向山 好一 議員が質問(企画県民部②)を実施

決算特別委員会部局審査(企画県民部②)

質 問 者   向山 好一 委員(ひょうご県民連合)

 

1 ふるさとひょうご寄附金について

「ふるさと納税制度」は平成20年に創設された税制で、導入から8年が経過しました。その間、納税者は徐々に増え、納税額は平成27年度に、都道府県では全国で約27億円となるなど国民に定着しつつあります。

兵庫県での状況は、約5,000万円と全国と比較してほぼ平均的数値になっています。しかし一方で、県民税の税額控除の額は21億円程度、つまり、20億円程度は持ち出し、本来入るであろう収入が他の自治体に流出していることになっています。

この控除額は、現行制度では75%が基準財政需要額に算入されて交付税の対象にはなりますので、それを差し引いても5億円の流出、つまり収入減になっています。

そもそもこの「ふるさと納税」は、自分が任意で選んだ自治体に寄附することで、その自治体を応援したり、自治体自身が施策をアピールすることで自治体間競争を促すこと等を目的に創設された制度であります。それにもかかわらず、ここ数年でその目的から大きく逸脱してきているように思っています。

その1つは、手厚い税制上の優遇措置によって節税対策に使われていること。特に、高額所得者ほど寄附のリターンが大きいという逆進性から、高額納税者に有利な制度として使われていること。

2つ目は、寄附を受けた自治体はその分収入増になるので「返礼品」を提供し、それがどんどん豪華になるというサービス合戦になっていること。

3つ目は、使途を特定するプロジェクト事業がどんどん拡大し、公共性に疑問を抱くようなものまで含まれてきたことなどです。

 

(1)適正な運用について

そこで、先ほど挙げた問題点の1つ目と2つ目に関連して質問します。

まず、1つ目については、特例控除額の上限が本年度分の個人住民税から所得割額の2割に引き上げられたことからも分かるように、税額控除は拡大の方向に向かっており、逆進性が加速していることです。2つ目については、返礼品のサービス合戦に対し、総務省は自粛を促してはいますが、現在のところ有効な歯止め策になっていません。このまま放置をすればどんどんエスカレートしかねません。

そこで、兵庫県としても本来の趣旨に合った制度へと是正するため、いま申し上げた2点の改善を政府等に強く求めていくべきと思いますが、当局のご見解を伺います。

 

(2)事業選定の考え方について

次は、3つ目の「使途を特定する事業がどんどん拡大し、公共性に疑問を抱くようなものまで含まれてきたこと」についてです。

兵庫県では既存の神戸ルミナリエの開催支援や小児筋電義手バンク支援のほか、現在全部で15のプロジェクトを設定しています。その中で私が気になる事例として挙げたいのは、「県立学校環境充実応援プロジェクト」で、本年3月の春の選抜高校野球全国大会に出場した「長田高校への応援」というものです。その実績は1,211件で3,100万円程度の寄附金が集まったと聞いています。そしてその使途は、主なもので応援グッズ購入費、出場記念記録誌作成費、練習用バット等の購入などでありました。

確かに県下有数の進学校の甲子園出場は兵庫県の明るい話題となりました。しかし、この「ふるさとひょうご寄附金」というのは、寄附した金額から2,000円差し引いた全額が、上限はあるものの、税金控除の形で寄附者に戻り、実質的には所得税や住民税の立て替え分となるという、寄附金という名前はついているものの、その性格は紛れもなく公共性の非常に高い「公金」であります。従って、「ふるさとひょうご寄附金」は、公共性、公平性、継続性が求められるもののはずです。

そこで、対象となる事業選定の考え方について、当局のご見解をお伺いいたします。

 

 

2 高等学校の私学助成の拡充について

私は、今年の2月議会の一般質疑でこの問題を取り上げました。再度にはなりますが、その時の答弁を踏まえ、もう少し掘り下げた議論をさせて頂きたいと存じます。

まず、子どもの貧困問題、内閣府の調査によると日本の子どもの貧困率は平成24年で16.3%、つまり6人に1人の子供は貧困にあえいでいることになっています。さらに、この数値はどんどん上昇しており、OECD加盟国34か国のなかで10番目に高く、1人親の世帯では最も高い数値になっています。つまり、経済的理由で高等学校への進学を諦めざるを得ない世帯が増えているといえます。これは、今後日本社会を担う人材の育成の観点からも大きな問題だと思います。

そのような時代背景のもとで、平成22年度より国の就学支援金制度ができ、家庭の経済事情に起因する教育格差の解消という点では、大きな前進が図られましたが、公私間格差は依然、残ったままになっています。国も兵庫県もここ数年、支援金や助成制度の拡充を図り、その格差は縮小傾向にはありますが、特に私が指摘申し上げたいのは近隣府県との格差です。

お隣の大阪府では実質年収590万円世帯まで授業料に限らず、施設整備費等まで含んだ無償化が実現しています。近隣の京都府でも500万円世帯まで同様の補助を行っています。一方、兵庫県は拡充後の平成28年度でも250~350万円世帯で6万円、350~590万円世帯で18万円程度の自己負担が残っています。これは相当な格差と言わざるを得ません。さらに、この授業料に加えて施設整備費などの負担もあり、私立高校に通う生徒の世帯にとっては相当な家計負担となっています。

この問題を今年の2月議会で取り上げたとき、当時の五味企画県民部長から「経常費補助と授業料軽減補助は全国平均を上回っているし、バランスよく行っている」から他府県と比べても遜色ないという主旨のご答弁を頂きました。しかし、私は、近隣との都市間競争や家計の実態などのご認識をもっとお持ち頂きたいと強く思っています。

再度、そのような要素を含めた御見解をお伺いします。

 

 

3 広報紙「県民だよりひょうご」の業務委託について

「県民だよりひょうご」は毎月発行される総数241万部を新聞折り込み、ポスティング等によって県下一円に配布されています。その経費を調べると、制作・印刷・配送等の経費から広告収入を差し引いて年間2億1,200万円程度かかっています。そして、受託者は、毎年企画提案コンペを実施し、選考委員会を経て決定されています。

この企画提案コンペがどのように実施されているかといえば、制作・印刷・配布・広告等の全ての関連業務を一括で委託する仕組みになっています。行革を進める本県においては、この方式には多くの改善すべき点があるように感じています。

その1つ目は、業務を一括で委託することによって、対応できる者、つまり応募できる企業が限られるということ。次に、それぞれの分野での競争原理が働き難いことによって価格が高止まりする可能性があること、また活発な企画提案がなされない懸念などがあげられます。

その問題の改善のために私が提案したいことは、切り分けた発注、あまり細部を切り分けると、責任の所在が不明になったり、非効率になったりと新たな問題が発生するので、せめて歳出部分、つまり制作・印刷・配送業務と、歳入部分、つまり広告収入を切り分けた企画提案コンペを実施すべきと思っています。このような質問をする理由は、それぞれの分野で責任が明確となり、また分業することによって、緊張感と競争インセンティブが働くことで、安価でより充実した広報活動に繋がるのではないかと思うからです。

他の自治体での発注方法の実態と比較しながら、この業務委託の切り分けについての当局のご見解を伺います。

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