安全で衛生的な処
理加工の管理手法の導入を推進するとともに、生産履歴の記帳やトレーサ
ビリティシステム、農業生産工程管理手法(GAP)の導入に向けた取り組
みを進めること。

(2) 食と農への理解促進

住民・消費者・特に子どもを対象とした農業体験活動・食体験活動や、
生産者と消費者の交流活動を通じて、食と農への理解の促進を図り、地産
地消を推進するとともに、次世代に対する「食育」、日本型食生活実践の
観点から、米をはじめとした県産農林水産物が学校、老人福祉施設、病院
などの給食に導入されるよう取り組むこと。
また、フードバンク運動やドギーバッグ運動などの取り組みへの支援を
通じて、食品廃棄物の発生を抑制するとともに、食品残さの飼料化、たい
肥化など、食資源の有効利用を推進すること。

(3) 6 次産業化の推進

農林漁業者による2 次・3 次産業分野への働きかけを促進するため、地
域の農林水産物の特徴を生かした商品の開発・生産、市場の開拓、人材育
成など、生産から加工・流通・販売までの取り組みに対する支援を行うこ
と。

(4) 農畜水産物ブランド戦略の推進

消費者や実需者のニーズを把握し、ブランドとしてふさわしい品目の選
定や品質の改善、新品種の開発などを通じて、他県産よりも優れた商品の
生産を図るとともに、地域団体商標の活用など、効果的な宣伝活動を実施
することにより、全国の主要都市やアジア諸国をはじめとする海外への販
路拡大を積極的に推進すること。

4 農山漁村振興と担い手対策の推進

(1) 農地・農業用水の保全

農地や農業用水は、農業生産の基盤としてだけでなく、水源涵養等の公
益的機能を有しており、これらの機能を維持する観点から、農地、農業用
の水路、井堰、ため池等の整備・保全等の取り組みに対して支援を行うこ
と。
また、整備した優良農地を適切に確保するため、土地の利用関係を適切
に調整するとともに、公共事業実施に当たって、優良農地を安易に転用す
ることのないよう取り組むこと。
さらに、ため池等の農業用水利施設における水難事故防止対策も徹底す
ること。

(2) 担い手対策の推進

UJI ターン希望者や地元企業の農林漁業への新規参入に対する技術研修
や財政的支援、新規就農の成功事例や農山漁村のゆとりある生活の魅力の
情報発信など、意欲と能力のある者の参入を促進するとともに、農山漁村
で経験を積む外国人技能実習生に対する的確な受入等への支援を行うこ
と。

Ⅷ 「快適で潤いのある社会」の実現に向けて

1 社会資本ストックの有効活用

施設の耐久度を把握・評価し、将来の劣化を予測して維持管理・更新を
計画的に行うアセットマネジメントの導入を進めるなど、「つくる」から
長く大切に「つかう」へと視点を変えた取り組みを進めること。
また、「長く使う」にあたり、費用対効果が低いものについては、「こ
わす」ことも視野に入れた取り組みを行うこと。
さらに、社会資本ストックの維持・更新を着実かつ戦略的に進めていく
ため、民間の資金、経営能力、技術能力を活用した仕組み・手法を積極的
に取り入れること。

2 総合的な交通施策の推進

(1) 地域課題に対応した交通政策の推進

地域交通を確保する公共交通優先システムが推進されつつある中で、
「ひょうご21 世紀交通ビジョン」を実現するため、公共交通の利用促進、
交通安全対策、交通事故防止、交通量の削減、高齢者の移動手段の確保な
ど、地域課題や政策と関連づけた総合的な交通政策を推進すること。
特に、県民の社会参加の機会確保や、地球温暖化防止と低炭素社会実現
に向けた公共交通のあり方などを踏まえ、公共交通の維持・活性化に向け
た取り組みを展開すること。
また、交通政策基本法に基づき、市町との連携を深め、県のまちづくり・
教育・福祉・観光施策推進のため、地方自治体・事業者・県民の役割を明
確にした「県交通基本条例」を制定すること。

(2) 総合的な交通安全対策の推進

悲惨な交通事故を防止するため、関係部局が連携して交通実態の的確な
把握・分析を積極的に進め、総合的な交通安全対策を推進すること。
特に、県民参加型の交通安全活動などを一層推進するとともに、飲酒運
転や悪質な駐停車違反の取締り、暴走族の検挙、さらには、自転車事故の
防止、義務化された自転車保険への加入促進などに重点的に取り組むこと。
また、道路の利用実態に応じて、適切な速度規制の見直しや信号機の最
適化を図ること。

3 都市のあり方の適正化と緑化推進

(1) 空き家対策の推進

空き家の増加は、地域の防災や防犯、生活環境、景観などに悪影響を及
ぼし、さらにはまちの活力の低下につながることから、民泊や介護施設な
ど居住以外の目的で新たに活用できるよう規制緩和を検討すること。

(2) オールドニュータウンの再生

本年4 月に策定した「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」や明舞団
地再生に取り組んだ経験を生かしながら、住宅の高付加価値化や大学、企
業と連携した再生に向けた取り組みを、同様の悩みを抱える県内団地に拡
大すること。

(3) 都市緑化・緑地保全の推進

防火や水害低減など、防災能力の強化という観点からも、都市緑化を促
進し、緑あふれる美しいまちづくりを推進すること。
また、県民緑税の使途について、花粉症対策や市町が行う緑化事業への
支援など、対象事業の範囲を拡充すること。

4 安心して暮らせるまちづくりの推進

(1) バリアフリー・ユニバーサルデザインのまちづくり

本県が先駆的に進めてきた「福祉のまちづくり」を推進し、すべての県
民の社会参加を促進する視点から、バリアフリー新法に基づき、公共交通、
公共施設等の社会基盤の整備・リニューアルを進めること。
また、民間施設の整備・リニューアルについても、同様の協力を求め、
高齢者や障がい者が安心できる公共空間のバリアフリー化を一層強力に推
進し、すべての人が社会参加できるユニバーサルデザインのまちづくり
を推進すること。

(2) 生活安心住宅の確保

安全かつ安心できる持続可能な住生活が確保されるよう、長期優良住宅
の普及促進をはじめ、「省エネ化」「バリアフリー化」「耐震化」を目的
とした既存住宅の活用・改修を促進すること。
その際、高齢者、障がい者、子育て世帯も住みやすい、優良な賃貸住宅
の整備を推進すること。
さらに、公営住宅についても「長く大切に使用する」ことが求められて
いるため、リノベーションも積極的に推進すること。
また、人口減少社会にあっては、効率的、効果的な県営住宅の整備を進
める一方、生活・住宅困窮者にとって、公営住宅は重要な「セーフティネ
ット」であることを踏まえ、低所得者、高齢者への支援などの観点から、
県民のニーズに対応した管理運営を行うこと。

(3) 民間集客施設等の耐震化の推進

ホテル・旅館等の多くの人が利用する民間集客施設等について、大規模
地震発生時等における避難所としての活用の観点等から、耐震診断の義務
付けに至らない規模の施設も含めて耐震改修の実施に支援を行うなど、耐
震化の推進を図ること。

Ⅸ 「こころ豊かな共生社会」の実現に向けて

1 人権尊重の行政と教育の推進

本年3 月に改定した「人権教育及び啓発に関する総合推進指針」に基づ
き、障がい者、被差別部落関係者、在日外国人等に加え、性的マイノリテ
ィやインターネットによる人権侵害など新たな人権課題についても、積極
的に人権尊重の普及高揚を進める教育や、研修・啓発活動を推進すること。

2 男女共同参画社会の推進

本年3 月に改定した「ひょうご男女いきいきプラン2020」に基づく諸施
策を進めるとともに、県民、企業等のさらなる意識改革、風土づくりを進
めるなど、その浸透を図ること。

3 国際交流の推進

(1) 外国人県民が暮らしやすい地域づくりの推進

友好・文化・経済等の各分野において多彩な国際交流を展開するととも
に、外国人県民との相互理解を深め、外国人人材の活用を視野に入れた地
域の活性化を図ること。

(2) 多文化共生社会の実現

多文化共生社会の実現に向け、2015 年度に策定した「ひょうご多文化共
生社会推進指針」に基づき、社会情勢の変化に対応しながら、これまで以
上に日本人県民と外国人県民が共に地域の構成員として支え合い、協働し
て地域づくりを進めること。

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